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15話 ……人がいる、急がないと
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クソッ__あと大会まで半年切るってのにどこに居やがる。
何でよりによってこの俺が知りもしねぇ野郎のしっぽを辿らねぇといけねーんだよ。
ぽっと出でS持ちになって、世間に騒がれたもんだからどうせイカサマしるのをバラしたくないからスキルも魔法も隠してるんだろ。
ぜってぇそうに違いねぇ。
こんな任務、報酬が良ければ誰も探さねぇよあんなヤツ。
もし本当に神の存在をも揺るがす実力あるってんなら__
「はっ、見てみたいもんだぜ__」
Aランクですら一握りなのに、更にその上をいく伝説級のS持ちの冒険者様よぉ。
神も魔王も信じちゃいねぇが__
「ハハッ、瀬戸際だなっ……」
「下がって」
優しい静かな少年の声が耳の奥に響く__アンタは、誰だ……?
「もう大丈夫」
######
シャルネさんのところで話をして、自身の置かれる状況的にやはり大会が終わるまでの一時的にでも男性として肉体生成をした方がいいとのことで落ち着き、魔法を施した。ちくせう。
顔に関しては特に目立つ変化はないが胸や股部は男性のそれで、実際触るのも初めてだったからマジで排泄のあれそれが分からずシャルネさんに泣きつき言葉通り手取り足取り教えを乞う。
そのときシャルネさんがボソッと「きれいな人は陰部もきれいなんですね……うぅっ…………」っと言われ、ぶっちゃけ今んとこ肉体情報と遺伝子に基づいた変化しか出来ないから極端に局部を変化させることは難しいし、だからこそ素直に自分の身体を褒められたことに優越感に浸った。
まぁ、つまり施した魔法は男として生まれたときの自身の身体なので、どちらの性別でも自分の身体であることには代わりがないということだ。
…………? 恥じらい?
んなもんとうの昔捨ててるわ。
そんなことがありつつも、魔法やスキルを使うときの注意点や力の加減、相手が強く私と同格になるにつれ観察力・洞察力共に優れるからバレることを前提として動くことや、やはり念には念をで自身のスキルや魔法の特性を鑑定できる人が現れることを懸念して隠蔽・隠匿スキルを強化した。
基本的な魔法や攻撃は私には効かないけど、流石にスキルの覗き見はえっちだと思う。
まぁ、だから私も基本的には私生活で相手の情報をなんでもかんでも見ないようにしてる訳。
でも私は圧倒的危機察知能力がカス過ぎて、この世界に来た当初のアクポの森で実質何十回も殺されてるから転移特典のスキル生成で危機回避・危機感知スキルを追加して身の安全を確保してる。
寝てるときもオートで発動してるから、もし命の危険がある場合は速やかに戦闘モードというか結界とか隠蔽・隠匿スキルを駆使して意地でも大きい攻撃は仕掛けないようにしてる。
この世界に来て一番始めに使った魔法、ファイヤーボールをイメージした火球が辺り一帯を消し炭にしたけど、当時は冷静ではなく現実逃避じみた能天気さでうわぁ~!! 魔法だぁ、スゴいなぁ~!! とか思ってたけど、よくよく思い返すと文字通り辺り一帯が灰になってる光景が記憶にこびりついており、わりとトラウマになってる。
当然それからそんな大惨事を起こさないためにも火力を押さえて様々な魔法を会得したけど、やっぱり苦手意識は拭えずに目にも自然にも優しい水や風、土などといった魔法を主に使うことになった(光や聖魔法は貴重なため持ってるだけでも凄く目立つから除外、闇や無属性も然り)。
木魔法はある分には便利なんだけど、決定打に欠けたので除外した。
まぁ、私の使い方が悪いのかも知れないけど、私以上に使える人も早々に居ないから諦めた。
土はどうなんだって?
