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Ⅳ セブンリーフ新北中同盟女王選定会議
砂緒、魔戦車潰し再び
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ヴィイーーーーーン
二台の魔輪はぐんぐん加速して先行する魔戦車三両に追い付こうとする。
「もうそろそろ気付かれるかもしれん、フルエレさん気を付けてくれ!」
「しかし並走して乗り移らない事には連中を止められません」
「よしあたしは氷魔法で無限軌道を止めてやろう」
しかしセレネの言葉通り一番後ろの魔戦車に気付かれていた。
「ラフ様、なにやら後ろから魔輪が二台追いかけてきやすが……」
魔法も使えず全く魔力も無いラフが魔戦車長をする車両が一番後ろだった。
「そりゃ商業都市が雇った傭兵だろうな~~、全車両に危険通知だっよし先制攻撃だぜ砲塔旋回、炎系魔法弾発射だっ!!」
「わっかりやしたっ!!」
スリかコソ泥にしか見えないラフの指令で、屈強だが魔力を持つ男達が必死に車両を操る。
「ヤバッ砲塔が旋回したっ」
「え??」
空気中に見えない魔法の格子を展開したセレネがいち早く危険を察知した。
ドンッッ
いきなり魔戦車は主魔砲を発射した……
「ブラストッ!! フルエレさん右ッ!!」
「ええっ!?」
普段はおっとりした性格ながら危機になるとそこそこ運動神経が発揮される雪乃フルエレが、セレネの言葉通り右にハンドルを大きく切った。斜めになって浮くサイドカー。
ドーーン、ドシャッドンドン
「アツッ」
「危ない!!」
炎系魔法弾がサイドカーの至近に着弾し、小さな炎の破片が周囲に散らばって、立っていた砂緒は思わずフルエレの前に身を乗り出した。
「余計危ない、見えないって!!」
「フルエレさんどうする? 諦めるか??」
「ううん、今の要領で避け続けて接近するわっ!!」
「私やセレネと違って直撃したら死にますよ、止めませんか?」
「あたしも直撃したら余裕で死ぬわい」
「え、そうですか?」
「行くっ絶対に行くわーーーっ!!」
返事する前にフルエレはアクセルを全開にして撃って来た魔戦車に突進を始めた。ガックンとなった砂緒は慌ててフレームにしがみ付く。
「危ないです……」
「フルエレさんがスイッチ入ってしまった!!」
ドンッッ!!
再び魔戦車が主魔砲を発射する。
「セレネ、魔法!!」
「ええっアイスベルグ!!」
飛んで来た火の玉をセレネが氷魔法の塊で衝突させて中和して、空中で炎と氷の煌びやかなちょっとしたショーが起こった。
パラパラパラ……キラキラキラ……
「フルエレさん自重して下さい!!」
「あともう少し!!」
もともと重い上に一人分の魔法力を欠く魔戦車はどんどん二台の魔輪に追い付かれた。
「うわあああ奴ら撃っても全く動じず物凄いスピードで追いかけて来やす!!」
「変だな撃って来ねえな」
「連中武装を持ってません! 魔ァールPG-7も持ってません!」
「何だあ??」
ラフはキューポラから恐る恐る顔を出して後部を見た……
「なんだよ……傭兵じゃねえよ~~白いドレスを着た女の子が髪を振り乱しながら追いかけて来やがる……何てこった……」
しかしその時、砲撃音を聞いた残りの二両が引き返して来た。
「わっ馬鹿、こっちに来るなって!!」
と、その瞬間に遂にフルエレのサイドカーがラフの魔戦車に並走した。
「魔機銃を!?」
「馬鹿かっ砂緒とフルエレちゃんだっ」
「ええっ? 何で此処にいるの!?」
トンッ
しかしラフが逡巡している間に砂緒は魔戦車に飛び移った。
「よっと。ラフ、さっきのは危なかったですよ?」
「ひっ砂緒……さん」
パタン。
ラフは思わず砂緒と目が合ってハッチを閉じた……
「どうしましょう??」
「取り敢えずジグジグに走りまくれ!」
「へいっ!」
ドカンッッドンッ!!
