冴えないオタクでしたが高校デビューに成功したので男子校でハーレムを築こうと思います

ムーン

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バブみが出ない

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湯船に浸かり、身体を洗っている歌見を眺める。

「でもパイセン、やっぱり義足ない方がセイカ様どこにも行かない可能性高くないですか?」

「前までならそうかもしれんがもう俺達と知り合ってるし、今日みたいにほいほい連れ出されるぞ」

「ゔあー……」

「あった方がいいだろ? なかったら狭雲は自分の力じゃお前のとこに帰ってこれないぞ」

「…………ですな~。はぁ、義足使わせないならもっと序盤にアキにも会わせず監禁ルートだったって訳ですか」

「怖いなお前」

「本気じゃごぜぁーせんよ」

なんて話しながら身体を清め、脱衣所で共に着替え、頭を乾かす。

「……しかし何だ、お前狭雲には随分気持ち悪い感情抱いてるんだな。俺にはそういう重苦しいのないのか?」

「全員にありますぞ。でなきゃ恋人なんて言えませんもの。ストレスかかったり疲れてたりしなきゃ理性で抑え込めるので、ガンガンストレスかけてくるセイカ様には出やすいってだけで愛情の重さ深さは平等なつもりでそ」

「…………お前の恋人の概念気持ち悪いな」

「気持ち悪い気持ち悪いってパイセンの方こそ愛情が行方不明ではぁ!?」

「俺はお前の気持ち悪いところが好きなんだ、前にも言ったと思うが?」

「あ……ぅへへへへ」

共にアキの部屋に戻るとシャワーを終えたらしいアキとセイカがイチャついていた。

《一日丸々会えなくて寂しかったぜスェカーチカ。スェカーチカ成分補給~》

ベッドに寝転がり緩く抱き合い、アキから一方的にキスの雨を降らされているセイカは満更でもなさそうな顔をしている。

《ん……? おぉ兄貴! 兄貴成分も足りなかったんだよ、しゃぶらせろ飲ませろ胃に寄越せー!》

俺に気付いたアキはガバッと起き上がり、ベッドから飛び降りて俺に向かって走ってきた。

「おっと……ふふふ、一日ぶりだなぁアキ。寂しい、しなかったか?」

「にーにぃ、会うする、欲しいするでした!」

「だよなぁ~? はぁんもう可愛い可愛いキュン死しそう!」

「……狭雲、風呂はどうする?」

「ぁ、うん。入ってくる。そこのシャワーだけでいいかな、もう……」

アキを抱き締めて頭皮の匂いを嗅ぎながら、ベッドから落ちたセイカが四つん這いでどこかへ向かおうとしている姿を視界の端に捉えた。

「セイカ、どこ行くんだ?」

「シャワーだけど……」

「送るよ」

セイカの服を脱がし、裸の彼を抱き上げてプールの脇にあるシャワールームへと運び、浴室用の小さな椅子に座らせてシャワーヘッドを握らせた。

「ぁ、ありがと……」

「……セイカ、ごめんな」

「へっ?」

「義足使っていいよ。落ち着いて考えたり、先輩と話したりして分かったんだ。義足があってもなくても一緒だって。どこかへ行っちゃう時は行っちゃう……今日だって、先輩達が連れて行ったんだから義足の有無なんて関係なかったんだ」

「…………」

「愛してるよセイカ、閉じ込めておきたい。でもセイカが一人でとか俺以外の人とかとどこかへ行きたいなら、そうしていいよ。でも約束してくれ、必ず帰ってくるって。その足で、俺のところに……今日みたいに」

歌見とは厚みが全く違う身体を抱き締める。

「抱き締めてやらなくて、蹴っ飛ばして、ごめんな。こうしたかったはずなのに……」

「…………約束も何も、鳴雷のとこしかないよ。俺が帰れる場所なんて」

「……そうか?」

「うん、俺には鳴雷だけ」

「そう、か……ならいいんだ。じゃあもう一つ約束してくれ、セイカ。出かける時は相手、目的地、帰宅時間を事前に俺に教えること。これはアキにも言っといてくれ」

「分かった」

「……うん。じゃあ……シャワー終わるの待ってる、外のカゴに着替え入れとくよ。義足も置いとくから」

「ありがと」

微笑んだセイカの頭を撫で、シャワールームを出た。シャワールームの手前にあるカゴに着替えと義足を運んだ後、セイカがたった今まで着ていた服を洗濯機に入れに行った。

「ただいま戻りました~」

意識して明るい声を出しながらアキの部屋に戻ると──

《やっぱりナナはエロい身体してるぜ、なんでさっきはチンポしかしゃぶらせてくれなかったんだよ。アンタの一番のエロポイントは胸だろ? 揉ませろほら》

「ア、アキくんっ? ちょっ、服の中に手ぇ突っ込むな! ぁっ、胸は、待て、ゃ、やめっ……!」

──歌見がアキに襲われていた。

「わーぉエロエロ……」

「あっ、水月、水月助けてくれ! 風呂入ったばっかで汗かきたくない!」

アキに襲われること自体はいいんだ。

「アーキ、やめろ。欲求不満か? お兄ちゃんの雄っぱいじゃダメか~? なーんて……」

冗談半分でシャツを捲って胸を晒してみると、アキは歌見を襲うのをやめて俺に飛びついてきた。しなやかな四肢で俺に絡みつき、胸に吸い付いた。

「夕飯の後も半ば無理矢理咥えられたし、口寂しいのかもな。ほら、居るだろ? 大人でもおしゃぶり欲しい人とか……タバコ依存はその代替行為だとか。子供の頃に愛情不足だとそうなるってヤツ。エロ漫画でチラッと見ただけだから信憑性あるのかは知らんが」

唇で乳首をマッサージするようにしつつ、先端を舌で撫で回しているアキが、歌見の話を聞いた途端により幼く見えた。自然と赤子にするように優しく抱き締めて頭を撫でていた。

《……やっぱ兄貴喘がねぇな、つまらん》

するとアキはすぐに俺の胸から口を離し、口周りを手の甲で拭った。

「アキ……? いいんだぞ、お兄ちゃんに甘えて」

《クソデカクマ野郎とやり合ったせいで腹と足が痛くてよ、しばらくケツイキしたくねぇんだよな。腹にも足にも力入るだろ? アレ。でも性欲溜まるしさぁ~、バカみてぇにチンコ扱いててもつまんねぇからよ。喘がせりゃイイオカズになるかと思ったんだが、イマイチだな。はぁ~ケツ以外でめっちゃ気持ちぃとこねぇかな》

「……な、なんか長々と不満そうに喋ってるぞ。水月、お前のバブみが足りないんだ! もっとおぎゃりたくなる雰囲気を出せ!」

「バブみ…………水月ママって呼んでぇ~ん」

「新しいママが来たって設定の芸人のコントレベルだ!」

「……ママですよ~」

「三流絵描きがママ系ヒロインが流行ってるって聞いただけで下調べせずに描いた特に設定のないセリフ付き一枚絵レベルだ!」

「…………アンタ宿題したんか!」

「それはママじゃないオカンだ水月!」

アキは俺に見向きもせずベッドに寝転がり、退屈そうにスマホを弄り始めた。俺はその場に崩れ落ち、敗北感を噛み締めた。
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