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第7章 道化師は攻略する
第157話 VSリルリアーゼ#1
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クラウンは一気に駆けだす。その動きに合わせるようにベル、カムイと近接戦闘組がついていく。
それに対し、リルリアーゼは両手の先をクラウン達に向けるとその指先一つ一つに穴を開けていく。
そして、その穴からババババッ!と一斉に銃弾が射出された。その弾丸全てが空気に風穴を作りながら高速で飛んでいく。
クラウン達はそれを各々で対処していく。例えばクラウンはその銃弾を斬っていき、カムイは氷の盾を左腕に作って防いでいき、ベルは獣人の危険察知能力をフル活用して先読みして避ける。
全員の目が三白眼のように収縮しており殺気が溢れ出ている。
一方、その他のメンバーはリルリアーゼを囲むように周囲へと走り出していた。
リリスは瓦礫を重力で浮かして投げ飛ばし、エキドナは上空へ竜化して大きく飛翔し、朱里と雪姫を乗せたロキはリリスと反対側を走っていき、乗っている二人はそれぞれ魔法を放っていく。
リルリアーゼはリリス達の姿を横眼で見ながら攻撃を防御せずくらい、クラウン達に向けていた腕を変形させていく。
その伸ばした腕の大きく膨らんでいる籠手のような部分からそれぞれ外側へとさらにマシンガンが飛び出し、銃口を高速回転させながら銃弾を射出していく。
その攻撃にリリスは重力の盾で銃弾を止めて弾き返し、ロキ達の方では雪姫が結界の盾で銃弾を防いでいく。
すると、その動きを上空から眺めていたエキドナが竜化(地)→(闘)へと変化させ、竜の姿でありながら人のような形になると大きく振りかぶった拳を急降下と自重を乗せてリルリアーゼに叩きつけた。
だが、それの拳をリルリアーゼが肩甲骨辺りから出して四本の腕で直撃する前に受け止められてしまった。
その衝撃はかなりのもので風圧が周囲に砂埃をまき散ら、リルリアーゼを僅かに地面に埋める中、リルリアーゼは顔をエキドナの方にも向けず微動だにしない。
さらに、その肩甲骨からさらに二本ずつの腕が出てくると出てきたその二本の腕が絡み合って一つの小砲を作り出した。
そして、その二つ小砲はエキドナの方へと銃口を向けていくと光を収束させて一気に撃ち放っていく。それをエキドナはすぐさま竜化(空)へと変化して避けていく。
クラウン達の方では銃弾を避けつつも確実に距離を詰めていた。だが、リルリアーゼは機械さながらの感情のない瞳で見据えながら、エキドナに対して出した六本の腕の内、四本の腕をクラウン達に飛ばしていく。
さらに、その飛ばした四本の腕はさらにそれぞれ八本ずつ計三十六本の腕がクラウン達に高速で向かっていく。
その一方で、先ほどクラウン達に向けていた両腕はそれぞれ左右にいるリリスとロキ達に向けられていく。
まさに槍の雨というべきか一撃でも食らえばひとたまりもないだろう。そんな腕がまるで地面が豆腐か何かで出来ているかのように地面へとサクサク突き刺していく。
クラウン達は走ることを止めずにその腕を受け流したり、はじき返したりしていく。だが、その弾き返した腕からさらに腕が位置関係なく飛び出してくるのでかなりの足止めを食らっている。
感覚的に言えば全方位からの集中攻撃と言うべきか
「天元鬼人流――――――炎滅閃」
「一刀流 獅子の型―――――爪流星」
「獣牙流 ハヤブサの型―――――速連斬」
カムイ、クラウン、ベルはそれぞれに襲いかかる無数の手に極限まで視界を集中させる。そして、それぞれこの状況を打破できる確実な技を行使していく。
カムイは右手に右手に持った「炎滅」で周囲へと自分を囲う火柱を作っていく。そして、それを周囲へ広げていくことでその火柱に当たった腕は焼けて消失していく。一方で、自分は通り道だけを火を消して直進していく。
クラウンは一度刀を鞘に納めると数の多い背後へと一瞬だけ振り返った。そして、バックステップで出来るだけ進む勢いを殺さないように進みながら、間合いを読んでいく。
