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2人
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本日、私は珍しくブラーナ様と2人きりの昼食でした。4人でいることや、シャガート様と2人きりなら、何度となくあるのですが、ブラーナ様と2人なのは初めてです。別に気まずいということはないのですが、2人に共通の話題、というものがないので何を話すこもが最適なのかが分かりません。一体何を話せばいいでしょう。ブラーナ様の趣味は乗馬ということですから編み物の話をしてもつまらないかもしれません。
「今度のパーティでドレスを揃えないかい?」
鎖編みの奥深さについてどのように伝えれば興味深いか考えていると、不意にブラーナ様に尋ねられました。
ドレス。そうでした。学園では半年に一度、社交の場としてパーティが行われます。もうそろそろなのでドレスの準備をしなくてはならないのです。クロシェット侯爵家での顔合わせでドレスを作ってもらいましたが、流石に流行の時期をずれているので新しいものを用意しなくてはならないのです。
「今年は婚約者と色を合わせる、なんて考えなくていいからね、君たちと揃えた色とデザインにしようと思うんだ」
にっこりとした笑顔ですが、オーラが怖いです。
「嬉しいです」
上位貴族の皆さんと合わせたドレス。どれぐらいの値段になるのでしょうか。
「シャガートの家のデザイナーがモデルを求めているらしくてね。ドレスを着てパーティで見せて後でいくつか感想を聞かせてもらえれば、ドレスの料金は要らないそうだ」
「嬉しいです!」
「君はこういう時分かりやすく現金だな」
ブラーナ様が呆れたように笑いますが、身についた貧乏性はなかなか直りません。無料より嬉しいものはない!です。
今度の休日に4人でドレスを選びにいくことが決まりました。
「…聖女様とは、何かあったか?」
少し間を置いてからブラーナ様に尋ねられました。
少し前にアカリ様と話をしたことを伝えてから、皆さんが気にかけてくれるのです。特に何もなかったのですが。
「最近は特に。ご飯を食べる場所を変えてから教室以外ではあまり見ないですし」
シャガート様がアカリ様と一緒にいるレーブ公爵子息を見るたびに辛そうな顔をされるので彼らが食事をする食堂からはすっかり足が遠のいていました。食堂が販売しているランチボックスも無料だと分かりましたし。最近は4人で中庭でよく食事をしています。
「ミア、最近聖女様は君の婚約者様にご執心だそうだ」
私の様子を伺うようにしながらブラーナ様が言いました。
聖女様の取り巻きは不定数で、中心にいるのがベンネル第一王子、レーブ公爵子息、カル辺境伯子息、そしてブレイグ様。不定期に他の男性が増えたり減ったりしているのですが。
「聖女様はブレイグ侯爵令息にばかり声をかけているらしい。そのせいで取り巻きたちが最近険悪な雰囲気だと」
いい気味だ、とふんと鼻で笑ったブラーナ様が私を見ます。
「君はどう思う?」
私は、私はどう思うのでしょう。アカリ様とブレイグ様が親密だという話を聞いて。
「特に、何も」
そう返すことしかできませんでした。
「今度のパーティでドレスを揃えないかい?」
鎖編みの奥深さについてどのように伝えれば興味深いか考えていると、不意にブラーナ様に尋ねられました。
ドレス。そうでした。学園では半年に一度、社交の場としてパーティが行われます。もうそろそろなのでドレスの準備をしなくてはならないのです。クロシェット侯爵家での顔合わせでドレスを作ってもらいましたが、流石に流行の時期をずれているので新しいものを用意しなくてはならないのです。
「今年は婚約者と色を合わせる、なんて考えなくていいからね、君たちと揃えた色とデザインにしようと思うんだ」
にっこりとした笑顔ですが、オーラが怖いです。
「嬉しいです」
上位貴族の皆さんと合わせたドレス。どれぐらいの値段になるのでしょうか。
「シャガートの家のデザイナーがモデルを求めているらしくてね。ドレスを着てパーティで見せて後でいくつか感想を聞かせてもらえれば、ドレスの料金は要らないそうだ」
「嬉しいです!」
「君はこういう時分かりやすく現金だな」
ブラーナ様が呆れたように笑いますが、身についた貧乏性はなかなか直りません。無料より嬉しいものはない!です。
今度の休日に4人でドレスを選びにいくことが決まりました。
「…聖女様とは、何かあったか?」
少し間を置いてからブラーナ様に尋ねられました。
少し前にアカリ様と話をしたことを伝えてから、皆さんが気にかけてくれるのです。特に何もなかったのですが。
「最近は特に。ご飯を食べる場所を変えてから教室以外ではあまり見ないですし」
シャガート様がアカリ様と一緒にいるレーブ公爵子息を見るたびに辛そうな顔をされるので彼らが食事をする食堂からはすっかり足が遠のいていました。食堂が販売しているランチボックスも無料だと分かりましたし。最近は4人で中庭でよく食事をしています。
「ミア、最近聖女様は君の婚約者様にご執心だそうだ」
私の様子を伺うようにしながらブラーナ様が言いました。
聖女様の取り巻きは不定数で、中心にいるのがベンネル第一王子、レーブ公爵子息、カル辺境伯子息、そしてブレイグ様。不定期に他の男性が増えたり減ったりしているのですが。
「聖女様はブレイグ侯爵令息にばかり声をかけているらしい。そのせいで取り巻きたちが最近険悪な雰囲気だと」
いい気味だ、とふんと鼻で笑ったブラーナ様が私を見ます。
「君はどう思う?」
私は、私はどう思うのでしょう。アカリ様とブレイグ様が親密だという話を聞いて。
「特に、何も」
そう返すことしかできませんでした。
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