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ep5.
ep5. 『死と処女(おとめ)』 5000円の理由
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「でもさ、こーゆーのってどこまで言っていいのかな……」
上野は少し考え込むような素振りを見せる。
何だ?
俺に言えないような何かあるのか?
或いは言いにくい事柄?
「上野から聞いたなんて絶対、誰にも言わねぇから」
俺は上野に念押しする。
んー。まあ、なんて言うかさ、と上野は歯切れの悪い様子で言葉を濁す。
「ま、そもそも盗られたのは現金じゃなくて食券だったらしいんだけどさ」
食券。
俺らの中学には『食券』システムがあるってのは前に言ったと思う。
1回分だと350円、10回分の10枚綴り券だと3000円だ。
ま、まとめて買った方がコスパはいいんだな。
ちなみに当日に現金で買えるのは一回分の350円のヤツだけで、10回綴り券は事前購入制になってる。
3000円ってのも大金だからな。落としたとか失くしたとか、そういう現金でのトラブルを防ぐためにそういう仕組みになってるんだが……
「5000円分もか?!」
俺は上野に聞き返す。
「佐藤っちは弁当派だから知らなかったんだろうけどさ、実は今年度から“20回綴り5000円券”も導入されてたんだよね」
知らなかった。
「先生がHRで言ってたじゃん?聞いてなかったんだろうけど」
なるほど。
20回分で5000円なら一回あたりは250円か。それなら一回分を350円で当日購入するよりも遥かにコスパがいいよな。
一食当たり250円で[飲み物+パン3個]か[飲み物+おにぎり3個]が選べるのなら格安スーパーの価格帯より安いまである。
「結構、20枚綴り券を申し込んでる子って多いみたいよー?どっちかってーと、もっぱら保護者の方に好評だとか」
「なるほどな……確かに、弁当を用意すんのってめっちゃ大変だし、かと言って登下校中に買い食いされても良くねぇってコトか」
一回当たり250円で済むなら、土日や長期休みの期間中に部活やってる奴の親なら20回綴りの食券ってのはありがたい存在だろうという事はなんとなく想像できた。
運動部の部活ガチってるヤツの飯とかサポートとかマジで大変そうだからな。親が共働きだとか、他に兄弟が居るって家庭だと尚更だろうし。
「じゃあ夢野が盗られたってのは、その20回綴り券ってコトになんのか」
ウチの学校の食券システムって独特でさ。切り離し無効なんだよ。でないと、10回綴りとかのまとまった枚数を持ってるヤツが集られたりすんだろ?
『一回分奢れよ』みたいな事案が発生するのを防ぐ為に、生徒は綴りを持って購買部に行くんだ。補足しとくと購入可能なのは朝の時間だけって決まってる。
綴りを提出して、おにぎりセットかパンセットのどちらかを選ぶ。引き換え番号のプレートを受け取ると購買のおばちゃんが綴りの下の方の一枚を取って残りを生徒に返す。で、昼休憩になったらプレートと引き換えに選んだ方のセットを受け取るってワケだ。
綴りには一枚づつ番号が振られてるから、途中で勝手に切り離し出来ないんだよな。
購買のおばちゃんは『10』の方の番号から(多分、20枚綴りだと『20』の方から)取って回収して行くんだ。
だから自動的に最後に残るのは『1』の数字の食券になる。
途中で切り離したような『8』一枚だけとかそう言うのは弾かれる仕組みになってるんだな。
まあ、盗ったり盗られたり、奢ったり奢られたりみたいなのを防ぐ為の運用なんだろうけど……
「20枚綴り丸々盗られてたら意味ないよな……」
だよね、と上野も頷いた。
だけどなんかおかしくねぇか?
なんで夢野みてぇな大人しそうな女子が3年に目ェ付けられてるんだ?
3年も3年だろうが。受験とかあるんじゃねぇの?
この時期に金銭が絡むトラブルとか避けたいんじゃねぇのか?
