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アファルータ共和国編
初めての調査依頼③シチュー
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※本日2話投稿です。2話目。
リアムは無事大きな鍋と木べらを借りることができた。その代わりシチューを何人かと分けることになったらしい。
「よろしくお願いします!」
「まずは食材を切ろうか。玉ねぎとベーコンをみじん切りにして」
「了解しました」
鍋に油を入れ熱し玉ねぎを炒める。玉ねぎが透き通ったらベーコンと、下味をつけたホーンラビット肉に小麦粉をまぶしたものを加える。ホーンラビット肉にじっくりと焼き色がついたらみじん切りにしたホーンラビットの内臓を鍋に入れる。僕達の鍋にだけ自家製のコンソメ粉末をこっそり入れておいた。あと道中で集めておいたハーブも一緒に煮て、ある程度の時間煮込んだら取り出しておく。とろみがつくくらい煮汁が煮詰まったら完成だ。
「ルカさん!いろいろとありがとうございました!ご馳走になります。俺は鍋を借りたパーティーのところにいってきますね」
「わかった。暗くなってきたから転ばないように気をつけてね」
「はい!では失礼しますっ!」
リアムは勢いよく駆け出していった。朝からずっと元気なのは若い証拠だよなぁと、さほど歳が変わらないはずなのに年長者の目線でリアムの背中を見送った。
「熱いから気をつけてね」
「ありがとう。いい匂いだ」
「僕達の分だけ味を足してみた。リアムには内緒ね」
「ああ、内緒だな」
小さく笑い合いながらシチューを啜る。具材の旨みやだしが優しく溶け合った素朴なスープに癒される。多少覚悟していた肉の臭みはさほど感じず、むしろその若干癖のある風味が肉の味にコクを与えている。
前世でウサギ肉は鶏肉に例えられることが多かったように思える。ホーンラビットの肉も見た目は鶏肉に近いものだったので、その想定で一口齧ってみると思った以上の噛みごたえに驚く。
さすが草原を走り回る魔物だ。筋肉質なその肉は、硬いけれど密度があってもっちりとしている不思議な食感だった。言われてみれば鶏肉に近いような……。前世でウサギ肉を食べたことがないので、ホーンラビットとの違いがわからないのが惜しい。
「美味い。野営で温かいものを食べられるのは贅沢でいい」
「美味しい。もっと淡白な味かと思ったけど肉の味が濃くて食べ応えがあるね。今まで肉屋で売ってても避けてたけど、たまになら買ってもいいかも」
「その割に微妙な顔をしてるな」
「野営で食べることを考えるとこれが限界だってわかってる。でももっと美味しくできるはずなのにって悔しくなる」
僕の言葉に今度は兄さんが微妙な顔になった。でもクリーム系の味付けにしたり、トマトベースのスープにしたり、なんなら味噌を入れてもいい。とにかくそのいずれかを入れたら絶対美味しくなるのに。
無限収納を使えないもどかしさに、これがふたりきりの野営だったらよかったのになぁ、なんてどうしようもないことを思ってしまった。
ホーンラビットのシチューを完食して後片付けを済ませるとリアムが戻ってきた。
「シチュー美味しかったです!皆喜んでくれました。材料とかいろいろありがとうございました」
「気にしないで。食材持ってきすぎて重かったからむしろ助かったよ」
「野営の食事って味気ないものになるから嬉しかったです」
「また魔物が狩れたら簡単なものになるけど料理したいね。夜番があるからそろそろ寝ようか」
「はい!ではまた時間になったらよろしくお願いします!おやすみなさい」
「おやすみ」
僕達も仮眠を取るため急いでテントに入る。さすがに人目がありすぎるので個別にテントを設置した。
「はぁ、これがふたりきりの野営だったらよかったのに」
「同感」
「今、口に出してたか?」
「思いっきり出てたよ。おやすみなさい」
「おやすみ。忘れてくれ」
兄さんがさっきの僕と似たようなことを口走っていて思わず指摘してしまった。
