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ep1.
ep1.「呪いの宣告」 事後の確認
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俺は小泉の顔を見た。小泉は至って冷静に俺を見ている。なんだこの状況は。俺に何をしろって言うんだ?
小泉の意図と目的が判らず俺は困惑した。
「信じられないなら今すぐ自分で確かめてみたらどうだ?」
小泉が真っ直ぐに俺を見つめている。冗談ではなくガチでこの話を信じているって言うのか?そんな馬鹿な。
「確かめるってどうするんだよ?」
小泉が一瞬ニヤリと笑ったのを俺は見逃さなかった。
「校内へのスマホの持ち込みは校則で禁止されてるのは知ってるだろう?」
ああ、と俺は頷いた。小泉は俺がスマホを隠し持っているのを前から知っていた。
「今回だけは見逃してやろう。今すぐ雪城マコトに電話してみろ」
小泉は自信ありげにこう続けた。
「確認して雪城マコトが女子だったらこの話も信憑性が出てくるだろう?」
どう考えても奇妙な話だった。俺は放課後の美術準備室で何をさせられてるんだ?俺の高熱はまだ下がっていなかったのか?幻覚なのかこれは?転校して行ったばかりの親友の性別を確認する?全く意味がわからなかった。
スマホを取り出した俺はヤケクソでマコトの番号に掛ける。向こうも授業中って事もあるだろ。どうすんだよこれ。
出ないでくれ、という俺の願いも虚しくすぐにスマホの向こうから懐かしい声が聞こえてきた。
『もしもし…?え?ガックンどうしたのさ?』
久しぶりに聞く懐かしいダチの声が聞こえてきて俺は少し泣きそうになった。
「……マコトか? ……あ、いや、なんでもない。ちょっとお前が心配になってさ。どうしてんのかなって」
なんとか誤魔化したが、不自然なのはバレバレであるようにも思えた。
『え?僕のこと心配してくれてんの?どういう風の吹き回し?引っ越してしてまだ10日くらいだよ?」
スマホの向こうでマコトが少し笑っているのを感じた俺はホッとした。
なんだ、いつものマコトじゃねーか。
何も変わらない、俺の悪友のマコトだ。
しかし、ホッとしたのも束の間、小泉がこちらに目配せしているのが視界に入る。
聞けってのか?こんな荒唐無稽な話を?俺は暫く躊躇した後に破れかぶれでマコトに話を振った。
「……あのさ……気を悪くしないで聞いて欲しいんだけどさ」
『どしたのさガックン?急に改まって』
マコトが不思議そうな声のトーンで俺に訊く。
「……俺んとこの学校にさ、お前が女子なんじゃねぇかって言い出す奴が居てよ。おかしいだろ?お前からも何か言ってやって欲しいんだけど……」
スマホの向こうで大爆笑しているマコトの声が聞こえてきたので俺は心底ホッとした。
なんだ、やっぱり嘘だったんじゃねーか。それにしてもマコトがキレねぇで笑い飛ばしてくれたのが一番ありがたかった。
「……だよな、他校なのにおかしな噂が流れてるなんて……」
俺の言葉を遮り、クスクス笑いながらマコトが放った言葉に俺は衝撃を受けた。
『え?今頃気付いたのガックン?僕、ずっと私立の女子校に通ってたのに知らなかった?」
「!?」
呆然とする俺にマコトは続けた。
『ガックンだけだよ?僕のこと女子って気づかなかったの。概史も佑ニーサンもみんな後半で気づいてたっぽいのに」
小泉の意図と目的が判らず俺は困惑した。
「信じられないなら今すぐ自分で確かめてみたらどうだ?」
小泉が真っ直ぐに俺を見つめている。冗談ではなくガチでこの話を信じているって言うのか?そんな馬鹿な。
「確かめるってどうするんだよ?」
小泉が一瞬ニヤリと笑ったのを俺は見逃さなかった。
「校内へのスマホの持ち込みは校則で禁止されてるのは知ってるだろう?」
ああ、と俺は頷いた。小泉は俺がスマホを隠し持っているのを前から知っていた。
「今回だけは見逃してやろう。今すぐ雪城マコトに電話してみろ」
小泉は自信ありげにこう続けた。
「確認して雪城マコトが女子だったらこの話も信憑性が出てくるだろう?」
どう考えても奇妙な話だった。俺は放課後の美術準備室で何をさせられてるんだ?俺の高熱はまだ下がっていなかったのか?幻覚なのかこれは?転校して行ったばかりの親友の性別を確認する?全く意味がわからなかった。
スマホを取り出した俺はヤケクソでマコトの番号に掛ける。向こうも授業中って事もあるだろ。どうすんだよこれ。
出ないでくれ、という俺の願いも虚しくすぐにスマホの向こうから懐かしい声が聞こえてきた。
『もしもし…?え?ガックンどうしたのさ?』
久しぶりに聞く懐かしいダチの声が聞こえてきて俺は少し泣きそうになった。
「……マコトか? ……あ、いや、なんでもない。ちょっとお前が心配になってさ。どうしてんのかなって」
なんとか誤魔化したが、不自然なのはバレバレであるようにも思えた。
『え?僕のこと心配してくれてんの?どういう風の吹き回し?引っ越してしてまだ10日くらいだよ?」
スマホの向こうでマコトが少し笑っているのを感じた俺はホッとした。
なんだ、いつものマコトじゃねーか。
何も変わらない、俺の悪友のマコトだ。
しかし、ホッとしたのも束の間、小泉がこちらに目配せしているのが視界に入る。
聞けってのか?こんな荒唐無稽な話を?俺は暫く躊躇した後に破れかぶれでマコトに話を振った。
「……あのさ……気を悪くしないで聞いて欲しいんだけどさ」
『どしたのさガックン?急に改まって』
マコトが不思議そうな声のトーンで俺に訊く。
「……俺んとこの学校にさ、お前が女子なんじゃねぇかって言い出す奴が居てよ。おかしいだろ?お前からも何か言ってやって欲しいんだけど……」
スマホの向こうで大爆笑しているマコトの声が聞こえてきたので俺は心底ホッとした。
なんだ、やっぱり嘘だったんじゃねーか。それにしてもマコトがキレねぇで笑い飛ばしてくれたのが一番ありがたかった。
「……だよな、他校なのにおかしな噂が流れてるなんて……」
俺の言葉を遮り、クスクス笑いながらマコトが放った言葉に俺は衝撃を受けた。
『え?今頃気付いたのガックン?僕、ずっと私立の女子校に通ってたのに知らなかった?」
「!?」
呆然とする俺にマコトは続けた。
『ガックンだけだよ?僕のこと女子って気づかなかったの。概史も佑ニーサンもみんな後半で気づいてたっぽいのに」
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