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二度目の6月
405.リアトリス
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6月17日 土曜日
昨日の会話からしてみると花泉ちゃんはそれなりに向上心はあるんだと思うし、燃える思いがあるのも事実なんだろうし。そうでもなきゃ一年間作り続けるって難しいし、実際に焼き色とかは綺麗だったんだよね。だからちゃんと味見して、問題点が改善できたらクッキーは美味しくなると思う訳です。とは言え改善策は一先ず教えはしたけど、もう一度あのクッキーを出されて直ぐ口に入れる勇気は正直ちょっとないかもしれない。
それにしても高校生で初めてクッキーっていうのも珍しいけど、そう言う自分の最初に作ったのはなんだったのかなぁ……いや、バレンタインとか誰かに渡すものは勿論オーブンとかがあったから小学生位だけど、お家で食べるお菓子とかはもっと前から作ってたんだよね、確か。
「最初?何だったかしら……。」
ほら、聞いてみてもママも覚えてない。それくらい昔から作ってるから、一番最初って本当に記憶がないなぁ。勿論パパも一番最初は覚えてないし、何だったかなぁって衛を抱っこしながら言っていたら。
「一番最初はクッキーだったよ?」
とサラリと口にしたのは雪ちゃんだった。え?!そうなの?っていうか何で雪ちゃんが知ってるの?!って言ったら、雪ちゃんがニッコリしなから自分の家で作ったからと言う。
「ああ、義姉さんと作ったのか。」
パパが納得したみたいに言うけど、それってつまり『苣木』の方で作ってたってこと?って衛と一緒に雪ちゃんの横に座ると、そうだよって。チョコチップ入りのオートミールクッキーだったって言うけど、それって何歳のこと?
「あの時は俺がまだ中学だったから、麻希子は三歳くらいかな?」
「それって作ってたことにはいる?」
「ちゃんと作ってたよ?母が驚いて見て!p’tit lutinよ!雪!!って叫んでたから。」
p’tit lutin?プチ、なに?って問いかけると、雪ちゃんがもう一度繰り返してくれる。繰り返してくれるけど、英語じゃないよね?それ何処の言葉?伯母さんってアメリカの人じゃないの?んん?
「フランス語だな。p’tit lutinは小さな妖精って意味だ。」
え!パパ凄い!フランス語わかるの?って言ったら、義姉さんのお陰で少しだけなという。フランス語……伯母ちゃんってフランスの人?あんまり良く知らない出たんだけどって言ったらフランス系だねと雪ちゃんは笑っている。って小さな妖精?お菓子を作ってる私が?
「可愛かったからねぇ……。」
雪ちゃんがその時を思い出して染々言ってるけど、雪ちゃんはカメラアイじゃないんだよね?何か最近ちょっと疑問になってきたよ?その記憶力。でも流石に十年以上前じゃお味までは覚えてないよね。私、ちゃんとしたの作れてたのかなぁって粒やいたら、美味しかったよ?って普通に答えられた。覚えてるの?!雪ちゃん、ほんと?それにしてもよく覚えてるねぇっていったら、長すぎる恋愛のせいかだとかなんだとか……雪ちゃん?三歳っていったよね?三歳って。その時雪ちゃん中二だよね?って問いかけたら
「天使だったんだよね……。」
とか訳のわからないことを言い始めてる。ゆーきーちゃん?!ちょっと怖いよ?!それにしても三歳児が作ったクッキー……まあ、焼いたりは伯母ちゃんがやってくれたんだろうし、オートミールに混ぜ混ぜするだけだしなぁ。いや、普通のクッキーもある意味混ぜるだけだせどね。そうだよね、実はクッキーって簡単そうに見えて、凄く難しいんだよ。花泉ちゃんに生地を寝かせるのも教えてあげればよかったかなぁ?でも、あの子って調理部なんだよねぇ……実際一年あのクッキーを作り続けてるし。そういえば佐藤さんのお菓子って食べたことないけど、どうなんだろう……同じ味だったらちょっと怖いな。せめて美味しいのを作れるように指導……あんまり人の言うこと聞かないのかな……花泉ちゃん。うーん、最初の時の勢いを見てると、なんかそんな気もする。
「まーちゃん?僕もクッキーなら上手だよ!」
「そうだよねー、衛のイチゴのクッキー美味しいもんねー!」
ワシャワシャと頭を撫でながらハグしてあげると、キャーって衛は大喜びしている。そうなんだよね、衛はカッチリ分量でキッチリ作るタイプなので、一回作れればカメラアイで同じ手順でバッチリ。なので、ホワイトデーの辺りに私が教えたクッキーはもう完璧なんだよね。卵焼きとか目玉焼きみたいなその時その時で経験とかで微調整の方が苦手だから、火加減固定でカシャカシャすると出来るスクランブルエッグの方が得意ってのも納得。ってことは智美君もそうなのかなぁって思ったんだけど、考えてみたら高校で調理実習ってないし昔は野外研修があったらしいけど今はないんだよね。つまりお家でも調理をしない智美くんはきっと、まだ調理器具に触れたことがないのに気がつく。野外研修あったらよかったのにね。野外研修中に薪で怪我したり、調理で怪我したりが続いて野外研修は何年か前になくなったんだ。雪ちゃんの時はあったんだよね?
