冴えないオタクでしたが高校デビューに成功したので男子校でハーレムを築こうと思います

ムーン

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カタルシスが欲しい

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高身長の男二人で寝転がるには、俺のベッドは頼りない。アキのベッドなら俺のよりも少し大きいからもっと快適だっただろう。

「えぇと……鳴雷さんが抱く側、入れる方……なんですよね? 私が穴側と……」

「は、はい。俺はそれがいいんですけど……いいですか? それで」

「構いませんよ。入れて擦って出す方の快感はそれなりに味わってきましたから」

ヒトは色気のある笑みを浮かべる。大人の余裕を見せたいのだろう。流石は最近男に目覚めたばかりのヤクザのボス。ゲイのガキがアダルトな女性遍歴を聞かされると心が死に脳が破壊されることを分かっていない。

(……いやこれわたくしが妙に初モノにこだわっちゃうタイプだからってだけなんですかね)

主語が大きかったかもしれない。ゲイでガキの皆さん、謝罪致します。なんて一人芝居を心の中で打っている場合ではない。

「…………早くシたいです。タイミングが悪いですねぇ」

ため息をつくヒトの伏した視線は俺の股間に注がれている。俺の陰茎はどれだけ興奮してもピクリともしない。本当にミタマの神通力の足しにされただけなのだろうか、実はEDになっていたりしないだろうか、怖くて仕方ない。

「どっちにしろ今日は出来ませんよ、お尻ちゃんと開発しないと入れられないんですから」

「開発……?」

「本来入れる場所ではないので、ゆっくり拡げていかないと切れちゃうんです」

「…………なるほど。じゃあそれしてください」

「今……ですか?」

「ダメですか?」

「俺はいいんですけど……こんなに積極的なの、なんかちょっと……無理してませんよね?」

「……してませんよ」

イマイチ信用出来ない。けれどここでこれ以上ゴネても「やっぱり私に興味ないんですね」なんて拗ねられかねない。無理をしているにせよ、最終的に俺が癒せば問題ない……か?

「脱ぎます?」

「ぁ……お、俺に! やらせてください!」

「脱がしたいんですか? じゃあ……どうぞ」

俺の服を着たヒトは緩く腕を拡げる。俺は緊張で上手く動かない手で服をゆっくりと剥いでいった。

「……随分緊張しているみたいですね」

「そ、そりゃ……しますよ。好きな人の服、脱がすなんて……」

「何度もしているんでしょう?」

「慣れませんよ……ヒトさんとはほぼ初めてだし」

「…………ふぅん」

口角が少し上がっている。喜んでいるのか? 何故?

「ん……? ふふっ、こうですか?」

ベッドに腰掛けていたヒトの肩に手を添えて押すと、彼は俺の望みを察して寝転がってくれた。ズボンに手をかけると腰を浮かせてくれる。

「……鳴雷さんは脱がないんですか?」

「あっ、脱いだ方が……いい、ですか?」

「そうですね……あぁそうだ、私が脱がしますよ」

せっかく押し倒したのにヒトはもう起き上がった。彼の筋張った手が俺から布を奪っていく。俺を下着姿にすると彼は俺をジロジロと眺めた。

「あ、あの……?」

「……いい身体してますね」

「あっ、ありがとうございます……ヒトさんこそ、素敵です。ジムとか行かれてるんですか?」

「ええ、まぁ……あなたは?」

「俺は家でコソコソと……わっ!?」

ヒトは俺の背に腕を回し、勢いよく寝転がって俺に覆い被さらせた。

「びっくりしたー……力、お強いですね」

「ふふ……」

「……あの、明かりは」

「このままで。前は少しも見えなかったので」

真っ暗な中での夜這いを思い返し、白く明るい光の下で見るヒトの身体に、刺青に、唾を飲む。背に回されていた腕が首元へ移るのを感じながら、俺はそっと顔を下ろして唇を重ねた。

「んっ……ん」

ヒトの方から舌を伸ばしてきてくれたけれど、あまり積極的には動かさない。舌を挿し込んでみるとちゅうっと吸われた。

「ん、んん…………はぁ……」

唇を離し、赤らんだ顔を見つめる。潤んだ瞳に煽られて首筋に吸い付く。手は胸へと移り、墨の入った肉厚なそこを揉みしだく。喉仏を甘噛みし、彼の足がピクピクと跳ねるのを足で感じる。

「……っ、ん……鳴雷さん、早くシたいんですってば……開発、さっさとしてください。首とか、喉とか……いいですから」

乳首を親指で押し潰してぐりぐりと弄びつつ、鎖骨に吸い付いていると血管の浮いた手に顔を彼から引き剥がされた。唾液を啜る俺を快感の滲んだ目で睨みながら、俺の両手首を掴んで胸から離す。

「せっかちなんですから……」

「……いけませんか?」

「お尻が最初っから性感帯なんて人はめったに居ないんですから、気分盛り上げておかないと気持ち悪くなったり苦しかったり痛かったりしますよ?」

「構いませんよ」

「俺は痛がらせたくないんです」

「痛くても構わないので、早く開発済ませてください。我慢しますから……終わったらたくさん褒めてください。それでいいです」

腕を掴まれたまま真剣な眼差しでそう言われ、迷う。

「……ヒトさんってやっぱりちょっとMっ気ありますよね。焦ってるとかじゃなくて……痛くされたいんですね?」

「痛いのが好きとかじゃなくて、辛いことを耐えた後に褒められたいんです」

リュウは痛みを欲しがって、その後のケアの時間は痛みほどは楽しんでいない。しかしヒトは痛みはそれほどだが、その後に甘やかされたい。と……

「…………辛いこと、いります? 褒めるだけじゃダメですか?」

「ダメです。カタルシスが必要なんですよ……全く犠牲を出さず、ただ怪物や殺人鬼を退治するだけの映画なんて面白くないでしょう? 仲間が何人も餌食になったからこそ、倒す瞬間が待ち遠しく、素晴らしい感動が生まれるんです」

言いたいことは分かるけれど、俺は怪物や殺人鬼が大暴れしているシーンの方が好きだし、ただ食欲だとかで動いているクリーチャーだとかだと退治されるのが可哀想にも思えてしまうタイプだ。

「……なるほど」

しかし、そんな僅かな趣味嗜好のズレは伝えない方がいい。ヒトは趣味が合い、気が合う俺を好んでいるのだから。

「分かってもらえましたか? やっぱりあなたとは気が合います。じゃあ、辛くしてください。その後たっ……ぷり褒めて、甘やかしてください」

この要望の付け方や、リュウが時折見せるワガママさを思い返すと、SはサービスのSなんて言説が真実に思えてくる。実際のサディストは違うのだろうけれど、プレイでS役をやるだけの俺はサービス精神全開でやっていかなくてはならない。

「……分かりました。じゃあ、道具使っていきますね」

しかし高校生に虐めた後に甘やかせなんて要求してくるアラサーの男って……イイね! 俺そういうの大好き。
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