冴えないオタクでしたが高校デビューに成功したので男子校でハーレムを築こうと思います

ムーン

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弟可愛い論争

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ディルド制作キットなるものをレイに贈られたアキはそれを持って俺をじっと見つめた。セイカに通訳してもらわなくともアキの言いたいことは分かる。

「……鳴雷、後で型取らせろってさ」

「だと思った。もちろんいいぞ、っていうか俺以外の取るつもりだったら泣いてた」

「それ二本くらい作れるんすよ。あんまりデカいの作ったら樹脂足りなくなっちゃいそうっすけど」

《二本くらい作れるってさ》

《マジ? んじゃ自分のでも作るかな》

両方とも俺の陰茎の型を元に作って欲しいところだけれど、そうもいかないだろうな。

「セイカ、アキどうするって?」

「自分の作ろうかなって言ってる」

「……なるほど」

俺は深い理解を示すため低い声でそう言い、周囲の彼氏を僅かにときめかせた。

「せんぱい、分かりますか」

「な、何が?」

「俺は手乗りポータル……部分空間転移モノがかなり好きなんですよ! そのアイテムをはめるだけで股間から消えるちんちん、片割れのポータルから現れるそのちんちん! セルフフェラも、受けに持たせて遠隔姦も何でも出来る……! その子自身が受けならばセルフファックもいいでしょう! そうつまり! 俺はアキが自分のディルドでオナる擬似セルフファックの可能性に興奮しているんです!」

「なんで俺に同意を求めた? なんで俺なら理解を示すと思った? 殴るぞ?」

単にオタク仲間だからという理由だったが、歌見は何故かキレている。

「……俺は魔法のオナホ派だ。オナホと感覚が繋がってしまうアレ……繋がっているとは知らず、何もないのに誰かに犯されている感覚だけが送られ、場所を問わず意思に反して快楽を与えられてしまう……! アレ、めちゃくちゃイイ」

理解を示しているようなものじゃないか。さっきの怒り何だったんだ。

「もちろん俺もそれ好きです!」

《……秋風、お前自分のなんか作ってどうする気なんだ?》

《自分のちんぽ自分に入れて実力を見たいって考えは男なら誰しもが持ってると思うぜ》

《持ってる訳ねぇだろ変態》

《俺が使った後ならスェカーチカも使っていいぜ、俺ディルド》

《……ギリ浮気になりそうだし、お前のってこんなのかぁって知ったらその後色んな場面で頭に浮かぶようになりそうで嫌だから、いらない》

「アクメビームとかもう最高、死角から腹に打たれるとかもう……もう、な!」

「せんぱい同意なし快楽ぶっ込み系好きなんですね」

「好き! 嫌なのにとかじゃなくて、知らないうちに狙われて急に快楽だけ来るの最高」

それはされる側として見ているのだろうか。今後歌見とのプレイについて使える情報だ、脳内メモに残しておかねば。

「ねぇ~……キモイ話してないでさ~、次の人渡そ~? 次ナナさんだよね~」

「あっ、あぁ、そうだったな」

「……ナナさんはマトモだと思ってたのにな~」

ボソッと呟かれた内容にショックを受けたようで歌見は目に見えて落ち込んでいる。可愛い。

「えっと……俺からのプレゼントはこれだ。受け取ってくれ、アキくん」

歌見は落ち込んだまま無理に笑顔を作ってプレゼントを渡した。そこそこのサイズだが、軽そうだ。

「ありがとー、です。ななー」

「可愛い……癒される。なんでド変態の水月の弟はこんなに可愛くて、真面目に生きてる俺の妹はあんなどうしようもないカスなんだ……悔しい、妬ましい、憎らしいぞ水月……」

「そんな、とばっちりですよ!」

「妹にカスとか言うんだ~……なんか、ナナさんの知りたくなかったとこどんどん知ってくな~」

「いやホントにカスなんだ! 誤解しないでくれ! カスなんだよ!」

ハルからの冷ややかな目を受ける歌見を尻目にアキは彼からのプレゼントの開封を終えた。タオル……だろうか、何枚かある、タオル詰め合わせか?

「これー……?」

「サウナハットだ。サウナ好きにはこれ! って紹介されてたから買ってみた。ついでに同じコーナーに置いてたサウナ向けのタオルも三枚ほど」

サウナハットと言うらしい独特な見た目の帽子をアキは興味深そうに眺め、被った。

《……なかなかいい被り心地だぜ。タオルも……使ってみねぇとどんなもんか分かんねぇけど、絶対使うもんだからな。嬉しいぜ》

「喜んでる。嬉しいってさ」

「そうか、よかった……」

「……サウナって帽子被るもんなんです?」

「のぼせにくくなって、髪が傷みにくくなるって棚に貼ってあったぞ」

全ての水分が奪われていきそうなあんな場所に長時間居たら、そりゃ熱と乾燥で髪の毛にダメージが入る。なるほどな、と納得した俺は帽子を被った姿も可愛いよとアキを褒めた。

「ありがとー、です。にーに」

「はぁー……可愛い。俺の弟より可愛い弟この世に存在しないのでは?」

「……秋風ほど可愛くないかもしれないけど、ほむらの方が頭良くて真面目だ」

セイカがお兄ちゃんらしさを見せたことに萌えていると、背後からぐいっと服を引っ張られた。

「ぼくのっ、おとーと……日本中が、かわい……言ってる!」

「……! そうだしぐの弟カミアじゃん! カミア超可愛いよみっつん! アキくんのが顔は可愛いかもだけど、なんか結構下ネタキツいらしいし総合的にはカミアのが上じゃない!?」

確かに、清楚さや可憐さという土俵ではアキは弱い。

「ボク弟だよ、兄貴二人居る」

「歳上だからかちょっと弟感が薄くて……」

サンは時々末っ子らしい可愛さを見せてくれるけれど、それよりも歳上の魅力を見せてくれる方が多い。

「ハル、自分も弟やんけ」

「自分よりカミアに票入れたい」

「アイドルやってるようなヤツより絶対ほむらのが頭いい」

知力以外に推すところがないのか?

「はぁ……不毛だな、兄や姉から見れば自分のところの弟や妹が一番可愛いに決まっている、比べることなど出来る訳がないだろう。秋風、ミフユからプレゼントを渡すぞ。狭雲、翻訳に戻ってくれるか」

「あ、はい……ごめんなさい。でもほむらが一番頭いいから……」

「それは認める」

「ぅん……カミア、ばか」

「……じゃあいいや」

セイカは一人議論から抜けて翻訳の役目に戻った。俺とカンナは論争を続けよう、勝ち負けだとかは関係ない、相手の弟をこき下ろすような真似はしない、ただ自分の弟の可愛いエピソードを話し合うだけの論争を!
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