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第一印象
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クロシェット家の方々がいらっしゃる応接間の扉の前で私は小さく深呼吸をしました。メイドが扉をノックし、中から入室許可を得ると静かに扉が開きました。
まず挨拶として深々とカテーシーをし、静かに顔を上げます。中にいたのは二人の男性と一人の女性です。二人はお年を召していられるので遅くクロシェット侯爵と、侯爵夫人。若い方がブレイグ様でしょう。ブレイグ様は美しいさらりとした肩まである銀髪と少しつり目気味の緑の瞳の方でした。この時点で私の結婚の夢は消えました。
「ようこそ我が家へ、シュヴェストカ子爵令嬢。君を歓迎するよ」
「いらっしゃい、ミアさん。まぁまぁ、可愛らしい令嬢だこと!私ずっとこんなに可愛らしい娘が欲しかったのよ!」
侯爵と侯爵夫人が温かく歓迎してくれますが、当の本人であるブレイグ様は一度私の顔をじっと見つめた後、ふいとそっぽを向きました。なんて方でしょう。これでは私からは話しかけづらいです。婚約者として隣に座り雑談する間、ブレイグ様とは一度も目が合わず、話すこともできませんでした。
「お先に失礼します」
話が一段落したところでブレイグ様は立ち上がり出て行ってしまいました。彼が歩くたびにちりちりと音がします。よく見ると左の手首に小さな鈴を巻いているようでした。上級貴族らしい服装とは不釣り合いの子供のおもちゃのような可愛らしい鈴でした。彼の印象には似つかわしく無いものです。誰か大事な人からのプレゼントなのでしょうか。
婚約者に対して無礼な行いをする息子を侯爵様は苦々しい顔で見ていましたが、何も言わず私の方に向き直りました。
「ブレイグとの婚約は君にとってあまり良いものでは無いかもしれない。…それでも、できればあいつと婚約を続けてやってほしい」
申し訳なさそうにする侯爵様に私は微笑んで了承の意を返します。領地の繁栄がかかっているのです。彼が出会い頭に私の顔を殴るような男だったとしても私は婚約を了承したでしょう。それだけの覚悟は決めてきたのです。
まず挨拶として深々とカテーシーをし、静かに顔を上げます。中にいたのは二人の男性と一人の女性です。二人はお年を召していられるので遅くクロシェット侯爵と、侯爵夫人。若い方がブレイグ様でしょう。ブレイグ様は美しいさらりとした肩まである銀髪と少しつり目気味の緑の瞳の方でした。この時点で私の結婚の夢は消えました。
「ようこそ我が家へ、シュヴェストカ子爵令嬢。君を歓迎するよ」
「いらっしゃい、ミアさん。まぁまぁ、可愛らしい令嬢だこと!私ずっとこんなに可愛らしい娘が欲しかったのよ!」
侯爵と侯爵夫人が温かく歓迎してくれますが、当の本人であるブレイグ様は一度私の顔をじっと見つめた後、ふいとそっぽを向きました。なんて方でしょう。これでは私からは話しかけづらいです。婚約者として隣に座り雑談する間、ブレイグ様とは一度も目が合わず、話すこともできませんでした。
「お先に失礼します」
話が一段落したところでブレイグ様は立ち上がり出て行ってしまいました。彼が歩くたびにちりちりと音がします。よく見ると左の手首に小さな鈴を巻いているようでした。上級貴族らしい服装とは不釣り合いの子供のおもちゃのような可愛らしい鈴でした。彼の印象には似つかわしく無いものです。誰か大事な人からのプレゼントなのでしょうか。
婚約者に対して無礼な行いをする息子を侯爵様は苦々しい顔で見ていましたが、何も言わず私の方に向き直りました。
「ブレイグとの婚約は君にとってあまり良いものでは無いかもしれない。…それでも、できればあいつと婚約を続けてやってほしい」
申し訳なさそうにする侯爵様に私は微笑んで了承の意を返します。領地の繁栄がかかっているのです。彼が出会い頭に私の顔を殴るような男だったとしても私は婚約を了承したでしょう。それだけの覚悟は決めてきたのです。
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