【R18】女嫌いの医者と偽りのシークレット・ベビー

無憂

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30、腹黒男*

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 僕はどちらかというと、これまでは常に女性に対して受け身で、力ずくで行為に及ぶようなことはなかった。無理矢理にでも抱きたいと思うほど、好きになった女性もいなかった。

 でも、ローズマリーは違う。

 力を込めれば折れてしまいそうに華奢なのに、ふと腕を緩めればするりと腕から抜けて、逃げてしまいそうに儚い。
 どれほど愛を囁いても、快楽に溺れさせても、ローズマリーは僕の腕から逃れようとする。

 デニスはもちろん、あの偽医者マコーレーよりも、僕はローズマリーに誠実にあろうとし、お腹の子ごと引き受けようとしているのに。

 なぜなんだ。僕になんの不満がある。

 そんな苛立ちのままに、彼女の秘所をかき回し、指で犯す。
 もう、何度もまさぐったその場所を僕の指は覚えて、どこをどうすれば感じるのか、指先がすべて知っている。すぐにもローズの身体は陥落寸前で、唇からは甘い喘ぎ声が零れ、溢れ出る蜜が淫らな水音を立てる。

 あと、一押しでローズマリーが絶頂する、その直前で僕の指は動きを止める。
 決壊寸前でせき止められた快感の奔流の予感に、ローズマリーの内壁がわななく。

「あっ……イライ、アス……?」

 ローズマリーが潤んだ瞳で肩越しに僕を振りかえる。

「イきたい? ローズ? 指でイく? それとも……」

 僕はローズが達しないぎりぎりを維持するように、ローズの秘所をゆっくりと弄びながら、片手でトラウザーズのボタンを外し、昂りを取り出す。スカートを捲り上げて剥き出しにしたお尻に、固くなったそれを擦り付けてやれば、濡れそぼった花びらがぐちゃりといやらしい音を立てる。

 早く僕が欲しいとでも言うように、蜜口がヒクヒクとひきつる。すっかり蕩けたような目で僕を見て、恨めしそうに首を振るローズを、もっともっと乱したい。

「イライアス、いじわる、やめて……」
「欲しい? すべてを僕に捧げると誓って。お腹の子ごと全部僕のものだと……ローズ……」

 ローズマリーはきっと、僕よりもお腹の子を愛している。それはわかっている。彼女のは女であることより、母親であろうとしている。ならば――

 お腹の子ごとすべて僕のものだと誓わせる以外、僕に打つ手はない。

 たぷたぷと水をたたえる泉をいたぶるように指で叩いてやれば、ローズがついに陥落し、僕に強請った。

「おねがい、イライアス……ちょうだい……奥まで……」
「誓う? 君は誰のもの?」
「いらい、あすの……ああっ、あなたの、もの……」

 僕の方だって実は限界だった。その言葉を聞くや、僕はローズの最奥まで一気に貫く。

「あああっ……」

 挿入だけで達した彼女の内壁が僕を締め付け、襞が搾り取るように蠢く。後はもう、夢中で腰を振りたくって、彼女の中で果てた。




 僕はローズマリーをベッドに運んで仰向けに寝かせ、モスリンのドレスを乱暴に脱がせる。
 
「いらい、あす、待って……まだ……」

 僕は彼女の懇願も聞かず、大きく脚を開かせるともう一度奥まで貫いた。
 
 妊娠中のローズマリーを気遣い、これまではセックスは一回だけと決めていたが、僕は禁を破った。
 僕はまだきっちりスーツを着込んだままで、ただトラウザーズの前だけを寛げて、素裸のローズを犯す。

 ――その状況も、僕の興奮を煽った。

 僕は目の前で揺れる両の乳房を両手で掴む。指の間から、赤く脹れた先端が飛び出して、僕は指で挟むようにそれを弄った。

 ――乳首も、僕は触れないようにこれまでは抑えてきたが、その夜の僕は箍が外れていた。

 摘まんでくりくりと弄ってやると、ローズの中がきゅっと締まるのがわかる。

「あっ、ああっ……、あっ、あっ、あっ……んっ、んんっ……」

 腰を突き上げるたびに、ローズの唇からこらえきれない喘ぎ声が漏れる。

「気持ち、いいんだね、ローズ?」
「んっ……んんっ……ああっ、いらい、あす……っあっ……」
「気持ちいいって、認めろっ……ローズっ」
「あっ、ああっ、きもち、いいっ……いいのっ……ああっ、またっ……きちゃう……」

