595 / 909
第三十三章 神々の全面戦争
番外編 帝王誕生秘話
しおりを挟む
古来、創造神が一対の人間を創り、それを人界に追放した頃。バアル・ゼブルはまだ順当なる神性だった。
創造神の子ではあったが決して協力関係にはなく、仕事を任されることもなく、バアルは暇潰しに増えていく人間を眺めていた。人間の世話は天使が行っていて、バアルに仕事は無いはずだった。
だが彼は気紛れに嵐を起こしては収め、人間の信仰を得た。その行動が創造神との折り合いを更に悪くし、創造神の信徒は彼を嘲って呼び名を変えた。
崇高なる男神だったバアル・ゼブルは蝿の意味を込めてバアル・ゼブブと呼ばれ、豊穣神は不浄の神へ性質を変えた。
だが、豊穣神としての信仰も根強く、彼は神性を分かたれてしまった。嵐の神性は砂漠に渡り、太陽神に拾われた。一党に入ることによって半分になった神性も一柱の神として活動出来るまでに回復し、土地柄か豊穣神としての信仰も深く広まった。
彼はそこに定住し、その島の人間だけの願いを聞き入れるようになった。
一方、分かたれたもう一つの神性は人間に畏怖はされても敬愛はなく、創造神以外の神々の一党にも下れなかった。
不浄という性質上人間からは悪神や邪神として扱われ、元々は正当な神だったが為にその扱いに不満が募り、不機嫌なままに暴れてはまた畏れられる悪循環に嵌っていた。
信仰が足りず神力を失っていく一方の蝿は空腹に襲われて人間やその家畜を喰い漁った。天使との諍いも絶えず、その悪名だけが広まった。
生物を喰って手に入る神力はほんの僅かて、それ以上に手に入る魔力は性質を更に穢し空腹を煽った。四六時中喰い続けても弱っていき、思考もままならずただ貪るだけの蝿と化した蝿の元にある日執事風の男が現れた。
『……お久しぶりです、バアル・ゼブブ様』
蝿は彼に見覚えがなかった。当然だ、何度も争った天使の群れの中の一人など、ましてやその天使が堕ちた姿など、分かるはずもない。
『不肖アスタロト、サタン様の命により貴方をお迎えに上がりました』
彼の言葉を理解するだけの知能は既に消えていたが、悪魔を喰っても魔力によって腹が減るだけだとは本能的に理解していた。だが、異常な飢えは蝿に口を開かせた。
『……っと、危ない。どうぞこちらへ、バアル・ゼブブ様…………さぁ、魔界の底に!』
弱り切って動きの鈍った巨大な蝿の動きを見切ることなど朝飯前。アスタロトは人界に開けた穴に──サタンの元へと堕とす穴に蝿を誘導した。
神性が高濃度の魔力に曝されてまともに動ける訳もなく、その巨体は赤黒い地面に横たわり、脚や触角はだらりと垂れた。
『御苦労、アスタロト。下がってよい』
『は……失礼します』
アスタロトは魔界の層を一段上り、自らの邸宅に戻った。
『蝿のバアル、不浄の神性、邪悪な神……貴様に相応しいのは神性ではなく魔性だ、そうは思わんか』
竜の尾が脚に触れても、竜の翼が身体に触れても、蝿は翅を震わすことも出来なかった。竜の角と翼と尾を持った浅黒い肌の男──サタンは蝿の後脚を二本掴み、引き摺って城に持ち帰った。
『……やだだーりん何それ気持ち悪い!』
玉座の前に置いて観察していると起きてきた妻リリスに捨ててこいと怒鳴られた。
『バアル・ゼブルを知っているか?』
『知らなーい。名前からして神性? 覚えたくもないわ』
『……そうか』
リリスは創造神に最初の女性として創られた、当然バアルとの面識もあるだろうと思っての質問だったが、彼女は興味のないものに脳の容量を割いていなかった。
『それが何なのよ、この気持ち悪い虫さっさと捨ててきて!』
『そう言うな、これは使える。悪魔に転生させればアスタロトに匹敵する強さになるぞ』
『……それが居れば上でふんぞり返ってる神、殺せるのね?』
リリスも創造神に恨みがあった。だが──
『でもダメ! 気持ち悪い!』
──それ以上に巨大な蝿の姿が気に入らなかった。
『蛇の魔女が虫を嫌うな』
『……その虫捨ててくるまでだーりんとは口聞かない! その虫に触ったとこは全部切り落として、手も、尻尾も、全部! そのまま触ったら離婚よ!』
『口を聞かない!? 離婚!? ま、待てリリス! 待ってくれ……ぁ……』
