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ep9
ep9『ナイト・オブ・ファイヤー』 ONLY YOU/VIRGIN
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何をやってるんだ……!?
てか、マジでどっから出してきたんだよそのロケランは!?
俺が言葉を失っていると──────────概史は更に目隠しシスターを挑発するかのようにニヤリと笑った。
「いや、あのさ。どっから持ってきたんだよそれ……」
そう絞り出すので精一杯だったが、概史は事もなげに答える。
「えっww気付かなかったっスか?wwwさっきバイクに乗ってる時からずっと背中に背負ってましたよwww」
そう言われてみれば。
なんかさっき後ろでゴソゴソしてたような気がするな────────?
俺なんて何も考えずに丸腰で来ちまったっていうのに、概史のヤツはちゃんと用意して来たってことなのか?
途端に俺は自分がとんでもない役立たずのような気がしてきてしまう。
小学生の概史ですら、こうして鈴木先輩に文字通りの援護射撃をしてるっていうのに─────────
概史に宣戦布告された目隠しシスターは黙ったまま微動だにしない。
まあそうだよな。
ロケットランチャー持った相手に下手な動きは出来ねぇよな。
俺の気分の浮き沈みを知ってか知らずか、俺のすぐ横で湯浅がこう分析する。
「ふむ……どうやら彼の攻撃は効いているようですね」
湯浅はまた眼鏡の縁をクイと持ち上げた。
まあ、そうだよな。
ちょっとでも動けば頭を撃ち抜かれるかもしれないとあれば───────流石のボスポジションでも警戒するよな。
しかし。
「なあ、あの目隠しシスター……一体なんなんだよ?どうして鈴木先輩を狙う?」
あまりにも状況が見えて来ず、置いてけぼりにされている俺は隣の湯浅にそう問いかけた。
ええ、と湯浅は頷いた。
「普通に考えれば奇妙な話です。引退した暴走族の元リーダーの配偶者を攫い、空き地に呼び寄せてリンチを企てる」
それが上手くいかないと見るや否やナイフで両手首を切断するように迫るなどと──────────全く目的が見えない行動と言えるでしょう、と湯浅は冷静にそう答える。
「しかしどうでしょうか。あの二人がかつて『特別な間柄』であったと仮定するなら……」
それは事件を引き起こす動機としては十分であると考えられないでしょうか、と湯浅は眼鏡の縁をクイと上げた。
「……え!?」
どういうこと!?
あのシスターと鈴木先輩が────────── 特別な関係!?
待てよ。でも鈴木先輩は既婚者じゃねぇか。
しかも、さっき“出来婚だった“って言ってたよな─────────!?
「……まさか」
俺がそう口にすると湯浅は頷く。
「ええ。そのまさかです」
なんだ?何を言っている?
「あの二人はかつて、特別な関係でした。俗に言うところの幼馴染、と言ったところでしょうか」
それは有名な話でしたよ、と淡々と語る湯浅の話は全く頭に入ってこない。
「どういう事だよ!?鈴木先輩が二股掛けたって言いたいのか!?」
思わず俺がそう口にすると湯浅はさらに続けた。
「春崎桃香と内藤さんは幼馴染同士であり、かつては親密な関係でした。いや、内藤さんの方が春崎桃香にのめり込んで夢中になっていたと聞いています」
え!?
鈴木先輩の方があの目隠しシスターに!?
いや、あんだけ奥さんメロメロじゃないか─────────
それに、愛する奥さんの誕生日のプレゼントについて滅茶苦茶悩んで────────結婚式をプレゼントしようって話になってたとこだろ!?
俺の困惑を他所に、湯浅は更に続けた。
「しかし、ある日突然……内藤さんが春崎桃香の後輩である女子生徒を妊娠させてしまった事から全ては狂い始めて来たのです」
その日を境に、春崎桃香は学校を辞めて行方をくらましてしまったと噂で聞いていましたが──────という湯浅の言葉に俺は愕然とする。
そんな馬鹿な。
あの優しい鈴木先輩が─────────幼馴染を捨てた!?
後輩の女子生徒ってのは八宇さんの事だろう。
それがきっかけで幼馴染だった目隠しシスターは不可解な組織に入ったっていうのか!?