これが聞いて驚け、めちゃくちゃ便利。
敵が来たら地面を割る、速攻閉じる、圧死させてはい終わり。
これで何度証拠隠滅したり、敵をしばき倒してきたことか…………てへっ。
なんなら、場合によっては土魔法で岩作って風魔法でぶっ飛ばして戦力散開させることもできる。
終わったら土に戻して何事もなかったかのように見せるのもあり。
閑話休題、話が逸れたね。
そんなこんなで懸念事項はあらかた洗い出して、余ったバクキード(もぐら)の魔石を研究用に2、3個残してあとはギルドに買い取って貰おうと思う。
そのため、一晩お世話になったシャルネさんの家を出て一番近いガウル王国まで散歩がてら気分が乗るところまで歩いて山道を通っていたら、段々と空気が重くなり辺りに瘴気が漂っているのを感じ、自身に隠蔽魔法を施し息を潜めながらマップと感知を使い、魔物の気配を探る。
「……人がいる、急がないと」
マップに表示された座標手前まで超高速(テレポート)を使い、その場に降り立つ。
立ち込める血の匂い、荒れ果てた木々や大地、動物達の死骸____この場所はもう死んでいる。
生存者がいないか確認しに行くと、崩壊したプレハブ小屋には家主のものだと思われる四肢がもげ剥き出した骨や血肉__人間だったモノが散らばっており、あまりの惨状に吐き気を催した。
「うっ……ッハァ…………」
良く見ると、肉片の中に大人のそれよりも小さなものが混ざっており、子どもまでもが巻き込まれたことを知る。
その場にしゃがみ込み、その幼いだろう子どもの肉片を撫でる。
「………………来るのが遅れて、ごめんね」
意味のない行為だと、頭では理解している。
だが、あまりのやるせなさに血が滲むくらい唇を噛み締めるが、泣いてる暇はないと他の生存者の確認に向かう。
マップはとある辺境の集落となっている。
山と森に囲まれた本来自然豊かな大地は、いまや地獄と化している__
生存者のみをマップと感知でサーチして、表示案内ちゃんの状態表示でその周辺の状況や怪我人の重篤者リストを洗い出して表示する。
1つ、山奥の方に大きな感知と生存者の気配を察知する。
マップで表示した重篤者などの怪我人のところに遠隔魔法で状態維持と結界を張り、急いでテレポートで山奥へと向かう。
これ以上の惨事がないことを祈りながら__
何でよりによってこの俺が知りもしねぇ野郎のしっぽを辿らねぇといけねーんだよ。
ぽっと出でS持ちになって、世間に騒がれたもんだからどうせイカサマしるのをバラしたくないからスキルも魔法も隠してるんだろ。
ぜってぇそうに違いねぇ。
こんな任務、報酬が良ければ誰も探さねぇよあんなヤツ。
もし本当に神の存在をも揺るがす実力あるってんなら__
「はっ、見てみたいもんだぜ__」
Aランクですら一握りなのに、更にその上をいく伝説級のS持ちの冒険者様よぉ。
神も魔王も信じちゃいねぇが__
「ハハッ、瀬戸際だなっ……」
「下がって」
優しい静かな少年の声が耳の奥に響く__アンタは、誰だ……?
「もう大丈夫」
######
シャルネさんのところで話をして、自身の置かれる状況的にやはり大会が終わるまでの一時的にでも男性として肉体生成をした方がいいとのことで落ち着き、魔法を施した。ちくせう。
顔に関しては特に目立つ変化はないが胸や股部は男性のそれで、実際触るのも初めてだったからマジで排泄のあれそれが分からずシャルネさんに泣きつき言葉通り手取り足取り教えを乞う。
そのときシャルネさんがボソッと「きれいな人は陰部もきれいなんですね……うぅっ…………」っと言われ、ぶっちゃけ今んとこ肉体情報と遺伝子に基づいた変化しか出来ないから極端に局部を変化させることは難しいし、だからこそ素直に自分の身体を褒められたことに優越感に浸った。
まぁ、つまり施した魔法は男として生まれたときの自身の身体なので、どちらの性別でも自分の身体であることには代わりがないということだ。
…………? 恥じらい?
んなもんとうの昔捨ててるわ。
そんなことがありつつも、魔法やスキルを使うときの注意点や力の加減、相手が強く私と同格になるにつれ観察力・洞察力共に優れるからバレることを前提として動くことや、やはり念には念をで自身のスキルや魔法の特性を鑑定できる人が現れることを懸念して隠蔽・隠匿スキルを強化した。
基本的な魔法や攻撃は私には効かないけど、流石にスキルの覗き見はえっちだと思う。
まぁ、だから私も基本的には私生活で相手の情報をなんでもかんでも見ないようにしてる訳。
でも私は圧倒的危機察知能力がカス過ぎて、この世界に来た当初のアクポの森で実質何十回も殺されてるから転移特典のスキル生成で危機回避・危機感知スキルを追加して身の安全を確保してる。
寝てるときもオートで発動してるから、もし命の危険がある場合は速やかに戦闘モードというか結界とか隠蔽・隠匿スキルを駆使して意地でも大きい攻撃は仕掛けないようにしてる。
この世界に来て一番始めに使った魔法、ファイヤーボールをイメージした火球が辺り一帯を消し炭にしたけど、当時は冷静ではなく現実逃避じみた能天気さでうわぁ~!! 魔法だぁ、スゴいなぁ~!! とか思ってたけど、よくよく思い返すと文字通り辺り一帯が灰になってる光景が記憶にこびりついており、わりとトラウマになってる。
当然それからそんな大惨事を起こさないためにも火力を押さえて様々な魔法を会得したけど、やっぱり苦手意識は拭えずに目にも自然にも優しい水や風、土などといった魔法を主に使うことになった(光や聖魔法は貴重なため持ってるだけでも凄く目立つから除外、闇や無属性も然り)。
木魔法はある分には便利なんだけど、決定打に欠けたので除外した。
まぁ、私の使い方が悪いのかも知れないけど、私以上に使える人も早々に居ないから諦めた。
土はどうなんだって?
これが聞いて驚け、めちゃくちゃ便利。
敵が来たら地面を割る、速攻閉じる、圧死させてはい終わり。
これで何度証拠隠滅したり、敵をしばき倒してきたことか…………てへっ。
なんなら、場合によっては土魔法で岩作って風魔法でぶっ飛ばして戦力散開させることもできる。
終わったら土に戻して何事もなかったかのように見せるのもあり。
閑話休題、話が逸れたね。
そんなこんなで懸念事項はあらかた洗い出して、余ったバクキード(もぐら)の魔石を研究用に2、3個残してあとはギルドに買い取って貰おうと思う。
そのため、一晩お世話になったシャルネさんの家を出て一番近いガウル王国まで散歩がてら気分が乗るところまで歩いて山道を通っていたら、段々と空気が重くなり辺りに瘴気が漂っているのを感じ、自身に隠蔽魔法を施し息を潜めながらマップと感知を使い、魔物の気配を探る。
「……人がいる、急がないと」
マップに表示された座標手前まで超高速(テレポート)を使い、その場に降り立つ。
立ち込める血の匂い、荒れ果てた木々や大地、動物達の死骸____この場所はもう死んでいる。
生存者がいないか確認しに行くと、崩壊したプレハブ小屋には家主のものだと思われる四肢がもげ剥き出した骨や血肉__人間だったモノが散らばっており、あまりの惨状に吐き気を催した。
「うっ……ッハァ…………」
良く見ると、肉片の中に大人のそれよりも小さなものが混ざっており、子どもまでもが巻き込まれたことを知る。
その場にしゃがみ込み、その幼いだろう子どもの肉片を撫でる。
「………………来るのが遅れて、ごめんね」
意味のない行為だと、頭では理解している。
だが、あまりのやるせなさに血が滲むくらい唇を噛み締めるが、泣いてる暇はないと他の生存者の確認に向かう。
マップはとある辺境の集落となっている。
山と森に囲まれた本来自然豊かな大地は、いまや地獄と化している__
生存者のみをマップと感知でサーチして、表示案内ちゃんの状態表示でその周辺の状況や怪我人の重篤者リストを洗い出して表示する。
1つ、山奥の方に大きな感知と生存者の気配を察知する。
マップで表示した重篤者などの怪我人のところに遠隔魔法で状態維持と結界を張り、急いでテレポートで山奥へと向かう。
これ以上の惨事がないことを祈りながら__
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