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ep5.
ep5. 『死と処女(おとめ)』 女子中学生と5000円
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5000円。
それは今の俺には大きすぎる金額だった。
裕福な家庭のヤツにとったら大したことない金額、或いは1ヶ月の小遣い程度の額かもしれねぇ。
だけど、親のいない俺が手に入れるにはあまりにデカすぎる金額なんだ。
朝刊配達のバイト。
新聞配達って言うとただ配るだけで簡単そうって思うだろ?
早朝ジョギング感覚でポイポイ配って行けば良さそうって感じだもんな。
そう思ってた時期が俺にもあったんだけどさ。
だけど現実にはそうじゃなかったんだよな。
新聞配達って朝の何時からスタートすると思う?
4時?5時?そんなイメージだろ?
実際には1時過ぎにはもうスタートなんだ。
準備してたら一時半にはもうトラックが刷り上がった朝刊を下ろしてくる。
でも、そのまますぐに配るって訳にはいかねぇんだ。
折り込みチラシとかもあるからな。それの準備がまた厄介なんだ。
結構な重量だ。グラグラしてチャリは立ちゴケしそうになる。
大雨の日、大雪の日、台風の日だって新聞は待ってくれねぇ。
時にズブ濡れになりながらも配達しなきゃなんねぇんだ。
50年に一度とかいうドカ雪が降った日には流石に泣きたくなったな。
自転車が前に進まねぇんだもん。車輪が回んなくてただ自転車本体を引き摺ってるだけだったな。
めちゃくちゃ重いし、前には進まねぇし、手はかじかむし、長靴の中もビショ濡れな上に凍りそうに冷てぇんだぜ。
あの時はマジで詰んだと思ったね。発狂しそうだった。
あとさ、都会の方だとどうだか知らねぇが、こっちは田舎なんで家と家一軒ずつの距離が開いてる事が多いんだ。
一人当たりの配達コース・エリアは自然と広範囲になる。
本来なら『原付免許必須』の求人なんだが、佑ニーサンのツテでなんとか頼み込んで雇って貰ってるワケだ。
免許を持ってる、求人の条件を満たしてても時給1000円。
朝刊配達だけだと1ヶ月で最大9万がこの田舎で稼げる限界値だ。
確かに俺はバイクに乗れるけどあくまでも無免許だからな。
こういった仕事の時には絶対使えねぇ。
だからなんとか無理を言って自転車でも配れるエリアとルートをやらせてもらってるんだ。
多分、『家庭環境が複雑で親のいない可哀想な子』って思われてるんだろうな。
お情けで雇って貰って少し同情されて割増の金額でも一日の日当が2000円なんだ。
これ聞いたらさ、“じゃあ3日働いたら6000円?楽勝じゃね?”って思うかもしれねぇ。
だけどさ、その金額が丸々小遣いになるワケじゃねぇんだ。
食費も要るし、水道・ガス・電気代も要るだろ?
この辺は無いと死ぬからな。
それに加えて給食費・学級費・教材費・修学旅行の積み立て金も学校には持って行かなきゃなんねぇ。
おまけに自宅は持ち家だけど固定資産税が要るんだな。
滞納しちまったら母親が居ねぇのバレちまうだろ?
それだけは絶対に避けたいからな。
そんなこんなで必死で稼いでも生活していくのに全然足りねぇんだよ。
支払いを済ませてったら手元に残るどころか赤字と来てる。
ま、こう言うワケなんで学校での給食が俺にとっての生命線なんだが、少しは解ってもらえただろうか?
俺にとっての5000円はそういう認識と重さだった。
夢野にとっての5000円がどういう重みと価値かは俺には分からない。
だけど、平均的な女子中学生の5000円ってやっぱり大金じゃねぇのか?
「……5000円て結構な金額じゃねぇか。てか、ここの学校ってそんな治安悪ぃのか?」
3年女子がそんな凶悪な事件起こしてんの?マズくね?と俺は思わず呟く。
「だよね。佐藤っちもそう思うよね?」
上野は不安そうに頷いた。
「あーしも伝え聞いただけだから内容はよく知らないんだけどさ」
いや、と俺は首を振った。
「又聞きでも噂でも何でもいいから知ってること全部教えてくれ」
これってガチでヤバい事になってねぇか?
数週間後にビルの屋上から身を投げてしまう夢野くるみ。
もしかしたら俺が思っていたのとは全く違う事件に巻き込まれているのか?
