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【番外編】家庭教師デイジー・トレヴィス
麗しの侯爵
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レディ・ヴェロニカから説明を受けた後、昼食をご馳走になりながらルーカス坊ちゃんと対面した。金色の巻き毛が可愛らしい、上品な子供。それから邸内を軽く案内してもらい、わたくしの部屋はひとまず四階の、子供部屋の隣に与えられた。お試し期間ということらしい。
ルーカスの母親という女性は、表に出るのを好まないのか、昼食の席には出てこなかった。
侯爵の友人の子を産んで、現在は侯爵の子を妊娠中――
いったいどんな女性なのだろう。ルーカスの様子を見るに、きちんと育ててはいたみたいだけど。
わたくしはそんなことを思いながら、午後、外出先から戻られた侯爵との面接のために、書斎に案内された。
「どうぞ」
扉の前で緊張するわたくしの耳に、低い声が聞こえる。
ブレナン氏が扉を開け、わたくしは一礼して中に足を踏み入れた。
天井までの書棚には革表紙の本が並び、特有の埃の匂いがする。細長い窓からの光が差し、毛足の長い絨毯を照らす。光に照らされた埃がキラキラと煌めく。
当主のマクミラン侯爵は窓辺に立っていたので、逆光になって姿はよく見えないが、背の高い人であるのはわかった。
「そちらに座ってください。ミス・トレヴィス」
低く穏やかな声で呼びかけられるまま、わたくしはソファに腰を下ろす。
「失礼します」
窓辺から離れてソファに近づいたせいで、侯爵の姿がはっきりと視えた。
すらりと高い背、長い脚。三つ揃いのきっちりしたスーツは仕立てがよく、ウエストコートのポケットから、金時計の鎖が覗いている。
窓からの光を弾く華麗な金髪に、整いすぎるほど整った顔だち、真夏の湖のような煌めく水色の瞳。
その瞬間、わたくしの心臓は撃ち抜かれたかもしれない。こんな美しい人は見たことがない――
「イライアス・ハミルトンです」
「で、デイジー・トレヴィスと申します」
「ええ、履歴書拝見しました」
侯爵は微笑んでわたくしの前の肘掛椅子に座り、長い脚を組む。執事のブレナン氏が手渡す書類を受け取り長い指でめくる、その一挙手一投足がすべて美しいのだ。
「母に会われましたか」
「はい」
「……ルーカスには、まだ?」
「さきほど、お会いいたしました。お食事もご一緒に」
「そうですか。利口な子なのですが、ずっと下町で母親と二人暮らしで、貴族の生活に慣れていません。事情は言えないのですが、あの子の祖父はあの子を引き取りたがっています。しかし、そうなると母子を引き離すことになりますし、あの子の生活も激変してしまう。いずれ、どういう未来を選ぶにしろ、精神的な負担の少ない形で軟着陸させたいと考えています。そのために我が家で教育を施し、基本的な生活マナーを身につけさせたいのです」
丁寧で穏やかな語り口は耳に滑る上質なベルベッドのよう。
わたくしは我知らずポーっと彼を見上げていた。
「もしよければ、この後、ルーカスに模擬授業をしていただいて、問題がなければそのまま採用ということで――」
「は、はい! 是非、よろしくお願いします!」
「では、よろしければ――」
そう言ってエスコートの手を差し出され、わたくしはドキドキしながらその手を取る。
男性にしては指が長く美しい、でも、意外に大きくて筋張った手。
そうしてわたくしをソファから立たせたあと、すいっとその手は離れてわたくしは所在なく自分の手を見つめてしまった。
侯爵はわたくしに構わず長い脚でつかつかと書斎の扉を開け、ソファの前で立ち尽くすわたくしに声をかける。
「ミス・トレヴィス?」
「い、いえ、なんでもありません!」
わたくしは顔が火照るのを意識しながら、慌てて侯爵について行った。
それから、毎日、午前と午後、ルーカスに授業をする。可愛くて素直だし、頭も悪くない。わたくしにもそれなりに懐いてくれる。
上流階級では、子供と大人の生活は分けられている。ルーカスは朝起きると母親の元に向かい、朝食を二人で摂るのだという。それから午前中に二時間ほど授業をし、昼食。
マクミラン家は昼食が正餐なので、まだマナーが確立されていないルーカスは大人との会食が許されない。わたくしがルーカスにマナーを教えながら二人で食べる。午後は休憩の後、やはり二時間ほど授業をし、夕方のお茶はご家族で、わたくしはよばれない限りは自由時間となる。夕食は簡単なもので、七時には寝かせる。
――つまり、わたくしはルーカスの母親という人と、ほぼ接点がない。どうも、レディ・ヴェロニカが彼女と外部との、必要以外の接触を避けているらしいのだ。
わたくしは他の使用人と、朝食やお茶を一緒することが多いので、その時に尋ねてみた。
「ルーカス様のお母さまという方に、わたくしご挨拶できていないのですけど」
アリスというメイドがトーストを齧りながら、「あー」という表情をした。
「大奥様が過保護にしていらっしゃるのよ」
「流産しかけだったかも、なんて旦那様も脅すから」
他の、メアリーというメイドも相槌を打つ。
「でも、旦那様は結婚なさるおつもりなんでしょう? そろそろ温室くらいまでは出ていらっしゃるけど、こんなに閉じ込めてちゃあねえ……」
「あのドレスじゃあ外に出られないわよ。体を締め付けないようにったって、ぴらっぴらだもの」
「きっとわざとね。……逃げ出さないように」
アリスとメアリーでクスクス笑い合っている。
メイドをはじめとする使用人たちは、結婚前に妊娠するような女が侯爵夫人になるので構わないのだろうか?
