沢田くんはおしゃべり２

【番外編】沢田くんと肝試し

沢田くんと呪いの井戸

　絵馬を奉納したらあとは帰ってくればいいんだよね。
　私たちは神社を後にし、来た道を戻ろうとした。
　すると、来た時には気づかなかった井戸がひっそりと境内の片隅に置かれていることに気づいた。


「あ、あれが陸くんの言ってた井戸？　たしか、覗き込むと引きずり込まれるという噂の」
「あ、うん【覗くなと言われると覗きたくなっちゃう。どうにかして、俺の性さが！((((；ﾟДﾟ)))))))】」

　それは沢田くんにしかどうにもできないと思う……。

「ちょっと覗いてみる？」
「いや……【佐藤さんは覗いちゃダメだ！　ここは俺が！:(；ﾞﾟ'ωﾟ'):】」

　沢田くん、自分が覗きたいだけだよね？
　どうしてもと言うなら止めはしないよ。

　沢田くんが井戸にゆっくりと近づいていく。

【ああああ、怖いけどつい覗いちゃうよ～！　お願いだから何も出てこないでええ｡ﾟ(ﾟ´Д｀ﾟ)ﾟ｡】

　そんなに怖いならやめておけばいいのに。
　でも沢田くんの怖いもの見たさは止まらない。そっと井戸の縁に手を置いて、覗き込む。

「何かあった？」
「ううん……【真っ暗でわかんないや(・Д・)……ん？】」

　沢田くんが何かに気がついた。
　次の瞬間、彼の全身がガタガタと震え出した。

「どうしたの？　沢田くん」
「いや……何でもない……【あ、あ、あ、あれはもしかして白骨死体じゃ……！！:(；ﾞﾟ'ωﾟ'):】」


　えっ⁉︎　白骨死体⁉︎


　私はびっくりして、思わず井戸を覗き込んだ。するとそこには、イヤミのシェー！　なポーズをしている骸骨がいた。


【シェエエエエエエエ！！！((((；ﾟДﾟ)))))))】


　なんでそのポーズなの⁉︎　中途半端に怖いんだけど！！
　これは仕込みの陸くんに苦情案件。
　さすがに沢田くんも怖がってないよね？
　沢田くんをチラッと見てみると、彼は何故か悲しそうな顔をしていた。


【どうしてあの人はあんなポーズで白骨化してしまったんだ！:(；ﾞﾟ'ωﾟ'): なんだか切ない理由がありそうだな……。もしかして、足元に大量の子猫がいて、踏まないように手足をあげているうちに肘や膝が痛くなって折れ曲っちゃったのかもしれない……(；ω；)きっと心優しい人だったに違いない……！】


　シェーのポーズにそんなドラマを思い描く沢田くんが可愛いから、私は陸くんを許そうと思いました。