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ep9
ep9『ナイト・オブ・ファイヤー』 BAD BOY YOU
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え!?
何を言ってるんだこの女!?
愚羅淫怒(グラインド)側陣営も水を打ったように静まりかえっている。
異様なモノを見る目付きでタブチが目隠しシスターを凝視していた。
向こう陣営の雑魚どもですらドン引きしてるじゃねぇか。
「……っ!」
鈴木先輩は押し黙ったまま、ただ目隠しシスターを睨み付けていた。
ふぅん、と目隠しシスターはため息をついた。
「まだ自分の置かれた状況が解ってないのね。いいわ────────」
目隠しシスターの次の言葉を聞いた俺達は更に絶句した。
「指10本じゃ足りないわね。その両手首から先、全部切り落としなさい」
そう吐き捨てるように言うと───────目隠しシスターはナイフを地面に放り投げた。
ハァ!???
この女、気は確かか!?
何を言っている!?
愚羅淫怒(グラインド)陣営、タブチの顔が真っ青になっているのが遠くからでも判る。
────────この場にいる全員が言葉を失っていた。
まさかこんな事を始めるなんて向こう陣営も思ってもみなかったんだろう。
鈴木先輩が跪(ひざまず)いて地面に落ちたナイフを拾う。
─────────まさか!?
「鈴木先輩!!」
思わず俺は叫ぶが、あの二人には声が届いていない様子だった。
何してんだよ鈴木先輩!?
嘘だろ?
奥さんの腹の中に赤ん坊が居るんだろ?
大学生になったって言ってたし、職場でも信頼されて仕事に打ち込んでるんじゃなかったのかよ!?
さっき俺の頭をぐしゃぐしゃと撫でた、鈴木先輩の大きくて暖かい手のひらの感触を思い出す。
先輩のその手は───────奥さんや子どもを抱きしめる為にあるんじゃないのか?
そうだ。
その手はもう、喧嘩したりする為のものじゃないんだ。
大切な家族を守る為の手だ。
───────だけど。
先輩は黙ったまま、ナイフを握って自分の左手首に当てがった。
俺は自分の膝がガクガクと震えるのを感じた。
駄目だ。
そんな事、鈴木先輩にさせちゃ駄目なんだ。
でも、どうやって止めたらいい?
鈴木先輩の奥さんは連れ去られている。
姿は見えない。ここには居ないのかもしれない。
鈴木先輩が抵抗すれば────────奥さんの身が危険に晒される?
俺は無力だ。
何のスキルもねぇ。
『呪いの力』があるなんてイキった所で何にもなりゃしねぇんだ。
こんな呪いの力なんかクソだよな。ゴミだ。
マジでカスだ。使ぇねぇな。
肝心な時に役に立てられなきゃ意味ねぇんだよ。
常識的に考えてさ、公衆の面前でセックスなんか出来るか?
そもそも相手も居ねぇしさ。
いざって時、目の前の誰かを助けられなきゃなんの意味ねぇんだよ!
俺は目を瞑って拳を握り締めた。
クソが!!
鈴木先輩を助けられない不甲斐なさで俺は────────気が狂いそうな程、身体中の血が逆流しているかのような感覚に見舞われていた。
誰か。
誰か居ないのか─────────────!?
その瞬間だった。
目隠しシスターの頬を小石が掠めた。
「な……誰!?」
誰かが豪速球で目隠しシスターに向かって石をぶん投げた───────!?
石が飛んできた方向を確認しようと振り返った俺は更に言葉を失った。
概史が、ロケットランチャーを構えた状態で不敵に笑っていた。
「クソ女。鈴木先輩から離れろよ」
概史!?
コイツがさっきの石を投げたのか!?
てか、そのロケランは何なんだよ!?どっから持ってきた!?
概史は、含みを持たせるようにこう続けた。
「でないと──────────アンタのその頭ごと吹っ飛ばすけど?」
何を言ってるんだこの女!?
愚羅淫怒(グラインド)側陣営も水を打ったように静まりかえっている。
異様なモノを見る目付きでタブチが目隠しシスターを凝視していた。
向こう陣営の雑魚どもですらドン引きしてるじゃねぇか。
「……っ!」
鈴木先輩は押し黙ったまま、ただ目隠しシスターを睨み付けていた。
ふぅん、と目隠しシスターはため息をついた。
「まだ自分の置かれた状況が解ってないのね。いいわ────────」
目隠しシスターの次の言葉を聞いた俺達は更に絶句した。
「指10本じゃ足りないわね。その両手首から先、全部切り落としなさい」
そう吐き捨てるように言うと───────目隠しシスターはナイフを地面に放り投げた。
ハァ!???
この女、気は確かか!?
何を言っている!?
愚羅淫怒(グラインド)陣営、タブチの顔が真っ青になっているのが遠くからでも判る。
────────この場にいる全員が言葉を失っていた。
まさかこんな事を始めるなんて向こう陣営も思ってもみなかったんだろう。
鈴木先輩が跪(ひざまず)いて地面に落ちたナイフを拾う。
─────────まさか!?
「鈴木先輩!!」
思わず俺は叫ぶが、あの二人には声が届いていない様子だった。
何してんだよ鈴木先輩!?
嘘だろ?
奥さんの腹の中に赤ん坊が居るんだろ?
大学生になったって言ってたし、職場でも信頼されて仕事に打ち込んでるんじゃなかったのかよ!?
さっき俺の頭をぐしゃぐしゃと撫でた、鈴木先輩の大きくて暖かい手のひらの感触を思い出す。
先輩のその手は───────奥さんや子どもを抱きしめる為にあるんじゃないのか?
そうだ。
その手はもう、喧嘩したりする為のものじゃないんだ。
大切な家族を守る為の手だ。
───────だけど。
先輩は黙ったまま、ナイフを握って自分の左手首に当てがった。
俺は自分の膝がガクガクと震えるのを感じた。
駄目だ。
そんな事、鈴木先輩にさせちゃ駄目なんだ。
でも、どうやって止めたらいい?
鈴木先輩の奥さんは連れ去られている。
姿は見えない。ここには居ないのかもしれない。
鈴木先輩が抵抗すれば────────奥さんの身が危険に晒される?
俺は無力だ。
何のスキルもねぇ。
『呪いの力』があるなんてイキった所で何にもなりゃしねぇんだ。
こんな呪いの力なんかクソだよな。ゴミだ。
マジでカスだ。使ぇねぇな。
肝心な時に役に立てられなきゃ意味ねぇんだよ。
常識的に考えてさ、公衆の面前でセックスなんか出来るか?
そもそも相手も居ねぇしさ。
いざって時、目の前の誰かを助けられなきゃなんの意味ねぇんだよ!
俺は目を瞑って拳を握り締めた。
クソが!!
鈴木先輩を助けられない不甲斐なさで俺は────────気が狂いそうな程、身体中の血が逆流しているかのような感覚に見舞われていた。
誰か。
誰か居ないのか─────────────!?
その瞬間だった。
目隠しシスターの頬を小石が掠めた。
「な……誰!?」
誰かが豪速球で目隠しシスターに向かって石をぶん投げた───────!?
石が飛んできた方向を確認しようと振り返った俺は更に言葉を失った。
概史が、ロケットランチャーを構えた状態で不敵に笑っていた。
「クソ女。鈴木先輩から離れろよ」
概史!?
コイツがさっきの石を投げたのか!?
てか、そのロケランは何なんだよ!?どっから持ってきた!?
概史は、含みを持たせるようにこう続けた。
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