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第1章 幼少期
17話 姫視察に向けて
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[コルラド王城 マイの部屋]
学園初の修学旅行4週間前の6月半ばの事。
コン・コン
「姫さま、ソニアです!」
「どうぞ」
ソニアの従者としての仕事は早い。
まず、自分の身支度から始まり、マイのお世話だ、マイは部屋メイド等は今は付けていない。
基本的に、すべてソニアが行う事になっているのだが、マイが自分で身支度をしてしまう。
今日もソニアがつく頃には、ドレスに身を包み、豪華な子供用の化粧台で髪をとかしていた。
マイが5歳になってからは、身支度が自分でもある程度できるようになってきた為だ、他人任せにしない主義のマイなのである。
ただ、王城内には沢山の執事やメイドが居るが、ほぼ貴族の御令息・御令嬢が多い為、あまり邪険に出来ない、なので今は人数制限をしマイに付ける従者を減らしている。
これは、マイが3歳からコルラド王達に相談し少しずつ減らしていったのだ。
マイがレウス(幻獣種レッドドラゴン)を育ててる事は、まだ王国上層部と一部のメイド達しか知らない、箝口令を敷いてる事と、マイに嫌われたくないと言う理由で、知られていないのが現状である。
ただ、いつまでも隠すには難しい問題なので、マイの6月28日の6歳の誕生日パーティーの時に、全王国内に御触れを出す予定である。
内容はコルラド王国は守護龍に守られる事となったと言う事。
そして、その龍はマイ姫のおかげでこの王国を守る事になったのだ。
と言う風に説明する。
そして、王城内のパーティーに参加する貴族達には、レウスをお披露目すると言う内容だ。
マイもレウスもこの事には了承している。
(マイが抱っこしてるのを見てもらう程度なのでマイがOKを出した)
「姫さま、お早うございます!今日は学園がお休みなので何か致しますか?」
ソニアが今日の予定をマイに聞く。
「そうね~まず朝食を食べてから、行きたいところがあるんだけどいいかな?」
「はい!」
(早いよソニア!!何処に行くのですかとか無い訳??この信頼度は少し怖いわね・・・直せるのかな・・)
ソニアの即答に心の中でマイが盛大にツッコむ。
マイが行きたい所は、基本ソニアも行きたいと、勝手に思ってしまっている、ちょっと痛いソニアである。
「ソ、ソニア行く場所聞かなくてもいいの?」
少しがっかりしながら、マイがソニアに聞く。
「一応参考までにお聞きしても?」
(参考なのね・・・)
マイへの信仰度が天井知らずなので、この現象が起きてしまうのだ。
マイが何故聞いているのか、理解がまだできないソニア。
もしかしたら、もうすでにそれすらも超越してしまっているかもしれない。
「わたしね、王都の西のはずれに行きたいのだけど・・・」
「!!!」
ソニアがビックリして硬直している。
それもそのはず、北西に有るエリアはソニアが育った孤児院が有る場所、そして、王都のスラムになっているのだ。
コルラド王の代になり、かなり王都の治安は改善されたが、やはり400万人を抱える都市となるとやはり闇の部分は出てきてしまう。
モンスターがはびこる世界で、就職率が低く、娯楽の少ないこの世界では、お酒・女性・ギャンブル・薬が蔓延しやすく、それを生業にする者が出てきてしまう。
マイが生まれる前に、コルラド王達とゼム王達で協力し、コルラド王国とゼム王国に根を生やしていた反社会組織グラムを壊滅させ、主要人物達を両王国で、すべて公開処刑にし、この先このような危険集団が新たに出現しないようにしていた。
ただ、すべての娯楽を規制すると民からの反発が強い為、酒場と風俗は王国で運営する形で残している。
それが、王都北西に存在し、仕事ができない者や、元薬物中毒者等、色々な者が出入りし、育てられない子供を置き去りにしたり、赤子をそこで捨てられたりしていた。
そんな状況を打開するべく、ユリウスがそこに保護施設と孤児院を作り、そこで自立していけるようにしていた。
ユリウスは犯罪の温床にならない様、定期的に部隊を送り込んだり、直接視察したりしていた。
そしてソニアを見つけ、自分の弟子にした場所でもある。
そんな場所にマイが行くと言い出したのだ。