苛立ちに任せて強く閉められた扉が轟音を響かせる。寝室に戻る足音を聞きながら、サタンは落ち着きなく尻尾を振る。
『アスタロトに次ぐ悪魔……いやでも離婚……いや強力な悪魔…………離婚……』
その場でウロウロと回り、蝿の赤い眼に映った情けない姿に気が付き、サタンは蝿の前に屈んでため息をついた。革靴に刺々しい舌が弱々しく絡み、サタンは笑みを零す。
『余を喰らいたいと? ふん……やはり、惜しいな。欲しい人材だ。少し待て、その魂を悪魔に加工してやる。何、元々邪悪な神性だ、直ぐに終わる……』
サタンは眼の集合体である赤い球体に触れ、魔力を流し込んだ。彼はは堕天使や悪神なら簡単に悪魔に変えられた。
神性や天使のままでは魔力は毒になるのだ。信仰を失った神性や神に見放された天使は神力を手に入れられない、それでも生き長らえたければ魔力を消化できる悪魔に変わるしかない。
『……どうだ、気分は』
薄緑色の翅に黒い髑髏の模様が浮かぶ。
『腹が減っただろう、好きなだけ喰うといい』
サタンは自らの魔力を蝿に喰わせ続けた。しばらくすると蝿は横たわっていた身体を起こし、翅を震わせた。
『悪いが、妻はその姿が嫌いなようでな。人間に化けることは出来ないか?』
知能も戻った蝿はサタンの手に甘えるように舌を絡めている。
『バアル・ゼブルは豊穣神か……よし、ならばそれから分かたれた貴様は暴食の悪魔だ』
蝿の姿が歪み、翠の長い髪を持つ少年になる。それはバアルと全く同じ姿ではあったが、二対の翅と触角、それに複眼があった。
『ふむ、そうだな……バアル・ゼブルは男神だったな? ならば貴様は女だ』
サタンが頬と腰をひと撫ですると少年の身体が丸みを帯び、腰がくびれ、少女らしい身体になる。
『性器は……無いか。まぁ、必要無いだろう。貴様にある欲は食欲のみだ』
元は男神で悪魔は本来無性別。サタンが女体として作り替えたとしても、そう簡単に完全な女の身体にはならなかった。
『鬱陶しい髪だ、肩まであればいいな? 服は……そうだな、その翠髪に合わせて……だが邪魔はしないように、薄緑のドレスだ。よしよし可愛らしいぞ』
髪が肩の辺りの長さでぱつんと切れて落ち、飾り気のない薄緑色のワンピースが身体を包んだ。少女は困惑したように裾を持ち、不安そうに触角を揺らす。
『靴とコルセットは髪と同じ翠、レースは……白でいいだろう。紐と石は……瞳に合わせて赤だな』
少女の困惑など露ほども気に留めず、サタンは飾り気のないドレスを豪奢な物に変えていく。
『よし、ではバアル・ゼブル……ふむ、呼びにくいな。神性から魔性に変わったことだし、これからはベルゼブブと名乗るがいい。そう変えていないから違和感も差程ないだろう。ベルゼブブ、おいベルゼブブ、こちらを向け』
首元のレースとそこに飾られた赤い宝石を眺めていた少女はサタンの苛立った声に慌てて顔を上げ、その金眼を見つめて首を傾げた。
『愛称は……ブブ、でいいな』
『…………ぶぶ?』
『翅を鳴らすな、五月蝿いぞ』
ベルゼブブは翅を一瞬止めるが、再び震えさせて不快な音を鳴らす。
『……まぁいい、ほら鏡を見てみろ、可愛らしくなっただろう』
『…………可愛い?』
『あぁ、可愛い可愛い余の娘だ』
サタンは玉座に深く腰掛け、片方の足にもう片方の足の踝を乗せる足組みをする。その足の上にベルゼブブを呼び、横抱きにするように座らせると髪を撫でた。
『腹が減ったら魔獣を創ってやる。服や装身具もな。家も、従者も、好きなように創ってやる』
『……ありがとう、ございます。サタン? 様』
『礼は言うな。貴様はベルゼブブ、帝王だ。他者からの施しは献上と受け取るんだ、例えそうでなくてもな。偉ぶって労いひたすらに貪れ』
サタンはベルゼブブの髪を梳きながらもう片方の手の上に魔力を溜め、真っ赤な林檎を創り出した。ベルゼブブの目はそれに釘付けになる。
『サタン様、それを……下さいませんか』
『違うな。もっと偉そうに振る舞うんだ、自惚れを持ちそれに足る力を付けてこそ、貴様は名実ともに帝王になる』
『…………サタン、それを私に寄越しなさい』
『そうだ』
サタンはベルゼブブに林檎を渡し、くしゃくしゃと頭を撫でる。それによって整えられていた髪が乱れる。