どうしても俺は違和感を拭えずにいた。
さっきの態度といい、上野はまだ何か隠してるのか?
上野は少し考え込むような素振りを見せる。
何だ?
俺に言えないような何かあるのか?
或いは言いにくい事柄?
「上野から聞いたなんて絶対、誰にも言わねぇから」
俺は上野に念押しする。
んー。まあ、なんて言うかさ、と上野は歯切れの悪い様子で言葉を濁す。
「ま、そもそも盗られたのは現金じゃなくて食券だったらしいんだけどさ」
食券。
俺らの中学には『食券』システムがあるってのは前に言ったと思う。
1回分だと350円、10回分の10枚綴り券だと3000円だ。
ま、まとめて買った方がコスパはいいんだな。
ちなみに当日に現金で買えるのは一回分の350円のヤツだけで、10回綴り券は事前購入制になってる。
3000円ってのも大金だからな。落としたとか失くしたとか、そういう現金でのトラブルを防ぐためにそういう仕組みになってるんだが……
「5000円分もか?!」
俺は上野に聞き返す。
「佐藤っちは弁当派だから知らなかったんだろうけどさ、実は今年度から“20回綴り5000円券”も導入されてたんだよね」
知らなかった。
「先生がHRで言ってたじゃん?聞いてなかったんだろうけど」
なるほど。
20回分で5000円なら一回あたりは250円か。それなら一回分を350円で当日購入するよりも遥かにコスパがいいよな。
一食当たり250円で[飲み物+パン3個]か[飲み物+おにぎり3個]が選べるのなら格安スーパーの価格帯より安いまである。
「結構、20枚綴り券を申し込んでる子って多いみたいよー?どっちかってーと、もっぱら保護者の方に好評だとか」
「なるほどな……確かに、弁当を用意すんのってめっちゃ大変だし、かと言って登下校中に買い食いされても良くねぇってコトか」
一回当たり250円で済むなら、土日や長期休みの期間中に部活やってる奴の親なら20回綴りの食券ってのはありがたい存在だろうという事はなんとなく想像できた。
運動部の部活ガチってるヤツの飯とかサポートとかマジで大変そうだからな。親が共働きだとか、他に兄弟が居るって家庭だと尚更だろうし。
「じゃあ夢野が盗られたってのは、その20回綴り券ってコトになんのか」
ウチの学校の食券システムって独特でさ。切り離し無効なんだよ。でないと、10回綴りとかのまとまった枚数を持ってるヤツが集られたりすんだろ?
『一回分奢れよ』みたいな事案が発生するのを防ぐ為に、生徒は綴りを持って購買部に行くんだ。補足しとくと購入可能なのは朝の時間だけって決まってる。
綴りを提出して、おにぎりセットかパンセットのどちらかを選ぶ。引き換え番号のプレートを受け取ると購買のおばちゃんが綴りの下の方の一枚を取って残りを生徒に返す。で、昼休憩になったらプレートと引き換えに選んだ方のセットを受け取るってワケだ。
綴りには一枚づつ番号が振られてるから、途中で勝手に切り離し出来ないんだよな。
購買のおばちゃんは『10』の方の番号から(多分、20枚綴りだと『20』の方から)取って回収して行くんだ。
だから自動的に最後に残るのは『1』の数字の食券になる。
途中で切り離したような『8』一枚だけとかそう言うのは弾かれる仕組みになってるんだな。
まあ、盗ったり盗られたり、奢ったり奢られたりみたいなのを防ぐ為の運用なんだろうけど……
「20枚綴り丸々盗られてたら意味ないよな……」
だよね、と上野も頷いた。
だけどなんかおかしくねぇか?
なんで夢野みてぇな大人しそうな女子が3年に目ェ付けられてるんだ?
3年も3年だろうが。受験とかあるんじゃねぇの?
この時期に金銭が絡むトラブルとか避けたいんじゃねぇのか?
どうしても俺は違和感を拭えずにいた。
さっきの態度といい、上野はまだ何か隠してるのか?
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