それから、凝らしていた目をカッと大きく開くと同時に抜刀――――――居合に似たそのひと振りからは無数の斬撃が飛んでいき、向かい来る腕を斬り払いながら遠くまで突き進んでいく。
ベルは走りながら両手に逆手に持った短剣を腕をクロスさせがら構える。そして、臭い、音、肌に感じる殺気に神経を集中させながら、身軽さを活かして一気に回転。
同時にクロスさせていた腕は遠心力に任せて大きく外側へと開いていく。その瞬間、ベルの両腕は目に止まらぬ速さでブレた。
そして、ベルが一回転し終える頃には周囲の腕がバラバラに裁断されて地面へと砂埃を立てながら落ちていく。
状況は加速していくように激しさと緊迫感が増していく。空は完全に曇り、暗く分厚い雲が太陽の光を覆い隠し、リルリアーゼの翡翠色の瞳だけが妖しく光る。
すると、リルリアーゼは初めて移動を見せた。クラウン達の砲撃を一度止めると上空へと大きく飛び跳ねる。その高さはクラウン達が石ころに見えるほどの高さだ。
だが、そこはエキドナの制空権内だ。しかも、今のリルリアーゼは飛べる翼を持っているわけではなので、エキドナに牽制の銃弾を放ってもことごとく避けられる。
リルリアーゼはいわば水に落ちた虫に同じ、いくらもがいても魚から自信を狙っている魚から逃れるわけじゃないのだ。
なので、エキドナはジェット機並みの速さで加速した勢いを活かし、立てた爪を一気にリルリアーゼに振るった。
だが、リルリアーゼは焦ることもなく微笑する。
「邪魔です」
リルリアーゼは丸くなるように膝を抱え込む。その瞬間、リルリアーゼを囲うような腕が無数に作り出されていく。
そして、まさに球体のような状態になったリルリアーゼはその球体から無数の突起した穴を作り出した。しかも、その一つ一つに高エネルギーの光が収束していく。
その瞬間、エキドナは焦ったように歯を強く噛むと翼をはためかせ、さらに加速させていく。
なぜなら、リルリアーゼがしようとしていることは山を消し飛ばしたあの光線を全方位に放とうとしているからだ。
光の収束していく量的には最初の牽制で放った一撃よりも威力は弱いだろう。だが、威力が弱いと言っても人を百人殺すことぐらい造作もない威力だ。
その光がいろんな場所に放たれる。それは実質逃げ場がないことを意味しているし、それにその光線が遠くある復興中の街を襲う可能性だってある。
だが、その攻撃を今更レジストしようとしてもあの状態になってしまった時点で恐らく遅い。なら、出来るだけ遠くへと弾き飛ばすだけ。
リルリアーゼはどんどんと光を収束していき、銃口一つ一つから眩い光が周囲へと放ち始めた。だが、その前にエキドナの爪を立てた左手が襲いかかる。
「くっ!――――――あああああああ!」
エキドナは手に確かな感触を感じるととにかく砲撃を開始しても問題ない場所に弾き飛ばす。だが、それとほぼ同時にリルリアーゼの砲撃は開始された。
それによってエキドナの左腕は手の平から肘へとかけて光の線が貫通していき、風穴が空いて使い物にならなくなった。だが、その腕を犠牲にしてでも遠くへ弾き飛ばすことは成功した。
弾きばされたリルリアーゼ空、山、地面へとあらゆる場所に光線を放ちながらはるか遠くの地面へと飛んでいく。
空を通れば雲を切り裂き、山を通れば風穴を開けていき、地面に当たれば大爆発を起こしていく。そのため空には無数の線、山には無数の穴、地面には無数の爆発とまさに地獄絵図のような光景であった。
エキドナは加速した勢いを徐々に殺しながらやがて空中で翼をはためかせながら止まった。そして、飛ばした方の位置を見ていく。
その場所は無数の爆発による砂埃が立ち込めていて、まるで火山が噴火した後の火山灰のようだった。
エキドナはその位置に目を凝らしてしっかりと見る。左腕に走る激痛を右手で庇うように掴んで、歯を食いしばって痛みを堪えながら。
するとその時、エキドナは煙の隙間から見える光の瞬きを確認した。そして、もはや反射的反応速度で叫んだ。
「全員、旦那様の後ろに隠れて!」
上空にいたエキドナの声を全員が耳に捉える。そして、その言葉に疑問を思うこともなくすぐさまクラウンの後ろへと並ぶように後ろについた。