『髪が乱れました。梳きなさい』
『そう……そうだ、ブブ……可愛い可愛い余の娘』
『もっと褒めなさい、もっと撫でなさい、もっと食い物を寄越しなさい』
『ふふ……悪魔らしい、素晴らしいぞブブ』
こうやってバアル・ゼブブはベルゼブブと名を僅かに変え、分かたれたバアル・ゼブルよりも長く素晴らしい暮らしを続け、サタンに並ぶ力を付けた。
こうやって地獄の帝王は完成した。
創造神の子ではあったが決して協力関係にはなく、仕事を任されることもなく、バアルは暇潰しに増えていく人間を眺めていた。人間の世話は天使が行っていて、バアルに仕事は無いはずだった。
だが彼は気紛れに嵐を起こしては収め、人間の信仰を得た。その行動が創造神との折り合いを更に悪くし、創造神の信徒は彼を嘲って呼び名を変えた。
崇高なる男神だったバアル・ゼブルは蝿の意味を込めてバアル・ゼブブと呼ばれ、豊穣神は不浄の神へ性質を変えた。
だが、豊穣神としての信仰も根強く、彼は神性を分かたれてしまった。嵐の神性は砂漠に渡り、太陽神に拾われた。一党に入ることによって半分になった神性も一柱の神として活動出来るまでに回復し、土地柄か豊穣神としての信仰も深く広まった。
彼はそこに定住し、その島の人間だけの願いを聞き入れるようになった。
一方、分かたれたもう一つの神性は人間に畏怖はされても敬愛はなく、創造神以外の神々の一党にも下れなかった。
不浄という性質上人間からは悪神や邪神として扱われ、元々は正当な神だったが為にその扱いに不満が募り、不機嫌なままに暴れてはまた畏れられる悪循環に嵌っていた。
信仰が足りず神力を失っていく一方の蝿は空腹に襲われて人間やその家畜を喰い漁った。天使との諍いも絶えず、その悪名だけが広まった。
生物を喰って手に入る神力はほんの僅かて、それ以上に手に入る魔力は性質を更に穢し空腹を煽った。四六時中喰い続けても弱っていき、思考もままならずただ貪るだけの蝿と化した蝿の元にある日執事風の男が現れた。
『……お久しぶりです、バアル・ゼブブ様』
蝿は彼に見覚えがなかった。当然だ、何度も争った天使の群れの中の一人など、ましてやその天使が堕ちた姿など、分かるはずもない。
『不肖アスタロト、サタン様の命により貴方をお迎えに上がりました』
彼の言葉を理解するだけの知能は既に消えていたが、悪魔を喰っても魔力によって腹が減るだけだとは本能的に理解していた。だが、異常な飢えは蝿に口を開かせた。
『……っと、危ない。どうぞこちらへ、バアル・ゼブブ様…………さぁ、魔界の底に!』
弱り切って動きの鈍った巨大な蝿の動きを見切ることなど朝飯前。アスタロトは人界に開けた穴に──サタンの元へと堕とす穴に蝿を誘導した。
神性が高濃度の魔力に曝されてまともに動ける訳もなく、その巨体は赤黒い地面に横たわり、脚や触角はだらりと垂れた。
『御苦労、アスタロト。下がってよい』
『は……失礼します』
アスタロトは魔界の層を一段上り、自らの邸宅に戻った。
『蝿のバアル、不浄の神性、邪悪な神……貴様に相応しいのは神性ではなく魔性だ、そうは思わんか』
竜の尾が脚に触れても、竜の翼が身体に触れても、蝿は翅を震わすことも出来なかった。竜の角と翼と尾を持った浅黒い肌の男──サタンは蝿の後脚を二本掴み、引き摺って城に持ち帰った。
『……やだだーりん何それ気持ち悪い!』
玉座の前に置いて観察していると起きてきた妻リリスに捨ててこいと怒鳴られた。
『バアル・ゼブルを知っているか?』
『知らなーい。名前からして神性? 覚えたくもないわ』
『……そうか』
リリスは創造神に最初の女性として創られた、当然バアルとの面識もあるだろうと思っての質問だったが、彼女は興味のないものに脳の容量を割いていなかった。
『それが何なのよ、この気持ち悪い虫さっさと捨ててきて!』
『そう言うな、これは使える。悪魔に転生させればアスタロトに匹敵する強さになるぞ』
『……それが居れば上でふんぞり返ってる神、殺せるのね?』
リリスも創造神に恨みがあった。だが──
『でもダメ! 気持ち悪い!』
──それ以上に巨大な蝿の姿が気に入らなかった。
