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ep10.
ep10.『聖母と道化、その支配人』 非開示の理由と年齢制限
しおりを挟む“物理的に”?
……どういう意味だ?
そんな事ってあるか?
「いや、なんだよそりゃ?」
読めないって意味わかんねぇだろ、と俺が呟くと小泉が文庫本を手渡してくる。
「百聞は一見にしかずだ。自分で見て確かめればいいだろう」
状況を把握出来ないまま俺は文庫本のページをパラパラと捲る。
しかし。
異変に気付いたのはすぐだった。
何かが奇妙だ。
途中からページが開けないんだよ。開かない。
「………!?」
こんなことは初めてだった。
「意味わかんねぇんだけど。センセェ、アイスか何かでも食いながら読んでたんか?」
何か溢してくっ付いたんじゃね?と俺が言うと小泉はため息をついた。
「そんな訳あるか。よく見ろ」
どういう訳だかこれは袋綴じになってるんだ、という小泉の言葉に対し思わず聞き返す。
「───────[袋綴じ]?」
俺が怪訝そうな表情を浮かべていたからだろうか。小泉はこう説明する。
「ああ、お前の世代だとそう雑誌を買う機会もないだろうからな───────」
雑誌?
なんなんだろう。
「まあ、確かにさ。雑誌とかは借りて読むくらいだよな。わざわざ買うって事はほぼ無いけど」
それとどう関係があるんだろう。
「そうだろう。ちょっと前まではよく見かけたんだがな。袋綴じってのは鋏で切らないと読めないページの事だ」
小泉はそう言って文庫本の固まった部分を指差した。
「ハサミで切る?」
初めて聞く概念に俺は戸惑う。
「時々ジャンプとかにさ、限定のカードが付録で付いてる事とかあるけど───────」
あれと似たようなものか、と俺が尋ねると小泉は頷く。
「まあ概ねそんな物だと思ってくれていい。何しろ開けないと中を見る事は出来ないんだからな」
唐突に実装された謎の文庫本の謎の袋綴じ。
なんで急に?
そんな勿体ぶるような内容でもないだろう。
何せ俺は───────────────今までだって何度も童貞を捨てて来たじゃないか。
ここに来て急に袋綴じになった理由はなんだろう。
俺自身の変化によるものなんだろうか。
それとも。
それ以外に何か─────────────変わった部分があったって意味なんだろうか。
……どういう意味だ?
そんな事ってあるか?
「いや、なんだよそりゃ?」
読めないって意味わかんねぇだろ、と俺が呟くと小泉が文庫本を手渡してくる。
「百聞は一見にしかずだ。自分で見て確かめればいいだろう」
状況を把握出来ないまま俺は文庫本のページをパラパラと捲る。
しかし。
異変に気付いたのはすぐだった。
何かが奇妙だ。
途中からページが開けないんだよ。開かない。
「………!?」
こんなことは初めてだった。
「意味わかんねぇんだけど。センセェ、アイスか何かでも食いながら読んでたんか?」
何か溢してくっ付いたんじゃね?と俺が言うと小泉はため息をついた。
「そんな訳あるか。よく見ろ」
どういう訳だかこれは袋綴じになってるんだ、という小泉の言葉に対し思わず聞き返す。
「───────[袋綴じ]?」
俺が怪訝そうな表情を浮かべていたからだろうか。小泉はこう説明する。
「ああ、お前の世代だとそう雑誌を買う機会もないだろうからな───────」
雑誌?
なんなんだろう。
「まあ、確かにさ。雑誌とかは借りて読むくらいだよな。わざわざ買うって事はほぼ無いけど」
それとどう関係があるんだろう。
「そうだろう。ちょっと前まではよく見かけたんだがな。袋綴じってのは鋏で切らないと読めないページの事だ」
小泉はそう言って文庫本の固まった部分を指差した。
「ハサミで切る?」
初めて聞く概念に俺は戸惑う。
「時々ジャンプとかにさ、限定のカードが付録で付いてる事とかあるけど───────」
あれと似たようなものか、と俺が尋ねると小泉は頷く。
「まあ概ねそんな物だと思ってくれていい。何しろ開けないと中を見る事は出来ないんだからな」
唐突に実装された謎の文庫本の謎の袋綴じ。
なんで急に?
そんな勿体ぶるような内容でもないだろう。
何せ俺は───────────────今までだって何度も童貞を捨てて来たじゃないか。
ここに来て急に袋綴じになった理由はなんだろう。
俺自身の変化によるものなんだろうか。
それとも。
それ以外に何か─────────────変わった部分があったって意味なんだろうか。
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