冴えないオタクでしたが高校デビューに成功したので男子校でハーレムを築こうと思います

ムーン

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サボり魔同士 (水月+サキヒコ・カサネ)

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都内トップクラスのセキュリティを誇る十二薔薇高校。学校に侵入したことなんてないから、平均はどのくらいだとか、他校とどう違うとかは具体的に分からないけれど、不可能ということは分かる。

「うーん……今日はもうコンちゃんに任せるのはどう?」

「…………ミツキ」

「そ、そんな顔しないでよ。分かったよ、とりあえず考えてみよう」

何もせず諦めるのはよくない。俺はスマホを使い、十二薔薇高校のホームページからセキュリティについて調べた。セキュリティなのだから綿密に記されている訳ではないが、参考にはなるだろう。

「サキヒコくんほら、全方位を監視するカメラだ。これだけでもう塀を登って侵入なんて無理なんだよ」

「ふむ……」

「門は登校時と下校時以外閉まってるし、警備員さんが常に居る。カメラに撮られたり警備員さんに見つかったら大騒ぎだよ、鳴雷が二人居る~って。せっかくコンちゃんに代役頼んだのに、そんなことになったらコンちゃんの頑張りも無駄にしちゃう」

「科学の進歩はすごいな……なら仕方ない、ミタマ殿に交代は無理だと連絡しておけ。連絡は早い方がいい」

「そうだね。セイカにメッセ送らないと」

昔の人は頭が固いというのが一般的な偏見だが、サキヒコはミフユよりも柔軟性があると感じることが多い。ネザメという頼りない主人が居なければ、ミフユもこういう子なのだろうか。

『高校のセキュリティがヤバいので、行けそうにありません。最後まで代理お願いします。とコンちゃんにお伝えください』

約束を破ることになるので、一部敬語にしておいた。それからしばらく、休み時間になったのかセイカから返信があった。

『は?』
『分かった』
『サボり魔』

罵倒付きだ。魔、と呼ばれるほど何度もサボった覚えはない。

「さて、と」

普段学校に行っている時間に自由にしていると、不思議なワクワク感がある。背徳感がスパイスとなり全てが非日常に色を変えるのだ。

「という訳で遊びに来ました~」

「……本当に身代わり登校出来るんだな、あののじゃ狐」

今俺はゲーム機を持ってカサネの家に遊びに来ている。事情も全て説明した。

「俺も頼みたいんだけど」

「ズルはよくないですよ、俺は仕方なくなのでセーフです」

「…………セ、セッ……くす、ぉ……終わんなかったからとかっ、俺のズルよりはるかに悪どいと思うんですけどっ! こ、高校生はっ、そういうことしちゃダメなんですけどっ」

説明をした時からカサネは顔を赤くしていた。黒と白のツートンカラーの髪で顔を隠すように俯きながら、可愛らしく俺を責めた。

「カサネ先輩ったらウブなんですねぇ」

「ニっ、ニヤニヤするなっ! こ、高校生がウブで何が悪い、R18な行為だろうが! 責任も取れないガキがそんなことしちゃダメなわけで、それくらいすぐ分かるわけでっ、高校生で経年済みのヤツとか全員ド低脳の猿なんですけどっ!」

「ド低脳はよくないですよ先輩」

「クサレ脳みその発情猿が!」

この過剰反応は潔癖症だとか真面目だとか、そういうのじゃない。非モテのやっかみだ。普通の人間関係を構築出来ないキモオタが正論だけを味方にして暴れるアレ。

「だ、第一っ……恋人の俺にっ、他のヤツとそういうことした話平気でするとか……神経疑うんですけどっ」

おや? 風向きが変わってきたな。嫉妬していただけなんだな、大人ウケはするコミュ障優等生ムーブじゃなかったのか。可愛いヤツめ。

「ごめんなさいカサネ先輩、配慮が足りませんでしたね。いくらハーレム受け入れてくれたからって、無神経に話して……」

「ぇ、あっ、ぅ……いやっ、俺……は、その……学生の身でそういうのはどうなんだって一般論をねっ?」

「男同士でセックスして、一体何の責任が発生するって言うんでしょう。病気? 怪我? ふふ……自分で稼いでないガキがヤるなってのは、子供がデキちゃったら大変だからなんですよ。俺達はただ気持ちよくなりたいだけ、お互いに愛してるって伝え合いたいだけ……」

後ずさるカサネを捕まえて、両肩に手を置いて優しく押し、ベッドに座らせる。そのままゆっくりと押し倒し、左手を肩に残したまま右手でシャツを──

「はっ……離せバカっ!」

──捲ろうとしたら殴られた。スマホの角で。頭を。

「いったぁ……」

「この変態っ、バカ! パウチカムイ! ヤるためにサボったくせに俺にまで手ぇ出そうとするとか……! ししっ、信じらんねぇべこのドスケベ性欲魔人」

酷い言われようだ。

「もー、痛いですよ先輩。嫌なら嫌って言ってくくれればしませんよ俺」

「……ぉ、お前、さ……身体目当てって訳じゃないよな?」

疑われてしまったな、性急過ぎたか。フタを抱いたばかりで興奮が冷めきっていないのと、満足するまでヤり尽くしたかったのにたったの二回で止められたのが効いている。

「違いますよ! ごめんなさい焦っちゃって」

「…………よく考えたらお前と部屋に二人きりで居るのめっちゃ危険な気がしてきた」

「俺はそこらの男よりずっと安全ですよ」

「フランク、俺が噛めって言ったら噛むんだぞ」

ベッド脇の犬用ベッドに横たわっているパグ犬は耳を僅かに揺らし、ぱちりと目を開け、また目を閉じた。口からは舌がはみ出ている。

「フランクちゃん寝てるところばっかり見ますけど、結構お歳なんですか?」

「多分一歳半くらい? 根治祝いにもらってきたんだ、飼育崩壊したブリーダーんとこの仔犬だったから正確な誕生日はちょっと分かんなくてさ」

「お若い。来客時には犬は興奮するものでは? 他人居るのに寝てるって、体調悪いのかなーと思うんですけど」

「フランクはこういうもんなんだよ」

個人差、いや個犬差と言われてしまえばそれまでだ。少し心配していたが飼い主がこう言うのなら平気なのだろう、俺は犬を眺めるのをやめ、持ってきていたゲーム機を持った。
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