29 / 43
29、理不尽
しおりを挟む
「すごい騒ぎになっているね、何があったの」
従兄のヘンリーに呼び止められ、彼の書斎に通される。修羅場を聞かれた以上、説明をしないで帰るわけにいかない。
ヘンリーは僕より二歳年上で、次期ヘンダーソン侯爵として、儀礼称号のストランド子爵を名乗っている。年は近いが、僕よりも兄のアシュリーと気が合って、僕とはそこまで仲がよかったわけではない。
「どうしたもこうしたもないよ……僕にも意味がわからないね」
煙草を勧められたが断り、僕は注がれたブランデーに口をつける。
「最近、女嫌いの君の家に、若い女性がいるという噂がある」
「……ああ、いるよ?」
ヘンリーが言った。
「……母さんがお冠でね。マーガレットを断っておきながら、て」
「マーガレットは赤ん坊の時から知っているんだよ。結婚する気にならないよ」
「マーガレットは兄の俺よりも、君のことを追いかけまわしていたからな」
「僕は今、好きな人がいて、彼女が妊娠している。彼女と結婚するつもりだと言ったら、マーガレットだけじゃなく、リリー叔母さんやライラまで騒ぎ始めた」
ヘンリーが葉巻をふかしながら、首を傾げる。
「……ライラは、デニスに死なれた上に隠し子まで出て来て、ちょっと不安定なんだ」
「それはそうだろう。僕もライラの耳には入らないようにしたかったが、リントン伯爵という人はどうにも思慮と分別が足りない気がするね」
僕が言えは、ヘンリーも頷いた。
「それは俺も同感だ。デニスが出征後にライラが流産して、かなり露骨に責めたらしい。その上、デニスの隠し子を養育させらようなんて、我が家としては到底、許容できない。父も、ライラの籍を抜く方向で考えている。……我が家としては、マーガレットが嫌なら、再婚にはなるがライラでもいいから、君がもらってくれないかと――」
「ヘンリー。勘弁してくれ。母も従兄妹同士の結婚は血が近すぎると反対しているんだ」
なぜ僕が、従妹のどちらかと結婚しなければならないのか。いい加減にしてくれよ。
「父も母も、日頃、大人しい君が結婚に対して我が侭を言うのに驚いている」
「勝手なことを!」
僕が悪態をつき、ヘンリーが心配そうに尋ねる。
「君の……結婚したい相手というのは、ちゃんと貴族なんだろうね?」
「貴族だよ。ただ、経済的な理由でメイド奉公に出ていた。……僕自身は彼女の身分も気にするつもりはなかったけれど、少なくともとやかく言われるような身分ではない」
「未婚の母だというのは本当なのか?」
ヘンリーの問いに、僕ははっきりと言った。
「僕はその点に関しては、女性の側だけが非難される風潮にはまったく賛同できないね。子供は女性一人で作れるわけじゃない。婚外子が非難されるならば、その責めは妊娠させた男も負うべきだよ。彼女は奉公先の主人の手がついて、妊娠を告げたら追い出された。僕は自力で子供を育ててきた彼女を素晴らしいと思うよ」
「……その、妊娠させた奉公先の男が、つまりライラの夫の……」
僕が無言で頷けば、ヘンリーはため息をついた。
「君は昔から、妙なところで博愛精神を発揮する。女性に優しすぎて食い物にされるぞ?」
「僕はそんな博愛主義者じゃないよ? 女性を食い物にしている世間の男たちとそんなに変わらない」
だがヘンリーはただ、首を振る。
「世間の男たちは、自分たちが女性を食い物にしているなんて、考えていない。君は常に罪の意識に怯えていた。……アシュリーが心配した通りになったよ」
僕はヘンリーの言う意味はよくわからなかったが、亡き兄アシュリーが常に、僕の心が弱すぎると言っていたことを思い出す。
「僕のすることがすべて正しいなんて思わないよ。でも僕は、妊娠した女性を捨てる男は軽蔑するね」
「……だから、君は責任を取って、その女性と結婚するんだね?」
「責任もあるけど、一番の理由は愛しているからだよ?」
「わかったよ、君の考えについては母さんにも告げておくよ」
そう言って、僕はヘンリーに別れを告げた。
家に帰りついた時にはすっかり夜になっていて、僕は疲労困憊してぐったりしていた。
「お帰りなさいませ、旦那様」
「――ああ、疲れたよ」
出迎えた執事のブレナンに帽子とステッキをと手渡し、僕はため息をつく。
「母上たちは?」
「大奥様たちはご夕食を済まされて、今はもうお部屋に」
「そう――僕は、明日にもアーリングベリに向かうつもりだ」
「……アーリングベリに?」
「ああ、ルーカスのことで」
僕がまっすぐ食堂に向かえば、メイドたちは心得て、簡単な夕食を運んでくる。
パンとシチューの夕食を食べながら、ブレナンに指示を下す。