「あったけど……いい思い出がない。」
雪ちゃんのげんなりした顔を見ると何かが起こったのは理解できてしまう。まさか修学旅行とかみたいな出来事じゃないよね?なんかちょっと不安なんですけど。
昨日の会話からしてみると花泉ちゃんはそれなりに向上心はあるんだと思うし、燃える思いがあるのも事実なんだろうし。そうでもなきゃ一年間作り続けるって難しいし、実際に焼き色とかは綺麗だったんだよね。だからちゃんと味見して、問題点が改善できたらクッキーは美味しくなると思う訳です。とは言え改善策は一先ず教えはしたけど、もう一度あのクッキーを出されて直ぐ口に入れる勇気は正直ちょっとないかもしれない。
それにしても高校生で初めてクッキーっていうのも珍しいけど、そう言う自分の最初に作ったのはなんだったのかなぁ……いや、バレンタインとか誰かに渡すものは勿論オーブンとかがあったから小学生位だけど、お家で食べるお菓子とかはもっと前から作ってたんだよね、確か。
「最初?何だったかしら……。」
ほら、聞いてみてもママも覚えてない。それくらい昔から作ってるから、一番最初って本当に記憶がないなぁ。勿論パパも一番最初は覚えてないし、何だったかなぁって衛を抱っこしながら言っていたら。
「一番最初はクッキーだったよ?」
とサラリと口にしたのは雪ちゃんだった。え?!そうなの?っていうか何で雪ちゃんが知ってるの?!って言ったら、雪ちゃんがニッコリしなから自分の家で作ったからと言う。
「ああ、義姉さんと作ったのか。」
パパが納得したみたいに言うけど、それってつまり『苣木』の方で作ってたってこと?って衛と一緒に雪ちゃんの横に座ると、そうだよって。チョコチップ入りのオートミールクッキーだったって言うけど、それって何歳のこと?
「あの時は俺がまだ中学だったから、麻希子は三歳くらいかな?」
「それって作ってたことにはいる?」
「ちゃんと作ってたよ?母が驚いて見て!p’tit lutinよ!雪!!って叫んでたから。」
p’tit lutin?プチ、なに?って問いかけると、雪ちゃんがもう一度繰り返してくれる。繰り返してくれるけど、英語じゃないよね?それ何処の言葉?伯母さんってアメリカの人じゃないの?んん?
「フランス語だな。p’tit lutinは小さな妖精って意味だ。」
え!パパ凄い!フランス語わかるの?って言ったら、義姉さんのお陰で少しだけなという。フランス語……伯母ちゃんってフランスの人?あんまり良く知らない出たんだけどって言ったらフランス系だねと雪ちゃんは笑っている。って小さな妖精?お菓子を作ってる私が?
「可愛かったからねぇ……。」
雪ちゃんがその時を思い出して染々言ってるけど、雪ちゃんはカメラアイじゃないんだよね?何か最近ちょっと疑問になってきたよ?その記憶力。でも流石に十年以上前じゃお味までは覚えてないよね。私、ちゃんとしたの作れてたのかなぁって粒やいたら、美味しかったよ?って普通に答えられた。覚えてるの?!雪ちゃん、ほんと?それにしてもよく覚えてるねぇっていったら、長すぎる恋愛のせいかだとかなんだとか……雪ちゃん?三歳っていったよね?三歳って。その時雪ちゃん中二だよね?って問いかけたら
「天使だったんだよね……。」
とか訳のわからないことを言い始めてる。ゆーきーちゃん?!ちょっと怖いよ?!それにしても三歳児が作ったクッキー……まあ、焼いたりは伯母ちゃんがやってくれたんだろうし、オートミールに混ぜ混ぜするだけだしなぁ。いや、普通のクッキーもある意味混ぜるだけだせどね。そうだよね、実はクッキーって簡単そうに見えて、凄く難しいんだよ。花泉ちゃんに生地を寝かせるのも教えてあげればよかったかなぁ?でも、あの子って調理部なんだよねぇ……実際一年あのクッキーを作り続けてるし。そういえば佐藤さんのお菓子って食べたことないけど、どうなんだろう……同じ味だったらちょっと怖いな。せめて美味しいのを作れるように指導……あんまり人の言うこと聞かないのかな……花泉ちゃん。うーん、最初の時の勢いを見てると、なんかそんな気もする。
「まーちゃん?僕もクッキーなら上手だよ!」
「そうだよねー、衛のイチゴのクッキー美味しいもんねー!」
ワシャワシャと頭を撫でながらハグしてあげると、キャーって衛は大喜びしている。そうなんだよね、衛はカッチリ分量でキッチリ作るタイプなので、一回作れればカメラアイで同じ手順でバッチリ。なので、ホワイトデーの辺りに私が教えたクッキーはもう完璧なんだよね。卵焼きとか目玉焼きみたいなその時その時で経験とかで微調整の方が苦手だから、火加減固定でカシャカシャすると出来るスクランブルエッグの方が得意ってのも納得。ってことは智美君もそうなのかなぁって思ったんだけど、考えてみたら高校で調理実習ってないし昔は野外研修があったらしいけど今はないんだよね。つまりお家でも調理をしない智美くんはきっと、まだ調理器具に触れたことがないのに気がつく。野外研修あったらよかったのにね。野外研修中に薪で怪我したり、調理で怪我したりが続いて野外研修は何年か前になくなったんだ。雪ちゃんの時はあったんだよね?
「あったけど……いい思い出がない。」
雪ちゃんのげんなりした顔を見ると何かが起こったのは理解できてしまう。まさか修学旅行とかみたいな出来事じゃないよね?なんかちょっと不安なんですけど。
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2023.3.31 ifストーリー追加
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