『蛇の魔女が虫を嫌うな』
『……その虫捨ててくるまでだーりんとは口聞かない! その虫に触ったとこは全部切り落として、手も、尻尾も、全部! そのまま触ったら離婚よ!』
『口を聞かない!? 離婚!? ま、待てリリス! 待ってくれ……ぁ……』
苛立ちに任せて強く閉められた扉が轟音を響かせる。寝室に戻る足音を聞きながら、サタンは落ち着きなく尻尾を振る。
『アスタロトに次ぐ悪魔……いやでも離婚……いや強力な悪魔…………離婚……』
その場でウロウロと回り、蝿の赤い眼に映った情けない姿に気が付き、サタンは蝿の前に屈んでため息をついた。革靴に刺々しい舌が弱々しく絡み、サタンは笑みを零す。
『余を喰らいたいと? ふん……やはり、惜しいな。欲しい人材だ。少し待て、その魂を悪魔に加工してやる。何、元々邪悪な神性だ、直ぐに終わる……』
サタンは眼の集合体である赤い球体に触れ、魔力を流し込んだ。彼はは堕天使や悪神なら簡単に悪魔に変えられた。
神性や天使のままでは魔力は毒になるのだ。信仰を失った神性や神に見放された天使は神力を手に入れられない、それでも生き長らえたければ魔力を消化できる悪魔に変わるしかない。
『……どうだ、気分は』
薄緑色の翅に黒い髑髏の模様が浮かぶ。
『腹が減っただろう、好きなだけ喰うといい』
サタンは自らの魔力を蝿に喰わせ続けた。しばらくすると蝿は横たわっていた身体を起こし、翅を震わせた。
『悪いが、妻はその姿が嫌いなようでな。人間に化けることは出来ないか?』
知能も戻った蝿はサタンの手に甘えるように舌を絡めている。
『バアル・ゼブルは豊穣神か……よし、ならばそれから分かたれた貴様は暴食の悪魔だ』
蝿の姿が歪み、翠の長い髪を持つ少年になる。それはバアルと全く同じ姿ではあったが、二対の翅と触角、それに複眼があった。
『ふむ、そうだな……バアル・ゼブルは男神だったな? ならば貴様は女だ』
サタンが頬と腰をひと撫ですると少年の身体が丸みを帯び、腰がくびれ、少女らしい身体になる。
『性器は……無いか。まぁ、必要無いだろう。貴様にある欲は食欲のみだ』
元は男神で悪魔は本来無性別。サタンが女体として作り替えたとしても、そう簡単に完全な女の身体にはならなかった。
『鬱陶しい髪だ、肩まであればいいな? 服は……そうだな、その翠髪に合わせて……だが邪魔はしないように、薄緑のドレスだ。よしよし可愛らしいぞ』
髪が肩の辺りの長さでぱつんと切れて落ち、飾り気のない薄緑色のワンピースが身体を包んだ。少女は困惑したように裾を持ち、不安そうに触角を揺らす。
『靴とコルセットは髪と同じ翠、レースは……白でいいだろう。紐と石は……瞳に合わせて赤だな』
少女の困惑など露ほども気に留めず、サタンは飾り気のないドレスを豪奢な物に変えていく。
『よし、ではバアル・ゼブル……ふむ、呼びにくいな。神性から魔性に変わったことだし、これからはベルゼブブと名乗るがいい。そう変えていないから違和感も差程ないだろう。ベルゼブブ、おいベルゼブブ、こちらを向け』
首元のレースとそこに飾られた赤い宝石を眺めていた少女はサタンの苛立った声に慌てて顔を上げ、その金眼を見つめて首を傾げた。
『愛称は……ブブ、でいいな』
『…………ぶぶ?』
『翅を鳴らすな、五月蝿いぞ』
ベルゼブブは翅を一瞬止めるが、再び震えさせて不快な音を鳴らす。
『……まぁいい、ほら鏡を見てみろ、可愛らしくなっただろう』
『…………可愛い?』
『あぁ、可愛い可愛い余の娘だ』
サタンは玉座に深く腰掛け、片方の足にもう片方の足の踝を乗せる足組みをする。その足の上にベルゼブブを呼び、横抱きにするように座らせると髪を撫でた。
『腹が減ったら魔獣を創ってやる。服や装身具もな。家も、従者も、好きなように創ってやる』
『……ありがとう、ございます。サタン? 様』
『礼は言うな。貴様はベルゼブブ、帝王だ。他者からの施しは献上と受け取るんだ、例えそうでなくてもな。偉ぶって労いひたすらに貪れ』
サタンはベルゼブブの髪を梳きながらもう片方の手の上に魔力を溜め、真っ赤な林檎を創り出した。ベルゼブブの目はそれに釘付けになる。
『サタン様、それを……下さいませんか』
