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第2章:高校時代の俺達
第22話 夏休みの終わり その2
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「おはよう」
「お、おはよう」
8月に入ってからヨリの方が早く来る、ということの方が多かった。今日もヨリは絵を描いていた。キャンバスに向かって絵を描いていたヨリが俺の方を振り返ったから、ちょっとどきっとして言葉に詰まってしまった。
ヨリの方をちらちらと眺めてしまっていた。近い距離で色を塗っている。なんとなく灯油の匂いがする。油絵の具の匂い。ヨリは「独特だから苦手な人も結構いるんだけどね」というけれど、俺は好きな匂いだった。
ヨリがこちらに視線を向ける。綺麗な顔。どきっとした。この間までは「綺麗な顔だな」だったのに、今はすごく意識してしまっていた。すごくドキドキしてる。
「大丈夫? 手、止まってるけど」
ヨリに声を掛けられる。無表情さにどこか心配しているような視線が混ざっている。
「あ、ああ……。ごめん、大丈夫。ちょっとぼーっとしてた」
俺はヨリの視線から逃げるようにして慌ててポスターの方へと視線を落とす。残り後3分の1くらい。なんとか終わらせたい。ヨリに対しての想いに気を取られている場合ではない。
「疲れてる?」
「いや、そういうわけじゃ……」
「膝枕、してもいいよ?」
「……しないよ。暑いから」
突如膝枕、を言われてしまった。暑いから、という理由ではない。冬でも多分やってない。俺はポスターに向けて
「そっか、じゃあ、いつかさせてあげる」
そんなことをヨリは言う。ヨリに膝枕、ね……。
「ね、りせ。ちょっと一回ハケ置いて貰っていい?」
「あ、ああ」
ヨリは俺の方に近づいた。油絵の具の匂いがさらに強くなる。そして、俺の後ろへと回る。
「え……?」
突然、後ろからヨリに抱きしめられた。少し前であれば変わった行動で済ませてた。けれど今はなんだかドキドキしてしまう。
「な、ヨリっ……、何……!?」
「こうすると疲れが取れるって」
「は、はあ……」
思わず身じろぎしてしまったけれどヨリ、意外としっかりした体格してるんだな……。
本当に変。でも、やっぱり、俺はヨリのことが、好きなのかもしれない。
「あのさ」
「な、何……?」
「いつか、りせの絵を描くからね」
「あ、ああ……」
突然そんなことを言われてしまった。俺の絵を描く、どういうことだろうか。
少し暑い美術室の中、俺は、彼の身体の感覚を味わっている。少しだけ熱い体温。骨ばったヨリの手。突飛なヨリの行動。その全部が愛おしくて、苦しい。
ずっとこの緩やかな関係性が続いて欲しいと思う気持ちと、進みたい気持ち、そして、怖さが俺の身体に走っていた。
「お、おはよう」
8月に入ってからヨリの方が早く来る、ということの方が多かった。今日もヨリは絵を描いていた。キャンバスに向かって絵を描いていたヨリが俺の方を振り返ったから、ちょっとどきっとして言葉に詰まってしまった。
ヨリの方をちらちらと眺めてしまっていた。近い距離で色を塗っている。なんとなく灯油の匂いがする。油絵の具の匂い。ヨリは「独特だから苦手な人も結構いるんだけどね」というけれど、俺は好きな匂いだった。
ヨリがこちらに視線を向ける。綺麗な顔。どきっとした。この間までは「綺麗な顔だな」だったのに、今はすごく意識してしまっていた。すごくドキドキしてる。
「大丈夫? 手、止まってるけど」
ヨリに声を掛けられる。無表情さにどこか心配しているような視線が混ざっている。
「あ、ああ……。ごめん、大丈夫。ちょっとぼーっとしてた」
俺はヨリの視線から逃げるようにして慌ててポスターの方へと視線を落とす。残り後3分の1くらい。なんとか終わらせたい。ヨリに対しての想いに気を取られている場合ではない。
「疲れてる?」
「いや、そういうわけじゃ……」
「膝枕、してもいいよ?」
「……しないよ。暑いから」
突如膝枕、を言われてしまった。暑いから、という理由ではない。冬でも多分やってない。俺はポスターに向けて
「そっか、じゃあ、いつかさせてあげる」
そんなことをヨリは言う。ヨリに膝枕、ね……。
「ね、りせ。ちょっと一回ハケ置いて貰っていい?」
「あ、ああ」
ヨリは俺の方に近づいた。油絵の具の匂いがさらに強くなる。そして、俺の後ろへと回る。
「え……?」
突然、後ろからヨリに抱きしめられた。少し前であれば変わった行動で済ませてた。けれど今はなんだかドキドキしてしまう。
「な、ヨリっ……、何……!?」
「こうすると疲れが取れるって」
「は、はあ……」
思わず身じろぎしてしまったけれどヨリ、意外としっかりした体格してるんだな……。
本当に変。でも、やっぱり、俺はヨリのことが、好きなのかもしれない。
「あのさ」
「な、何……?」
「いつか、りせの絵を描くからね」
「あ、ああ……」
突然そんなことを言われてしまった。俺の絵を描く、どういうことだろうか。
少し暑い美術室の中、俺は、彼の身体の感覚を味わっている。少しだけ熱い体温。骨ばったヨリの手。突飛なヨリの行動。その全部が愛おしくて、苦しい。
ずっとこの緩やかな関係性が続いて欲しいと思う気持ちと、進みたい気持ち、そして、怖さが俺の身体に走っていた。
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