「時刻表を調べておいてくれないか。アーリングベリ行きの列車の」
「かしこまりました」
「今回はリントン伯爵家には宿泊しない予定だ。だから、アーリングベリのホテルも調べられるかな?」
「旦那様がお泊りになるような宿だと、おそらくは一軒しかないと思います。この時期ならば予約は必要ないかと」
そんな話をして、僕は立ち上がった。
「従僕のシンプソンに命じて、最低限の支度をさせておいてくれ」
「かしこまりました」
僕はまっすぐに自分の部屋ではなく、ローズマリーの部屋に向かう。が、ちょうどルーカスの部屋から戻って来たらしい、ローズと部屋の前で行き会った。
「ローズ!」
「イライアス。……お帰りなさい。ルーカスは今、眠ったところ」
「今日はすまなかった……」
「あのご令嬢は大丈夫でした?」
ローズマリーに聞かれ、僕は肩を竦める。
「ああ、なんだか母娘ともども大泣きして……ライラまで妙なことを言い出すし」
「……妙なこと?」
僕はローズマリーの腰に手を回し、二人で部屋に入るとランプを点け、パタリと戸を締める。
「僕は、マーガレットと結婚する気はないと、以前にもはっきり断っているのに。君のお腹に子供がいるから、結婚するつもりだと言ったのだけど」
「でもこの子は――」
ローズマリーの言葉を遮り、僕は続ける。
「ライラは、本当にルーカスはデニスの子なのか、デニスは妊娠させた女を捨てるような男じゃない、なんて言い出した」
「……でも、ルーカスはデニス様にそっくりよ?」
「ライラだって一目で気づいたくらいよく似てる。なのに支離滅裂なことを言い出すから、リリー叔母さんがさらに、デニスの子を産んで、さらに僕の子を妊娠するなんてアバズレとの結婚は認められないなんて言い出して、僕は怒って帰ってきた」
「アバズレ……」
そう繰り返すローズマリーに、僕が言った。
「君はアバズレじゃないよ」
「それが、普通の反応よ。結婚しないのに子供を産むなんて、許されないことだって。あの人――あの、家庭教師の人にも言われたわ」
「ローズ!」
ローズマリーがまっすぐに僕を見上げる。
「あの人、お腹の子の父親はあなたじゃないに違いないって。……そうやって疑う人だっているし、あなただって、探偵を雇って、わたしとクライブの関係に気づいたのでしょう? 他の人だって探偵を雇うかもしれないわ。そもそも、町医者の血を、この由緒あるマクミラン侯爵家に入れるつもりなの?」
「由緒? そんなのどうだっていい。人間は遡れば所詮はサルなんだから!」
「イライアス!」
僕は疲れていた。
ローズマリーを批判する人々の、悪意ある言葉に曝されて。
力のない彼女が、主家の嫡男に逆らえるわけもないのに。十六歳だった彼女が、どうやって男を誘惑すると言うんだ。そうして子を孕めば追い出され、未婚の母として貶められてきた。その上、その弱い立場につけこまれて、あの忌々しい偽医者の子まで孕まされて。ローズマリーは被害者でしかない。なのに――
なのに結局、ふしだらなアバズレと批判されるのはローズマリーであって、彼女を踏みにじったデニスもマコーレーも、少なくともそのことでは罰を受けないのだ。
かたや、ローズをアバズレと非難する、リリー叔母さんやマーガレットや、ライラは。
彼女たちは確かに清く正しいかもしれない。でも、それは、彼女たちが名門の家門と財産、そして叔父やヘンリーらの、しっかりした親族の男の庇護を得ているからだ。恵まれた立場故に貞節を守ることができた貴族の女たちが、守られず、踏みにじられてきたローズマリーらをさらに貶める。
その悪循環が僕は許せない。なのに頭に血が上っている僕の激情は、目の前のローズに向けられてしまう。
――間違っているのはわかっているのに、僕は自分を止めることができなかった。
荒ぶる気持ちのまま、僕はドア付近の壁にローズマリーを押し付け、強引にスカートを捲りあげた。
「イライアス、やめて」
「やめない、君の身体は僕のもので、お腹の子は僕の子だと、証明してやる」
従兄のヘンリーに呼び止められ、彼の書斎に通される。修羅場を聞かれた以上、説明をしないで帰るわけにいかない。
ヘンリーは僕より二歳年上で、次期ヘンダーソン侯爵として、儀礼称号のストランド子爵を名乗っている。年は近いが、僕よりも兄のアシュリーと気が合って、僕とはそこまで仲がよかったわけではない。
「どうしたもこうしたもないよ……僕にも意味がわからないね」
煙草を勧められたが断り、僕は注がれたブランデーに口をつける。
「最近、女嫌いの君の家に、若い女性がいるという噂がある」
「……ああ、いるよ?」
ヘンリーが言った。
