冴えないオタクでしたが高校デビューに成功したので男子校でハーレムを築こうと思います

ムーン

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一時休戦

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大きく上等なベッドにネザメを転がし、彼の腰に跨る。呆然としている彼の肩を緩く押さえ、唇を重ねる。

(無理矢理はしたくないので、受けでもいいかなって気にさせませんとな。本気で嫌がらない範囲で押さえ付けてペッティングをして……どうしましょう)

俺なら何をされても受け側に回ってやってもいいかななんて思わない。どうすればネザメの気を変えられるだろう。

「……ミ、ミフユっ、ミフユっ!」

焦った様子のネザメに呼ばれたミフユはベッドの傍に立ってもじもじしている、俺を引き剥がせないと判断し、どうするべきか悩んでいるのだろう。

「ネザメさん、ネザメさん落ち着いてください、襲ったりしませんから」

「あ……そ、そうですネザメ様っ、鳴雷一年生はとても優しい男ですよ」

ミフユが俺側についた? 意外だ、もうネザメの反応もミフユのこれからの動きも予想出来ない。とにかく誠実さをアピールしよう。

「絶対に嫌なことはしません。今日はもうどっちが攻めとかやめて、スキンシップだけにしましょうか。ゆっくりお話しながら……もちろんネザメさんからも俺に触ってくださって構いません」

「…………本当に嫌なことしない?」

「はい、誓います」

「……じゃあ見下ろすのをやめてもらえるかな」

頷いてネザメに跨るのをやめ、隣に寝転がる。ネザメは少し戸惑いつつも俺の方を向き、緊張を緩めた。

「腕枕しましょうか?」

左腕を差し出してそう尋ねるとネザメはふっと微笑んで俺の腕に頭を乗せた。いつもの余裕が戻ってきたように見える。

「……君は強いんだね。まさかミフユをあんなに簡単に倒してしまうなんて」

ミフユは確かに身体を鍛えてはいるが、筋肉質と呼べるほどではないし、何よりとても小柄だ。何故ネザメはそんなにもミフユを信頼しているのだろう。ネザメに直接聞きたいところだが、ミフユが傍に居るのに「小さいんだから弱いだろ」とは言えない。言い方は考えなければ。

「まぁこれでも鍛えてるので……ミフユさん、ネザメさんに無礼を働く輩をバッタバッタ倒してきたりしたんですか?」

右手でネザメの腰を抱く、特に嫌がる素振りは見せなかったのでそのまま腰から肩甲骨までを何度か撫でた。身体を丸めている訳でもないのに背骨の気配がハッキリと分かる、俺にはない少年の危うさを残している。

「そうだね、幼稚園では僕に意地悪をした子をやっつけてくれたんだ。ねっ、ミフユ」

「そんなこともありましたね」

「へぇ……幼稚園の頃だけですか?」

「学校に通う歳にもなると、くだらない真似をする者は居なくなるものだ」

ミフユとネザメが通っていたような名家向けの小学校には、きっと外面を保てるような子しか入学出来ないのだろう。

「今もミフユはよくトレーニングをしているし、水月くんを押さえるくらい出来ると思ったんだけれどねぇ……」

「ぁ……しょっ、精進します! 次こそ、鳴雷一年生を倒せるように……!」

「いいよ、押さえ付けて無理矢理……だなんて、そんなことを言ってしまった自分が恥ずかしい。水月くんはこんなにも紳士的だと言うのに……」

可能な限り性欲を感じさせない触れ方を心がけて背中を緩く撫でているからか、ネザメは安心しきった表情で俺に更に近付き、俺の背に腕を回した。

「……ごめんね、水月くん」

「い、いえいえ、気にしないでください。結局出来なかったんだし……それくらい俺のこと好きになってくれたってことでしょう? 嬉しいですよ」

「優しいねぇ、少しは怒った方がいいよ?」

艶やかな手つきで俺の背を撫でたネザメの左手は俺の胸に回り、胸筋の谷間を探るように触れてきた。俺への警戒心はすっかりなくなったようだ。

「…………本当にごめんね。僕は多分、今まで君の内面をあまり見てこなかった。君は美しい……美し過ぎる、あまりにも眩くて、目を奪われてしまう。内面を知るためにあるはずの会話も、僕は君の美しい表情や仕草を引き出すために行っていただけだったのかもしれない」

胸から鎖骨を通って喉仏をなぞり、顎を過ぎて頬に至ったネザメの手はほんのりと温かい。

「君は内面も美しいと、そう何度か言ったね。本心だよ、でも……本気ではなかったかもしれない。僕はずっと君の容姿ばかりを愛でてきた。謝らせて欲しい……君はこんなにも素敵な人だったのに、僕は……あぁ、悔しいよ。ミフユは僕よりもずっと早くに君の心の美しさに魅了されていたのにね」

「……俺の心は美しくなんてないですよ、十一股してる男ですよ?」

俺は美少年が好きだ、全ての美少年に幸せになって欲しい、その幸せが俺の手によるものなら尚更いい。だから俺は強引な手段はあまり選ばない、嫌がる表情もイイとは思うが可哀想な目には遭って欲しくない。それだけだ、勃っていても手を引けるのは優しさや美しさなんかじゃない。

「愛に満ちている証拠だよ、君のその大きく深い愛を一人に注げばその者はたちまち壊れてしまうだろう」

俺は美少年に好かれたい、好きな人にしか見せない顔が見たい、俺に愛されて幸せだと言われるのが何よりの喜びだ。母は語っていた、酔い潰れて同じホテルに泊まることになっても手を出してこない男は信用されがち……と。短絡的に手を出しては長期的な付き合いは望めない、完全同意を引き出すまで決定的なことをしないのはただの打算だ、忍耐力が優れているからでもまともな倫理観があるからでもない。

「…………俺はそんな大した男じゃないです」

「僕が小さな男を好きになるとでも?」

ミフユがピクッと身体を跳ねさせた。この場合の「小さな男」は身長ではなく器のことだろうから気にするなと言ってやりたい。

「そんな……それは……」

「僕はいずれ紅葉家の当主になる者だ、人を見る目はきっとあるよ」

「そう……です、かね」

「そうだよ。ねぇ、水月くん……もう少し僕に深く触れてくれるかい?」

ネザメはシャツのボタンを二つ外し、ベルトを緩めた。俺は歓喜の奇声を上げそうになるのを堪えて頷き、ネザメを愛でていた手に性欲を宿らせた。
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