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捜査最終日

112. 十一日目(謹慎三日)、店長からの電話 

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「リリンリーンッ」

「俺の携帯電話が鳴ってるな。ちょっと休憩しててくれ」
 虻沼が三人に告げて席を外して電話に出る。
「もしもし、どちら様で?」
「あっミリタリーショップ中野店の……」
「ミリタリー!?」
 本題を話出す前に大声で制されて男は相手を刺激しないように機転
を利かせて話を再開する。
「サバゲーショップの店長です」
「あぁ、サバイバルゲームの店長さんか。誰かと思ったよ。で奴は来
たかい?」
「えぇ、特徴も虻沼さんが言った通りでした」
「それでエアガンを買ったんだよな?」
「そうです」
「そうか、それは良い仕事をしてくれたよ。25日に指定された口座
に十万円振り込んでおくから、この話は二人だけの秘密で頼むよ! 
もし第三者に漏らすような事があったら俺の両足を破壊した悪い刑事
さんを紹介しちゃうから変な気は起こさないようにね。信用が大事だ
からさ。店長なんだから、その辺は分かるよね!?」
「えぇっ!? 両足ともですか?」
「あぁ、実は過去に半殺しの目にあったんだ。気になるならメールで
動画を添付しようか?」
「いや、大丈夫です。裏ビジネスでは口は堅いですから」
「それは良かった。確か、おたくの借金の回収担当はプレスマンで、
有名な恩田さんだもんな。しかも今回滞ると藤原組のNo2蒼乃さん
が出張るんだよな」
「ど、どうしてそれを!?」
 電話越しなのに額から大量の汗が滲み出てくる店長。
「直接会った事は、無いが無骨で融通が利かず冷徹で有名だそうだ。
人と交渉するときは丁寧に調べる方だから気に障ったなら謝るよ」
「いえ、別に責めてる訳ではありませんので気になさらないで下さい」
「何はともあれ、今月分の返済期限に間に合いそうで良かった」
「はい。助かります」
「僕は弱者の味方だから困った事があったら、いつでも相談に乗るよ」
「はい。分かりました。相談させてもらいます。では、しつれい……」
「あっそうだ。ちなみに奴が買ったエアガンは何だった?」
「9mmパラベラム弾を使用できる改良済のベレッタM92FSです」
「ハンドガンの中でも渋い選択だね。確かバイオハザードでのジルの
初期装備だったよな?」
「よくご存じで」
「でノーマルかい?」
「いえ、サムライ・エッジ改のM92F/S.T.A.R.S.カスタム。クリス・
レッドフィールドモデルを譲りました」
「譲ったって事は売り物じゃないのを渡した訳だっ」
「そういう事になります」
「化物退治にはピッタリの商品だな。改めて良い仕事をしてくれて、
感謝するよ。時間が出来たら店に顔を出すかもしれない」
「はい、心よりお待ちしております」
 店長は保身を最優先する性格を治したいとはとは思っていたが悪魔
達との取引きは断る事が出来なかった。
「今日はこの後、麻雀する気分じゃないな」
 虻沼はバイオハザードに登場する拳銃のコレクターでもあるので、
店長のチョイスに笑いが止まらなかった。
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