そして、その一秒後――――――砂煙から高速で巨大な光の砲撃が迫ってくる。大きさ的には直径十メートルぐらいだろうか。それが三本横並びに迫ってくる。先ほどまでいた全員が入るような感じだ。
だが、その標的がいないとわかるとその横並びの三本の光線のうち両サイドの二本がまるで生きているかのように中心の光線に絡み合い一つのさらに巨大な光線となる。
その迫りくる光線に対し、クラウンは――――全く動かなかった。
クラウンは右手で刀を真っ直ぐ縦になるように持つと左手でその刀の背を押さえるように触れた。そして、地面へと両足を踏み込ませる様に腰を落としたまま構える。
「一刀流 犀の型――――――刀柱」
光線は熱量を持ってクラウン達に高速接近する。そして、地面を抉り、瓦礫を飲み込み、砂埃と轟音を立てながら襲いかかる。
だが、クラウンはそれでも避けなかった。それから、その光線を刀で思いっきり受け止める。
光線が直撃して押し込まれるような感覚がある。だが、その背中をリリスと雪姫が支えるようにして押し返していく。
すると、その光はやがて二分した。
丁度クラウンの刀を起点にして裂けていくようにクラウン達の僅か横を二つの光線が高速で通り抜けていく。その僅か隙間にカムイが氷の壁を張っていく。
まだ油断はできない。ここで避けることが出来てもまだ砲撃は何も終わっていないのだ。
その光景を上空から見ていたエキドナはクラウン達の生存に安堵すると主にその切り裂かれた二つの光線の行方に目を向けて、思わず目を細めた。
その二つの光線はクラウン達を通り過ぎるとどこまでも障害物を飲み込み、消滅させていきやがて海まで到達した。
だが、その海の上でも光線が消えることなく、光線から放たれる熱波で海水が蒸発して濃霧を発生させている。しかも、その光線は少なくともエキドナの高さからでも水平線の彼方まで伸びていった。
そのことにエキドナは思わず舌を巻く。神代兵器というのは伊達ではないらしい。
そして、やがてクラウン達の砲撃は終わった。それから、両サイドに舞い上がる砂埃をまるでステージ花火かなにかのようにして中央から悠然とリルリアーゼが歩いてくる。
すると、リルリアーゼは微笑みながら告げた。
「しぶといですね。これは仕方ありませんね――――――破壊プログラム起動」
それに対し、リルリアーゼは両手の先をクラウン達に向けるとその指先一つ一つに穴を開けていく。
そして、その穴からババババッ!と一斉に銃弾が射出された。その弾丸全てが空気に風穴を作りながら高速で飛んでいく。
クラウン達はそれを各々で対処していく。例えばクラウンはその銃弾を斬っていき、カムイは氷の盾を左腕に作って防いでいき、ベルは獣人の危険察知能力をフル活用して先読みして避ける。
全員の目が三白眼のように収縮しており殺気が溢れ出ている。
一方、その他のメンバーはリルリアーゼを囲むように周囲へと走り出していた。
リリスは瓦礫を重力で浮かして投げ飛ばし、エキドナは上空へ竜化して大きく飛翔し、朱里と雪姫を乗せたロキはリリスと反対側を走っていき、乗っている二人はそれぞれ魔法を放っていく。
リルリアーゼはリリス達の姿を横眼で見ながら攻撃を防御せずくらい、クラウン達に向けていた腕を変形させていく。
その伸ばした腕の大きく膨らんでいる籠手のような部分からそれぞれ外側へとさらにマシンガンが飛び出し、銃口を高速回転させながら銃弾を射出していく。
その攻撃にリリスは重力の盾で銃弾を止めて弾き返し、ロキ達の方では雪姫が結界の盾で銃弾を防いでいく。
すると、その動きを上空から眺めていたエキドナが竜化(地)→(闘)へと変化させ、竜の姿でありながら人のような形になると大きく振りかぶった拳を急降下と自重を乗せてリルリアーゼに叩きつけた。
だが、それの拳をリルリアーゼが肩甲骨辺りから出して四本の腕で直撃する前に受け止められてしまった。
その衝撃はかなりのもので風圧が周囲に砂埃をまき散ら、リルリアーゼを僅かに地面に埋める中、リルリアーゼは顔をエキドナの方にも向けず微動だにしない。
さらに、その肩甲骨からさらに二本ずつの腕が出てくると出てきたその二本の腕が絡み合って一つの小砲を作り出した。
