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ep1.
ep1.「呪いの宣告」 親友で童貞を捨てたと言われても
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そう言われてもまだ俺はピンと来なかった。お札とやらは去年死んだ爺さんかもしくは婆さんが供えたものだろうし、尻のアザは蒙古斑だから大人になったら消えるとしか思ってなかった。両方とも俺にとってはどうでもいいものだった。
「尻にアザがあって神棚にお札があったからって呪いだのなんだのってこじつけじゃね?センセェ、マンガやアニメの見過ぎなんじゃねぇの?」
俺は早く家に帰りたかった。今日はせっかく午前中の授業だけで終わった日だったし、久しぶりに遊べると思っていたのに予想外の足止めを喰らって調子が狂ってしまった。
「死んだ祖父も宮司だったんだがな、祖父の記録を色々と調べて判った事がある。これだ」
小泉は古い帳面のようなものを俺の目の前に突き出した。
「お前の母親がうちの神社に来ていたようだな。安産祈願とお宮参りの記録があった」
俺の母親が安産の祈祷やお宮参りみたいな行事にキチンと参加していたというのがまず驚きだった。そんな事はしそうにないようなイメージだったので意外すぎた。
だがな、よく見ろ、と小泉は帳面を凝視する。
「名前欄に朱書きで何か書いてある」
確かに、他の記録は墨汁の黒一色で書かれているにもかかわらず、俺の母親の欄にだけ何かの記号らしきものが朱い色で添えられている。
「これはな、特別な場合のみの印だ。50年に一度あるかないかと言われているレアケースなんだぞ」
帳面を握りしめた小泉が俺の顔を凝視する。そう一人でエキサイトされても困る。
「お前はつまり、半世紀に一度出現するレベルの呪われた忌み子なんだよ!」
小泉が俺に向かってビシっと指を指す。そう言われましても。俺は困惑した。確かに俺の運は悪そうだ。現にこうして今、変な教師に絡まれているし。
「俺がなんか呪われてるっぽいってのは解ったよセンセェ。けど、童貞捨てるとか時間が戻るとかって話はどっから降って出てきたんだよ?」
俺は小泉の要領を得ない話にウンザリしていた。もしかして小泉って都市伝説だの怪談だの信じちゃう系?オカルト話なら同好会でも勝手に立ち上げてそこでやってくれませんかね?
「そこでこれだ」
小泉が2冊目の和綴じの帳面を出してくる。何冊あるんだよめんどくさい。
「記録によるとお前は一回、童貞を捨てて時間を戻った後に何故かまた時間を戻してるな」
今度は急に話がおかしな方向に向かった。なんで俺が童貞捨ててタイムリープしてるっての?この女、暑さで頭をヤられたのか?元からおかしいのか?
