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王太子ルート回避いたします3
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『ヤバい
何この娘
欲しい』
セドリックは欲望が確かな形で自身の中に生まれるのを感じた。
まるで、あの幼き日に会った『アリア』の様に可憐な乙女だ。
もしかしたら本当にアリアなのでは?
良く見ると髪や目の色が同じだ。
でも、それはないと言う事は幼い日に嫌と言う程思い知った。
だから思う。
『なら、今度は絶対に逃さない』
☆☆☆☆☆☆☆
奇跡の庭程ではないが、我が家の庭には薔薇の花が咲き誇る。
聖霊が楽しそうにはしゃぐのを見るのに熱中していた私は後ろから近付く人物に全く気づかなかった。
だから一瞬フリーズしてしまった私にセドリックは難なく近付く。
「こんにちはレディ。イヴァンは居るかな?」
と似非紳士スマイルで問い掛けて来た。
『は?レディ?何言ってんだ?このど鬼畜王子は?』と内心悪態をつくも相手は王族、私は不自然でないように気を使いながらにこやかに微笑んで立ち上がった。
「殿下。今日は兄と約束はしてはいなかったと思いますが」
大体殿下は私達兄妹からしたら今は大一級警戒対象なのだから、もし来るとしたら兄から一言注意勧告があるはず。
遠回しに『約束していないのだから早く帰ってね』と言う意味を込めてそう言えば
「まぁ、そうですが『内密な話があって内々に来たのです。先触れもせず訪ねたことにはお詫び致します』と、そう伝えては頂けませんか?」
もの凄く低姿勢でそう言うセドリック。
誰ですか?
これ?
本当に俺様王子?
「えっ?殿下どうされたのですか、昨日とはまるで別人の様な態度ですわよね」
きょとんとする私にセドリックは訝しむ。
「昨日?」
怪訝なセドリックの態度にこの時気付いていれば良かったのだ。
多分、ここで気付いていたならばあんな事にはならなかったんだと思う。
多分……。
「はい。昨日は結構砕けて話をしたと思うのですが、私も殿下にお友達認定もして頂きましたし」
何も考えず思った事を言ってみる。
なにやら思案するセドリックを見て、私は『はっ』とした。
そういえば昨日までは重度の花粉症で顔が別人!
思わず見上げたそこにセドリックの顔が近付く。
「まさか……エマ?」
そっと顔に添えられた両の手の動きがやたらとゆっくりに感じられた。
セドリックに顔を固定されて身動きがとれなくなった私は内心焦る。
だって……だってさ……ど鬼畜王子だけど攻略対象なだけあって顔は滅茶苦茶良いんだよね。
まぁ、想い出の君であるお兄様には負けるけど。
何て不敬な事を考えてしまった。
本当に『しまった』だったのだ。
だから油断してしまった。
その端正な顔がゆっくりと近付き、唇に柔らかい何かが触れるまで……。
『へ?何?』とボンヤリした頭で考えてていると何かヌルリとした物が口内へ侵入してくる。
私はそれが何なのか理解すると『かぁーっ』と顔を赤くし、そのままセドリックの胸を押して離れた。
「なっ……何仕出かしているんですか!このど鬼畜王子が!」
思わず罵声を浴びせてしまう。
もう不敬とかそんな事頭になんてない。
口の端から滴る唾液を無造作に手で拭う。
セドリックは最初こそ目を大きく見開いて私の言った事に驚いていたが、次第にその目を細め笑いだした。
「ククク……。いいねエマ。その反応最高だよ」
この上なく楽しそうに笑うセドリックを私は睨み付ける。
「君は私が『ど鬼畜』だって知っているんだね。いや~猫被る必要がなくて助かるよ。イヴァンにでも聞いた?」
クツクツと笑うセドリック。
何この人……怖いから。
「まさか。お兄様はそんな事私に教えたりしておりませんわ。ご安心を(それに兄は腹黒王子と言っていたから)」
キリって睨んでもこのど鬼畜王子には痛くも痒くもない様で更に闘争心を燃やさせてしまって本当に自分は不甲斐ない。
何でしょうね。
アンをこの王子の魔手から遠ざけようと思ったら、まさかの自身が捕まってしまうなんて。
ミイラ取りがミイラ?的な?
「私のファーストキスを奪った対価は高くつきましてよ」
挑戦的に恨みがましくそう言ってしまったのも不可抗力だと思う。
「男らしく責任はとるつもりだよ」
セドリックは楽しそうにそう返して来る。
男が女にとる責任=結婚……要らんわそんな重いもの!!
思いっきりちゃぶ台をひっくり返したい衝動にかられるのを何とか押さえ言葉を紡ぐ。
「責任なんて要りませんから、金輪際私やアンの前には来ないで下さいまし。それで無かった事にして差し上げますわ」
あくまでもこちらに権利がある様に言う。
交渉は気持ちで負けたらいかんのです。
そんな私を見て、セドリックは一瞬目を細めた。
何この娘
欲しい』
セドリックは欲望が確かな形で自身の中に生まれるのを感じた。
まるで、あの幼き日に会った『アリア』の様に可憐な乙女だ。
もしかしたら本当にアリアなのでは?