信じられない事実を聞かされた俺は─────────何もかもが嘘であって欲しいと心から願った。
てか、マジでどっから出してきたんだよそのロケランは!?
俺が言葉を失っていると──────────概史は更に目隠しシスターを挑発するかのようにニヤリと笑った。
「いや、あのさ。どっから持ってきたんだよそれ……」
そう絞り出すので精一杯だったが、概史は事もなげに答える。
「えっww気付かなかったっスか?wwwさっきバイクに乗ってる時からずっと背中に背負ってましたよwww」
そう言われてみれば。
なんかさっき後ろでゴソゴソしてたような気がするな────────?
俺なんて何も考えずに丸腰で来ちまったっていうのに、概史のヤツはちゃんと用意して来たってことなのか?
途端に俺は自分がとんでもない役立たずのような気がしてきてしまう。
小学生の概史ですら、こうして鈴木先輩に文字通りの援護射撃をしてるっていうのに─────────
概史に宣戦布告された目隠しシスターは黙ったまま微動だにしない。
まあそうだよな。
ロケットランチャー持った相手に下手な動きは出来ねぇよな。
俺の気分の浮き沈みを知ってか知らずか、俺のすぐ横で湯浅がこう分析する。
「ふむ……どうやら彼の攻撃は効いているようですね」
湯浅はまた眼鏡の縁をクイと持ち上げた。
まあ、そうだよな。
ちょっとでも動けば頭を撃ち抜かれるかもしれないとあれば───────流石のボスポジションでも警戒するよな。
しかし。
「なあ、あの目隠しシスター……一体なんなんだよ?どうして鈴木先輩を狙う?」
あまりにも状況が見えて来ず、置いてけぼりにされている俺は隣の湯浅にそう問いかけた。
ええ、と湯浅は頷いた。
「普通に考えれば奇妙な話です。引退した暴走族の元リーダーの配偶者を攫い、空き地に呼び寄せてリンチを企てる」
それが上手くいかないと見るや否やナイフで両手首を切断するように迫るなどと──────────全く目的が見えない行動と言えるでしょう、と湯浅は冷静にそう答える。
「しかしどうでしょうか。あの二人がかつて『特別な間柄』であったと仮定するなら……」
それは事件を引き起こす動機としては十分であると考えられないでしょうか、と湯浅は眼鏡の縁をクイと上げた。
「……え!?」
どういうこと!?
あのシスターと鈴木先輩が────────── 特別な関係!?
待てよ。でも鈴木先輩は既婚者じゃねぇか。
しかも、さっき“出来婚だった“って言ってたよな─────────!?
「……まさか」
俺がそう口にすると湯浅は頷く。
「ええ。そのまさかです」
なんだ?何を言っている?
「あの二人はかつて、特別な関係でした。俗に言うところの幼馴染、と言ったところでしょうか」
それは有名な話でしたよ、と淡々と語る湯浅の話は全く頭に入ってこない。
「どういう事だよ!?鈴木先輩が二股掛けたって言いたいのか!?」
思わず俺がそう口にすると湯浅はさらに続けた。
「春崎桃香と内藤さんは幼馴染同士であり、かつては親密な関係でした。いや、内藤さんの方が春崎桃香にのめり込んで夢中になっていたと聞いています」
え!?
鈴木先輩の方があの目隠しシスターに!?
いや、あんだけ奥さんメロメロじゃないか─────────
それに、愛する奥さんの誕生日のプレゼントについて滅茶苦茶悩んで────────結婚式をプレゼントしようって話になってたとこだろ!?
俺の困惑を他所に、湯浅は更に続けた。
「しかし、ある日突然……内藤さんが春崎桃香の後輩である女子生徒を妊娠させてしまった事から全ては狂い始めて来たのです」
その日を境に、春崎桃香は学校を辞めて行方をくらましてしまったと噂で聞いていましたが──────という湯浅の言葉に俺は愕然とする。
そんな馬鹿な。
あの優しい鈴木先輩が─────────幼馴染を捨てた!?
後輩の女子生徒ってのは八宇さんの事だろう。
それがきっかけで幼馴染だった目隠しシスターは不可解な組織に入ったっていうのか!?
信じられない事実を聞かされた俺は─────────何もかもが嘘であって欲しいと心から願った。
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