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3章:学校生活

13:忘れていたこと

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 学校に着いて、ガレットと二人、着席する。それとほぼ同時に担任の先生が入ってきて、朝のホームルームが始まる。そこまできてようやく遅刻せずに学校に来ることが出来た、という事実を感じられて、俺はほっとする。

ほっとしたと同時に、思い出したことがあった。それを思い出したと同時に、俺の背中に一筋、冷や汗が流れる。

 今日の昼ご飯、ない。

いつもは早く起きて弁当を作っている。でも、今日は作るどころか何かを持ってくる余裕すらなかった。昼ご飯がない、どころか飲み物すらない。
寝坊したから、教科書が入っているカバンだけ持ってきて、そのまま急いで学校に来てしまった。俺は、途中から口をぽっかり開けた間の抜けた顔で先生の話を聞いていた。

ホームルームが終わり、一時間目の授業が始まるまでの十分ほどの休み時間が始まる。
一時間目の授業は教室だから、移動教室はしなくていい。俺は、この休み時間で今後の作戦を立てようとしていた。

「章太郎、どうしたんだい? 先ほどからなんだか様子がおかしいけれど……お腹が空いたのかい?」

 隣の席に座っているガレットが、俺に対して訊ねてきた。俺は首を横に振った。

「……その、ごめん、今日、弁当ないこと、思い出して……」
 
 俺が言うとガレットは一瞬ひどくショックを受けたような表情をする。今までみたことがないくらいの表情。レアな表情だと思うと同時に、そういう表情をさせてしまったことを申しわけなく思った。

「だ、大丈夫……! た、多分なんとかなるから……! 近くにコンビニあるし、コンビニに行こう! 飲み物は自販機で買えるから! ちょ、ちょっと考えるよ……!」

 俺が言うと、多少ショックの表情が和らぐ。ただ、安心感、とはほど遠い表情だった。

 教科書を出して、これからのことを考える。
二時間目は移動教室で1階に行く。その時に飲み物は調達しよう。糖分補給のために甘い飲み物も一緒に買おう。

 幸運なことに、学校のすぐ近くはコンビニがある。往復15分くらい。昼時のコンビニは、混んでいるけれど、何かしらは買えるだろう。窓の外を見てみる。ちょっと薄暗い。昨日の晴れとはうって変わってどんよりした天気だった。さっき走っていた時は急いでいたからあまり意識していなかったけれど、天気予報、どうだろう。折りたたみ傘が一本しか入っていないから、雨が降ったらまずい。
時計をちら、と見てまだ授業が始まっていないことを確認する。授業中は携帯を使うことは禁止されているから。そして、スマートフォンを見て、天気予報を確認する。日中は曇り。夜から雨。だったら、昼休みになって急いでコンビニに行くのが最善策だ。

 学校にいるのだから、購買、と言う手もある。ただ、俺にとって購買は、魔境のような場所で、近づくのをすこしためらっていた。
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