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お昼、どうぞご一緒に
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二時間目が終わった後、セイカがスマホを見せながら尋ねてきた。
「鳴雷、今日先輩来てるらしいんだけど……」
スマホに表示されているのはメッセージ画面。
「みたいだな。ミフユさん達休みだからかな? あの人が学校来にくいのミフユさんも原因の一つだと思うんだよなぁ」
「うん……それでさ、あの……お昼、呼んじゃダメかな?」
「昼? 飯に?」
「う、うん……鳴雷が彼氏ばっかりのとこでくつろぎたいってのは分かるんだけど……昼休みくらいしか話すタイミングないし」
「……まぁ、俺は別にいいし、後でみんなに聞いてみるけど」
けど? とセイカが不安げな目で俺を見上げる。
「なんでそんなに繰言先輩に会いたいの? そんなにあの人気に入った?」
「ゃ、俺は別に……鳴雷にゲーム友達、作って欲しくて……」
「俺のため? セイカは別に先輩に会いたくないんだな?」
「…………まぁ、別に」
「分かった。じゃあセイカは繰言先輩から一番遠いとこ座って、一言も話すなよ」
「うん……」
ゾクッ、と背筋に快感が走った。頷いたセイカを見て、何故……何故かなんて分かっている。でも心の中ですら言葉にしたくなくて、汚い感情を認めたくなくて、分からないフリをしてセイカを愛でた。
次の休み時間、彼氏達に繰言と昼食を共にすることを伝えた。
「新しい彼氏?」
「いや」
「口説き予定~?」
「うーん……」
「ちが……のに、っしょに……はん、食べ……の?」
「俺は鳴雷の友達にどうかと思ってあの人に声掛けたんだけど、まぁ何にするかは鳴雷の自由だよ。どうするんだ?」
「……まだ考え中。とりあえず今日は一緒にお昼食べよってだけ。だから一応、俺がみんなと付き合ってることは隠して欲しいなって」
「…………じゃあ何ですか、セックスなしですか」
頷くとシュカは大きく舌打ちをし、もう話しかけるなとでも言うように教科書を開いた。
「態度悪~……」
「えっと……と、とにかく、不登校気味の気の弱い人だから、距離感気を付けてな」
繰言についての話はこれで終わりだ。後はネザメの誕生会への想像などをを話して過ごした。
今日はネザメもミフユも休みだが、俺達はいつも通り昼休みには生徒会長室へ向かった。
「紅葉さんが下駄箱に鍵を隠しておいてくれたんですよ。朝、取っておきました」
「学校休んで誕生日パーティとはえらいことしはるわ」
「しかも船上パーティだって~。ヤバいよね~」
弁当を片手にシュカが鍵を開けるのを待つ。セイカが階段への曲がり角の影に身体の前半分を隠しているのが見えて、何かあったのかと小走りで寄ってみた。
「セイカ……?」
「無理無理無理無理無理お誘いはほんと嬉しいマジありがとうでも無理無理無理人多過ぎ多過ぎ多過ぎ大杉栄」
繰言だ。ツートンカラーの頭を振って影から出ることを拒否している。
「無理って、そんな……ぁ、鳴雷、鳴雷も説得してくれよ。先輩一緒に食べないって言うんだよ」
「…………話すなって言ったよな」
セイカの後頭部にコツンと額をぶつけ、小さな声で低く呟く。
「ぁ……ご、ごめん」
「……いいから、先入っとけ。俺が連れて行くよ」
「うん。じゃあ鳴雷、あとお願い」
「えっちょ早苗ちゃんっ!?」
セイカは素直に会長室に入っていった。残された俺は繰言を見下ろし、繰言は俺から視線を外した。
「……いらしてくださって嬉しいです、繰言先輩」
「ぅうぅ嘘つけそんなっ、そんな訳ないっ、なんだよあの美形共はあんな中突っ込んでったら晒しもんになるっつーの陰キャ晒して笑うとか趣味悪いんですけどっ」