わたくしが困惑して周囲を見回していると、料理人のミセス・ブラッドボーンがポリッジの鍋をガン、とテーブルに置いて言った。
「とっとと食べて、その未来の奥様の部屋から朝食を下げてきて頂戴! 旦那様のご朝食は?」
「あ、あたし、もう食べ終わるんで行ってきます! 旦那様もそちらのお部屋で召し上がっています」
「えーってことは、またお泊り? シーツ換えなきゃ!」
「ここんとこ毎晩じゃない? 一番無理させてんの、旦那様じゃない」
きゃー! とメイドたちが黄色い悲鳴を上げ、入ってきた従僕のシンプソンが眉を顰める。
「うるさいぞ、外にも聞こえてる!」
「はーい! こわいこわい。ごちそうさまでした、ミセス・ブラッドボーン!」
メイドのアリスが食器を重ねて、口元をナフキンでぬぐって立ち上がる。わたくしはメイドたちの会話の意味がよくわからなくて、ただポカンとしてメイドを見送っていると、従僕のシンプソンが皿にリゾットをよそい、ガタンと音を立てて座る。
「あ、悪い、そこの……えっと先生! スプーン取ってくんない?」
シンプソンに言われて、わたくしは慌ててスプーンを一つ、シンプソンに手渡す。
「どうも」
シンプソンが礼を言い、ガツガツとリゾットを食べ始める。
そこへ一仕事終えたらしい庭師のロイド・ジョンソンが、朝摘みの野菜とハーブを入れた籠を持ってやってくる。
「ミセス・ブラッドボーン! ハーブここ置いておくぜ!」
「ありがとう、ジョンソン、あんたも食べちまいな!……その前に手を洗って!」
「へいへい」
庭師は隅の水がめで手を洗ってから、リゾットを皿によそい、シンプソンの隣に座って食べ始める。
「最近どうよ」
シンプソンの問いに、庭師が肩を竦める。
「どうって……最近、旦那様が例のお方と温室でいちゃついてるからさ、ちょっと気を遣うんだよね」
「あらあら、旦那様~、女嫌いっていう評判はどこいっちゃったんかねぇ」
シンプソンが煮だしてある紅茶をカップに入れてずずーっと啜る。庭師が笑った。
「そりゃあ、『女は苦手、ただし美人は別』ってやつよ!」
「ちげえねえ! 美人だし、なんつーか色っぽいよねえ」
「もとはどっかのお屋敷でメイドしてたって言うじゃねえか。そりゃあ、あんな色っぽい美人なら、貴族のボンボンが放っとかないよなあ」
そんな会話にわたくしはびっくりする。
「ええ? め、メイドだったんですか?」
思わず驚きの声を上げてしまったわたくしを、従僕のシンプソンが見た。
「ああ、先生はご存じなかった? 旦那様の戦友のお屋敷でメイド奉公して、お手がついてルーカス坊ちゃんを産んだ、って話のようですよ?」
「……では、貴族ではないのですか?」
と、まだ最後のお茶を飲んでいたメイドのメアリーが言った。
「行儀見習いで奉公に出た、田舎の男爵令嬢だった、って聞きましたよ。だから大奥様が納得なさったんだって」
「まあ、さすがに貴族じゃなかったら大奥様も納得しなかっただろうなあ」
「前の旦那様の、レイチェル奥様は新大陸の銀行家の娘で、貴族じゃなかったこともあって、あんまり折り合いよくなかったけどねえ」
「レイチェル様はパーティに出歩くのが大好きで、子供ができなかったからでしょ。例のお方は大人しい性格みたいだし、何しろ子供がいるからね」
「お喋りはいい加減になさい!」
家政婦のドーソン夫人がやってきて、ガヤガヤ喋っている使用人たちも一斉に口を噤んだ。
ルーカスの母親という女性は、表に出るのを好まないのか、昼食の席には出てこなかった。
侯爵の友人の子を産んで、現在は侯爵の子を妊娠中――
いったいどんな女性なのだろう。ルーカスの様子を見るに、きちんと育ててはいたみたいだけど。
わたくしはそんなことを思いながら、午後、外出先から戻られた侯爵との面接のために、書斎に案内された。
「どうぞ」
扉の前で緊張するわたくしの耳に、低い声が聞こえる。
ブレナン氏が扉を開け、わたくしは一礼して中に足を踏み入れた。
天井までの書棚には革表紙の本が並び、特有の埃の匂いがする。細長い窓からの光が差し、毛足の長い絨毯を照らす。光に照らされた埃がキラキラと煌めく。
当主のマクミラン侯爵は窓辺に立っていたので、逆光になって姿はよく見えないが、背の高い人であるのはわかった。