逆走して向かって来ていた残り二両の魔戦車が走行しながら砂緒を狙い撃って来た。
「きゃあ砂緒!?」
砂緒に直撃した魔砲弾で辺りにスモークが充満したが、すぐにその煙の中から魔戦車の上に腕を組み仁王立ちする服が破れた砂緒が現れた。
「ハハハハハハ、こうで無くっちゃ!! ル○バの上に立つ猫さん参上ですよっ!」
全身を硬化させた砂緒は魔砲の直撃を物ともせず、そのまま体をある程度重くさせ一瞬で砲塔をくしゃっと潰した。その中ではラフが潰れた天井を避ける様になんとかギリギリ隙間に入り込んで恐怖に喘いでいた。
「ヤベ~~魔戦車全部潰されたら大将に殺される~」
が、運悪く砂緒を認識出来ていなかった魔戦車が潰れた魔戦車に交差して通り過ぎる瞬間、砂緒はひょいっと乗り移った。
「ハハハ、今度は仮面の○者赤○の参上ですよ、よっはっ」
一両潰して余裕が出て来た砂緒は、砲塔の上で腕を組んで仁王立ちしつつ、振り落とす為にジグザグ走行する魔戦車をロデオの様に楽しんだ。
「アイスベルグ!!」
が、その間にもう一両の魔戦車に並走したセレネは無限軌道に向けて直接氷魔法を撃ち、全力走行していた魔戦車に急制動を掛けた。
ギャギャギャ……
突然の急制動を掛けられた魔戦車は勢いで無限軌道が引きちぎれ、しかしそのままの勢いで近くにあった岩に衝突した。
パカンッ
慌てて各ハッチから乗り組み員の屈強な男達が飛び出して来る。
「ゲッ砂緒……さんだよ。早く言えよラフの馬鹿が」
その様子をフルエレは少し離れて見ていた。
「はぁ~~二人が居れば魔戦車も形無しねえ」
「む、セレネが一両破壊してしまいましたか……じゃあコレも潰して置きますか」
パカッ
その時ハッチが開いた。
「ちょと、ちょっと待ってくれ砂緒さん俺だよ俺、忘れたかよ同じ釜の飯を食ってたじゃねーかよ」
「知らん。誰ですか、オレオレ詐欺ですか?」
砂緒には数多く居る衣図の部下の屈強な男達は全て同じ顔に見えていた。
「砂緒、セレネ待て―――い!! いや待ってよ」
パカラッパカラッ
その騒動の渦中、ようやく巨馬に乗って衣図ライグが引き返して来た。
二台の魔輪はぐんぐん加速して先行する魔戦車三両に追い付こうとする。
「もうそろそろ気付かれるかもしれん、フルエレさん気を付けてくれ!」
「しかし並走して乗り移らない事には連中を止められません」
「よしあたしは氷魔法で無限軌道を止めてやろう」
しかしセレネの言葉通り一番後ろの魔戦車に気付かれていた。
「ラフ様、なにやら後ろから魔輪が二台追いかけてきやすが……」
魔法も使えず全く魔力も無いラフが魔戦車長をする車両が一番後ろだった。
「そりゃ商業都市が雇った傭兵だろうな~~、全車両に危険通知だっよし先制攻撃だぜ砲塔旋回、炎系魔法弾発射だっ!!」
「わっかりやしたっ!!」
スリかコソ泥にしか見えないラフの指令で、屈強だが魔力を持つ男達が必死に車両を操る。
「ヤバッ砲塔が旋回したっ」
「え??」
空気中に見えない魔法の格子を展開したセレネがいち早く危険を察知した。
ドンッッ
いきなり魔戦車は主魔砲を発射した……
「ブラストッ!! フルエレさん右ッ!!」
「ええっ!?」
普段はおっとりした性格ながら危機になるとそこそこ運動神経が発揮される雪乃フルエレが、セレネの言葉通り右にハンドルを大きく切った。斜めになって浮くサイドカー。
ドーーン、ドシャッドンドン
「アツッ」
「危ない!!」
炎系魔法弾がサイドカーの至近に着弾し、小さな炎の破片が周囲に散らばって、立っていた砂緒は思わずフルエレの前に身を乗り出した。
「余計危ない、見えないって!!」
「フルエレさんどうする? 諦めるか??」
「ううん、今の要領で避け続けて接近するわっ!!」
「私やセレネと違って直撃したら死にますよ、止めませんか?」
「あたしも直撃したら余裕で死ぬわい」
「え、そうですか?」
「行くっ絶対に行くわーーーっ!!」
返事する前にフルエレはアクセルを全開にして撃って来た魔戦車に突進を始めた。ガックンとなった砂緒は慌ててフレームにしがみ付く。
「危ないです……」
「フルエレさんがスイッチ入ってしまった!!」
ドンッッ!!
