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ep10.
ep10.『聖母と道化、その支配人』 甘すぎる共犯関係
しおりを挟むなんだかんだで渋る小泉を押し切る。
小泉は自分でもよく解っていない様子なまま豆大福を口にしている。
俺、知ってるんだ。なんだかんだでチョロいんだよコイツはさ。
押し切られたらNOって言えないんだよな。
ブツブツ言いながら豆大福を食う小泉の横顔が面白くて思わず見つめてしまう。
まあたまにはこういうのもいいじゃねぇか。
俺達は既に共犯関係にあるんだからさ。
誰も知らない秘密。
そう、死者さえも蘇らせるかもしれない巨大な呪いの力。
それを使えるのは俺だけなんだ。
それから───────この事実を知ってるのは小泉だけだ。
気まずくなったのか、小泉は軽く咳払いをしてから俺の目の前に正座した。
「さ、さっきはつい乗せられて食べてしまったが───────本来ならお前が一人で食べなければならない物なんだぞ」
まあいいじゃん、と俺は適当に返す。
「てかさ、そもそも豆大福になってる時点で普通におやつタイムじゃねぇか。じゃあいいだろ、誰が食ってもさ」
センセェもお疲れ、と俺がはぐらかすように言うと小泉はまた視線を逸らす。
「ともかく……お前は今回も童貞を捨てて時間を戻って来た訳だが─────」
まあそうだな、と俺は頷いた。
「センセェは先に読んだんだろ?感想聞かせてよ」
俺が少し茶化しながらそう言うと、小泉は困惑したような表情を浮かべた。
「いや、それが……」
なんだ?何かあったのか?
「出現してるんだろ?例の文庫本ってのはさ?」
俺がそう尋ねると───────小泉は戸惑うような素振りを見せながら一冊の文庫本を畳の上に置いた。
なんだよ、あるじゃんか。
「どうしたんだよ?いつも通りじゃねぇか。読んだんじゃねぇの?」
俺がそう言うと小泉は首を振った。
「いや、途中からは読めなかったんだ」
“読めなかった”?
どういう意味だ?
「なんだ?ソシャゲのイベントとか忙し過ぎて時間なかったとかか?」
俺がそう尋ねると小泉は首を振った。
「いや、そうじゃない」
それから一呼吸置いて小泉はこう言った。
「読み進めることが出来なかったんだ。物理的にな」
小泉は自分でもよく解っていない様子なまま豆大福を口にしている。
俺、知ってるんだ。なんだかんだでチョロいんだよコイツはさ。
押し切られたらNOって言えないんだよな。
ブツブツ言いながら豆大福を食う小泉の横顔が面白くて思わず見つめてしまう。
まあたまにはこういうのもいいじゃねぇか。
俺達は既に共犯関係にあるんだからさ。
誰も知らない秘密。
そう、死者さえも蘇らせるかもしれない巨大な呪いの力。
それを使えるのは俺だけなんだ。
それから───────この事実を知ってるのは小泉だけだ。
気まずくなったのか、小泉は軽く咳払いをしてから俺の目の前に正座した。
「さ、さっきはつい乗せられて食べてしまったが───────本来ならお前が一人で食べなければならない物なんだぞ」
まあいいじゃん、と俺は適当に返す。
「てかさ、そもそも豆大福になってる時点で普通におやつタイムじゃねぇか。じゃあいいだろ、誰が食ってもさ」
センセェもお疲れ、と俺がはぐらかすように言うと小泉はまた視線を逸らす。
「ともかく……お前は今回も童貞を捨てて時間を戻って来た訳だが─────」
まあそうだな、と俺は頷いた。
「センセェは先に読んだんだろ?感想聞かせてよ」
俺が少し茶化しながらそう言うと、小泉は困惑したような表情を浮かべた。
「いや、それが……」
なんだ?何かあったのか?
「出現してるんだろ?例の文庫本ってのはさ?」
俺がそう尋ねると───────小泉は戸惑うような素振りを見せながら一冊の文庫本を畳の上に置いた。
なんだよ、あるじゃんか。
「どうしたんだよ?いつも通りじゃねぇか。読んだんじゃねぇの?」
俺がそう言うと小泉は首を振った。
「いや、途中からは読めなかったんだ」
“読めなかった”?
どういう意味だ?
「なんだ?ソシャゲのイベントとか忙し過ぎて時間なかったとかか?」
俺がそう尋ねると小泉は首を振った。
「いや、そうじゃない」
それから一呼吸置いて小泉はこう言った。
「読み進めることが出来なかったんだ。物理的にな」
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