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30 「ぽよんぽよんとキラキラ」
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お産の手伝いからライリーに戻っても、まだティア様がエテルニテから戻ってないそうなので、騎士様が転移陣でエテルニテに送って下さった。
転移陣は基本的には騎士以上の者が付き添いでないと、平民は使えない事になっている。
大規模な祭りのような時だけ神殿や教会が使わせてくれる事もあるけど、それも領主の許しが必要だ。
防犯面への配慮が必要だから。
私は転移陣から出て海岸の方へ向かうと、美しい虹がかかっていたのに気がついた。
「あ……」
虹の下、カーティス様がちょうどワイバーンに水をかけてあげている所に遭遇した。
「リナさん、出張は終わりましたか」
「はい。カーティス様、おめでとうございます、ご自分の竜を得られたのですね」
「はい、この子が私の竜のステラです」
「ステラ……カーティス様をよろしくね」
「キュイイ」
「わ! 返事をしてくれました!」
「賢い子です」
「あ、ギルバート様がどちらにいるか分かりますか?」
私は金魚を頼んでいたのに自力で入手してしまったので、その話をしようと思っていた。
「海の中ですよ、この子もさっきまで海の中に入っていて塩まみれになったので真水をかけて洗ってあげていたんです」
「じゃあギルバート様は泳いでおられるのですね」
「はい、セレスティアナ様も海の中です」
ざばあ! っと何かが海から出て来た音がして振り返ると、ティア様だった。
「あ! 見て! リナ! クラゲっぽいのを見つけた!」
見ると確かにティア様はクラゲのようなプルプルした物を抱えている!
「ティア様! クラゲに刺されたらどうするのですか!? 危ないですよ!」
「クラゲっぽいけど、ゼルリンって言う、海や川によくいる妖精なのですって!
リナルドに聞いたの! 害は無いから!」
「本当に無害ですか!? それなら良いのですが!」
「無害どころか、感触がすっごく良いのよこの子! 家に連れて帰るわ!」
「え!? 連れて帰って大丈夫なのですか!? 水辺の生き物では!?」
「金魚鉢でも飼えるらしいの! ねえ、触ってみて?
感触が女の人のオッパ……いえ、ふくよかでぷよってる二の腕のような感触なのよ!」
今おっぱいって言おうとして、言葉を選びなおした形跡が有る!
ぷよぷよの二の腕はおっぱいと似た感触と言われているのは私でも知っている。
ティア様がクラゲを抱えたまま、陽光を受けてキラキラ輝く海から上がって来た。
海から上がってくる濡れた髪の美女の姿はまるで人魚の姫のように美しい。
「ほら、触ってみて?」
差し出されたゼルリンに私も触れてみた……。
ぽよん、ぽよんと、とても柔らかい。
「わぁ……本当にこれはオッパ……いえ、二の腕っぽい感触ですね!!」
「そう言えば、ギルバート様は?」
「私ならここだ!!」
噂をすればざばあ!! っとギル様が海中から出て来た。
「例のカラフルレインボーなパールがたまに入ってる貝を見つけたから獲っていた」
「あの、ギルバート様、すみません、金魚の件なのですが、もう話は進んでしまいましたか!?」
「ああ、進んだが、何かの手違いで金魚ではなく、違う小さな淡水魚が来てしまっていてな」
「金魚! 子爵領で見つけていただいて来てしまったのです!」
「ああ、それなら良かったな、そっちを渡せばいい」
「ギルバートが手に入れた淡水魚というのはどんなお魚なんですか?」
ティア様が興味を示した。
「そう言えばセレスティアナが好きそうな小さい魚で、銀色に輝く鱗がとても綺麗な品種改良されたダカメのシャイニーと言う種だ」
ダカメ!? いや、綺麗なら改良メダカ!?