再び魔戦車が主魔砲を発射する。
「セレネ、魔法!!」
「ええっアイスベルグ!!」
飛んで来た火の玉をセレネが氷魔法の塊で衝突させて中和して、空中で炎と氷の煌びやかなちょっとしたショーが起こった。
パラパラパラ……キラキラキラ……
「フルエレさん自重して下さい!!」
「あともう少し!!」
もともと重い上に一人分の魔法力を欠く魔戦車はどんどん二台の魔輪に追い付かれた。
「うわあああ奴ら撃っても全く動じず物凄いスピードで追いかけて来やす!!」
「変だな撃って来ねえな」
「連中武装を持ってません! 魔ァールPG-7も持ってません!」
「何だあ??」
ラフはキューポラから恐る恐る顔を出して後部を見た……
「なんだよ……傭兵じゃねえよ~~白いドレスを着た女の子が髪を振り乱しながら追いかけて来やがる……何てこった……」
しかしその時、砲撃音を聞いた残りの二両が引き返して来た。
「わっ馬鹿、こっちに来るなって!!」
と、その瞬間に遂にフルエレのサイドカーがラフの魔戦車に並走した。
「魔機銃を!?」
「馬鹿かっ砂緒とフルエレちゃんだっ」
「ええっ? 何で此処にいるの!?」
トンッ
しかしラフが逡巡している間に砂緒は魔戦車に飛び移った。
「よっと。ラフ、さっきのは危なかったですよ?」
「ひっ砂緒……さん」
パタン。
ラフは思わず砂緒と目が合ってハッチを閉じた……
「どうしましょう??」
「取り敢えずジグジグに走りまくれ!」
「へいっ!」
ドカンッッドンッ!!
逆走して向かって来ていた残り二両の魔戦車が走行しながら砂緒を狙い撃って来た。
「きゃあ砂緒!?」
砂緒に直撃した魔砲弾で辺りにスモークが充満したが、すぐにその煙の中から魔戦車の上に腕を組み仁王立ちする服が破れた砂緒が現れた。
「ハハハハハハ、こうで無くっちゃ!! ル○バの上に立つ猫さん参上ですよっ!」
全身を硬化させた砂緒は魔砲の直撃を物ともせず、そのまま体をある程度重くさせ一瞬で砲塔をくしゃっと潰した。その中ではラフが潰れた天井を避ける様になんとかギリギリ隙間に入り込んで恐怖に喘いでいた。
「ヤベ~~魔戦車全部潰されたら大将に殺される~」
が、運悪く砂緒を認識出来ていなかった魔戦車が潰れた魔戦車に交差して通り過ぎる瞬間、砂緒はひょいっと乗り移った。
「ハハハ、今度は仮面の○者赤○の参上ですよ、よっはっ」
一両潰して余裕が出て来た砂緒は、砲塔の上で腕を組んで仁王立ちしつつ、振り落とす為にジグザグ走行する魔戦車をロデオの様に楽しんだ。
「アイスベルグ!!」
が、その間にもう一両の魔戦車に並走したセレネは無限軌道に向けて直接氷魔法を撃ち、全力走行していた魔戦車に急制動を掛けた。
ギャギャギャ……
突然の急制動を掛けられた魔戦車は勢いで無限軌道が引きちぎれ、しかしそのままの勢いで近くにあった岩に衝突した。
パカンッ
慌てて各ハッチから乗り組み員の屈強な男達が飛び出して来る。
「ゲッ砂緒……さんだよ。早く言えよラフの馬鹿が」
その様子をフルエレは少し離れて見ていた。
「はぁ~~二人が居れば魔戦車も形無しねえ」
「む、セレネが一両破壊してしまいましたか……じゃあコレも潰して置きますか」
パカッ
その時ハッチが開いた。
「ちょと、ちょっと待ってくれ砂緒さん俺だよ俺、忘れたかよ同じ釜の飯を食ってたじゃねーかよ」
「知らん。誰ですか、オレオレ詐欺ですか?」
砂緒には数多く居る衣図の部下の屈強な男達は全て同じ顔に見えていた。
「砂緒、セレネ待て―――い!! いや待ってよ」
パカラッパカラッ
その騒動の渦中、ようやく巨馬に乗って衣図ライグが引き返して来た。
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