「今日はミフユさんもネザメさんも居ないので、どうぞおくつろぎ……ゆっくりしていってね」
下手にへりくだっていては逆に威圧感があるだろうかと、自分が超絶美形であることを思い出した俺は身を屈めて繰言の顔を覗き込んだ。
「ひぃいっ!? そんな顔間近で見せないんで欲しいんですけどSAN値減るってぇっ!」
「誰が神話生物ですか」
「APP最大値のNPCは逆に警戒しろってばあちゃんが言ってた!」
「TRPG精通ばあちゃんレア過ぎるでしょ。って誰がNPCだPL居るわ」
「…………おっ、お前……そっちのゲームもイケるんだ?」
「……一緒に遊ぶ友達居ないんで、リプレイ見たり……TRPG風RPGやったりくらいですけど」
「あっ、あはは、一緒一緒~。ネットで出来る環境整えたりはしたんだけどギリギリ勇気が出なくて募集に名乗り上げらんなくてって感じ。せっかくるるぶ買ったのに」
「俺も同じ感じで……ぁ、るるぶ何持ってます? 俺は──」
「みっつん何してんの~? 早く来て~!」
「…………行きましょうか」
「ア、アイツらも実はゲーム好きとか」
「そうでもないです」
「クソっ……お、おい、俺のせいで変な空気になると思うけどっ、お前が何とかしろよなっ」
気が小さいんだか態度がデカいんだか……こういう嫌なタイプの陰キャを見ていると昔の自分を思い出して不快になるんだよな。いや、俺はここまで酷くなかった、オタクの中でも陽よりだったと思う。思いたい。
「おまたせ」
「みっつん遅……! その人が繰言先輩~? こんにちは~!」
繰言のことは休み時間に彼氏達に話しておいた。気の弱い人だから距離感に気を付けてとも言っておいたのだが、ハルはそもそも俺や繰言とは感覚が違うようだ。
「ひっ、ギャル……!?」
繰言は素早く俺の背後に隠れた。自己紹介くらいして欲しいものだ。ひとまずなだめるか。その後ゆっくりと彼氏達の紹介だな。
「鳴雷、今日先輩来てるらしいんだけど……」
スマホに表示されているのはメッセージ画面。
「みたいだな。ミフユさん達休みだからかな? あの人が学校来にくいのミフユさんも原因の一つだと思うんだよなぁ」
「うん……それでさ、あの……お昼、呼んじゃダメかな?」
「昼? 飯に?」
「う、うん……鳴雷が彼氏ばっかりのとこでくつろぎたいってのは分かるんだけど……昼休みくらいしか話すタイミングないし」
「……まぁ、俺は別にいいし、後でみんなに聞いてみるけど」
けど? とセイカが不安げな目で俺を見上げる。
「なんでそんなに繰言先輩に会いたいの? そんなにあの人気に入った?」
「ゃ、俺は別に……鳴雷にゲーム友達、作って欲しくて……」
「俺のため? セイカは別に先輩に会いたくないんだな?」
「…………まぁ、別に」
「分かった。じゃあセイカは繰言先輩から一番遠いとこ座って、一言も話すなよ」
「うん……」
ゾクッ、と背筋に快感が走った。頷いたセイカを見て、何故……何故かなんて分かっている。でも心の中ですら言葉にしたくなくて、汚い感情を認めたくなくて、分からないフリをしてセイカを愛でた。
次の休み時間、彼氏達に繰言と昼食を共にすることを伝えた。
「新しい彼氏?」
「いや」
「口説き予定~?」
「うーん……」
「ちが……のに、っしょに……はん、食べ……の?」
「俺は鳴雷の友達にどうかと思ってあの人に声掛けたんだけど、まぁ何にするかは鳴雷の自由だよ。どうするんだ?」
「……まだ考え中。とりあえず今日は一緒にお昼食べよってだけ。だから一応、俺がみんなと付き合ってることは隠して欲しいなって」
「…………じゃあ何ですか、セックスなしですか」