「そちらに座ってください。ミス・トレヴィス」
低く穏やかな声で呼びかけられるまま、わたくしはソファに腰を下ろす。
「失礼します」
窓辺から離れてソファに近づいたせいで、侯爵の姿がはっきりと視えた。
すらりと高い背、長い脚。三つ揃いのきっちりしたスーツは仕立てがよく、ウエストコートのポケットから、金時計の鎖が覗いている。
窓からの光を弾く華麗な金髪に、整いすぎるほど整った顔だち、真夏の湖のような煌めく水色の瞳。
その瞬間、わたくしの心臓は撃ち抜かれたかもしれない。こんな美しい人は見たことがない――
「イライアス・ハミルトンです」
「で、デイジー・トレヴィスと申します」
「ええ、履歴書拝見しました」
侯爵は微笑んでわたくしの前の肘掛椅子に座り、長い脚を組む。執事のブレナン氏が手渡す書類を受け取り長い指でめくる、その一挙手一投足がすべて美しいのだ。
「母に会われましたか」
「はい」
「……ルーカスには、まだ?」
「さきほど、お会いいたしました。お食事もご一緒に」
「そうですか。利口な子なのですが、ずっと下町で母親と二人暮らしで、貴族の生活に慣れていません。事情は言えないのですが、あの子の祖父はあの子を引き取りたがっています。しかし、そうなると母子を引き離すことになりますし、あの子の生活も激変してしまう。いずれ、どういう未来を選ぶにしろ、精神的な負担の少ない形で軟着陸させたいと考えています。そのために我が家で教育を施し、基本的な生活マナーを身につけさせたいのです」
丁寧で穏やかな語り口は耳に滑る上質なベルベッドのよう。
わたくしは我知らずポーっと彼を見上げていた。
「もしよければ、この後、ルーカスに模擬授業をしていただいて、問題がなければそのまま採用ということで――」
「は、はい! 是非、よろしくお願いします!」
「では、よろしければ――」
そう言ってエスコートの手を差し出され、わたくしはドキドキしながらその手を取る。
男性にしては指が長く美しい、でも、意外に大きくて筋張った手。
そうしてわたくしをソファから立たせたあと、すいっとその手は離れてわたくしは所在なく自分の手を見つめてしまった。
侯爵はわたくしに構わず長い脚でつかつかと書斎の扉を開け、ソファの前で立ち尽くすわたくしに声をかける。
「ミス・トレヴィス?」
「い、いえ、なんでもありません!」
わたくしは顔が火照るのを意識しながら、慌てて侯爵について行った。
それから、毎日、午前と午後、ルーカスに授業をする。可愛くて素直だし、頭も悪くない。わたくしにもそれなりに懐いてくれる。
上流階級では、子供と大人の生活は分けられている。ルーカスは朝起きると母親の元に向かい、朝食を二人で摂るのだという。それから午前中に二時間ほど授業をし、昼食。
マクミラン家は昼食が正餐なので、まだマナーが確立されていないルーカスは大人との会食が許されない。わたくしがルーカスにマナーを教えながら二人で食べる。午後は休憩の後、やはり二時間ほど授業をし、夕方のお茶はご家族で、わたくしはよばれない限りは自由時間となる。夕食は簡単なもので、七時には寝かせる。
――つまり、わたくしはルーカスの母親という人と、ほぼ接点がない。どうも、レディ・ヴェロニカが彼女と外部との、必要以外の接触を避けているらしいのだ。
わたくしは他の使用人と、朝食やお茶を一緒することが多いので、その時に尋ねてみた。
「ルーカス様のお母さまという方に、わたくしご挨拶できていないのですけど」
アリスというメイドがトーストを齧りながら、「あー」という表情をした。
「大奥様が過保護にしていらっしゃるのよ」
「流産しかけだったかも、なんて旦那様も脅すから」
他の、メアリーというメイドも相槌を打つ。
「でも、旦那様は結婚なさるおつもりなんでしょう? そろそろ温室くらいまでは出ていらっしゃるけど、こんなに閉じ込めてちゃあねえ……」
「あのドレスじゃあ外に出られないわよ。体を締め付けないようにったって、ぴらっぴらだもの」
「きっとわざとね。……逃げ出さないように」
アリスとメアリーでクスクス笑い合っている。
メイドをはじめとする使用人たちは、結婚前に妊娠するような女が侯爵夫人になるので構わないのだろうか?
