「10年間、ずっと好き」 ~再会した美形同級生と恋人になるまでの話~

雨宮ロミ

文字の大きさ
22 / 39
第2章:高校時代の俺達

第20話 過去と

しおりを挟む

 部屋に戻り、ベッドの上で、ぼんやりと数ヶ月前のことを思い出していた。

 恋人、がいたことがある。高1の夏休みからヨリと出会う少し前まで。
その人は、俺よりも年上で、すごくスマートな人だった。俺よりも背が高くて、笑顔が綺麗な人。優しくて、何でも出来て、頭もよくって、その人と付き合えることが幸せだった。
 その人に何でも教えてもらった。俺の知らないことを全部。知りたくなかったことまで教えてもらった。一人の時の寂しさも。

俺は、その人が好きだった。叶うことだったら一生いたい、とも思った。けれども、その人とはすぐに縁が切れてしまった。「ごめんね」って言われて。俺が飲み込めないまま一方的に
今思えば、その人に子ども扱いされてたんだと思う。俺の頭を撫でる手つきも、俺に何かを教える時の声も、恋人、というよりは、子どもを扱うみたいな仕草だったから。

 ピアスを開けたのは、寂しかったから。寂しくって仕方がなくて開けた。痛みで、寂しいのを紛らわせたかったのかもしれない。けれども、思ったよりも痛くなかった。

 ヨリは俺のことが好き。俺はヨリのことは…………わかんない。

わかんないままでいたい。

きっとないとは思うけれど、もし、俺がヨリを好きになったら、好きになって、どこかで別れたら、また、あの時みたいな気持ちを味わうのかもしれない。傷つきたく、ないな。

ヨリのことを、好きになりたくない、な。
 
 そんなことを考えながら、自分の想いが分からないまま、夜が過ぎて、朝を迎える、を繰り返して、あっという間に月曜日になってしまった。
 どういう顔で会えばいいんだろうか。いつものように二人分の弁当を作って、俺はヨリのいる美術室に向かう。

「おはよう、りせ」

 ヨリは昨日みたいに絵を描いていた。俺より早く美術室に来ていて、俺が扉を開けると、顔をこちらに向けてくれた。やっぱり、綺麗な顔をしている。

「……おはよう。……どうしたの?」
「何が?」
「……寂しそうだから」
「……何でもないよ」

寂しかった時のことを思い出していたのが、ヨリにばれてしまったのかもしれない。もう一度、「本当になんでもない」って言ったら「そう」と言って、再びキャンバスの方に戻った。

――じゃあさ、僕が好きだって言ったら?

 少しだけ、心臓の鼓動が速くなって、顔が熱くなる。あんな風に言われたから、ちょっと意識してしまった。

「りせ」
「何」
「りせのこと、好きだよ」
「……ありがと」

 その言葉が嬉しくて、なんだか寂しかった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

今日も、社会科準備室で

下井理佐
BL
内気で弱気な高校生・鈴山夏芽(すずやまなつめ)は、昼休みになると誰もいない社会科準備室でこっそりと絵を描いていた。 夏芽はいつものように社会科準備室を開ける。そこには今年赴任してきた社会科教室・高山秋次(あきつぐ)がいた。 新任式で黄色い声を受けていた高山がいることに戸惑い退室しようとするが、高山に引き止められる。 萎縮しながらも絵を描く夏芽に高山は興味を持ち出し、次第に昼休みが密かな楽しみになる。

今日もBL営業カフェで働いています!?

卵丸
BL
ブラック企業の会社に嫌気がさして、退職した沢良宜 篤は給料が高い、男だけのカフェに面接を受けるが「腐男子ですか?」と聞かれて「腐男子ではない」と答えてしまい。改めて、説明文の「BLカフェ」と見てなかったので不採用と思っていたが次の日に採用通知が届き疑心暗鬼で初日バイトに向かうと、店長とBL営業をして腐女子のお客様を喜ばせて!?ノンケBL初心者のバイトと同性愛者の店長のノンケから始まるBLコメディ ※ 不定期更新です。

敵国の将軍×見捨てられた王子

モカ
BL
敵国の将軍×見捨てられた王子

天の求婚

紅林
BL
太平天帝国では5年ほど前から第一天子と第二天子によって帝位継承争いが勃発していた。 主人公、新田大貴子爵は第二天子派として広く活動していた亡き父の跡を継いで一年前に子爵家を継いだ。しかし、フィラデルフィア合衆国との講和条約を取り付けた第一天子の功績が認められ次期帝位継承者は第一天子となり、派閥争いに負けた第二天子派は継承順位を下げられ、それに付き従った者の中には爵位剥奪のうえ、帝都江流波から追放された華族もいた そして大貴もその例に漏れず、邸宅にて謹慎を申し付けられ現在は華族用の豪華な護送車で大天族の居城へと向かっていた 即位したての政権が安定していない君主と没落寸前の血筋だけは立派な純血華族の複雑な結婚事情を描いた物語

灰かぶりの少年

うどん
BL
大きなお屋敷に仕える一人の少年。 とても美しい美貌の持ち主だが忌み嫌われ毎日被虐的な扱いをされるのであった・・・。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

魔王に飼われる勇者

たみしげ
BL
BLすけべ小説です。 敵の屋敷に攻め込んだ勇者が逆に捕まって淫紋を刻まれて飼われる話です。

処理中です...