そして、その二つ小砲はエキドナの方へと銃口を向けていくと光を収束させて一気に撃ち放っていく。それをエキドナはすぐさま竜化(空)へと変化して避けていく。
クラウン達の方では銃弾を避けつつも確実に距離を詰めていた。だが、リルリアーゼは機械さながらの感情のない瞳で見据えながら、エキドナに対して出した六本の腕の内、四本の腕をクラウン達に飛ばしていく。
さらに、その飛ばした四本の腕はさらにそれぞれ八本ずつ計三十六本の腕がクラウン達に高速で向かっていく。
その一方で、先ほどクラウン達に向けていた両腕はそれぞれ左右にいるリリスとロキ達に向けられていく。
まさに槍の雨というべきか一撃でも食らえばひとたまりもないだろう。そんな腕がまるで地面が豆腐か何かで出来ているかのように地面へとサクサク突き刺していく。
クラウン達は走ることを止めずにその腕を受け流したり、はじき返したりしていく。だが、その弾き返した腕からさらに腕が位置関係なく飛び出してくるのでかなりの足止めを食らっている。
感覚的に言えば全方位からの集中攻撃と言うべきか
「天元鬼人流――――――炎滅閃」
「一刀流 獅子の型―――――爪流星」
「獣牙流 ハヤブサの型―――――速連斬」
カムイ、クラウン、ベルはそれぞれに襲いかかる無数の手に極限まで視界を集中させる。そして、それぞれこの状況を打破できる確実な技を行使していく。
カムイは右手に右手に持った「炎滅」で周囲へと自分を囲う火柱を作っていく。そして、それを周囲へ広げていくことでその火柱に当たった腕は焼けて消失していく。一方で、自分は通り道だけを火を消して直進していく。
クラウンは一度刀を鞘に納めると数の多い背後へと一瞬だけ振り返った。そして、バックステップで出来るだけ進む勢いを殺さないように進みながら、間合いを読んでいく。
それから、凝らしていた目をカッと大きく開くと同時に抜刀――――――居合に似たそのひと振りからは無数の斬撃が飛んでいき、向かい来る腕を斬り払いながら遠くまで突き進んでいく。
ベルは走りながら両手に逆手に持った短剣を腕をクロスさせがら構える。そして、臭い、音、肌に感じる殺気に神経を集中させながら、身軽さを活かして一気に回転。
同時にクロスさせていた腕は遠心力に任せて大きく外側へと開いていく。その瞬間、ベルの両腕は目に止まらぬ速さでブレた。
そして、ベルが一回転し終える頃には周囲の腕がバラバラに裁断されて地面へと砂埃を立てながら落ちていく。
状況は加速していくように激しさと緊迫感が増していく。空は完全に曇り、暗く分厚い雲が太陽の光を覆い隠し、リルリアーゼの翡翠色の瞳だけが妖しく光る。
すると、リルリアーゼは初めて移動を見せた。クラウン達の砲撃を一度止めると上空へと大きく飛び跳ねる。その高さはクラウン達が石ころに見えるほどの高さだ。
だが、そこはエキドナの制空権内だ。しかも、今のリルリアーゼは飛べる翼を持っているわけではなので、エキドナに牽制の銃弾を放ってもことごとく避けられる。
リルリアーゼはいわば水に落ちた虫に同じ、いくらもがいても魚から自信を狙っている魚から逃れるわけじゃないのだ。
なので、エキドナはジェット機並みの速さで加速した勢いを活かし、立てた爪を一気にリルリアーゼに振るった。
だが、リルリアーゼは焦ることもなく微笑する。
「邪魔です」
リルリアーゼは丸くなるように膝を抱え込む。その瞬間、リルリアーゼを囲うような腕が無数に作り出されていく。
そして、まさに球体のような状態になったリルリアーゼはその球体から無数の突起した穴を作り出した。しかも、その一つ一つに高エネルギーの光が収束していく。
その瞬間、エキドナは焦ったように歯を強く噛むと翼をはためかせ、さらに加速させていく。
なぜなら、リルリアーゼがしようとしていることは山を消し飛ばしたあの光線を全方位に放とうとしているからだ。
光の収束していく量的には最初の牽制で放った一撃よりも威力は弱いだろう。だが、威力が弱いと言っても人を百人殺すことぐらい造作もない威力だ。
その光がいろんな場所に放たれる。それは実質逃げ場がないことを意味しているし、それにその光線が遠くある復興中の街を襲う可能性だってある。