「……母さんがお冠でね。マーガレットを断っておきながら、て」
「マーガレットは赤ん坊の時から知っているんだよ。結婚する気にならないよ」
「マーガレットは兄の俺よりも、君のことを追いかけまわしていたからな」
「僕は今、好きな人がいて、彼女が妊娠している。彼女と結婚するつもりだと言ったら、マーガレットだけじゃなく、リリー叔母さんやライラまで騒ぎ始めた」
ヘンリーが葉巻をふかしながら、首を傾げる。
「……ライラは、デニスに死なれた上に隠し子まで出て来て、ちょっと不安定なんだ」
「それはそうだろう。僕もライラの耳には入らないようにしたかったが、リントン伯爵という人はどうにも思慮と分別が足りない気がするね」
僕が言えは、ヘンリーも頷いた。
「それは俺も同感だ。デニスが出征後にライラが流産して、かなり露骨に責めたらしい。その上、デニスの隠し子を養育させらようなんて、我が家としては到底、許容できない。父も、ライラの籍を抜く方向で考えている。……我が家としては、マーガレットが嫌なら、再婚にはなるがライラでもいいから、君がもらってくれないかと――」
「ヘンリー。勘弁してくれ。母も従兄妹同士の結婚は血が近すぎると反対しているんだ」
なぜ僕が、従妹のどちらかと結婚しなければならないのか。いい加減にしてくれよ。
「父も母も、日頃、大人しい君が結婚に対して我が侭を言うのに驚いている」
「勝手なことを!」
僕が悪態をつき、ヘンリーが心配そうに尋ねる。
「君の……結婚したい相手というのは、ちゃんと貴族なんだろうね?」
「貴族だよ。ただ、経済的な理由でメイド奉公に出ていた。……僕自身は彼女の身分も気にするつもりはなかったけれど、少なくともとやかく言われるような身分ではない」
「未婚の母だというのは本当なのか?」
ヘンリーの問いに、僕ははっきりと言った。
「僕はその点に関しては、女性の側だけが非難される風潮にはまったく賛同できないね。子供は女性一人で作れるわけじゃない。婚外子が非難されるならば、その責めは妊娠させた男も負うべきだよ。彼女は奉公先の主人の手がついて、妊娠を告げたら追い出された。僕は自力で子供を育ててきた彼女を素晴らしいと思うよ」
「……その、妊娠させた奉公先の男が、つまりライラの夫の……」
僕が無言で頷けば、ヘンリーはため息をついた。
「君は昔から、妙なところで博愛精神を発揮する。女性に優しすぎて食い物にされるぞ?」
「僕はそんな博愛主義者じゃないよ? 女性を食い物にしている世間の男たちとそんなに変わらない」
だがヘンリーはただ、首を振る。
「世間の男たちは、自分たちが女性を食い物にしているなんて、考えていない。君は常に罪の意識に怯えていた。……アシュリーが心配した通りになったよ」
僕はヘンリーの言う意味はよくわからなかったが、亡き兄アシュリーが常に、僕の心が弱すぎると言っていたことを思い出す。
「僕のすることがすべて正しいなんて思わないよ。でも僕は、妊娠した女性を捨てる男は軽蔑するね」
「……だから、君は責任を取って、その女性と結婚するんだね?」
「責任もあるけど、一番の理由は愛しているからだよ?」
「わかったよ、君の考えについては母さんにも告げておくよ」
そう言って、僕はヘンリーに別れを告げた。
家に帰りついた時にはすっかり夜になっていて、僕は疲労困憊してぐったりしていた。
「お帰りなさいませ、旦那様」
「――ああ、疲れたよ」
出迎えた執事のブレナンに帽子とステッキをと手渡し、僕はため息をつく。
「母上たちは?」
「大奥様たちはご夕食を済まされて、今はもうお部屋に」
「そう――僕は、明日にもアーリングベリに向かうつもりだ」
「……アーリングベリに?」
「ああ、ルーカスのことで」
僕がまっすぐ食堂に向かえば、メイドたちは心得て、簡単な夕食を運んでくる。
パンとシチューの夕食を食べながら、ブレナンに指示を下す。
「時刻表を調べておいてくれないか。アーリングベリ行きの列車の」
「かしこまりました」
「今回はリントン伯爵家には宿泊しない予定だ。だから、アーリングベリのホテルも調べられるかな?」
「旦那様がお泊りになるような宿だと、おそらくは一軒しかないと思います。この時期ならば予約は必要ないかと」
そんな話をして、僕は立ち上がった。
「従僕のシンプソンに命じて、最低限の支度をさせておいてくれ」
「かしこまりました」
僕はまっすぐに自分の部屋ではなく、ローズマリーの部屋に向かう。が、ちょうどルーカスの部屋から戻って来たらしい、ローズと部屋の前で行き会った。
「ローズ!」
「イライアス。……お帰りなさい。ルーカスは今、眠ったところ」
