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ドレス

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「やっぱり、レースは多めのものが…」
「それじゃ、シャガートに合わないだろう…」
「こっちの方が可愛らしくて…」 
本日、私はシャガート様の家が抱えるデザイナーの店に来ています。ここに来るまでにある程度デザイン案はまとめてきていたのですが実物を見ると変わるものです。採寸を受けながらシャガート様たちが話し合っているのを聞きながら私はドレスの生地とビーズなどの飾りを見るのに夢中になっていました。あぁ、キラキラきれい。こういうものを見るのは癒されます。
「ミア?君の意見は?」
呆れたようにブラーナ様に尋ねられ私はやっと我に帰りました。
「シャガートの家のドレスだからシャガートの色を使おうと思ってるの。髪色の白銀か瞳の緑。どっちがいいかしら?」
メーレ様が微笑みます。
「レース…フリルも…この色だと…」
シャガート様がデザイン画と睨めっこしています。
「そうですね…このシンプルなドレスだと背の低いシャガート様と私にはちょっと合わない気がするし…、このフリルが多いのだとブラーナ様とメーレ様には少し子供っぽく見えてしまいますかね…」
お揃いは難しいです。
私たちの意見を聞いていたデザイナーの方がふと席を離れ、リボンを持って戻ってきました。それは白銀のリボンでした。シャガート様の髪のような美しい銀色のリボン。
「お嬢様たちが仰るような全て同じお揃いのドレス、というのはやはり難しいでしょうから。何か同じリボン、レース。のようになさるのがよろしいかと思いますわ」
微笑むデザイナーの方の持つリボンは美しく、全員がそれに否やはありませんでした。

「疲れた…」
「でも、こういうのが楽しいでしょう?」
「当日が楽しみね」
方針が決まってからまた数時間かけて、全員分のドレスのデザインが決まりました。あとはパーティ当日のお楽しみです。今私達は街のちょっといいレストランで昼食をとっています。こういう時のちょっとした贅沢が楽しいです。テラス席で暖かな日の光を受けながら食べるランチは格別の美味しさでした。
皆さんが本当にのんびりと楽しげにしていたので私はふと勇気を出しました。
「あの、これを」
すっと包みを取り出し三人の前に置きました。
「私が作った飾りです。アクセサリにしても、鞄などに付けても良いものだと思うので、あの。貰ってくださるととても嬉しいです…」
三人と友人になってから作り出して、ドレスをお揃いにするという話が出てからやっと渡す勇気が出たものでした。私と友人になってくれたこと。お揃いをしようと誘ってくれたこと。何か私から返せるものがないかと考えて作ったものでした。三人から受けた恩には釣り合わないでしょうが少しでも私の感謝の気持ちを表すものを何か贈りたかったのです。
誕生日になぜかブレイグ様から贈られてきた毛糸玉達。高級なそれを使って作った飾りは自分で言うのもなんですがとても可愛らしくできたものでした。
瞳の色に合わせて一つずつ作ったそれを袋から取り出した三人は驚いた表情からぱっと笑顔になりました。
「ミア、これあなたが作ったの?かわいい」
「本当にもらっていいの?上手ね。髪飾りにしてもいい?」
「私は髪が短いから鞄飾りにしようかな。本当にありがとう。ミア」
三人とも喜んでくれたようです。三人が微笑んでくれたのが本当にうれしくて私はほっと息をつき笑顔になりました。
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