ソニアが声も出なくなる気持ちはわかる。
さらに、先程マイが行きたいと言った段階で、先走り、はいと大声で言ってしまった手前覆すのは難しい。
しかも、マイを止められる人物は今、王城に居ない。
コルラド王達とユリウスは、ゼム王国皇太子の御子息の6歳の誕生パーティーに呼ばれている為、居ないのだ。
基本的に6歳までは社交の場にでないのが、両王国の法律なのでマイは行けない。
それも、マイは見越している為、当然である。
すでにマイの術中なのだ。
「ソニアが心配すると思うから、護衛を連れて行く予定よ」
行く事が、ほぼ決まっていたので、マイは事前に行動し、今日の為に手配をしていた。
コン・コン
ドアの前であいさつする人物。
「失礼します!第14部隊隊員のルイス家嫡男セイド・ルイスと申します!本日マイ姫様の護衛を承りましたのでここに推参致しました!」
「ウゲ!」
ソニアが不快感を表したリアクションをしている。
「どうぞ」
扉が開き、青い髪をセンター分けにした17・8歳位の美男子が一人入ってくる。
背丈はソニアより少し大きい程度で、スタイルが良く隊員服を綺麗に着こなしている。
ソニアも基本マイのそばに居るときは、隊員服で胸に副隊長と分かる剣の勲章を付けている。
隊長はこの剣が二本交差する形の勲章を付ける決まりである。
「マイ姫様に御目通り頂き恐悦至極でございます」
セイドは跪き敬服のポーズでマイに挨拶する。
(ちょっと固いな~ソニアと仲がいいって聞いてたから呼んだのにな~)
国のお姫様に、会うのだから本来これぐらいが、普通なのかもしれないが、マイは堅苦しいのは苦手である。
「なんであなたが姫さまに呼ばれたわけ!?」
ソニアがセイドに指を差し言い寄る。
「それは、マイ姫様が自分を選んで頂いたからですよソニア」
ソニアががっかりして何故!と言う感じで衝撃を受けている。
「あれ?ソニアとセイド殿は仲が良いと、ユリウスから伺っていたのですが・・・」
「えー!ユリウス様が!?」
ソニアは分かりやすいリアクションだが、セイドは少し驚いた顔をしたが直ぐに冷静さを取り戻した。
「マイ姫様、自分とソニアは、元同級生でただの幼馴染でございます。
けして仲が良いという関係では有りません。
後、セイドとお呼び下さい」
「そうですよ!姫さま!この方とは、孤児院の時からの腐れ縁なのです。けっして仲が良いということは有りせんので!ほんとユリウス様ったら!」
二人でマイに弁解する。
しかし、マイはもう一つユリウスに、聞いていた事があった。
昔からのライバル関係で、お互い意識し合い切磋琢磨して、卒業試験の時、行きたかった部隊に所属出来た事を、お互い手を取り合い喜んでいたと、聞いていたのだ。
(ああ~なるほど、この二人、意識はバリバリしてるのに、はずがしがってるだけなのね)
「まあまあ、どちらにしてもスラム地区には、行くのだから、何も知らない二人が組むより、連携は取れると思うの、二人とも頼りにしてる、護衛はよろしくね。
外出許可は、もうもらってるので、朝食を食べたら早速行きましょうね」
マイがサクッと笑顔でまとめ、拒否ができない様に推し進める。
『はい!!』
マイの笑顔にまんまとやられる二人であった。
そして、マイが朝食の為に食堂に向かう。
[コルラド王城 城内厨房]
マイがいつも通りに食堂を通り越し、厨房の方に向かう。
いつもの日課だが、一ついつもと違う、今回はセイドが同行しているという事である。
厨房に入ると料理長のザックがお出迎えをする。
「おはようございますマイ姫様!」
「おはよう」
マイが優雅に挨拶をする。
セイドはこれを見て驚愕していた。
姫がわざわざ厨房に行くなんてことは基本的に無いし、しかも挨拶までする。
第14部隊は王城の警護統括をしている部隊である、ソニア達の様に身辺警護をしていない為、マイの情報は上司からの連絡か、人伝でしかわからないのだ。
しかも、かなり厳重に情報規制がされている為、プライベートの内容が一介の隊員に、伝わっていないのが現状である。
「ザック今日の朝食はな~に?」
「本日はマイ姫様御一人なので・・・」
(ふっ、姫が一人だと食事が雑になると言う事か?)
セイドは、少しがっかりする事になるんだと思っていたのだが。
「是非日頃の成果を見てもらいたく、料理人達の料理を一口づつでいいので、食べて頂けないでしょうか?」
(え?)
