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【番外編】沢田くんと肝試し
沢田くんと煩悩
しおりを挟む「絵馬は何事もなかったね。それじゃあ帰ろうか」
「あ、うん【そう言われてみれば、何事もなく終わったな……。陸くんらしくない:(;゙゚'ω゚'):】」
沢田くんは途端に顔つきが変わり、辺りをキョロキョロ見回した。余計なことを言っちゃったかな。
「早く帰ろ」
「う、うん」
警戒しまくっている沢田くんの手を、私はそっと握った。
【ひゃああああああっ!!・:*+.\(( °ω° ))/.:+♡ いきなり手を繋ぐなんて、心臓に悪いよ、佐藤さんっ! 俺を殺す気ですか⁉︎ 天使な顔して実は悪魔ですか⁉︎】
ごめんね、沢田くん。
だって、ちょっとだけでも私のことを気にして欲しかったんだもん。
見つめあって照れていた──その時だ。
ガタガタガタガタガタガタガタガタガタ!!
突然、絵馬掛けに吊るされた絵馬が一斉に揺れだし、ぶつかり合う音を響かせた。
「きゃあああっ!」
私は驚いて、沢田くんに抱きついた。
【ぎゃあああああっ!!!((((;゚Д゚))))))) 佐藤さんが俺にハグを!!】
いや、沢田くん。驚くところはそこじゃないでしょ?
絵馬が一斉に揺れてるんだよ⁉︎ 地震でもないのに!
【ああ~~っ、神聖な神社の境内でこんなことしちゃいけないよ、佐藤さん! いくら絵馬が急に揺れたからって、そんな(*´Д`*)】
あれ? 沢田くん、怖くないの?
見上げてみると、ちょっぴり恥ずかしそうな沢田くんがプルプルと震えていた。
【突然の怪奇現象に怖がる佐藤さん、激かわ! この上目遣いな角度はエグいよ! ああ~溶けちゃう溶けちゃう、魂が浄化されちゃう~~! って、俺が悪霊かいっ\(//∇//)\ いやいや、むしろこうなると煩悩ばっかり強くなっちゃうから本末転倒! すみません、宮司さん! 除夜の鐘、四ヶ月ばかり前倒しでお願いします!! できれば2分以内で108回お願い(*´Д`*)】
除夜の鐘って神社じゃなくてお寺で撞くんじゃなかったっけ?
120秒で108回って、ほぼ不可能な鬼コンボだな。
なんだか一人で怖がってるのがバカバカしくなってきちゃった。
絵馬はどうせ陸くんがリモコン操作でもして動かしたんだろうし。
「ごめんね、つい取り乱しちゃって……」
私はそっと沢田くんから離れた。
「あ、うん……【ああ~~!! もう幸せタイム終了⁉︎ 早いよ~! もう一回絵馬が鳴ってくれないかな……】」
沢田くんは顔には出さずにガッカリする。でもその直後、
【ところで今の絵馬……どうやって鳴ったんだろう……。えっ⁉︎ 何で絵馬がひとりでに鳴ったの⁉︎ やだ、怖い……!!((((;゚Д゚)))))))】
急に異変に気づいて時間差で怖がり始める沢田くん。
悪いけどもうその恐怖は通り過ぎちゃったの! 共感できないよ、沢田くん!
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