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留まらぬ、萌え死ぬ (水月+ネザメ・ミフユ・セイカ・荒凪・ハル・ノヴェム・歌見・カサネ・レイ・スイ・リュウ・シュカ)
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荒凪達と共にアキの部屋へ戻ると彼氏達はすっかり食事の準備を終えていた。
「ネザメ様を床に直接座らせるのは避けたい。鳴雷一年生、どうにかならないか?」
「座布団とかってことですか?」
「僕は床に直接座っても構わないよ。ミフユ、あまりワガママを言ってはいけないよ」
自分のために言ったことでなくともワガママと言えるのだろうか。
「クッションならあるはずですけど……セイカの尻の下ですね」
「呼んだか?」
クッションに座り、ベッドに背を預けているセイカがこちらを向いた。
「ネザメさんに座るものないかなーって話してたんだ。この部屋じゃセイカが座ってるクッション以外にないよな?」
「あぁ……坊ちゃんの上品なケツには硬い床は相応しくないか。いいぞ、これ使って」
「ミフユが過保護なだけで僕は構わないんだよ。狭雲くんにこそ必要だろう? 初対面の頃に比べれば健康的になったとはいえまだまだ痩せぎすだ」
「秋風」
セイカはネザメに返事せずアキを呼んだ。注がれたジュースやお茶を配るのを手伝っていた彼は、セイカと二、三言葉を交わすと彼を抱き上げた。
「ん」
緩く弧を描いてクッションが俺の手元に飛んでくる。
「飯並べてるのに投げるなよ。ネザメさん、どうぞ」
「すまないね……ありがとう水月くん。狭雲くんも、ありが──」
眉尻を下げて俺に微笑んだネザメは続けてセイカに視線をやり、胡座をかいたアキの上に座らされた彼を見て珍しくも目を見開いた。
「──と…………僕あっちがいい」
「本当アキ好きですね……ちょっと妬けますよ」
「水月くんと秋風くんの間に座りたかったけれど、今日は荒凪くんと仲良くなるのを優先しようかな。荒凪くん、君の隣をもらってもいいかい?」
「うん」
「ふふ、嬉しいな。どこに座ろうか、あっちに行こうかな」
ネザメはまだ自然には歩けない荒凪の手を引いてゆっくりと歩き、寿司から最も遠い位置にクッションを置き、その上に正座をした。
「おいで、荒凪くん」
「うん」
ネザメの真似をしたのか荒凪も正座をする。人外って足が痺れたりするのだろうか。
(どこに座りませう。カサネたんの傍に居てあげた方がいいでしょうか、いやスイさん? ノヴェムくんもわたくしの隣がいいって言いそうな気がしまっそ)
コップにお茶を注ぎながら狭く感じる部屋を見回し、孤立している者が居ないか確かめる。
《ノヴェムくん何食べる~? お寿司あるよ、お刺身大丈夫だっけ》
《ノヴェムお肉がいい》
《ビーフorチキン?》
《とりさん!》
ハルがノヴェムの面倒を見てくれている。そういえば彼は英語が得意だったな、俺よりも世話役に向いているだろう。
「よそってやるから皿貸せ、何か苦手なもんあるか?」
「ぇ、い、いやっ、俺食べなくていい……カロリーバー持ってきてるし」
「バカ言うな。苦手なもんはないのか? 適当に盛るぞ」
「あっあっあっ野菜やだ野菜やだ乗せないでっ、白いキャベツ特にやだっ!」
面倒見のいい歌見はカサネの世話を焼いてくれている。あの二人、ほぼ年齢差ないんだよな……ま、とにかく、カサネも問題なし。ぼっちの心配はない訳だ。
(一番気になるのはスイ殿ですな)
今日一日俺の彼氏達を守ってくれていたとはいえ、その実感がある者は居るだろうか。まだ俺に返事をしておらず、一番の新参者でもあるスイはちゃんと席を確保出来たのか?
「俺苦いのは苦手っすね~、チューハイばっかっす。甘いカクテルとかで度数高いのはいいっすけど、ブランデー原液は俺無理っすよ」
「そうなんだぁ。アタっ……お、俺はぁ、リキュール系ダメかな。あのー、香料? がどうにもダメ。薬っぽく感じちゃう」
「へー、新視点すねぇ。香料っすか……そんな気になるほど香り強かったっすかねぇ」
スイはレイと話している。何の話なのかはイマイチよく分からない、酒関連? ということは何となく分かるけれど。かなり自然な雰囲気だ、心配は要らなかったな。
(ホッ、ぼっちな方は居ませんな。仲良きことは美しきかな、素晴らしい光景でそ。ん……?)
ぼっち、俺じゃね?
(わたくしぼっちでそぉおお! ハーレム主なのに! 怪しまれず観察するためにチンたらゆっくりお茶入れてたら席なくなっちゃいましたぞ!)