セイドはビックリしていたが、ソニアは慣れているので、ふふんとセイドに自慢げである。
「そうね、久々にみんなの食べさせてもらおうかな~、でも食材の無駄遣いはだめよ」
『ひゃほー!!もちろん無駄になんか絶対に致しません!!』
料理人達が大喜びである。
ザックが声を掛ける。
「お前たち、段取り出来ている物からお出しして食べて頂こう、後、順番の検討も忘れるなよ!くれぐれも粗相のないようにな!
マイ姫様本日は、味見無しで、是非食堂でお待ちください」
「わかったわ楽しみにしてる、後、ソニア達も一緒に、食事にしたいので3人前でお願い」
マイがいつも通りのトーンで答える。
セイドがすぐに反論する。
「マイ姫様、自分の様な一般隊員と同席で食事など、しかも王城食堂で頂くなど恐れ多いです」
マイが笑顔で答える。
「いいの、だってわたしが、一人で食べるの嫌なんだもん、後、用意してるのに、食べられなかったら申し訳ないでしょ?
ねっ、ザック」
マイがザック達に、はにかんだ笑顔で、振り向いて聞いてくる。
【ズキューーン】
料理人達は、何度目になるか分からない、心を撃ち抜かれ悶絶している。
ザックは何とか持ちこたえて答える。
「マイ姫様には適いませんね、メイド長から事前に、3名が来るかもと聞いていたので、マイ姫様の事だから一緒に食べると言うと思い、各自用意していましたのでご安心下さい」
メイド長とは、前コルラド王の時代より、城内の事を一番理解し、王族達に最高の環境を提供する為に仕えている人物である。
今は、コルラド王達に就いて、ゼム王国に行っている為、メイド長の登場はまだ先になる。
マイはソニア達に、顔を戻し自慢げに、笑顔で伝える。
「ね!ザック達完璧でしょ!さぁ、二人とも、みんなのお邪魔になるから、食堂に向かいましょ」
マイはそそくさと、厨房を出ていく。
ソニアとセイドは慌てて、それに着いて行く。
この後、セイドは、自分の概念が変わるほどの衝撃を受ける事を、まだ知らない。
学園初の修学旅行4週間前の6月半ばの事。
コン・コン
「姫さま、ソニアです!」
「どうぞ」
ソニアの従者としての仕事は早い。
まず、自分の身支度から始まり、マイのお世話だ、マイは部屋メイド等は今は付けていない。
基本的に、すべてソニアが行う事になっているのだが、マイが自分で身支度をしてしまう。
今日もソニアがつく頃には、ドレスに身を包み、豪華な子供用の化粧台で髪をとかしていた。
マイが5歳になってからは、身支度が自分でもある程度できるようになってきた為だ、他人任せにしない主義のマイなのである。
ただ、王城内には沢山の執事やメイドが居るが、ほぼ貴族の御令息・御令嬢が多い為、あまり邪険に出来ない、なので今は人数制限をしマイに付ける従者を減らしている。
これは、マイが3歳からコルラド王達に相談し少しずつ減らしていったのだ。
マイがレウス(幻獣種レッドドラゴン)を育ててる事は、まだ王国上層部と一部のメイド達しか知らない、箝口令を敷いてる事と、マイに嫌われたくないと言う理由で、知られていないのが現状である。
ただ、いつまでも隠すには難しい問題なので、マイの6月28日の6歳の誕生日パーティーの時に、全王国内に御触れを出す予定である。
内容はコルラド王国は守護龍に守られる事となったと言う事。
そして、その龍はマイ姫のおかげでこの王国を守る事になったのだ。
と言う風に説明する。
そして、王城内のパーティーに参加する貴族達には、レウスをお披露目すると言う内容だ。
マイもレウスもこの事には了承している。
(マイが抱っこしてるのを見てもらう程度なのでマイがOKを出した)
「姫さま、お早うございます!今日は学園がお休みなので何か致しますか?」
ソニアが今日の予定をマイに聞く。
「そうね~まず朝食を食べてから、行きたいところがあるんだけどいいかな?」
「はい!」
(早いよソニア!!何処に行くのですかとか無い訳??この信頼度は少し怖いわね・・・直せるのかな・・)
ソニアの即答に心の中でマイが盛大にツッコむ。
マイが行きたい所は、基本ソニアも行きたいと、勝手に思ってしまっている、ちょっと痛いソニアである。
