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第2章:高校時代の俺達
第21話 夏休みの終わり その1
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8月。夏休みも終わりが近づいてきた。巨大ポスターも完成間近。二人で夏休みを返上してやっていた。
俺達二人は巨大ポスターの色塗りをしていた。巨大ポスターをテーブルの上に置いて、大きいハケを持って、元のポスターと巨大ポスターを視線で往復させながら。
「りせ」
「何?」
呼ばれて、俺は巨大ポスターとは違う方に視線を向ける。ヨリに呼ばれた。この作業に関係があることか、それとも、また別のことか……。なんとなく校舎だろうな、と予想が付いた。
「好きだよ」
ヨリはひどく嬉しそうに口にする。そう言えるのがすごく幸せだ、という風に。予想通りだな、とは思いながらも、ちょっと心臓が高鳴った。
「……ありがとう」
このやりとりを今日までに何度も繰り返している。俺に対して好き、と言っていい、とは何度も言ったものの、何度もやりとりを繰り返していた。嬉しいけれど、それだけだった。
心のどこかで防御をするかのように、俺は「気持ちは嬉しいよ」とか「ありがとう」と返すだけ。
どうなんだろうな。俺はヨリのこと、どう思ってるんだろうな。
ヨリの好きコールを何度も聞いて、そして「ありがとう」を返しながら、時間は過ぎていった。
昼時。俺達は二人で隣合って弁当を食べる。
「りせ」
「何?」
「言いたいことがあるの」
耳打ちされた。何だろうか、ここで言えないような事。好きコール、とは何か雰囲気が違ったから、油断していた。
「好きだよ」
甘い吐息混じりで、いつもより低い声で囁かれる。恋愛ドラマのワンシーンのように。
「っ……!?」
びく、と身体が跳ねた。突然の好きコール。油断していたから驚きと衝撃で俺の身体が跳ねた。思わずヨリの方を見る。
「っ……!? ヨリっ……!? なんでっ……!?」
俺は戸惑った声で口にした。口元を押さえてしまう。ちょっと混乱している。いつも言われ慣れているのに、不意打ちを食らったような感覚になっていた。
「こんな風に言ったら、りせ、どんな反応するかな~って思って」
ヨリはいたずら成功、みたいな顔をしている。綺麗な顔がどこか子どもっぽい。
「ちょ、ちょっと待って?」
「好きって言っていいって言ったのはりせでしょ?」
「そ、そうだけど……」
そんなことをわいわいと話しながら言う。
視線をずらして、身体の熱を味わいながら感じる。ああ、俺も、ヨリと同じ気持ちなんだ、と。
身体の熱の中で感じる。あの時、恋人に抱いたのと同じような熱を。
でも、それはどこか怖くて、寂しいことだった。
俺達二人は巨大ポスターの色塗りをしていた。巨大ポスターをテーブルの上に置いて、大きいハケを持って、元のポスターと巨大ポスターを視線で往復させながら。
「りせ」
「何?」
呼ばれて、俺は巨大ポスターとは違う方に視線を向ける。ヨリに呼ばれた。この作業に関係があることか、それとも、また別のことか……。なんとなく校舎だろうな、と予想が付いた。
「好きだよ」
ヨリはひどく嬉しそうに口にする。そう言えるのがすごく幸せだ、という風に。予想通りだな、とは思いながらも、ちょっと心臓が高鳴った。
「……ありがとう」
このやりとりを今日までに何度も繰り返している。俺に対して好き、と言っていい、とは何度も言ったものの、何度もやりとりを繰り返していた。嬉しいけれど、それだけだった。
心のどこかで防御をするかのように、俺は「気持ちは嬉しいよ」とか「ありがとう」と返すだけ。
どうなんだろうな。俺はヨリのこと、どう思ってるんだろうな。
ヨリの好きコールを何度も聞いて、そして「ありがとう」を返しながら、時間は過ぎていった。
昼時。俺達は二人で隣合って弁当を食べる。
「りせ」
「何?」
「言いたいことがあるの」
耳打ちされた。何だろうか、ここで言えないような事。好きコール、とは何か雰囲気が違ったから、油断していた。
「好きだよ」
甘い吐息混じりで、いつもより低い声で囁かれる。恋愛ドラマのワンシーンのように。
「っ……!?」
びく、と身体が跳ねた。突然の好きコール。油断していたから驚きと衝撃で俺の身体が跳ねた。思わずヨリの方を見る。
「っ……!? ヨリっ……!? なんでっ……!?」
俺は戸惑った声で口にした。口元を押さえてしまう。ちょっと混乱している。いつも言われ慣れているのに、不意打ちを食らったような感覚になっていた。
「こんな風に言ったら、りせ、どんな反応するかな~って思って」
ヨリはいたずら成功、みたいな顔をしている。綺麗な顔がどこか子どもっぽい。
「ちょ、ちょっと待って?」
「好きって言っていいって言ったのはりせでしょ?」
「そ、そうだけど……」
そんなことをわいわいと話しながら言う。
視線をずらして、身体の熱を味わいながら感じる。ああ、俺も、ヨリと同じ気持ちなんだ、と。
身体の熱の中で感じる。あの時、恋人に抱いたのと同じような熱を。
でも、それはどこか怖くて、寂しいことだった。
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