どこか空いている隙間はないかと長時間かけて注いだお茶を持って立ち上がる。
「あ、水月ぃ。座るとこ決めてへんねんやったらこっち来たって、しぐが来て欲しい言うてるで」
「……! あぁ、分かった」
神様仏様リュウ様! とカンナ様! そうだ俺にはカンナが居る。いつだって俺の腕に抱きつき、俺が新しい彼氏を作っても積極的に話しかけには行かずいつも俺の隣に居てくれるカンナが! そして圧倒的光属性コミュ強のリュウ! 全体をよく見て全員が楽しめる空気をそれとなく作ってくれる彼は度々余る俺をいつも引き入れてくれる。
(今行きますぞ最初期ハーレム員のマイハニー達!)
リュウとカンナの間に挟まるため彼氏達の背後を通ってそこへ向かうと、リュウはカンナの肩を抱いて引き寄せた。
(なぬっ!?)
どういうことだ? いや戸惑う必要はない、カンナの隣は左右二つある。空けられた隙間に座ればいいのだ。しかし何故リュウはそんな真似を……俺に隣に来て欲しくなかったのか? カンナの隣は譲りたくなかったのか?
「あ……水月」
悶々としながら隙間に腰を下ろした俺は、そういえばカンナではない方……左隣を確認していなかったとそちらを向いた。俯いていた彼は顔を上げ、意外そうな顔で俺を見た。
「あれ、まだ食べてないのか? 珍しいな」
いつもなら全員が席に着く前から食べ始めてミフユに叱られているのに、と思いつつレンズ越しの瞳を見つめ返す。
「……ええ」
「食欲ないのか?」
「まさか、お腹すいてましたよ。でも、何だか……もう色々億劫で」
シュカは床に手をついて腰を浮かして移動し、俺にぴったり寄り添った。二の腕が触れ合って、肩にシュカの髪がかかる。近くてよく見えないが頭をこちらに傾けているのか? 可愛過ぎる。
「……けど、あなたが傍に居ると少しだけ元気が出ます。あなたは何から食べるんですか? 私もそれから食べてみようと思います」
力ない微笑みはどこか痛々しく、だからこそ可愛い。
「シュカぁ……!」
「…………私? ふふ……それは夕飯の後にしてください。その後ならいくらでも、あなたにいただかれちゃいますから、ね? そのためにも腹ごしらえしましょう、一口目を早く教えてください」
「えっぢでがわゆい……泣きそう……水月くんはまず生ハムレタスから行こうと思ってます……」
まさかリュウはシュカに元気がないことに気付いていて、俺を隣に座らせたのだろうか。俺の隣がいいと自分では言い出せないカンナと、席の希望を出す気力もないシュカをそれとなく隣に配置し、後から俺を押し込む……職人技だ。カンナを理由とすることで、元気のないシュカを気遣ったとシュカにはバレない。シュカのプライドも守れる。
(リュウ……恐ろしい子!)
コミュ強っぷりが留まるところを知らない。
「み、水月…………ぁー、ん……」
シュカのデレがどんどん加速する。こちらも留まるところを知らない。
「ネザメ様を床に直接座らせるのは避けたい。鳴雷一年生、どうにかならないか?」
「座布団とかってことですか?」
「僕は床に直接座っても構わないよ。ミフユ、あまりワガママを言ってはいけないよ」
自分のために言ったことでなくともワガママと言えるのだろうか。
「クッションならあるはずですけど……セイカの尻の下ですね」
「呼んだか?」
クッションに座り、ベッドに背を預けているセイカがこちらを向いた。
「ネザメさんに座るものないかなーって話してたんだ。この部屋じゃセイカが座ってるクッション以外にないよな?」
「あぁ……坊ちゃんの上品なケツには硬い床は相応しくないか。いいぞ、これ使って」
「ミフユが過保護なだけで僕は構わないんだよ。狭雲くんにこそ必要だろう? 初対面の頃に比べれば健康的になったとはいえまだまだ痩せぎすだ」
「秋風」
セイカはネザメに返事せずアキを呼んだ。注がれたジュースやお茶を配るのを手伝っていた彼は、セイカと二、三言葉を交わすと彼を抱き上げた。
「ん」
緩く弧を描いてクッションが俺の手元に飛んでくる。
「飯並べてるのに投げるなよ。ネザメさん、どうぞ」
「すまないね……ありがとう水月くん。狭雲くんも、ありが──」
眉尻を下げて俺に微笑んだネザメは続けてセイカに視線をやり、胡座をかいたアキの上に座らされた彼を見て珍しくも目を見開いた。
「──と…………僕あっちがいい」
「本当アキ好きですね……ちょっと妬けますよ」
「水月くんと秋風くんの間に座りたかったけれど、今日は荒凪くんと仲良くなるのを優先しようかな。荒凪くん、君の隣をもらってもいいかい?」
「うん」
「ふふ、嬉しいな。どこに座ろうか、あっちに行こうかな」
ネザメはまだ自然には歩けない荒凪の手を引いてゆっくりと歩き、寿司から最も遠い位置にクッションを置き、その上に正座をした。
「おいで、荒凪くん」
「うん」
ネザメの真似をしたのか荒凪も正座をする。人外って足が痺れたりするのだろうか。
(どこに座りませう。カサネたんの傍に居てあげた方がいいでしょうか、いやスイさん? ノヴェムくんもわたくしの隣がいいって言いそうな気がしまっそ)
コップにお茶を注ぎながら狭く感じる部屋を見回し、孤立している者が居ないか確かめる。
《ノヴェムくん何食べる~? お寿司あるよ、お刺身大丈夫だっけ》
《ノヴェムお肉がいい》
《ビーフorチキン?》
《とりさん!》
ハルがノヴェムの面倒を見てくれている。そういえば彼は英語が得意だったな、俺よりも世話役に向いているだろう。
「よそってやるから皿貸せ、何か苦手なもんあるか?」
「ぇ、い、いやっ、俺食べなくていい……カロリーバー持ってきてるし」
「バカ言うな。苦手なもんはないのか? 適当に盛るぞ」
「あっあっあっ野菜やだ野菜やだ乗せないでっ、白いキャベツ特にやだっ!」
面倒見のいい歌見はカサネの世話を焼いてくれている。あの二人、ほぼ年齢差ないんだよな……ま、とにかく、カサネも問題なし。ぼっちの心配はない訳だ。
(一番気になるのはスイ殿ですな)
今日一日俺の彼氏達を守ってくれていたとはいえ、その実感がある者は居るだろうか。まだ俺に返事をしておらず、一番の新参者でもあるスイはちゃんと席を確保出来たのか?