「ソ、ソニア行く場所聞かなくてもいいの?」
少しがっかりしながら、マイがソニアに聞く。
「一応参考までにお聞きしても?」
(参考なのね・・・)
マイへの信仰度が天井知らずなので、この現象が起きてしまうのだ。
マイが何故聞いているのか、理解がまだできないソニア。
もしかしたら、もうすでにそれすらも超越してしまっているかもしれない。
「わたしね、王都の西のはずれに行きたいのだけど・・・」
「!!!」
ソニアがビックリして硬直している。
それもそのはず、北西に有るエリアはソニアが育った孤児院が有る場所、そして、王都のスラムになっているのだ。
コルラド王の代になり、かなり王都の治安は改善されたが、やはり400万人を抱える都市となるとやはり闇の部分は出てきてしまう。
モンスターがはびこる世界で、就職率が低く、娯楽の少ないこの世界では、お酒・女性・ギャンブル・薬が蔓延しやすく、それを生業にする者が出てきてしまう。
マイが生まれる前に、コルラド王達とゼム王達で協力し、コルラド王国とゼム王国に根を生やしていた反社会組織グラムを壊滅させ、主要人物達を両王国で、すべて公開処刑にし、この先このような危険集団が新たに出現しないようにしていた。
ただ、すべての娯楽を規制すると民からの反発が強い為、酒場と風俗は王国で運営する形で残している。
それが、王都北西に存在し、仕事ができない者や、元薬物中毒者等、色々な者が出入りし、育てられない子供を置き去りにしたり、赤子をそこで捨てられたりしていた。
そんな状況を打開するべく、ユリウスがそこに保護施設と孤児院を作り、そこで自立していけるようにしていた。
ユリウスは犯罪の温床にならない様、定期的に部隊を送り込んだり、直接視察したりしていた。
そしてソニアを見つけ、自分の弟子にした場所でもある。
そんな場所にマイが行くと言い出したのだ。
ソニアが声も出なくなる気持ちはわかる。
さらに、先程マイが行きたいと言った段階で、先走り、はいと大声で言ってしまった手前覆すのは難しい。
しかも、マイを止められる人物は今、王城に居ない。
コルラド王達とユリウスは、ゼム王国皇太子の御子息の6歳の誕生パーティーに呼ばれている為、居ないのだ。
基本的に6歳までは社交の場にでないのが、両王国の法律なのでマイは行けない。
それも、マイは見越している為、当然である。
すでにマイの術中なのだ。
「ソニアが心配すると思うから、護衛を連れて行く予定よ」
行く事が、ほぼ決まっていたので、マイは事前に行動し、今日の為に手配をしていた。
コン・コン
ドアの前であいさつする人物。
「失礼します!第14部隊隊員のルイス家嫡男セイド・ルイスと申します!本日マイ姫様の護衛を承りましたのでここに推参致しました!」
「ウゲ!」
ソニアが不快感を表したリアクションをしている。
「どうぞ」
扉が開き、青い髪をセンター分けにした17・8歳位の美男子が一人入ってくる。
背丈はソニアより少し大きい程度で、スタイルが良く隊員服を綺麗に着こなしている。
ソニアも基本マイのそばに居るときは、隊員服で胸に副隊長と分かる剣の勲章を付けている。
隊長はこの剣が二本交差する形の勲章を付ける決まりである。
「マイ姫様に御目通り頂き恐悦至極でございます」
セイドは跪き敬服のポーズでマイに挨拶する。
(ちょっと固いな~ソニアと仲がいいって聞いてたから呼んだのにな~)
国のお姫様に、会うのだから本来これぐらいが、普通なのかもしれないが、マイは堅苦しいのは苦手である。
「なんであなたが姫さまに呼ばれたわけ!?」
ソニアがセイドに指を差し言い寄る。
「それは、マイ姫様が自分を選んで頂いたからですよソニア」
ソニアががっかりして何故!と言う感じで衝撃を受けている。
「あれ?ソニアとセイド殿は仲が良いと、ユリウスから伺っていたのですが・・・」
「えー!ユリウス様が!?」
ソニアは分かりやすいリアクションだが、セイドは少し驚いた顔をしたが直ぐに冷静さを取り戻した。
「マイ姫様、自分とソニアは、元同級生でただの幼馴染でございます。
けして仲が良いという関係では有りません。
後、セイドとお呼び下さい」
