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二度寝を起こせ! (水月+ハル・カサネ・セイカ・リュウ・アキ・レイ・歌見)
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最後はハルだ。リュウへのイタズラでちょっとムラムラしているが、ハルにそういうイタズラをする訳にはいかない。
「おはようございま~す」
カーテンを開け、寝顔を観察。やはり髪は枕の上に上げてしまうんだな。サンと同じだ。寝返りを打った時に髪を身体の下敷きにしないようにだろうか、なんて考察してみる。
「さて……」
ハルは父親に襲われかけた経験から、父親に似た体格の男を怖がる。俺や歌見が近いらしい、サンに怯えている姿を見たことがないのは彼の髪が長くシルエットがまるきり違うからだろう。
「どうするかな」
俺は本来ハルにとって恐怖の対象、けれど彼は俺への信頼でそれを塗り潰している。不用意に触れるのは悪手だ、怯えさせてしまう。となると、レイ作戦で行くか。
「……ハル、ハール、ハル~、ハー、ルー」
床に膝立ちになり、ベッドに組んだ腕を置く。腕の上に頭を寝かせ、ハルの顔を見つめる。レイがよくやる仕草だ、レイは声をかけたりせず俺が自然と目を覚ますまで俺を無言で見つめているけれど。
「ん、んん……」
「ハル~、朝だぞ」
「んー……ふぁああ…………みっつん?」
大きく欠伸をし、目を擦り、開ける。ぼんやりとした目の焦点が合うとハルはその目を見開いた。
「……っ、ひゃあぁあああっ!?」
最後に起こしてよかった。早々に彼を起こしていたら、この声で他の彼氏達が全員起きて寝顔が見られないところだった。
「おはよう、ハル」
キィン……と耳が痛むのを隠して表情を作り、微笑む。
「お、おはよ……じゃないって! もぉ~びっくりしたぁ! 起きたら真横とかぁ! もぉ……ってかノーメイクの寝起き顔とか見ないでよぉ!」
「ノーメイクそんなに見せ慣れてないわけじゃないだろ?」
まぁ、パッと頭に浮かぶのはメイク済みの顔だから、眉の薄さやアイラインが引かれていないところ、あんまり睫毛が長くないところなんかに目が引かれてしまうけれど。
「ただのノーメイクと寝起きは違うの! ってか俺……あくびしたじゃん! 見た? 見たの? もぉ~……最悪ぅ~!」
「可愛かったぞ」
「可愛くないの! みっつんのバカ! メイク終わるまで俺見ないで!」
ぼふんっと枕を投げつけられてしまった。
「はぁ……」
怯えさせはしなかったが、機嫌を損ねてしまった。いや、アレは照れ隠しか? いやいや、アレは本当に機嫌を損ねていた気がする。
「鳴雷くん、鳴雷くん……!」
出入口の手前でカサネが手招きをしている。
「何です?」
「昔……SNSで見たんだ。すっぴん褒め過ぎるのはよくねって。素組みばっか持て囃されると気分良くねぇだろ?」
「そうですかね……いやでも俺今回そこまですっぴん褒めてないですよ。きっとびっくりさせちゃったから拗ねてるだけです。さ、みんなの寝顔見ましたし……二度寝を叩き起こしていきましょー」
「え……いや、手伝えねぇよ?」
ムリムリと首を横に振るカサネの隣でカンナは首を縦に振っている。ぼくは手伝うよ! ではなくカサネに同意するということだろう。一人で起こすか。
「みんな~、起きろ~!」
一度起こした者達だ、ひと声かけるだけでみんなベッドからのそのそと出てきてくれる。穂張兄弟以外は。
「はぁ……よく寝た。やっぱベッドいいな、欲しいよ」
「歌見せんぱいんち布団なんすか?」
「安アパート住みの大学生なんてだいたい布団だろ」
「天正、どうしたんだ?」
「……ちょお、寝かせて」
おっと、リュウもだな。目は覚めているが身体がダルいらしい。どうしたんだろうなぁ心当たりないなぁ、なんて白々しい目で見つめてみたり。
「鳴雷、天正なんか具合悪そう」
視線に気付いたセイカが不安そうに俺を呼んだ。
「へぇ? どんな具合だ?」
「分かんないけど……ちょっと熱い? 汗かいてる」
リュウの前髪を上げさせて手のひらを当て、セイカは眉尻を下げたまま俺に分かる全てを知らせてくれる。何も知らないセイカの純粋な心配にリュウは気まずそうに表情を歪め、俺は内心背徳感で昂っていた。
「微熱かなぁ、昨日はしゃぎ過ぎたんだろ。大したことないと思うけど、俺が見とくからセイカは朝支度してこいよ。俺もう全部終わってるし」
「うん……」
「あぁ、義足。ほら」
壁に立てかけてあった義足を取ってやると、セイカはそれを履いて立ち上がった。
「アキは……」
一人で歩けるとはいえ付き添いが欲しい。アキを探して首を回すと、彼はヒトに馬乗りになっていた。
「おーきーるーでーすぅー! おーきぃーるぅ!」
ヒトの胸ぐらを掴んで振り回したり、頬をぺちぺちと叩いたりしているが、ヒトは不快そうな声を上げたり顔を腕で隠すばかりで起きようとはしない。
《あぁもういい加減に起きろや拗らせヤクザぁ!》
「お、ロシア語出た。今のは暴言に鳴雷くんの魂を賭けるべ」
「まずは自分の魂を賭けてくださいよ」
カサネと話しつつ二人でセイカを見る、翻訳を求められたと察したセイカは顔を顰めた、普段より難しいのかな?
