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再現される定番エロシチュ (水月+サキヒコ・荒凪・ヒト)
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荒凪一人では食べ切れないたくさんの魚料理にヒトも箸を伸ばした。
「……! 美味しい」
「マジすか、いいなぁ。ヒトさん俺らも食べていいすか」
「サンマ少しは残しといてくださいよ!」
「部下が食べるのは上司の後。静かに待っておきなさい」
「クッソ~……フタさんが居たら嫁とそのお供だぞって先に食えたのに」
「なんで今日に限って居ねぇんだ、間の悪い人だなぁ」
フタはサンの家に遊びに行っているらしい。せっかくだからフタにも手料理を食べて欲しかったな、なんて思いながら荒凪とヒトの顔が綻ぶのを眺めてニヤつく。
「ミツキ、傷はどうだ」
「わっ……! サキヒコくん、急に出てこないでってば。手当してもらったよ、ほら」
「……そうか。鱗が刺さった部分は霊体の損傷が激しかった、ミタマ殿が治療していたが……うむ、動作に問題はなさそうだな。滋養のあるものを食べ、ゆっくり寝て、早く治すんだぞ」
「コンちゃんは? 稲荷寿司食べてるって聞いたけど」
「少し前まで食べていた、今はフタ殿の部屋で休んでいる。私も師匠を尋ねたかったのだが留守のようでな、話し相手が居なくて寂しくなり……いや、暇を持て余し、一人戻ってきたという訳だ」
寂しかったのか。
「コンちゃんかなり疲れたみたいだね、サキヒコくんは?」
「私はミタマ殿のように急速な補給や休憩を要するほど霊力を消費することがない」
「あんまり疲れないってことでいいのかな。人魂出してたけど、アレは? 意外とコスパいいの?」
サキヒコは右手のひらを天井に向け、その手の上に青白く光る人魂を出現させた。揺らめく火から熱は感じない。陰火、というヤツだろう。
「これのことだな。こすぱ、とは何だ?」
「疲れる技に見えるけど、割と効率いい技なのかなって」
「人魂を一つ作るのにはそれなりに霊力が必要だが、使い終わったら再度取り込むから最終的な消費はほぼない」
「遠隔操作では消費しないの?」
「同時に動くならともかく、本体である私が静止するからな」
その理論はよく分からないが、まぁとにかくコスパのいい技らしい。感情が色で見えたり、夢の中に入り込めたり、サキヒコは小器用だなぁ。
「それよりミツキ、どうするんだ? 今日は家に帰らないのか?」
「え? もちろん帰るつもりだけど」
「帰るんですか? てっきり泊まっていくものと思っていましたよ」
「母さんがご飯作ってくれてますし、明日も学校ですから」
ヒトは残念そうに眉尻を下げたが、俺に何も言うことはなかった。部下達の目を気にしてのことだろう、ヒトは会社の者には関係を知られたくないと考えているようだから。
「荒凪くんが食べ終わったら帰ろうかな、コンちゃんも家の方が落ち着くだろうし……そういえば土砂降りだったけど今どうなんだろ。サキヒコくん、ちょっと外見てきてくれない?」
「分かった」
サキヒコは扉とは反対の方へ向かい、ふわりと浮かび上がって半透明になると壁に頭を突っ込んだ。幽霊らしくすり抜けていき上半身が完全に見えなくなる。
(か、壁尻! えっちな漫画でよく見るヤツでそ!)
広告でよく見かける絵面だ。
「まだ降っているが弱まってきてはいるようだ」
「ありがとう。また強くならない間に帰らなきゃだね」
壁尻状態になっていたのは数秒だけだったが、数時間と思えるほど長く感じた。いいものを見させてもらったという感謝の気持ちと、他の男にも見られてしまったという悔しさが、俺の心をちょうど半分ずつ使っている。
(いえ、普通の人は壁尻なんか知りませんよな。一般の感覚からすれば痴態とかじゃないでそ。いけないいけない、エロに慣れたオタクの感覚を押し付けては……)
頭を振って邪な考えを払い、何の狙いもなく最短距離で外の様子を確認してきてくれたサキヒコに礼を言う。
「アレだったな、あの広告でよく見るヤツ」
「壁とかにハマってケツだけ出てるヤツな」
知ってんのかよ! と叫びたくなる衝動を抑え、気持ちを落ち着かせるためサキヒコの頭を撫でる。滑らかで触り心地よいい髪だ、手櫛をかけてみるのはもちろん、綺麗に切り揃えられた毛先をなぞるのもなかなか楽しい。
「ミ、ミツキ……雨降りを確認した程度でこんなに褒めているようでは腱鞘炎になってしまうぞ?」
「ん? サキヒコくん愛でたくて勝手に撫でてただけだったんだけど……」
「褒美のつもりではなかったのか? 勘違いをした、忘れてくれ」
「忘れらんないよ。これ、ご褒美になるんだね」
「何十年と独りだった私にとって、他者との触れ合いはあの海から解放されたことを実感する一番の行為だ」
「そっか……サキヒコくんから来てくれてもいいからね?」
「そっ、そんなはしたない真似出来るか! 全くミツキは……」
顔を真っ赤にし、ぶつぶつと呟きながら透けて消えていく。もう少し恥じらう姿を見ていたかったな。
「みつき、おなかたくさん」
「ん? もうお腹いっぱい?」
「うん。ごちそうさま。ぜんぶむり、ごめんなさい」
「いいよいいよ、元々一人分じゃなかったし……でもいっぱい食べたね、二人分くらい? 普段からこのくらい用意した方がいいかな」
「……うん」
