冴えないオタクでしたが高校デビューに成功したので男子校でハーレムを築こうと思います

ムーン

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決まらない役割

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あまり気乗りしない様子のネザメににじり寄る。彼は下は脱いでくれたが、上は着たままだ。陰茎は裾を引っ張って隠しているが、その分尻が丸見えになっている。

「俺とするの嫌ですか? 前は光栄だって言ってくれてたじゃないですか」

「……もちろん光栄だよ。美しい君と肌を合わせるなんて、これほど素晴らしいことはそうないだろう」

「じゃあっ……」

「…………僕に君を抱かせて欲しいなぁ」

亜麻色の髪を揺らし、優しく微笑む。やはりネザメは耽美という言葉の擬人化のような人だ。セックスのお誘いだと言うのにそんな雰囲気を全く感じさせない。

「ね、水月くん……いいアイディアだとは思わないかい? 君はそちらの気持ちは味わったことがないだろう? ちゃんと分かっていた方が彼らをより深く愛せると思うんだ。だから、水月くん。僕に身を任せてごらん?」

「ネザメさん……それはあなたも同じでしょう? 抱かれる側の気持ちは知らないじゃないですか。俺はそんなネザメさんこそを愛し尽くして差し上げたいんです」

「ぁ、愛し尽くして……!? あぁ、そんな、そんなふうに言わないで水月くん、ダメだよ、何も考えられなくなってしまう」

一気に耳まで赤くしたネザメは頬に手を当ててぶんぶんと首を横に振った、一挙手一投足が上品な彼らしくない仕草だ。しかし、だからこそ可愛い。

「お可愛らしい……やっぱりあなたは俺に抱かれるべきです。あんな名家に育って、色んな重圧もあるでしょう。少しの間だけでもそれから解放してあげたい……俺の前では上に立つ者として振る舞わなくていいんですよ、そうさせてみせます。ネザメさん、どうか俺に身を任せてくれませんか?」

「……っ、や……嫌っ、だよ。嫌だ……」

押し倒そうとするとネザメはか細い声で嫌がった。これは手を出す訳にはいかないな……彼を抱くまでにはまだかかりそうだ。

「…………分かりました、じゃあ今日はとりあえず保留にしましょう。兜合わせにしましょっか、それならいいでしょう? ねっ? ダメ……ですか?」

「……それならいいよ、しようか」

「ありがとうございます! お洋服汚れちゃったらいけませんし、脱ぎません?」

「…………分かった」

ようやく上も脱いでくれた。ネザメの裸はそこそこレアだ、目に焼き付けなければ。

(脳内フォルダがパンパンになりますな、ふほほっ)

自前の亜麻色の髪と瞳から分かる通り、ネザメは色素が薄い。しかしアルビノのアキ程ではないため、アキのように血管が透けて赤っぽい肌をしていたりはせず、青白い肌をしている。

「ネザメさんはやっぱり色白ですね、綺麗ですよ」

頬を撫でるとネザメはゆっくりと目を閉ざし、首を傾けて俺の手に擦り寄った。やっぱりタチよりネコ向きだよこの人。

「アキは赤っぽいんですけど、ネザメさんは青っぽくて……なんか、より儚いって言うか、浮世離れしてて……すごく、イイと思います。そんなあなたが俺が少し話しただけで真っ赤になって照れてくれたり、生き生きした顔をしてくれたりして……俺本当に嬉しいんです、あなたが俺を好きになってくれたこと」

「…………君は美しいもの。誰だって好きになるよ」

「ありがとうございます、でも……好きな人に好きになってもらえるって、何回味わっても感動するものですよ」

撫でていない方の頬にキスをし、空いている手でネザメの太腿に触れる。ピクッと跳ねるような震えるような微かな反応に萌えつつ、内腿を手の甲で擦りつつ、陰茎へと手を進める。

「……っ」

ネザメはぎゅっと目を閉じている。

「触りますよ」

分かっているとは思うが念のため声をかけ、ほんの少しだけ硬くなり始めていたそれを握る。頬へのキスはそのまま続けて、手の方は少しずつ移動させていく。人差し指と中指は人によってはもみあげのある箇所へ、ネザメは少し産毛が長めなだけのそこを、慎重に撫でる。肌に触れるか触れないかも曖昧なくらい優しく撫でていく。

「ネザメさん、いい匂いしますね。シャンプーですか? 香水? ネザメさんの匂いかな……髪は少し、焼肉臭い……ふふっ、俺も多分そうです」

指と唇での頬への愛撫がくすぐったかったのかネザメは首を縮めてぶるぶると震えた。手はそのままキスはやめ、髪に鼻をそっと埋めた。

「あぁでも、たくさんシたから……バーベキューの匂いより汗の方が勝っちゃうかもしれませんね。ねぇネザメさん、俺……汗臭くないですか? 引っ付いてて、どうです? 臭かったら少し離れようかなって思うんですけど」

ネザメは目も口も硬く閉ざしたまま開こうとしない。陰茎もじわじわと硬くなっているが、前者はもう少し柔らかくなってもらわねば困る。緊張も無口も愛らしいが、ネザメとはもっとコミュニケーションを取りたい。

「……ネザメさん、話しかけられるの……嫌ですか?」

「へっ……? そ、そんなことっ、そんなことありえないよ」

「そうですか……? お返事全然もらえなかったので、嫌なのかなって……兜合わせとかも俺が強引に言ったことですし、嫌だったのかなって。もし嫌ならちゃんと言って欲しいんです、嫌なことはしたくありませんから」

「……嫌じゃあないんだよ? ただ……その、照れたり、緊張したり……してしまって、上手く話せなくて」

「そうなんですね、やっぱりお可愛らしいです。じゃあお返事は無理してしなくていいので、俺が聞くことに頷いたり首振ったりしてくれますか? ほんのちょっとだけでも俺分かってみせますから」

ネザメは小さく頷いた。

「……よかった。じゃあ改めて、俺臭くないですか?」

ネザメはまた小さく頷いた。聞き方が悪かったな、臭くない……でいいんだよな?

「そうですか……よかった、続けますね」

ほっと胸を撫で下ろしたその時、ネザメは捕食者のように素早く俺の首に腕を回した。突然の積極性に驚いて首を引くと、ぎゅうぅっと目を閉じたネザメの顔が可愛くて、勝手に口角が上がった。

(何この可愛い生物!)

緩んだ顔が元に戻らない。ネザメが俺の顔を見る前に戻さなければと頬に力を入れる──すん、と耳の少し後ろでネザメが鼻を鳴らした。思わず身体の全ての動きを止めて、目以外の全ての感覚器官でネザメを観察する。ネザメはすんすんと鼻を鳴らして俺の匂いを嗅いでいる。

「……汗臭いけど、この匂い僕は好きだよ」

微かな声でそう教えられて、心臓を握り潰されたのかと勘違いするほどのときめきを味わった。
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