良く見ると髪や目の色が同じだ。
でも、それはないと言う事は幼い日に嫌と言う程思い知った。
だから思う。
『なら、今度は絶対に逃さない』
☆☆☆☆☆☆☆
奇跡の庭程ではないが、我が家の庭には薔薇の花が咲き誇る。
聖霊が楽しそうにはしゃぐのを見るのに熱中していた私は後ろから近付く人物に全く気づかなかった。
だから一瞬フリーズしてしまった私にセドリックは難なく近付く。
「こんにちはレディ。イヴァンは居るかな?」
と似非紳士スマイルで問い掛けて来た。
『は?レディ?何言ってんだ?このど鬼畜王子は?』と内心悪態をつくも相手は王族、私は不自然でないように気を使いながらにこやかに微笑んで立ち上がった。
「殿下。今日は兄と約束はしてはいなかったと思いますが」
大体殿下は私達兄妹からしたら今は大一級警戒対象なのだから、もし来るとしたら兄から一言注意勧告があるはず。
遠回しに『約束していないのだから早く帰ってね』と言う意味を込めてそう言えば
「まぁ、そうですが『内密な話があって内々に来たのです。先触れもせず訪ねたことにはお詫び致します』と、そう伝えては頂けませんか?」
もの凄く低姿勢でそう言うセドリック。
誰ですか?
これ?
本当に俺様王子?
「えっ?殿下どうされたのですか、昨日とはまるで別人の様な態度ですわよね」
きょとんとする私にセドリックは訝しむ。
「昨日?」
怪訝なセドリックの態度にこの時気付いていれば良かったのだ。
多分、ここで気付いていたならばあんな事にはならなかったんだと思う。
多分……。
「はい。昨日は結構砕けて話をしたと思うのですが、私も殿下にお友達認定もして頂きましたし」
何も考えず思った事を言ってみる。
なにやら思案するセドリックを見て、私は『はっ』とした。
そういえば昨日までは重度の花粉症で顔が別人!
思わず見上げたそこにセドリックの顔が近付く。
「まさか……エマ?」
そっと顔に添えられた両の手の動きがやたらとゆっくりに感じられた。
セドリックに顔を固定されて身動きがとれなくなった私は内心焦る。
だって……だってさ……ど鬼畜王子だけど攻略対象なだけあって顔は滅茶苦茶良いんだよね。
まぁ、想い出の君であるお兄様には負けるけど。
何て不敬な事を考えてしまった。
本当に『しまった』だったのだ。
だから油断してしまった。
その端正な顔がゆっくりと近付き、唇に柔らかい何かが触れるまで……。
『へ?何?』とボンヤリした頭で考えてていると何かヌルリとした物が口内へ侵入してくる。
私はそれが何なのか理解すると『かぁーっ』と顔を赤くし、そのままセドリックの胸を押して離れた。
「なっ……何仕出かしているんですか!このど鬼畜王子が!」
思わず罵声を浴びせてしまう。
もう不敬とかそんな事頭になんてない。
口の端から滴る唾液を無造作に手で拭う。
セドリックは最初こそ目を大きく見開いて私の言った事に驚いていたが、次第にその目を細め笑いだした。
「ククク……。いいねエマ。その反応最高だよ」
この上なく楽しそうに笑うセドリックを私は睨み付ける。
「君は私が『ど鬼畜』だって知っているんだね。いや~猫被る必要がなくて助かるよ。イヴァンにでも聞いた?」
クツクツと笑うセドリック。
何この人……怖いから。
「まさか。お兄様はそんな事私に教えたりしておりませんわ。ご安心を(それに兄は腹黒王子と言っていたから)」
キリって睨んでもこのど鬼畜王子には痛くも痒くもない様で更に闘争心を燃やさせてしまって本当に自分は不甲斐ない。
何でしょうね。
アンをこの王子の魔手から遠ざけようと思ったら、まさかの自身が捕まってしまうなんて。
ミイラ取りがミイラ?的な?
「私のファーストキスを奪った対価は高くつきましてよ」
挑戦的に恨みがましくそう言ってしまったのも不可抗力だと思う。
「男らしく責任はとるつもりだよ」
セドリックは楽しそうにそう返して来る。
男が女にとる責任=結婚……要らんわそんな重いもの!!
思いっきりちゃぶ台をひっくり返したい衝動にかられるのを何とか押さえ言葉を紡ぐ。
「責任なんて要りませんから、金輪際私やアンの前には来ないで下さいまし。それで無かった事にして差し上げますわ」
あくまでもこちらに権利がある様に言う。
交渉は気持ちで負けたらいかんのです。
そんな私を見て、セドリックは一瞬目を細めた。
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