「分かった、母さんにも言っておくよ。こういうことは遠慮せず言ってくれていいからね?」
くしゅくしゅと頭を撫で、下手くそな食べ方で汚れた口元をティッシュで拭ってやる。さて、ヒトを始めとした穂張興業の皆に挨拶をして帰るとするか。
「……! 美味しい」
「マジすか、いいなぁ。ヒトさん俺らも食べていいすか」
「サンマ少しは残しといてくださいよ!」
「部下が食べるのは上司の後。静かに待っておきなさい」
「クッソ~……フタさんが居たら嫁とそのお供だぞって先に食えたのに」
「なんで今日に限って居ねぇんだ、間の悪い人だなぁ」
フタはサンの家に遊びに行っているらしい。せっかくだからフタにも手料理を食べて欲しかったな、なんて思いながら荒凪とヒトの顔が綻ぶのを眺めてニヤつく。
「ミツキ、傷はどうだ」
「わっ……! サキヒコくん、急に出てこないでってば。手当してもらったよ、ほら」
「……そうか。鱗が刺さった部分は霊体の損傷が激しかった、ミタマ殿が治療していたが……うむ、動作に問題はなさそうだな。滋養のあるものを食べ、ゆっくり寝て、早く治すんだぞ」
「コンちゃんは? 稲荷寿司食べてるって聞いたけど」
「少し前まで食べていた、今はフタ殿の部屋で休んでいる。私も師匠を尋ねたかったのだが留守のようでな、話し相手が居なくて寂しくなり……いや、暇を持て余し、一人戻ってきたという訳だ」
寂しかったのか。
「コンちゃんかなり疲れたみたいだね、サキヒコくんは?」
「私はミタマ殿のように急速な補給や休憩を要するほど霊力を消費することがない」
「あんまり疲れないってことでいいのかな。人魂出してたけど、アレは? 意外とコスパいいの?」
サキヒコは右手のひらを天井に向け、その手の上に青白く光る人魂を出現させた。揺らめく火から熱は感じない。陰火、というヤツだろう。
「これのことだな。こすぱ、とは何だ?」
「疲れる技に見えるけど、割と効率いい技なのかなって」
「人魂を一つ作るのにはそれなりに霊力が必要だが、使い終わったら再度取り込むから最終的な消費はほぼない」
「遠隔操作では消費しないの?」
「同時に動くならともかく、本体である私が静止するからな」
その理論はよく分からないが、まぁとにかくコスパのいい技らしい。感情が色で見えたり、夢の中に入り込めたり、サキヒコは小器用だなぁ。
「それよりミツキ、どうするんだ? 今日は家に帰らないのか?」
「え? もちろん帰るつもりだけど」
「帰るんですか? てっきり泊まっていくものと思っていましたよ」
「母さんがご飯作ってくれてますし、明日も学校ですから」
ヒトは残念そうに眉尻を下げたが、俺に何も言うことはなかった。部下達の目を気にしてのことだろう、ヒトは会社の者には関係を知られたくないと考えているようだから。
「荒凪くんが食べ終わったら帰ろうかな、コンちゃんも家の方が落ち着くだろうし……そういえば土砂降りだったけど今どうなんだろ。サキヒコくん、ちょっと外見てきてくれない?」
「分かった」
サキヒコは扉とは反対の方へ向かい、ふわりと浮かび上がって半透明になると壁に頭を突っ込んだ。幽霊らしくすり抜けていき上半身が完全に見えなくなる。
(か、壁尻! えっちな漫画でよく見るヤツでそ!)
広告でよく見かける絵面だ。
「まだ降っているが弱まってきてはいるようだ」
「ありがとう。また強くならない間に帰らなきゃだね」
壁尻状態になっていたのは数秒だけだったが、数時間と思えるほど長く感じた。いいものを見させてもらったという感謝の気持ちと、他の男にも見られてしまったという悔しさが、俺の心をちょうど半分ずつ使っている。
(いえ、普通の人は壁尻なんか知りませんよな。一般の感覚からすれば痴態とかじゃないでそ。いけないいけない、エロに慣れたオタクの感覚を押し付けては……)
頭を振って邪な考えを払い、何の狙いもなく最短距離で外の様子を確認してきてくれたサキヒコに礼を言う。
「アレだったな、あの広告でよく見るヤツ」
「壁とかにハマってケツだけ出てるヤツな」
知ってんのかよ! と叫びたくなる衝動を抑え、気持ちを落ち着かせるためサキヒコの頭を撫でる。滑らかで触り心地よいい髪だ、手櫛をかけてみるのはもちろん、綺麗に切り揃えられた毛先をなぞるのもなかなか楽しい。
「ミ、ミツキ……雨降りを確認した程度でこんなに褒めているようでは腱鞘炎になってしまうぞ?」
「ん? サキヒコくん愛でたくて勝手に撫でてただけだったんだけど……」
「褒美のつもりではなかったのか? 勘違いをした、忘れてくれ」
「忘れらんないよ。これ、ご褒美になるんだね」
「何十年と独りだった私にとって、他者との触れ合いはあの海から解放されたことを実感する一番の行為だ」
「そっか……サキヒコくんから来てくれてもいいからね?」
「そっ、そんなはしたない真似出来るか! 全くミツキは……」
顔を真っ赤にし、ぶつぶつと呟きながら透けて消えていく。もう少し恥じらう姿を見ていたかったな。
「みつき、おなかたくさん」
「ん? もうお腹いっぱい?」
「うん。ごちそうさま。ぜんぶむり、ごめんなさい」
「いいよいいよ、元々一人分じゃなかったし……でもいっぱい食べたね、二人分くらい? 普段からこのくらい用意した方がいいかな」
「……うん」
「分かった、母さんにも言っておくよ。こういうことは遠慮せず言ってくれていいからね?」
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