だが、その攻撃を今更レジストしようとしてもあの状態になってしまった時点で恐らく遅い。なら、出来るだけ遠くへと弾き飛ばすだけ。
リルリアーゼはどんどんと光を収束していき、銃口一つ一つから眩い光が周囲へと放ち始めた。だが、その前にエキドナの爪を立てた左手が襲いかかる。
「くっ!――――――あああああああ!」
エキドナは手に確かな感触を感じるととにかく砲撃を開始しても問題ない場所に弾き飛ばす。だが、それとほぼ同時にリルリアーゼの砲撃は開始された。
それによってエキドナの左腕は手の平から肘へとかけて光の線が貫通していき、風穴が空いて使い物にならなくなった。だが、その腕を犠牲にしてでも遠くへ弾き飛ばすことは成功した。
弾きばされたリルリアーゼ空、山、地面へとあらゆる場所に光線を放ちながらはるか遠くの地面へと飛んでいく。
空を通れば雲を切り裂き、山を通れば風穴を開けていき、地面に当たれば大爆発を起こしていく。そのため空には無数の線、山には無数の穴、地面には無数の爆発とまさに地獄絵図のような光景であった。
エキドナは加速した勢いを徐々に殺しながらやがて空中で翼をはためかせながら止まった。そして、飛ばした方の位置を見ていく。
その場所は無数の爆発による砂埃が立ち込めていて、まるで火山が噴火した後の火山灰のようだった。
エキドナはその位置に目を凝らしてしっかりと見る。左腕に走る激痛を右手で庇うように掴んで、歯を食いしばって痛みを堪えながら。
するとその時、エキドナは煙の隙間から見える光の瞬きを確認した。そして、もはや反射的反応速度で叫んだ。
「全員、旦那様の後ろに隠れて!」
上空にいたエキドナの声を全員が耳に捉える。そして、その言葉に疑問を思うこともなくすぐさまクラウンの後ろへと並ぶように後ろについた。
そして、その一秒後――――――砂煙から高速で巨大な光の砲撃が迫ってくる。大きさ的には直径十メートルぐらいだろうか。それが三本横並びに迫ってくる。先ほどまでいた全員が入るような感じだ。
だが、その標的がいないとわかるとその横並びの三本の光線のうち両サイドの二本がまるで生きているかのように中心の光線に絡み合い一つのさらに巨大な光線となる。
その迫りくる光線に対し、クラウンは――――全く動かなかった。
クラウンは右手で刀を真っ直ぐ縦になるように持つと左手でその刀の背を押さえるように触れた。そして、地面へと両足を踏み込ませる様に腰を落としたまま構える。
「一刀流 犀の型――――――刀柱」
光線は熱量を持ってクラウン達に高速接近する。そして、地面を抉り、瓦礫を飲み込み、砂埃と轟音を立てながら襲いかかる。
だが、クラウンはそれでも避けなかった。それから、その光線を刀で思いっきり受け止める。
光線が直撃して押し込まれるような感覚がある。だが、その背中をリリスと雪姫が支えるようにして押し返していく。
すると、その光はやがて二分した。
丁度クラウンの刀を起点にして裂けていくようにクラウン達の僅か横を二つの光線が高速で通り抜けていく。その僅か隙間にカムイが氷の壁を張っていく。
まだ油断はできない。ここで避けることが出来てもまだ砲撃は何も終わっていないのだ。
その光景を上空から見ていたエキドナはクラウン達の生存に安堵すると主にその切り裂かれた二つの光線の行方に目を向けて、思わず目を細めた。
その二つの光線はクラウン達を通り過ぎるとどこまでも障害物を飲み込み、消滅させていきやがて海まで到達した。
だが、その海の上でも光線が消えることなく、光線から放たれる熱波で海水が蒸発して濃霧を発生させている。しかも、その光線は少なくともエキドナの高さからでも水平線の彼方まで伸びていった。
そのことにエキドナは思わず舌を巻く。神代兵器というのは伊達ではないらしい。
そして、やがてクラウン達の砲撃は終わった。それから、両サイドに舞い上がる砂埃をまるでステージ花火かなにかのようにして中央から悠然とリルリアーゼが歩いてくる。
すると、リルリアーゼは微笑みながら告げた。
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