僕がにやけているのを感じた兄さんが気恥ずかしそうにしながらテントの中に入っていくのを見送り、僕も自分のテントへと戻っていった。
リアムは無事大きな鍋と木べらを借りることができた。その代わりシチューを何人かと分けることになったらしい。
「よろしくお願いします!」
「まずは食材を切ろうか。玉ねぎとベーコンをみじん切りにして」
「了解しました」
鍋に油を入れ熱し玉ねぎを炒める。玉ねぎが透き通ったらベーコンと、下味をつけたホーンラビット肉に小麦粉をまぶしたものを加える。ホーンラビット肉にじっくりと焼き色がついたらみじん切りにしたホーンラビットの内臓を鍋に入れる。僕達の鍋にだけ自家製のコンソメ粉末をこっそり入れておいた。あと道中で集めておいたハーブも一緒に煮て、ある程度の時間煮込んだら取り出しておく。とろみがつくくらい煮汁が煮詰まったら完成だ。
「ルカさん!いろいろとありがとうございました!ご馳走になります。俺は鍋を借りたパーティーのところにいってきますね」
「わかった。暗くなってきたから転ばないように気をつけてね」
「はい!では失礼しますっ!」
リアムは勢いよく駆け出していった。朝からずっと元気なのは若い証拠だよなぁと、さほど歳が変わらないはずなのに年長者の目線でリアムの背中を見送った。
「熱いから気をつけてね」
「ありがとう。いい匂いだ」
「僕達の分だけ味を足してみた。リアムには内緒ね」
「ああ、内緒だな」
小さく笑い合いながらシチューを啜る。具材の旨みやだしが優しく溶け合った素朴なスープに癒される。多少覚悟していた肉の臭みはさほど感じず、むしろその若干癖のある風味が肉の味にコクを与えている。
前世でウサギ肉は鶏肉に例えられることが多かったように思える。ホーンラビットの肉も見た目は鶏肉に近いものだったので、その想定で一口齧ってみると思った以上の噛みごたえに驚く。
さすが草原を走り回る魔物だ。筋肉質なその肉は、硬いけれど密度があってもっちりとしている不思議な食感だった。言われてみれば鶏肉に近いような……。前世でウサギ肉を食べたことがないので、ホーンラビットとの違いがわからないのが惜しい。
「美味い。野営で温かいものを食べられるのは贅沢でいい」
「美味しい。もっと淡白な味かと思ったけど肉の味が濃くて食べ応えがあるね。今まで肉屋で売ってても避けてたけど、たまになら買ってもいいかも」
「その割に微妙な顔をしてるな」
「野営で食べることを考えるとこれが限界だってわかってる。でももっと美味しくできるはずなのにって悔しくなる」
僕の言葉に今度は兄さんが微妙な顔になった。でもクリーム系の味付けにしたり、トマトベースのスープにしたり、なんなら味噌を入れてもいい。とにかくそのいずれかを入れたら絶対美味しくなるのに。
無限収納を使えないもどかしさに、これがふたりきりの野営だったらよかったのになぁ、なんてどうしようもないことを思ってしまった。
ホーンラビットのシチューを完食して後片付けを済ませるとリアムが戻ってきた。
「シチュー美味しかったです!皆喜んでくれました。材料とかいろいろありがとうございました」
「気にしないで。食材持ってきすぎて重かったからむしろ助かったよ」
「野営の食事って味気ないものになるから嬉しかったです」
「また魔物が狩れたら簡単なものになるけど料理したいね。夜番があるからそろそろ寝ようか」
「はい!ではまた時間になったらよろしくお願いします!おやすみなさい」
「おやすみ」
僕達も仮眠を取るため急いでテントに入る。さすがに人目がありすぎるので個別にテントを設置した。
「はぁ、これがふたりきりの野営だったらよかったのに」
「同感」
「今、口に出してたか?」
「思いっきり出てたよ。おやすみなさい」
「おやすみ。忘れてくれ」
兄さんがさっきの僕と似たようなことを口走っていて思わず指摘してしまった。
僕がにやけているのを感じた兄さんが気恥ずかしそうにしながらテントの中に入っていくのを見送り、僕も自分のテントへと戻っていった。
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