頷くとシュカは大きく舌打ちをし、もう話しかけるなとでも言うように教科書を開いた。
「態度悪~……」
「えっと……と、とにかく、不登校気味の気の弱い人だから、距離感気を付けてな」
繰言についての話はこれで終わりだ。後はネザメの誕生会への想像などをを話して過ごした。
今日はネザメもミフユも休みだが、俺達はいつも通り昼休みには生徒会長室へ向かった。
「紅葉さんが下駄箱に鍵を隠しておいてくれたんですよ。朝、取っておきました」
「学校休んで誕生日パーティとはえらいことしはるわ」
「しかも船上パーティだって~。ヤバいよね~」
弁当を片手にシュカが鍵を開けるのを待つ。セイカが階段への曲がり角の影に身体の前半分を隠しているのが見えて、何かあったのかと小走りで寄ってみた。
「セイカ……?」
「無理無理無理無理無理お誘いはほんと嬉しいマジありがとうでも無理無理無理人多過ぎ多過ぎ多過ぎ大杉栄」
繰言だ。ツートンカラーの頭を振って影から出ることを拒否している。
「無理って、そんな……ぁ、鳴雷、鳴雷も説得してくれよ。先輩一緒に食べないって言うんだよ」
「…………話すなって言ったよな」
セイカの後頭部にコツンと額をぶつけ、小さな声で低く呟く。
「ぁ……ご、ごめん」
「……いいから、先入っとけ。俺が連れて行くよ」
「うん。じゃあ鳴雷、あとお願い」
「えっちょ早苗ちゃんっ!?」
セイカは素直に会長室に入っていった。残された俺は繰言を見下ろし、繰言は俺から視線を外した。
「……いらしてくださって嬉しいです、繰言先輩」
「ぅうぅ嘘つけそんなっ、そんな訳ないっ、なんだよあの美形共はあんな中突っ込んでったら晒しもんになるっつーの陰キャ晒して笑うとか趣味悪いんですけどっ」
「今日はミフユさんもネザメさんも居ないので、どうぞおくつろぎ……ゆっくりしていってね」
下手にへりくだっていては逆に威圧感があるだろうかと、自分が超絶美形であることを思い出した俺は身を屈めて繰言の顔を覗き込んだ。
「ひぃいっ!? そんな顔間近で見せないんで欲しいんですけどSAN値減るってぇっ!」
「誰が神話生物ですか」
「APP最大値のNPCは逆に警戒しろってばあちゃんが言ってた!」
「TRPG精通ばあちゃんレア過ぎるでしょ。って誰がNPCだPL居るわ」
「…………おっ、お前……そっちのゲームもイケるんだ?」
「……一緒に遊ぶ友達居ないんで、リプレイ見たり……TRPG風RPGやったりくらいですけど」
「あっ、あはは、一緒一緒~。ネットで出来る環境整えたりはしたんだけどギリギリ勇気が出なくて募集に名乗り上げらんなくてって感じ。せっかくるるぶ買ったのに」
「俺も同じ感じで……ぁ、るるぶ何持ってます? 俺は──」
「みっつん何してんの~? 早く来て~!」
「…………行きましょうか」
「ア、アイツらも実はゲーム好きとか」
「そうでもないです」
「クソっ……お、おい、俺のせいで変な空気になると思うけどっ、お前が何とかしろよなっ」
気が小さいんだか態度がデカいんだか……こういう嫌なタイプの陰キャを見ていると昔の自分を思い出して不快になるんだよな。いや、俺はここまで酷くなかった、オタクの中でも陽よりだったと思う。思いたい。
「おまたせ」
「みっつん遅……! その人が繰言先輩~? こんにちは~!」
繰言のことは休み時間に彼氏達に話しておいた。気の弱い人だから距離感に気を付けてとも言っておいたのだが、ハルはそもそも俺や繰言とは感覚が違うようだ。
「ひっ、ギャル……!?」
繰言は素早く俺の背後に隠れた。自己紹介くらいして欲しいものだ。ひとまずなだめるか。その後ゆっくりと彼氏達の紹介だな。
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