「俺苦いのは苦手っすね~、チューハイばっかっす。甘いカクテルとかで度数高いのはいいっすけど、ブランデー原液は俺無理っすよ」
「そうなんだぁ。アタっ……お、俺はぁ、リキュール系ダメかな。あのー、香料? がどうにもダメ。薬っぽく感じちゃう」
「へー、新視点すねぇ。香料っすか……そんな気になるほど香り強かったっすかねぇ」
スイはレイと話している。何の話なのかはイマイチよく分からない、酒関連? ということは何となく分かるけれど。かなり自然な雰囲気だ、心配は要らなかったな。
(ホッ、ぼっちな方は居ませんな。仲良きことは美しきかな、素晴らしい光景でそ。ん……?)
ぼっち、俺じゃね?
(わたくしぼっちでそぉおお! ハーレム主なのに! 怪しまれず観察するためにチンたらゆっくりお茶入れてたら席なくなっちゃいましたぞ!)
どこか空いている隙間はないかと長時間かけて注いだお茶を持って立ち上がる。
「あ、水月ぃ。座るとこ決めてへんねんやったらこっち来たって、しぐが来て欲しい言うてるで」
「……! あぁ、分かった」
神様仏様リュウ様! とカンナ様! そうだ俺にはカンナが居る。いつだって俺の腕に抱きつき、俺が新しい彼氏を作っても積極的に話しかけには行かずいつも俺の隣に居てくれるカンナが! そして圧倒的光属性コミュ強のリュウ! 全体をよく見て全員が楽しめる空気をそれとなく作ってくれる彼は度々余る俺をいつも引き入れてくれる。
(今行きますぞ最初期ハーレム員のマイハニー達!)
リュウとカンナの間に挟まるため彼氏達の背後を通ってそこへ向かうと、リュウはカンナの肩を抱いて引き寄せた。
(なぬっ!?)
どういうことだ? いや戸惑う必要はない、カンナの隣は左右二つある。空けられた隙間に座ればいいのだ。しかし何故リュウはそんな真似を……俺に隣に来て欲しくなかったのか? カンナの隣は譲りたくなかったのか?
「あ……水月」
悶々としながら隙間に腰を下ろした俺は、そういえばカンナではない方……左隣を確認していなかったとそちらを向いた。俯いていた彼は顔を上げ、意外そうな顔で俺を見た。
「あれ、まだ食べてないのか? 珍しいな」
いつもなら全員が席に着く前から食べ始めてミフユに叱られているのに、と思いつつレンズ越しの瞳を見つめ返す。
「……ええ」
「食欲ないのか?」
「まさか、お腹すいてましたよ。でも、何だか……もう色々億劫で」
シュカは床に手をついて腰を浮かして移動し、俺にぴったり寄り添った。二の腕が触れ合って、肩にシュカの髪がかかる。近くてよく見えないが頭をこちらに傾けているのか? 可愛過ぎる。
「……けど、あなたが傍に居ると少しだけ元気が出ます。あなたは何から食べるんですか? 私もそれから食べてみようと思います」
力ない微笑みはどこか痛々しく、だからこそ可愛い。
「シュカぁ……!」
「…………私? ふふ……それは夕飯の後にしてください。その後ならいくらでも、あなたにいただかれちゃいますから、ね? そのためにも腹ごしらえしましょう、一口目を早く教えてください」
「えっぢでがわゆい……泣きそう……水月くんはまず生ハムレタスから行こうと思ってます……」
まさかリュウはシュカに元気がないことに気付いていて、俺を隣に座らせたのだろうか。俺の隣がいいと自分では言い出せないカンナと、席の希望を出す気力もないシュカをそれとなく隣に配置し、後から俺を押し込む……職人技だ。カンナを理由とすることで、元気のないシュカを気遣ったとシュカにはバレない。シュカのプライドも守れる。
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