冴えないオタクでしたが高校デビューに成功したので男子校でハーレムを築こうと思います

ムーン

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付き合ってください

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後処理のためシュカはトイレに向かった。一人減ったとはいえ生徒会室はまだまだ賑やかで、俺は楽しく美味しく焼きそばパンを食べられる。やはり食事は誰かとしてこそだ。

「ねぇ~……みっつぅん」

「ん?」

「アイツらずーっと猥談してて俺話しにくいんだけどぉー……」

そういえば処女なのはもうハルだけなのか、いや、ネザメも処女か。ミフユはどうだろう、非処女っぽい……っとその前にまだ俺の彼氏じゃなかったな。

「ハルも猥談出来るようになりたいか? それとも、そもそも猥談そのものが嫌いか?」

「え……」

「猥談嫌ならやめさせるよ、もちろんハルが嫌がってるからなんて言わない」

「……みっつん人間出来すぎ、人生何周目~? 俺は……やめさせるまではアレだし……出来るようになりたい、かな」

ハルは過去の経験から軽度の男性恐怖症を患っているだけで、性に対する潔癖症などではない。まぁ、目の前で性行為を行われると嫌がるくらいの常識的な程度のものはあるが、それも最近薄まってきた。

「俺あんま話すネタないからさ~……俺だけいつまでもみっつんに抱かれないの、お高くとまってるみたいだしさぁ~」

「誰もそんなこと思ってないよ、行ってみてごらん。話すことないなら相槌打つだけでもいいと思うし」

「……そぉ? うん……じゃ、行ってみる」

リュウの隣、シュカが座っていた席に移動したハルは彼らの会話をじっと聞いている。どんなふうに参加していくのかなと耳をそばだてていたが、俺の右隣、ハルが座っていた席にミフユが移動してきたのでこちらに意識を向かわせあ。

「ミフユさん?」

「……話がある」

「あ、はい……なんでしょうか」

ネザメ関連の話だろう、何か注意事項とか? ミフユと近くで話せるのは嬉しいのだが、口調が威圧的だから少し怖いな。

「……貴様、いつもパンなのか?」

「あ、はい。いつもは母が作ってくれてたんですけど家がリフォーム中で別々で暮らしてるので……朝から作るの面倒で、パン買ってます。誰か彼氏のためなら作れるんでしょうけど、自分のってなると雑になっちゃって……」

ミフユにだらしないところを教えるのは勇気が要る。叱られないだろうかとドキドキしていたが、彼の返事は意外なものだった。

「自分が貴様の分も作ろうか?」

「えっ? いいんですか? そんな……」

「二人も三人も手間はさほど変わらない。ネザメ様の分に一番見た目や味がいい部分が当たることにはなるが、そのパンよりは味も栄養バランスも高水準のはずだ」

ネザメの恋人として認めてくれたということだろうか? 大切な主人の恋人だから俺の健康も守ってくれるのか? なんにせよミフユの手料理が食べられるのは嬉しい。

「ありがとうございます、甘えさせていただいていいですか?」

「アレルギー等があれば教えておくように」

「特にありません、何でも食べます」

「そうか」

暫しの沈黙が訪れる。ミフユは一瞬ネザメに視線をやった後、再び俺を見上げた。

「……自分が何故こんな提案をしたのか、分かるな?」

「えっ? ネザメさんの恋人の俺には、正しい食生活を送る義務がある……とかなんか、そういう話ですか?」

「違う……自分が個人的に貴様に食べさせたくなったんだ。その……どうやら、貴様を好きになってしまったらしくてな」

照れているのか俯いて俺から視線を外してしまったミフユは、またネザメの方を見た。ネザメもミフユを見つめており、暖かい微笑みを向けている。告白の相談だとかを受けていたのだろうか。

「よければ自分とも、その、なんだ、付き合いをして欲しい」

「もちろんです! ありがとうございますミフユさん、俺のことを好きになれ好きになれって毎晩祈った甲斐がありました! 俺今すごく嬉しいです、大切にします、絶対幸せだって思わせてみせますから!」

「………………そんなに喜ぶほど、自分を気に入っていたのか?」

「はい! 大好きです!」

「そうか……それは、少し…………心が痛むな」

この深いため息は告白成功の安堵から来るものだろうか? 

「前立腺は確かにちんこバグってもうたんかっちゅうくらい出るからなぁ、せやけど俺は結腸のが好きや! 奥ずんずんすんねん、前立腺のんとは全然種類がちゃう重ったい気持ちええんが頭の方のぼってきてなぁ、ぐぁーっ! ってくんねん。結腸体験した方がええで」

「そ、そぉ~……? それってやっぱり、手とかじゃ無理なんだよねー……」

「す、ごく……ふわ、ふわ、して……幸せ、なるよ」

「ちょっと抱き締め合うだけでもめっちゃ幸せだけどなぁ~……んー、気になるぅ~」

猥談の方へ意識を戻してみると、ハルが結腸イキに興味を惹かれているようだった。俺はガッツポーズを決め、リュウとカンナに「ナイスアシスト」と叫んだ、当然心の中で。

「乳首もええで。しぐは開発してもろた?」

「んーん」

「そーなん。軟膏塗ってな、絆創膏貼ってな、風呂以外では絶対剥がさんようにして、風呂場で軽ーぅマッサージすんねん。どんだけ痒なっても掻いたりつねったりしたアカンねん、それ一週間くらいやったら大分変わんで」

「へー……」

「しぐもハルもやってみぃや、割かし簡単やで」

「うーん、気が向いたらね~」

カンナは無言のままだ、やはり彼の乳首はもう機能を失っているのだろうか。

「鳴雷一年生」

「はいっ!」

「……そんな大声で返事せずとも聞こえている。恋人としてまずは手を繋ごう」

子供のような小さな手がパッと開かれる。その手と手のひら同士を合わせ、指と指を絡め合った。いわゆる恋人繋ぎだ。

「ミフユさん……振り向いてくれてとても嬉しいです、でも、ネザメさんが好きなんじゃなかったんですか? もう……いいんですか?」

「……自分はネザメ様に恋愛感情など向けてはいない。気にするな」

とても本当のことを言っているようには見えない。まぁいい、まずはネザメを好きな感情ごと愛してやって、俺のことを見る気になったその心の変化を少しずつ大きくさせてやろう。
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