「いやいやいや、無理があるよセンセェ……百歩譲って呪われた子だのってのはわかるぜ?一生厄年みてぇなモンだろ?けど、タイムリープってのはあり得えねぇよ。俺をからかってんの?」
俺はウンザリした。そもそも俺は付き合ってもいない女子をヤリ捨て出来るようなメンタルは持ち合わせていない。何もかもが荒唐無稽な話だった。
「雪城マコト。知ってるな?」
小泉は俺のダチの名前を挙げた。他校のヤツだが親友だ。気の合ういい悪友だった。夏休み中に引っ越しちまったのが残念だった。うだるような真夏日の暑さを思い出しながら俺はスポーツドリンクを喉に流し込む。
「なんでマコトの事知ってんの?」
「お前が童貞を捨てた相手だ」
「!??????」
口に含んだスポーツドリンクが鼻から出てきた。なかなかに痛い。俺は死にそうになりながら必死で口と鼻を押さえた。
「リアクション芸人みたいなヤツだな」
小泉が冷ややかな目で俺を見ている。 いやいやいやいやいや……俺は首を全力で振った。
「マコトは男だぞ?!何だよ!?俺は男相手にそういうことヤッたって言いたいのかよ!?」
「残念だが雪城マコトは女子だ。転校前は私立の女子校に在籍していた。裏も取れている」
「尻にアザがあって神棚にお札があったからって呪いだのなんだのってこじつけじゃね?センセェ、マンガやアニメの見過ぎなんじゃねぇの?」
俺は早く家に帰りたかった。今日はせっかく午前中の授業だけで終わった日だったし、久しぶりに遊べると思っていたのに予想外の足止めを喰らって調子が狂ってしまった。
「死んだ祖父も宮司だったんだがな、祖父の記録を色々と調べて判った事がある。これだ」
小泉は古い帳面のようなものを俺の目の前に突き出した。
「お前の母親がうちの神社に来ていたようだな。安産祈願とお宮参りの記録があった」
俺の母親が安産の祈祷やお宮参りみたいな行事にキチンと参加していたというのがまず驚きだった。そんな事はしそうにないようなイメージだったので意外すぎた。
だがな、よく見ろ、と小泉は帳面を凝視する。
「名前欄に朱書きで何か書いてある」
確かに、他の記録は墨汁の黒一色で書かれているにもかかわらず、俺の母親の欄にだけ何かの記号らしきものが朱い色で添えられている。
「これはな、特別な場合のみの印だ。50年に一度あるかないかと言われているレアケースなんだぞ」
帳面を握りしめた小泉が俺の顔を凝視する。そう一人でエキサイトされても困る。
「お前はつまり、半世紀に一度出現するレベルの呪われた忌み子なんだよ!」
小泉が俺に向かってビシっと指を指す。そう言われましても。俺は困惑した。確かに俺の運は悪そうだ。現にこうして今、変な教師に絡まれているし。
「俺がなんか呪われてるっぽいってのは解ったよセンセェ。けど、童貞捨てるとか時間が戻るとかって話はどっから降って出てきたんだよ?」
俺は小泉の要領を得ない話にウンザリしていた。もしかして小泉って都市伝説だの怪談だの信じちゃう系?オカルト話なら同好会でも勝手に立ち上げてそこでやってくれませんかね?
「そこでこれだ」
小泉が2冊目の和綴じの帳面を出してくる。何冊あるんだよめんどくさい。
「記録によるとお前は一回、童貞を捨てて時間を戻った後に何故かまた時間を戻してるな」
今度は急に話がおかしな方向に向かった。なんで俺が童貞捨ててタイムリープしてるっての?この女、暑さで頭をヤられたのか?元からおかしいのか?
「いやいやいや、無理があるよセンセェ……百歩譲って呪われた子だのってのはわかるぜ?一生厄年みてぇなモンだろ?けど、タイムリープってのはあり得えねぇよ。俺をからかってんの?」
俺はウンザリした。そもそも俺は付き合ってもいない女子をヤリ捨て出来るようなメンタルは持ち合わせていない。何もかもが荒唐無稽な話だった。
「雪城マコト。知ってるな?」
小泉は俺のダチの名前を挙げた。他校のヤツだが親友だ。気の合ういい悪友だった。夏休み中に引っ越しちまったのが残念だった。うだるような真夏日の暑さを思い出しながら俺はスポーツドリンクを喉に流し込む。
「なんでマコトの事知ってんの?」
「お前が童貞を捨てた相手だ」
「!??????」
口に含んだスポーツドリンクが鼻から出てきた。なかなかに痛い。俺は死にそうになりながら必死で口と鼻を押さえた。
「リアクション芸人みたいなヤツだな」
小泉が冷ややかな目で俺を見ている。 いやいやいやいやいや……俺は首を全力で振った。
「マコトは男だぞ?!何だよ!?俺は男相手にそういうことヤッたって言いたいのかよ!?」
「残念だが雪城マコトは女子だ。転校前は私立の女子校に在籍していた。裏も取れている」
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