「今日はすまなかった……」
「あのご令嬢は大丈夫でした?」
ローズマリーに聞かれ、僕は肩を竦める。
「ああ、なんだか母娘ともども大泣きして……ライラまで妙なことを言い出すし」
「……妙なこと?」
僕はローズマリーの腰に手を回し、二人で部屋に入るとランプを点け、パタリと戸を締める。
「僕は、マーガレットと結婚する気はないと、以前にもはっきり断っているのに。君のお腹に子供がいるから、結婚するつもりだと言ったのだけど」
「でもこの子は――」
ローズマリーの言葉を遮り、僕は続ける。
「ライラは、本当にルーカスはデニスの子なのか、デニスは妊娠させた女を捨てるような男じゃない、なんて言い出した」
「……でも、ルーカスはデニス様にそっくりよ?」
「ライラだって一目で気づいたくらいよく似てる。なのに支離滅裂なことを言い出すから、リリー叔母さんがさらに、デニスの子を産んで、さらに僕の子を妊娠するなんてアバズレとの結婚は認められないなんて言い出して、僕は怒って帰ってきた」
「アバズレ……」
そう繰り返すローズマリーに、僕が言った。
「君はアバズレじゃないよ」
「それが、普通の反応よ。結婚しないのに子供を産むなんて、許されないことだって。あの人――あの、家庭教師の人にも言われたわ」
「ローズ!」
ローズマリーがまっすぐに僕を見上げる。
「あの人、お腹の子の父親はあなたじゃないに違いないって。……そうやって疑う人だっているし、あなただって、探偵を雇って、わたしとクライブの関係に気づいたのでしょう? 他の人だって探偵を雇うかもしれないわ。そもそも、町医者の血を、この由緒あるマクミラン侯爵家に入れるつもりなの?」
「由緒? そんなのどうだっていい。人間は遡れば所詮はサルなんだから!」
「イライアス!」
僕は疲れていた。
ローズマリーを批判する人々の、悪意ある言葉に曝されて。
力のない彼女が、主家の嫡男に逆らえるわけもないのに。十六歳だった彼女が、どうやって男を誘惑すると言うんだ。そうして子を孕めば追い出され、未婚の母として貶められてきた。その上、その弱い立場につけこまれて、あの忌々しい偽医者の子まで孕まされて。ローズマリーは被害者でしかない。なのに――
なのに結局、ふしだらなアバズレと批判されるのはローズマリーであって、彼女を踏みにじったデニスもマコーレーも、少なくともそのことでは罰を受けないのだ。
かたや、ローズをアバズレと非難する、リリー叔母さんやマーガレットや、ライラは。
彼女たちは確かに清く正しいかもしれない。でも、それは、彼女たちが名門の家門と財産、そして叔父やヘンリーらの、しっかりした親族の男の庇護を得ているからだ。恵まれた立場故に貞節を守ることができた貴族の女たちが、守られず、踏みにじられてきたローズマリーらをさらに貶める。
その悪循環が僕は許せない。なのに頭に血が上っている僕の激情は、目の前のローズに向けられてしまう。
――間違っているのはわかっているのに、僕は自分を止めることができなかった。
荒ぶる気持ちのまま、僕はドア付近の壁にローズマリーを押し付け、強引にスカートを捲りあげた。
「イライアス、やめて」
「やめない、君の身体は僕のもので、お腹の子は僕の子だと、証明してやる」
15
あなたにおすすめの小説
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
【R18】深層のご令嬢は、婚約破棄して愛しのお兄様に花弁を散らされる
奏音 美都
恋愛
バトワール財閥の令嬢であるクリスティーナは血の繋がらない兄、ウィンストンを密かに慕っていた。だが、貴族院議員であり、ノルウェールズ侯爵家の三男であるコンラッドとの婚姻話が持ち上がり、バトワール財閥、ひいては会社の経営に携わる兄のために、お見合いを受ける覚悟をする。
だが、今目の前では兄のウィンストンに迫られていた。
「ノルウェールズ侯爵の御曹司とのお見合いが決まったって聞いたんだが、本当なのか?」」
どう尋ねる兄の真意は……
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
借金まみれで高級娼館で働くことになった子爵令嬢、密かに好きだった幼馴染に買われる
しおの
恋愛
乙女ゲームの世界に転生した主人公。しかしゲームにはほぼ登場しないモブだった。
いつの間にか父がこさえた借金を返すため、高級娼館で働くことに……
しかしそこに現れたのは幼馴染で……?
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる