沢田くんはおしゃべり２

【番外編】沢田くんと肝試し

沢田くんと呪いの絵馬

　生き霊の小野田くんを全速力で置いてけぼりにすると、ようやく神社が見えてきた。厳かな雰囲気のある立派な神社だ。とても呪われているとは思えない。

「あ、あそこに呪いの絵馬があるよ！　何か書いて奉納しよう」

　神社の左手にあった販売所で、お守りや絵馬が売られている。その手前に立てられた手書きの看板には陸くんの字で

「呪いの絵馬　こちら↓」

　と書かれていた。
　見ると、看板の足元に真っ赤な絵馬が一つだけ落ちていた。
　ご丁寧に、油性ペンも二本添えられている。

【ひいいいいっ！　不気味な絵馬、キターーーーッ((((；ﾟДﾟ)))))))】
　
　沢田くんはガタガタ震えながら絵馬を拾った。
　
「な、何書こうか……【こんなものに願いを書いたら逆に叶わなくなる気がする((((；ﾟДﾟ)))))))】」
「そうだね……どうしよう」
【あっ、そうだ……】

　沢田くんが何か思いついたらしい。

「沢田くん、書きたいことがあるなら書いていいよ」
「うん……ありがとう」

　沢田くんはペンを握り、真剣な顔をして震える字を書いた。


『怖い顔の人が成仏しますように』


　小野田くんはまだ死んでないよ、沢田くん！！


【ふぅ、これで安心(;´д｀)】
　うん、まあ、呪われそうな絵馬だから、願い叶いそうにないしね。大丈夫かな？？

　私たちはパチンと手を合わせ、絵馬がたくさん吊るされている絵馬掛けに絵馬を吊るした。
　他のみんなも奉納したらしく、「明日晴れますように」とか「世界平和」とか差し障りのないことが書いてある。
「森島くんの彼女になれますように」って書いたのは麻由香ちゃんかな？

　その時、私は赤くない絵馬の中にものすごく達筆な字を発見した。
　その人はどうやらこの神社の常連らしく、他にも何枚も絵馬を奉納しているようだった。

「沢田くん、見て。この人ものすごく字が上手だよ」
「……え？【どれどれ？　『給料が今より20％アップしますように』『サマージャンボが当たりますように』『臨時ボーナスが100万出ますように』『いつかこの島の支配権が手に入りますように』……なんかすごい金銭欲がある人だな:(；ﾞﾟ'ωﾟ'):】
　
　ああ……そういえば、この島には柔道五段、剣道三段、相撲序二段、珠算準一級、書道八段（←ここ重要）、落語二ツ目、もうすぐ真打の腕前らしいけど最近の趣味はモノマネだというほどの男がいたんだっけ……。


　いつかこの島の支配者になりたいのか……。
　願いが叶うといいね、矢野さん。