「そうですよ!姫さま!この方とは、孤児院の時からの腐れ縁なのです。けっして仲が良いということは有りせんので!ほんとユリウス様ったら!」
二人でマイに弁解する。
しかし、マイはもう一つユリウスに、聞いていた事があった。
昔からのライバル関係で、お互い意識し合い切磋琢磨して、卒業試験の時、行きたかった部隊に所属出来た事を、お互い手を取り合い喜んでいたと、聞いていたのだ。
(ああ~なるほど、この二人、意識はバリバリしてるのに、はずがしがってるだけなのね)
「まあまあ、どちらにしてもスラム地区には、行くのだから、何も知らない二人が組むより、連携は取れると思うの、二人とも頼りにしてる、護衛はよろしくね。
外出許可は、もうもらってるので、朝食を食べたら早速行きましょうね」
マイがサクッと笑顔でまとめ、拒否ができない様に推し進める。
『はい!!』
マイの笑顔にまんまとやられる二人であった。
そして、マイが朝食の為に食堂に向かう。
[コルラド王城 城内厨房]
マイがいつも通りに食堂を通り越し、厨房の方に向かう。
いつもの日課だが、一ついつもと違う、今回はセイドが同行しているという事である。
厨房に入ると料理長のザックがお出迎えをする。
「おはようございますマイ姫様!」
「おはよう」
マイが優雅に挨拶をする。
セイドはこれを見て驚愕していた。
姫がわざわざ厨房に行くなんてことは基本的に無いし、しかも挨拶までする。
第14部隊は王城の警護統括をしている部隊である、ソニア達の様に身辺警護をしていない為、マイの情報は上司からの連絡か、人伝でしかわからないのだ。
しかも、かなり厳重に情報規制がされている為、プライベートの内容が一介の隊員に、伝わっていないのが現状である。
「ザック今日の朝食はな~に?」
「本日はマイ姫様御一人なので・・・」
(ふっ、姫が一人だと食事が雑になると言う事か?)
セイドは、少しがっかりする事になるんだと思っていたのだが。
「是非日頃の成果を見てもらいたく、料理人達の料理を一口づつでいいので、食べて頂けないでしょうか?」
(え?)
セイドはビックリしていたが、ソニアは慣れているので、ふふんとセイドに自慢げである。
「そうね、久々にみんなの食べさせてもらおうかな~、でも食材の無駄遣いはだめよ」
『ひゃほー!!もちろん無駄になんか絶対に致しません!!』
料理人達が大喜びである。
ザックが声を掛ける。
「お前たち、段取り出来ている物からお出しして食べて頂こう、後、順番の検討も忘れるなよ!くれぐれも粗相のないようにな!
マイ姫様本日は、味見無しで、是非食堂でお待ちください」
「わかったわ楽しみにしてる、後、ソニア達も一緒に、食事にしたいので3人前でお願い」
マイがいつも通りのトーンで答える。
セイドがすぐに反論する。
「マイ姫様、自分の様な一般隊員と同席で食事など、しかも王城食堂で頂くなど恐れ多いです」
マイが笑顔で答える。
「いいの、だってわたしが、一人で食べるの嫌なんだもん、後、用意してるのに、食べられなかったら申し訳ないでしょ?
ねっ、ザック」
マイがザック達に、はにかんだ笑顔で、振り向いて聞いてくる。
【ズキューーン】
料理人達は、何度目になるか分からない、心を撃ち抜かれ悶絶している。
ザックは何とか持ちこたえて答える。
「マイ姫様には適いませんね、メイド長から事前に、3名が来るかもと聞いていたので、マイ姫様の事だから一緒に食べると言うと思い、各自用意していましたのでご安心下さい」
メイド長とは、前コルラド王の時代より、城内の事を一番理解し、王族達に最高の環境を提供する為に仕えている人物である。
今は、コルラド王達に就いて、ゼム王国に行っている為、メイド長の登場はまだ先になる。
マイはソニア達に、顔を戻し自慢げに、笑顔で伝える。
「ね!ザック達完璧でしょ!さぁ、二人とも、みんなのお邪魔になるから、食堂に向かいましょ」
マイはそそくさと、厨房を出ていく。
ソニアとセイドは慌てて、それに着いて行く。
この後、セイドは、自分の概念が変わるほどの衝撃を受ける事を、まだ知らない。
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