冴えないオタクでしたが高校デビューに成功したので男子校でハーレムを築こうと思います

ムーン

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かなり多めな注意事項 (水月+荒凪・ネザメ・ミフユ)

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パァっと花が開くような笑顔になったネザメは荒凪を見た。荒凪はちょうどドライヤーを置き、髪が乾いたか確認しながらブラシを通している。

「荒凪くん!」

雑にバスタオルに包まれた身体はとっくに人間のそれに変わっている。そんな荒凪の隣へ小走りで向かったネザメは微笑んだまま話し始めた。

「君の髪は不思議だね、下ろしているところを外側から見てもどこまでも黒いだけなのに、内側は青く輝いている。インナーカラー……という染め方があるそうだけれど、それに似ている。どうなっているんだろうね……内側の毛束を掴んでも、表の黒と裏の青があって……けれど一本ずつ見ると黒しか分からない。不思議だ……青い輝きといえばサファイアだけど、この輝きは宝石のそれとは違うね。陽光が撫ぜた海面のような……自然の雄大さや神秘を感じさせる」

「きゅ……?」

「小六くんには会ったことがあるかな。彼の瞳は銀河を内包しているような輝きがあるのだけれど、君はそう……海だね、海をその髪に閉じ込めている。南国の真昼の輝く海も、光届かぬ深海の静けさも、水中から水面を見上げた時にだけ現れる光の梯子の神々しさも、何もかもを」

「きゅるるるる……」

「……鳴雷一年生、荒凪は……アレは、あの鳴き声? は……不快がっていないか?」

喉を鳴らす荒凪を見てミフユは不安そうな顔で俺を見た。

「多分ネザメさんが何言ってるのかよく分からなくて困ってるだけだと思いますよ。大丈夫、人の好意を嫌がるような子じゃないですから」

「そういう者なら、だからこそ不安とも言えるな。好意自体が不快でないからこそ、好き勝手に話すネザメ様に不満があっても言えなくなる」

「うーん……」

「ミフユはネザメ様を止めるぞ。ネザメ様!」

いつもの感情を読ませないアルカイックスマイルではない、心底嬉しそうな笑顔を見た俺には出来ない判断だ。話したいだけ話させてやりたくなっていた。

「ネザメ様、一気に話し過ぎです。独りよがりはいけません。」

「おっと、そうだね。ありがとうミフユ。荒凪くん、非礼を詫びさせておくれ。君の美しさについつい昂ってしまった」

「ひれー……?」

「……あっ、ネザメさん、荒凪くんあんまり難しい言葉は分からないみたいです。都度教えるか、簡単な言葉で話してあげてください」

「おや、そうなのかい。うぅん……前者にすべきだね、知らない言葉があるのなら知らなくては。美しい景色も美しい人も美しい時間も、言葉を知らなくてはぼんやりとしたままだ。人生は鮮明な目で生きなくてはね」

「きゅ~……ねざめ?」

「あぁ、僕の名前を覚えてくれたんだね。そう、ネザメだよ」

俺が眠っている間に自己紹介を済ませたのかな。残念、ネザメと荒凪のファーストコンタクトちょっと見たかったのに。

「いきなり名前を呼び捨てとは気安いな。まずは苗字にさんを付けて呼ぶんだ、相手と仲良くなり相手の同意を得て初めて名前を呼ぶ……敬称は相手が目上の者ならば付けておいた方がいい」

「ミフユ、でも僕達も初対面から荒凪くんを名前で呼んでいるよ」

「……仕方ないでしょう。荒凪には苗字がありません」

「鳴雷 荒凪になるのかな。うぅん、少し語呂が悪いかな。荒凪 マールト……?」

「狭雲、いえ早苗荒凪……語呂というのはミフユにはよく分かりません」

物部によって怪異を作るにされた少年達……荒夜と夜凪には苗字があるはずだ。名乗るとしたらその苗字であるべきなのだろうが、俺は知らないし本人が覚えていないのならどうしようもない。

「紅葉荒凪……ふふ」

おっと、ぼーっとしていたら荒凪を取られてしまう。

「荒凪くんはウチの子ですよ、ネザメさん」

「語呂を確かめただけだよ」

にっこりと微笑んでみせたネザメの真意はいつも通り読めない。相変わらずミステリアスな雰囲気のある人だ、実際はちょっと天然な可愛らしい人なのに。

「……そうそう水月くん、これは聞いておかなくては」

「何ですか?」

「少し下世話な話になるのだけれど、大切なことだからね。荒凪くんは君の恋人なのかい? それともまだ? そうする気はない?」

「恋人、の……つもりです。荒凪くん少し幼くて、理解してくれてるかは怪しいのであんまりハッキリは言えません」

「……触れ合いはしたのかな? もししたなら、どれくらい?」

性行為はどこまで進めたのか、という質問だよな。

「手でし合ったり、擦り付け合うくらいです」

「し合う……? へぇ、幼いらしいのにしてくれるのかい?」

「はい、人間の姿だと不器用だし人魚だと爪鋭いし、怪力なんで……ちょっと怖いですけど」

「そうなのかい。毒があったり鱗が鋭かったりというのは鳥待くんから聞いたけれど……まぁ、気を付けるよ。荒凪くんに他者を傷付ける気分の悪さを味合わせる訳にはいかない。それで、水月くん。僕が荒凪くんにシてあげるというのは……どうかな?」

本題、といった顔だな。

「荒凪くんがいいなら俺は構いません」

としか言いようがない。彼氏同士の間での挿入以外のペッティングは推奨しているが、当然双方の合意が必要不可欠だ。

「君ならそう言うと思ったよ。夕飯の後にでも誘ってみようかな……人間の姿か、人魚の姿、君のオススメはどっちだい?」

「ゔーん……どっちにしろ怪力でちょっと危ないのは変わりないので、不器用な危なさと鱗と爪の危なさを天秤にかけてもらうしか……」

「危険性が低い方ではなく、君が魅力的だと思う方だよ」

「……どっちも魅力的ですよ。ただの可愛い男の子も、不思議な生き物も……まぁでもそりゃあ他では味わえない人魚の魅力を堪能する方がオススメですよ! 美少年のイルカ式性器を弄れるのは世界でココだけ!」

「ふふっ、なら人魚の姿になってもらえるか頼んでみなくちゃ。その前に誘いに乗ってくれるかどうかが重要……夕飯の席で仲良くなれるといいけど」

「もし隣に座るなら荒凪くん生ものダメなので気を付けてあげてください」

「お寿司は食べられないのかい? それは残念……ローストビーフは大丈夫かな?」

「うーん……やめておいた方が、いいかもです。生っぽい味は怪異の本能を刺激するとかで……人間襲うようになるかもって、荒凪くんを預けてくれた人に脅されてるんですよ俺」

「そう……分かった、気を付けるよ」

ネザメは天然だがこういうことに関しては信頼出来ると思っている。もしネザメが見逃しても、ネザメの傍には最も頼りになるミフユが居る。俺が隣で気を配るよりもずっと安全だ。
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