『違うな。もっと偉そうに振る舞うんだ、自惚れを持ちそれに足る力を付けてこそ、貴様は名実ともに帝王になる』
『…………サタン、それを私に寄越しなさい』
『そうだ』
サタンはベルゼブブに林檎を渡し、くしゃくしゃと頭を撫でる。それによって整えられていた髪が乱れる。
『髪が乱れました。梳きなさい』
『そう……そうだ、ブブ……可愛い可愛い余の娘』
『もっと褒めなさい、もっと撫でなさい、もっと食い物を寄越しなさい』
『ふふ……悪魔らしい、素晴らしいぞブブ』
こうやってバアル・ゼブブはベルゼブブと名を僅かに変え、分かたれたバアル・ゼブルよりも長く素晴らしい暮らしを続け、サタンに並ぶ力を付けた。
こうやって地獄の帝王は完成した。
0
お気に入りに追加
436
あなたにおすすめの小説
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
御機嫌ようそしてさようなら ~王太子妃の選んだ最悪の結末
Hinaki
恋愛
令嬢の名はエリザベス。
生まれた瞬間より両親達が創る公爵邸と言う名の箱庭の中で生きていた。
全てがその箱庭の中でなされ、そして彼女は箱庭より外へは出される事はなかった。
ただ一つ月に一度彼女を訪ねる5歳年上の少年を除いては……。
時は流れエリザベスが15歳の乙女へと成長し未来の王太子妃として半年後の結婚を控えたある日に彼女を包み込んでいた世界は崩壊していく。
ゆるふわ設定の短編です。
完結済みなので予約投稿しています。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
〈完結〉この女を家に入れたことが父にとっての致命傷でした。
江戸川ばた散歩
ファンタジー
「私」アリサは父の後妻の言葉により、家を追い出されることとなる。
だがそれは待ち望んでいた日がやってきたでもあった。横領の罪で連座蟄居されられていた祖父の復活する日だった。
十年前、八歳の時からアリサは父と後妻により使用人として扱われてきた。
ところが自分の代わりに可愛がられてきたはずの異母妹ミュゼットまでもが、義母によって使用人に落とされてしまった。義母は自分の周囲に年頃の女が居ること自体が気に食わなかったのだ。
元々それぞれ自体は仲が悪い訳ではなかった二人は、お互い使用人の立場で二年間共に過ごすが、ミュゼットへの義母の仕打ちの酷さに、アリサは彼女を乳母のもとへ逃がす。
そして更に二年、とうとうその日が来た……
凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。
【長編・完結】私、12歳で死んだ。赤ちゃん還り?水魔法で救済じゃなくて、給水しますよー。
BBやっこ
ファンタジー
死因の毒殺は、意外とは言い切れない。だって貴族の後継者扱いだったから。けど、私はこの家の子ではないかもしれない。そこをつけいられて、親族と名乗る人達に好き勝手されていた。
辺境の地で魔物からの脅威に領地を守りながら、過ごした12年間。その生が終わった筈だったけど…雨。その日に辺境伯が連れて来た赤ん坊。「セリュートとでも名付けておけ」暫定後継者になった瞬間にいた、私は赤ちゃん??
私が、もう一度自分の人生を歩み始める物語。給水係と呼ばれる水魔法でお悩み解決?
『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?
釈 余白(しやく)
ファンタジー
HOT 1位!ファンタジー 3位! ありがとうございます!
父親が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。
その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。
最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。
その他、多数投稿しています!
https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる