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14話 小さな幸せ
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あれからシャルネさんと話し合いを重ねた結果、S持ちの冒険者と一瞬とは言えその場に居合わせたなら顔を覚えられていてもおかしくないし、なんなら獲物があのレベルだと思ってなくて魔法を使ったことによる残滓も残したことで追跡されてる可能性があること。
ギルドに行くなら、その場で使った魔法の残滓で使用してる魔法を把握されてる可能性があるから、あんまり多く使っていたようならスキルや身バレを覚悟すること。
それらを踏まえた上で大会に参加するつもりで行くこと。
獣人との養子縁組についてはこれでもかって驚かれたし私も正直同じ気持ちだけど、わりと率直に祝福してくれた。
でも、手続き? というか、その後どうすればいいのか全く分からない。
そこはシャルネさんが、意思と意思を結ぶってことでお互いに自身を象徴する石を贈り合うのが決まりらしく、私も次行くときはそうしようと思う。
でもやっぱり現実味がないな。
なんせ、獣人は獣人と人間は人間と~みたいなところがあるからなぁ……っていうのも力の差が歴然だし、寿命も種族によっては長寿なとこもある。
まぁ、世界的に見て人間ですら平均寿命が300越えてる世界だしなぁ……獣人や魔人に至っては500越えるし、魔力の多さによっても左右するってマジで不思議だよね。
んで、もし大会に参加するに当たるとして今一度確認しないと行けないのが、ガナス平野で使った魔法はいつも通り風、水、土とあとスキルで遠隔魔法。
いつも主に使ってる魔法で、これだけなら特段バレても問題ない。
所持する魔法は誰しも一つは持ってるらしく、でも3属性以上所持する人は一握りらしい。
スキルも2つ以上所持してると大変貴重で重宝されるらしいからマジでこの世界に来た当初に使う属性決めておいてよかった~~~っと過去の自分を褒め称えた。
全属性の魔法所持とギフトに転移特典、個人保有スキルと後付けで得たスキルも含めたら多分冗談抜きに私が世界一強い。
それを抜きにしても女神様の加護や旅の途中で出会った精霊や妖精の加護もある。
ぶっちゃけ思うのが、出ても出なくても勝敗なんて分かりきってるし……ねぇ、いま誰か図に乗ってるとか思ってるでしょ。
言っとくけど、あの女神様ですら私が力を制御しないと世界の均衡が崩れて崩壊するって言われてるんだからね~~~!!!!
余談はここまでとして、マジでこれで女だってバレるわけにもいかなくなってきたなぁ……はぁ、秘密が増えるってしんどいよ全く。
レベルだってもう少しでカンスト(上限)だし、スキルや武器だけに使えるのかと思ってた上限突破がまさかレベルにも反映されるとか聞かされたときどこまでも上がるなんて思わないじゃん。
他のSSS冒険者達も普通に一般論で歩く災害とか天災とか言われてるけど、私の場合その比じゃないってもう一周回って笑えてくるよね。
____だからこそ、普通に憧れたんだけど。
######
日本にいたときは父子家庭で、とても裕福とは言えない生活だった。
ハブられるとか、いじめというものは無かったが、だからといって親しい友達が居るわけでもなく、話しかけられたら話して、用事があれば話しかけるだけのわりと達観した冷めた子どもだった。
普通にノリはよかったが、友達と出掛けられるほどお金の余裕もなかったし、家で遊ぶにしたって父のお酒の飲んだあとや、染み付いた父のタバコの臭いが染み付いた部屋へ招きたくなかった。
だから学校で見かける仲の良さそうなグループとか、当たり前のように家族と昨日なに食べた、友達とどこに行ったとか、部活だとか勉強だとか将来の夢やらやりたいこと、そんな普通の当たり前が酷く羨ましかった。
父だって基本仕事で家には居ないし、居たとしても喋ることもなければタバコと酒を煽ってギャンブル等でお金を消費していくだけ。
母が生きてた頃は普通に優しい、いい父親だったのに____
どんなに努力したって褒められることもなければ、それがすぐ結果になって現れることのない虚しい数字の羅列。
趣味で色々とやってみて、ちょっとしたコンクールに応募して賞を貰ったときも周りから『金にならないことはやめろ』『そんなことやったところで意味なんかない』『それは将来なんの役に立つの?』とかつまらないことをぐちぐちネチネチと言われて、聞かされて、父に関しては関心すらないといった感じで、正直もううんざりだった。
でも、それでも私は好きなことをやめたくなかったしやめる気もなかった。
でもそんな環境にいるからか、元々自分でも明るくポジティブな方の性格だって思ってたのが、段々思考が鬱蒼としてきて以前のように何かを全力でやつというよりは、惰性で続けてると言った方が過言ではなかった。
それに気がついたとき、私はとても苦しくて、虚しくて__悲しくなった。
違うとこに行きたい、漫画やアニメ、物語りの世界ならきっと報われるんだろうなと夢見て、それが実現して、実際に自分が体験してるのは何だ?
持て余した力と人を信じきれない冷めた心に、身の丈をわきまえない虚栄心だけが積もり積もる。
寂しいなぁ。
人の幸せを身近で見て、感じる度に薄ら寒くなる心に蓋をした。
____嘘を付いてる私が、きっと幸せになることは無いんだろうな。
ずっと、そう漠然と思ってた。
「__レーナさん……? ど、どうしたんです……急に黙り込んで」
この世界に来て私を理解してくれる数少ない友人とも呼べる目の前の小人族のシャルネさん、私を家族だと言ってくれた囁く切り株亭の夫婦、随分と私に目をかけてくれる女神様。
よくよく目を凝らして近くのものを見てみれば、私の周りにも小さな幸せはあるじゃないかと自分の心が穏になっていくのを感じる。
「んー? いや、友人に祝福されるなんてありがたいことだよなぁ~って思って……シャルネさん迷惑かけてばっかだけど改めて、いつもありがとうございます」
「ぅええぇっ!!? あっ、いや、お、俺も!! 俺だって、いつも……いつも弱音ばっかで、自身も友達も居なくて…………で、でもレーナさんが俺のたった一人の友人で…………ぅっ、そのっ……あ、ありがとうごじゃいまずぅっ~~~ッッッ」
「あはははっ、やっぱり泣くかぁ~」
我ながらいい友が出来たと、異世界も悪くないなと思う玲奈だった。
∞∞∞∞∞∞
何ヵ所か誤字を修正しました。
ギルドに行くなら、その場で使った魔法の残滓で使用してる魔法を把握されてる可能性があるから、あんまり多く使っていたようならスキルや身バレを覚悟すること。
それらを踏まえた上で大会に参加するつもりで行くこと。
獣人との養子縁組についてはこれでもかって驚かれたし私も正直同じ気持ちだけど、わりと率直に祝福してくれた。
でも、手続き? というか、その後どうすればいいのか全く分からない。
そこはシャルネさんが、意思と意思を結ぶってことでお互いに自身を象徴する石を贈り合うのが決まりらしく、私も次行くときはそうしようと思う。
でもやっぱり現実味がないな。
なんせ、獣人は獣人と人間は人間と~みたいなところがあるからなぁ……っていうのも力の差が歴然だし、寿命も種族によっては長寿なとこもある。
まぁ、世界的に見て人間ですら平均寿命が300越えてる世界だしなぁ……獣人や魔人に至っては500越えるし、魔力の多さによっても左右するってマジで不思議だよね。
んで、もし大会に参加するに当たるとして今一度確認しないと行けないのが、ガナス平野で使った魔法はいつも通り風、水、土とあとスキルで遠隔魔法。
いつも主に使ってる魔法で、これだけなら特段バレても問題ない。
所持する魔法は誰しも一つは持ってるらしく、でも3属性以上所持する人は一握りらしい。
スキルも2つ以上所持してると大変貴重で重宝されるらしいからマジでこの世界に来た当初に使う属性決めておいてよかった~~~っと過去の自分を褒め称えた。
全属性の魔法所持とギフトに転移特典、個人保有スキルと後付けで得たスキルも含めたら多分冗談抜きに私が世界一強い。
それを抜きにしても女神様の加護や旅の途中で出会った精霊や妖精の加護もある。
ぶっちゃけ思うのが、出ても出なくても勝敗なんて分かりきってるし……ねぇ、いま誰か図に乗ってるとか思ってるでしょ。
言っとくけど、あの女神様ですら私が力を制御しないと世界の均衡が崩れて崩壊するって言われてるんだからね~~~!!!!