「複雑な……同志? かな?」
「暴言じゃねぇのか、ごめん鳴雷くん」
「いやいや起こそうとしてる時にそれ言うのおかしいって多分スラングだよ! スラングってことは暴言だから俺の魂は無事!」
「同志は確かマフィアとかギャングとかそういう意味だったと思う」
「てこたぁ複雑な同志はなかなか起きねぇ面倒なヤクザ野郎って意味か……暴言かな」
「あの勢いと声色で言うのはどんな言葉でも暴言でしょ、俺の魂返せ」
「……まだ寝てるの全員ヤクザか。ヤクザって寝起き悪いんだな」
「そうかな……そうかも……」
サンはもうヤクザじゃないだとか、寝起きの悪さにヤクザは関係ないだろとか、言うべきことはあったはずなのに何故か俺は納得しかけてしまった。
「恋人が複数人居る上にヤクザが複数人紛れている恐怖の只中に俺は居る」
「ホントだめっちゃ怖いじゃん」
「なまくそ怖ぇべ、モンスターハウスみてぇなもんじゃ」
「最高に可愛い男の子を集めた俺のハーレムをモンスターハウス呼ばわりとは許せませんよ先輩!」
「えぇ……? じゃあ、クマの巣……子グマは可愛いから」
「親は穂張達かぁ……クマの巣ってどんなの? 俺見たことない」
「俺もねぇよ、猟師以外は見たら死ぬ」
「え、怖……」
「俺のハーレムは見ても死にませんよ!」
クマの巣も見ただけでは死なない。なんてふざけてる場合じゃない、さっさと穂張兄弟を起こそう。
「おはようございま~す」
カーテンを開け、寝顔を観察。やはり髪は枕の上に上げてしまうんだな。サンと同じだ。寝返りを打った時に髪を身体の下敷きにしないようにだろうか、なんて考察してみる。
「さて……」
ハルは父親に襲われかけた経験から、父親に似た体格の男を怖がる。俺や歌見が近いらしい、サンに怯えている姿を見たことがないのは彼の髪が長くシルエットがまるきり違うからだろう。
「どうするかな」
俺は本来ハルにとって恐怖の対象、けれど彼は俺への信頼でそれを塗り潰している。不用意に触れるのは悪手だ、怯えさせてしまう。となると、レイ作戦で行くか。
「……ハル、ハール、ハル~、ハー、ルー」
床に膝立ちになり、ベッドに組んだ腕を置く。腕の上に頭を寝かせ、ハルの顔を見つめる。レイがよくやる仕草だ、レイは声をかけたりせず俺が自然と目を覚ますまで俺を無言で見つめているけれど。
「ん、んん……」
「ハル~、朝だぞ」
「んー……ふぁああ…………みっつん?」
大きく欠伸をし、目を擦り、開ける。ぼんやりとした目の焦点が合うとハルはその目を見開いた。
「……っ、ひゃあぁあああっ!?」
最後に起こしてよかった。早々に彼を起こしていたら、この声で他の彼氏達が全員起きて寝顔が見られないところだった。
「おはよう、ハル」
キィン……と耳が痛むのを隠して表情を作り、微笑む。
「お、おはよ……じゃないって! もぉ~びっくりしたぁ! 起きたら真横とかぁ! もぉ……ってかノーメイクの寝起き顔とか見ないでよぉ!」
「ノーメイクそんなに見せ慣れてないわけじゃないだろ?」
まぁ、パッと頭に浮かぶのはメイク済みの顔だから、眉の薄さやアイラインが引かれていないところ、あんまり睫毛が長くないところなんかに目が引かれてしまうけれど。
「ただのノーメイクと寝起きは違うの! ってか俺……あくびしたじゃん! 見た? 見たの? もぉ~……最悪ぅ~!」
「可愛かったぞ」
「可愛くないの! みっつんのバカ! メイク終わるまで俺見ないで!」
ぼふんっと枕を投げつけられてしまった。
「はぁ……」
怯えさせはしなかったが、機嫌を損ねてしまった。いや、アレは照れ隠しか? いやいや、アレは本当に機嫌を損ねていた気がする。
「鳴雷くん、鳴雷くん……!」
出入口の手前でカサネが手招きをしている。
「何です?」