「え! じゃあそれを私に譲っていただけます!?」
ティア様が食いついた。
「いいぞ、弟君への贈り物にするのか?」
「ウィルにはお守りの首飾りをあげます。
まあ、お魚の数が多いならそれも弟に分けてもいいですが、リナの贈り物が魚ですし、被るとインパクトが弱まるかと」
「そうか、私はどっちが飼い主になっても構わないが」
「申し訳ありません、なんなら私がシャイニーを引き取っても良いのですが、ティア様が欲しいならそちらで」
「数が多かったら、分けましょうか?」
「小さいから20匹はいるぞ」
「あら、結構いるのね、嬉しいわ。リナ、10匹ずつ分ける?」
「いえ、もしダカメが私の知るメダカと似た性質の魚であれば、数が少ないと縄張り争いで体当たり攻撃ばかりをしかねないので」
「ああ、確かにメダカ系なら数が多い方がいいかも。
あんな小さいのに気が強い生き物よね」
「ええ」
あ、リナルド氏を見つけた!
ビーチパラソルの下でラナン卿にタオルで体を拭かれている。
ボディがぬいぐるみなのに海に入ってしまったのかな?
* *
結局、ダカメなる魚は、どう見ても地球で見たメダカの改良種と同じような魚だった。
「青銀! とてもキラキラして綺麗だわ」
「本当に優雅で綺麗ですね、どう見ても高級メダカです。
え、ウィル様、こっちのメダカ、いえ、ダカメを貰う方が嬉しいのでは?」
「リナの金魚もピンポンパールに似て可愛いわよ!
オレンジ色がとても綺麗だし」
「別に両方やっても良いのではないか?」
「私のシャイニーが卵を産んで、欲しいと言ったら時間差であげても良いです」
「ティア様、私に気を使って……」
「リナ、金魚もとても可愛いから自信を持って!」
「でも青銀の鱗ってシルヴィア様を彷彿とさせますよね。
ウィル様の大好きな母君の」
「お母様の事は私も好きなので、私がいただくわ」
あらあら……。
ティア様はお父様の事が大好きですけど、やはりお母様の事も大好きなんですね。
かわいい。
ちなみに、後でギル様が獲った例のレインボーパールの貝を調べて、中にパールがあるか調べたけど、今回は残念ながらハズレだった。
けれど次回こそ! と、意気込みをみせていた。
おそらくギル様はティア様にまた真珠を贈りたいんだろう。
何度でも好きな人を喜ばせたいと思って。
その深い愛に、感銘を受けた。
転移陣は基本的には騎士以上の者が付き添いでないと、平民は使えない事になっている。
大規模な祭りのような時だけ神殿や教会が使わせてくれる事もあるけど、それも領主の許しが必要だ。
防犯面への配慮が必要だから。
私は転移陣から出て海岸の方へ向かうと、美しい虹がかかっていたのに気がついた。
「あ……」
虹の下、カーティス様がちょうどワイバーンに水をかけてあげている所に遭遇した。
「リナさん、出張は終わりましたか」
「はい。カーティス様、おめでとうございます、ご自分の竜を得られたのですね」
「はい、この子が私の竜のステラです」
「ステラ……カーティス様をよろしくね」
「キュイイ」
「わ! 返事をしてくれました!」
「賢い子です」
「あ、ギルバート様がどちらにいるか分かりますか?」
私は金魚を頼んでいたのに自力で入手してしまったので、その話をしようと思っていた。
「海の中ですよ、この子もさっきまで海の中に入っていて塩まみれになったので真水をかけて洗ってあげていたんです」
「じゃあギルバート様は泳いでおられるのですね」
「はい、セレスティアナ様も海の中です」
ざばあ! っと何かが海から出て来た音がして振り返ると、ティア様だった。
「あ! 見て! リナ! クラゲっぽいのを見つけた!」
見ると確かにティア様はクラゲのようなプルプルした物を抱えている!
「ティア様! クラゲに刺されたらどうするのですか!? 危ないですよ!」
「クラゲっぽいけど、ゼルリンって言う、海や川によくいる妖精なのですって!
リナルドに聞いたの! 害は無いから!」
「本当に無害ですか!? それなら良いのですが!」
「無害どころか、感触がすっごく良いのよこの子! 家に連れて帰るわ!」
「え!? 連れて帰って大丈夫なのですか!? 水辺の生き物では!?」
「金魚鉢でも飼えるらしいの! ねえ、触ってみて?