余談はここまでとして、マジでこれで女だってバレるわけにもいかなくなってきたなぁ……はぁ、秘密が増えるってしんどいよ全く。
レベルだってもう少しでカンスト(上限)だし、スキルや武器だけに使えるのかと思ってた上限突破がまさかレベルにも反映されるとか聞かされたときどこまでも上がるなんて思わないじゃん。
他のSSS冒険者達も普通に一般論で歩く災害とか天災とか言われてるけど、私の場合その比じゃないってもう一周回って笑えてくるよね。
____だからこそ、普通に憧れたんだけど。
######
日本にいたときは父子家庭で、とても裕福とは言えない生活だった。
ハブられるとか、いじめというものは無かったが、だからといって親しい友達が居るわけでもなく、話しかけられたら話して、用事があれば話しかけるだけのわりと達観した冷めた子どもだった。
普通にノリはよかったが、友達と出掛けられるほどお金の余裕もなかったし、家で遊ぶにしたって父のお酒の飲んだあとや、染み付いた父のタバコの臭いが染み付いた部屋へ招きたくなかった。
だから学校で見かける仲の良さそうなグループとか、当たり前のように家族と昨日なに食べた、友達とどこに行ったとか、部活だとか勉強だとか将来の夢やらやりたいこと、そんな普通の当たり前が酷く羨ましかった。
父だって基本仕事で家には居ないし、居たとしても喋ることもなければタバコと酒を煽ってギャンブル等でお金を消費していくだけ。
母が生きてた頃は普通に優しい、いい父親だったのに____
どんなに努力したって褒められることもなければ、それがすぐ結果になって現れることのない虚しい数字の羅列。
趣味で色々とやってみて、ちょっとしたコンクールに応募して賞を貰ったときも周りから『金にならないことはやめろ』『そんなことやったところで意味なんかない』『それは将来なんの役に立つの?』とかつまらないことをぐちぐちネチネチと言われて、聞かされて、父に関しては関心すらないといった感じで、正直もううんざりだった。
でも、それでも私は好きなことをやめたくなかったしやめる気もなかった。
でもそんな環境にいるからか、元々自分でも明るくポジティブな方の性格だって思ってたのが、段々思考が鬱蒼としてきて以前のように何かを全力でやつというよりは、惰性で続けてると言った方が過言ではなかった。
それに気がついたとき、私はとても苦しくて、虚しくて__悲しくなった。
違うとこに行きたい、漫画やアニメ、物語りの世界ならきっと報われるんだろうなと夢見て、それが実現して、実際に自分が体験してるのは何だ?
持て余した力と人を信じきれない冷めた心に、身の丈をわきまえない虚栄心だけが積もり積もる。
寂しいなぁ。
人の幸せを身近で見て、感じる度に薄ら寒くなる心に蓋をした。
____嘘を付いてる私が、きっと幸せになることは無いんだろうな。
ずっと、そう漠然と思ってた。
「__レーナさん……? ど、どうしたんです……急に黙り込んで」
この世界に来て私を理解してくれる数少ない友人とも呼べる目の前の小人族のシャルネさん、私を家族だと言ってくれた囁く切り株亭の夫婦、随分と私に目をかけてくれる女神様。
よくよく目を凝らして近くのものを見てみれば、私の周りにも小さな幸せはあるじゃないかと自分の心が穏になっていくのを感じる。
「んー? いや、友人に祝福されるなんてありがたいことだよなぁ~って思って……シャルネさん迷惑かけてばっかだけど改めて、いつもありがとうございます」
「ぅええぇっ!!? あっ、いや、お、俺も!! 俺だって、いつも……いつも弱音ばっかで、自身も友達も居なくて…………で、でもレーナさんが俺のたった一人の友人で…………ぅっ、そのっ……あ、ありがとうごじゃいまずぅっ~~~ッッッ」
「あはははっ、やっぱり泣くかぁ~」
我ながらいい友が出来たと、異世界も悪くないなと思う玲奈だった。
∞∞∞∞∞∞
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