「昔……SNSで見たんだ。すっぴん褒め過ぎるのはよくねって。素組みばっか持て囃されると気分良くねぇだろ?」
「そうですかね……いやでも俺今回そこまですっぴん褒めてないですよ。きっとびっくりさせちゃったから拗ねてるだけです。さ、みんなの寝顔見ましたし……二度寝を叩き起こしていきましょー」
「え……いや、手伝えねぇよ?」
ムリムリと首を横に振るカサネの隣でカンナは首を縦に振っている。ぼくは手伝うよ! ではなくカサネに同意するということだろう。一人で起こすか。
「みんな~、起きろ~!」
一度起こした者達だ、ひと声かけるだけでみんなベッドからのそのそと出てきてくれる。穂張兄弟以外は。
「はぁ……よく寝た。やっぱベッドいいな、欲しいよ」
「歌見せんぱいんち布団なんすか?」
「安アパート住みの大学生なんてだいたい布団だろ」
「天正、どうしたんだ?」
「……ちょお、寝かせて」
おっと、リュウもだな。目は覚めているが身体がダルいらしい。どうしたんだろうなぁ心当たりないなぁ、なんて白々しい目で見つめてみたり。
「鳴雷、天正なんか具合悪そう」
視線に気付いたセイカが不安そうに俺を呼んだ。
「へぇ? どんな具合だ?」
「分かんないけど……ちょっと熱い? 汗かいてる」
リュウの前髪を上げさせて手のひらを当て、セイカは眉尻を下げたまま俺に分かる全てを知らせてくれる。何も知らないセイカの純粋な心配にリュウは気まずそうに表情を歪め、俺は内心背徳感で昂っていた。
「微熱かなぁ、昨日はしゃぎ過ぎたんだろ。大したことないと思うけど、俺が見とくからセイカは朝支度してこいよ。俺もう全部終わってるし」
「うん……」
「あぁ、義足。ほら」
壁に立てかけてあった義足を取ってやると、セイカはそれを履いて立ち上がった。
「アキは……」
一人で歩けるとはいえ付き添いが欲しい。アキを探して首を回すと、彼はヒトに馬乗りになっていた。
「おーきーるーでーすぅー! おーきぃーるぅ!」
ヒトの胸ぐらを掴んで振り回したり、頬をぺちぺちと叩いたりしているが、ヒトは不快そうな声を上げたり顔を腕で隠すばかりで起きようとはしない。
《あぁもういい加減に起きろや拗らせヤクザぁ!》
「お、ロシア語出た。今のは暴言に鳴雷くんの魂を賭けるべ」
「まずは自分の魂を賭けてくださいよ」
カサネと話しつつ二人でセイカを見る、翻訳を求められたと察したセイカは顔を顰めた、普段より難しいのかな?
「複雑な……同志? かな?」
「暴言じゃねぇのか、ごめん鳴雷くん」
「いやいや起こそうとしてる時にそれ言うのおかしいって多分スラングだよ! スラングってことは暴言だから俺の魂は無事!」
「同志は確かマフィアとかギャングとかそういう意味だったと思う」
「てこたぁ複雑な同志はなかなか起きねぇ面倒なヤクザ野郎って意味か……暴言かな」
「あの勢いと声色で言うのはどんな言葉でも暴言でしょ、俺の魂返せ」
「……まだ寝てるの全員ヤクザか。ヤクザって寝起き悪いんだな」
「そうかな……そうかも……」
サンはもうヤクザじゃないだとか、寝起きの悪さにヤクザは関係ないだろとか、言うべきことはあったはずなのに何故か俺は納得しかけてしまった。
「恋人が複数人居る上にヤクザが複数人紛れている恐怖の只中に俺は居る」
「ホントだめっちゃ怖いじゃん」
「なまくそ怖ぇべ、モンスターハウスみてぇなもんじゃ」
「最高に可愛い男の子を集めた俺のハーレムをモンスターハウス呼ばわりとは許せませんよ先輩!」
「えぇ……? じゃあ、クマの巣……子グマは可愛いから」
「親は穂張達かぁ……クマの巣ってどんなの? 俺見たことない」
「俺もねぇよ、猟師以外は見たら死ぬ」
「え、怖……」
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