感触が女の人のオッパ……いえ、ふくよかでぷよってる二の腕のような感触なのよ!」
今おっぱいって言おうとして、言葉を選びなおした形跡が有る!
ぷよぷよの二の腕はおっぱいと似た感触と言われているのは私でも知っている。
ティア様がクラゲを抱えたまま、陽光を受けてキラキラ輝く海から上がって来た。
海から上がってくる濡れた髪の美女の姿はまるで人魚の姫のように美しい。
「ほら、触ってみて?」
差し出されたゼルリンに私も触れてみた……。
ぽよん、ぽよんと、とても柔らかい。
「わぁ……本当にこれはオッパ……いえ、二の腕っぽい感触ですね!!」
「そう言えば、ギルバート様は?」
「私ならここだ!!」
噂をすればざばあ!! っとギル様が海中から出て来た。
「例のカラフルレインボーなパールがたまに入ってる貝を見つけたから獲っていた」
「あの、ギルバート様、すみません、金魚の件なのですが、もう話は進んでしまいましたか!?」
「ああ、進んだが、何かの手違いで金魚ではなく、違う小さな淡水魚が来てしまっていてな」
「金魚! 子爵領で見つけていただいて来てしまったのです!」
「ああ、それなら良かったな、そっちを渡せばいい」
「ギルバートが手に入れた淡水魚というのはどんなお魚なんですか?」
ティア様が興味を示した。
「そう言えばセレスティアナが好きそうな小さい魚で、銀色に輝く鱗がとても綺麗な品種改良されたダカメのシャイニーと言う種だ」
ダカメ!? いや、綺麗なら改良メダカ!?
「え! じゃあそれを私に譲っていただけます!?」
ティア様が食いついた。
「いいぞ、弟君への贈り物にするのか?」
「ウィルにはお守りの首飾りをあげます。
まあ、お魚の数が多いならそれも弟に分けてもいいですが、リナの贈り物が魚ですし、被るとインパクトが弱まるかと」
「そうか、私はどっちが飼い主になっても構わないが」
「申し訳ありません、なんなら私がシャイニーを引き取っても良いのですが、ティア様が欲しいならそちらで」
「数が多かったら、分けましょうか?」
「小さいから20匹はいるぞ」
「あら、結構いるのね、嬉しいわ。リナ、10匹ずつ分ける?」
「いえ、もしダカメが私の知るメダカと似た性質の魚であれば、数が少ないと縄張り争いで体当たり攻撃ばかりをしかねないので」
「ああ、確かにメダカ系なら数が多い方がいいかも。
あんな小さいのに気が強い生き物よね」
「ええ」
あ、リナルド氏を見つけた!
ビーチパラソルの下でラナン卿にタオルで体を拭かれている。
ボディがぬいぐるみなのに海に入ってしまったのかな?
* *
結局、ダカメなる魚は、どう見ても地球で見たメダカの改良種と同じような魚だった。
「青銀! とてもキラキラして綺麗だわ」
「本当に優雅で綺麗ですね、どう見ても高級メダカです。
え、ウィル様、こっちのメダカ、いえ、ダカメを貰う方が嬉しいのでは?」
「リナの金魚もピンポンパールに似て可愛いわよ!
オレンジ色がとても綺麗だし」
「別に両方やっても良いのではないか?」
「私のシャイニーが卵を産んで、欲しいと言ったら時間差であげても良いです」
「ティア様、私に気を使って……」
「リナ、金魚もとても可愛いから自信を持って!」
「でも青銀の鱗ってシルヴィア様を彷彿とさせますよね。
ウィル様の大好きな母君の」
「お母様の事は私も好きなので、私がいただくわ」
あらあら……。
ティア様はお父様の事が大好きですけど、やはりお母様の事も大好きなんですね。
かわいい。
ちなみに、後でギル様が獲った例のレインボーパールの貝を調べて、中にパールがあるか調べたけど、今回は残念ながらハズレだった。
けれど次回こそ! と、意気込みをみせていた。
おそらくギル様はティア様にまた真珠を贈りたいんだろう。
何度でも好きな人を喜ばせたいと思って。
その深い愛に、感銘を受けた。
応援ありがとうございます!
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