わたくしが困惑して周囲を見回していると、料理人のミセス・ブラッドボーンがポリッジの鍋をガン、とテーブルに置いて言った。
「とっとと食べて、その未来の奥様の部屋から朝食を下げてきて頂戴! 旦那様のご朝食は?」
「あ、あたし、もう食べ終わるんで行ってきます! 旦那様もそちらのお部屋で召し上がっています」
「えーってことは、またお泊り? シーツ換えなきゃ!」
「ここんとこ毎晩じゃない? 一番無理させてんの、旦那様じゃない」
きゃー! とメイドたちが黄色い悲鳴を上げ、入ってきた従僕のシンプソンが眉を顰める。
「うるさいぞ、外にも聞こえてる!」
「はーい! こわいこわい。ごちそうさまでした、ミセス・ブラッドボーン!」
メイドのアリスが食器を重ねて、口元をナフキンでぬぐって立ち上がる。わたくしはメイドたちの会話の意味がよくわからなくて、ただポカンとしてメイドを見送っていると、従僕のシンプソンが皿にリゾットをよそい、ガタンと音を立てて座る。
「あ、悪い、そこの……えっと先生! スプーン取ってくんない?」
シンプソンに言われて、わたくしは慌ててスプーンを一つ、シンプソンに手渡す。
「どうも」
シンプソンが礼を言い、ガツガツとリゾットを食べ始める。
そこへ一仕事終えたらしい庭師のロイド・ジョンソンが、朝摘みの野菜とハーブを入れた籠を持ってやってくる。
「ミセス・ブラッドボーン! ハーブここ置いておくぜ!」
「ありがとう、ジョンソン、あんたも食べちまいな!……その前に手を洗って!」
「へいへい」
庭師は隅の水がめで手を洗ってから、リゾットを皿によそい、シンプソンの隣に座って食べ始める。
「最近どうよ」
シンプソンの問いに、庭師が肩を竦める。
「どうって……最近、旦那様が例のお方と温室でいちゃついてるからさ、ちょっと気を遣うんだよね」
「あらあら、旦那様~、女嫌いっていう評判はどこいっちゃったんかねぇ」
シンプソンが煮だしてある紅茶をカップに入れてずずーっと啜る。庭師が笑った。
「そりゃあ、『女は苦手、ただし美人は別』ってやつよ!」
「ちげえねえ! 美人だし、なんつーか色っぽいよねえ」
「もとはどっかのお屋敷でメイドしてたって言うじゃねえか。そりゃあ、あんな色っぽい美人なら、貴族のボンボンが放っとかないよなあ」
そんな会話にわたくしはびっくりする。
「ええ? め、メイドだったんですか?」
思わず驚きの声を上げてしまったわたくしを、従僕のシンプソンが見た。
「ああ、先生はご存じなかった? 旦那様の戦友のお屋敷でメイド奉公して、お手がついてルーカス坊ちゃんを産んだ、って話のようですよ?」
「……では、貴族ではないのですか?」
と、まだ最後のお茶を飲んでいたメイドのメアリーが言った。
「行儀見習いで奉公に出た、田舎の男爵令嬢だった、って聞きましたよ。だから大奥様が納得なさったんだって」
「まあ、さすがに貴族じゃなかったら大奥様も納得しなかっただろうなあ」
「前の旦那様の、レイチェル奥様は新大陸の銀行家の娘で、貴族じゃなかったこともあって、あんまり折り合いよくなかったけどねえ」
「レイチェル様はパーティに出歩くのが大好きで、子供ができなかったからでしょ。例のお方は大人しい性格みたいだし、何しろ子供がいるからね」
「お喋りはいい加減になさい!」
家政婦のドーソン夫人がやってきて、ガヤガヤ喋っている使用人たちも一斉に口を噤んだ。
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