 ローズが僕の肩に腕を回し、スーツの布地をギュッと握り締める。白い身体がしなり、胸を突き出すようにのけ反り、両脚を僕の腰に絡める。
 ぐぐっと内部が僕の雄を締め付け、僕は奥歯を噛みしめて射精感を堪える。僕の先端が彼女の最奥を突くたびに、僕の背筋に電流のような快感が走る。

「くっ……ローズっ……もう、僕もっ……一緒に……」
「ああっ、イライアス、イくっ、イっ……イっちゃう……ああああっ」

 僕はローズの上に圧し掛かり、唇を塞ぐ。そのタイミングで彼女の内部が強く収縮し、僕の雄も限界まで膨らんで、一気に弾けた。

「あああっ……」
「うっ……出るっ……ローズっ……」
 
 ローズが白い喉を反らして全身を硬直させ、痙攣が広がる。僕のこめかみを汗が流れ落ちていく。僕ががっくりとローズの上に崩れ落ちて、二人でしばらく荒い息をついていた。

「はあっ、はあっ……はあっ……」
「いらい、あす……重い……」

 ローズに言われて、僕は慌てて体重がかからないように手をついて、もう一度キスをしてから彼女の中から抜け出した。

 


「ごめん……」
「イライアス……?」

 あやまる僕に、まだ息の整わないローズマリーが尋ねる。

「何に対して、あやまっているの?」
「……無理矢理抱いたことと、二回目に突入したことと……あとは少し乱暴だったこと……」

 薄暗い部屋の中で、僕は仰向けに寝て、ローズマリーを抱きよせる。
 ――皺になるから、と怒られて、スーツの上着とウエストコートは脱いで、シャツとトラウザーズだけ。ローズマリーが僕の胸に頭を預ける、その重みと体温が心地よい。

「ちょっと疲れてイライラしてた。君がルーカスを一人で産んで育てたことを、批判する叔母さんたちが許せなくて……」

 でも、それでローズマリー自身に当たるのは本末転倒だ。

「僕はバカだ……」
「……あなたはいつもそうやって自分を責めているわね。どうして?」
「そう……かな?」

 ローズマリーが僕の胸の上に起き上がり、僕を見た。

「あなたは客観的に、何も悪いことはしてないのに」
「そんなことはないよ。妊娠している君の弱みにつけこんで屋敷に連れ帰り、君のお腹の子が僕の子だと偽って無理矢理結婚に持ち込もうとしている」

 僕だって悪行を自覚はしているのだ。だが、ローズマリーは首を傾げる。

「子供の父親だと言い張っても、あなたにいいことは何もないと思うの。あなたに何のメリットもないのに、なぜ町医者の子なんて引き受けようとするの。それが申し訳ないから、わたしは嘘はよくないと言っているのに」
「何もいいことがなくはないよ。君が手に入る。……好きな女を手に入れるための悪逆非道な行いだとは思うが」
「……なんでそうなるのかしら……」

 ローズマリーが呟くので、僕は言った。

「だって君は僕から逃げようとするじゃないか。何が不満なのかわからない」
「不満ではなくて、あなたがいい人過ぎるから怖いのよ」
「僕がいい人? 僕はいい人ではないよ。……腹の中は真っ黒だから」
「本当にお腹の中が真っ黒な人は、表に出さないものよ?」
「そう思うだろ? でも僕は、そういう世間の常識の裏をかく男だからさ」

 僕はローズマリーを抱きしめて言った。

「腹黒の僕は君を逃さないように、次の一手を打つよ。……明日、アーリングベリに行って、君の兄さんから結婚の許可をもらってくる」
「お兄様から?」

 ローズマリーがぎょっとして僕から離れようとするのを、腕の力を込めてさらに抱きしめる。

「ついでに、リントン伯爵からも、ルーカス養育の許可をもらってくるよ。数日留守にするけど、これさえ済めばもう、ずっと一緒だ。絶対に逃がさない」

 僕はそう言って、ローズマリーの唇を塞いだ。 
 
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