それは今の俺には大きすぎる金額だった。
裕福な家庭のヤツにとったら大したことない金額、或いは1ヶ月の小遣い程度の額かもしれねぇ。
だけど、親のいない俺が手に入れるにはあまりにデカすぎる金額なんだ。
朝刊配達のバイト。
新聞配達って言うとただ配るだけで簡単そうって思うだろ?
早朝ジョギング感覚でポイポイ配って行けば良さそうって感じだもんな。
そう思ってた時期が俺にもあったんだけどさ。
だけど現実にはそうじゃなかったんだよな。
新聞配達って朝の何時からスタートすると思う?
4時?5時?そんなイメージだろ?
実際には1時過ぎにはもうスタートなんだ。
準備してたら一時半にはもうトラックが刷り上がった朝刊を下ろしてくる。
でも、そのまますぐに配るって訳にはいかねぇんだ。
折り込みチラシとかもあるからな。それの準備がまた厄介なんだ。
結構な重量だ。グラグラしてチャリは立ちゴケしそうになる。
大雨の日、大雪の日、台風の日だって新聞は待ってくれねぇ。
時にズブ濡れになりながらも配達しなきゃなんねぇんだ。
50年に一度とかいうドカ雪が降った日には流石に泣きたくなったな。
自転車が前に進まねぇんだもん。車輪が回んなくてただ自転車本体を引き摺ってるだけだったな。
めちゃくちゃ重いし、前には進まねぇし、手はかじかむし、長靴の中もビショ濡れな上に凍りそうに冷てぇんだぜ。
あの時はマジで詰んだと思ったね。発狂しそうだった。
あとさ、都会の方だとどうだか知らねぇが、こっちは田舎なんで家と家一軒ずつの距離が開いてる事が多いんだ。
一人当たりの配達コース・エリアは自然と広範囲になる。
本来なら『原付免許必須』の求人なんだが、佑ニーサンのツテでなんとか頼み込んで雇って貰ってるワケだ。
免許を持ってる、求人の条件を満たしてても時給1000円。
朝刊配達だけだと1ヶ月で最大9万がこの田舎で稼げる限界値だ。
確かに俺はバイクに乗れるけどあくまでも無免許だからな。
こういった仕事の時には絶対使えねぇ。
だからなんとか無理を言って自転車でも配れるエリアとルートをやらせてもらってるんだ。
多分、『家庭環境が複雑で親のいない可哀想な子』って思われてるんだろうな。
お情けで雇って貰って少し同情されて割増の金額でも一日の日当が2000円なんだ。
これ聞いたらさ、“じゃあ3日働いたら6000円?楽勝じゃね?”って思うかもしれねぇ。
だけどさ、その金額が丸々小遣いになるワケじゃねぇんだ。
食費も要るし、水道・ガス・電気代も要るだろ?
この辺は無いと死ぬからな。
それに加えて給食費・学級費・教材費・修学旅行の積み立て金も学校には持って行かなきゃなんねぇ。
おまけに自宅は持ち家だけど固定資産税が要るんだな。
滞納しちまったら母親が居ねぇのバレちまうだろ?
それだけは絶対に避けたいからな。
そんなこんなで必死で稼いでも生活していくのに全然足りねぇんだよ。
支払いを済ませてったら手元に残るどころか赤字と来てる。
ま、こう言うワケなんで学校での給食が俺にとっての生命線なんだが、少しは解ってもらえただろうか?
俺にとっての5000円はそういう認識と重さだった。
夢野にとっての5000円がどういう重みと価値かは俺には分からない。
だけど、平均的な女子中学生の5000円ってやっぱり大金じゃねぇのか?
「……5000円て結構な金額じゃねぇか。てか、ここの学校ってそんな治安悪ぃのか?」
3年女子がそんな凶悪な事件起こしてんの?マズくね?と俺は思わず呟く。
「だよね。佐藤っちもそう思うよね?」
上野は不安そうに頷いた。
「あーしも伝え聞いただけだから内容はよく知らないんだけどさ」
いや、と俺は首を振った。
「又聞きでも噂でも何でもいいから知ってること全部教えてくれ」
これってガチでヤバい事になってねぇか?
数週間後にビルの屋上から身を投げてしまう夢野くるみ。
もしかしたら俺が思っていたのとは全く違う事件に巻き込まれているのか?
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