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第1章
第2話 シデン隊長
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優しい両親と平和な日々を過ごしていた。
そんな平和な日々は長く続かないらしい。
「どうやら、魔物の群れがこちらに来ているようなんだ」
夜遅くに帰ってきたお父さんがそんな話をした。
「群れってどのくらいの?」
「王都の騎士が全軍で勝てるかといった量だ」
「そんなに!?」
王都がどのくらいの街なのかとかこの町がどのくらいなのかわからないけど、お母さんの様子からは絶望が見える。
「少なく見ても1万程の魔物が群れを成しているようなんだ。精霊使いの斥候が偵察してくれたんだが、明後日までにはこの街にやってくる」
「そんな! 明後日」
絶望した様子のお母さん。ストンと床に座ってしまって顔を両手で覆ってる。
「今すぐにでも町を出る準備をしよう」
「そ、そうね……。とにかく準備をするわ」
お父さんは僕を見つめて気持ちを切り替えた様子。お母さんもそんなお父さんを見て立ち上がった。
「みんな出てるわね」
家から出るとみんなそれぞれの荷物を持って家を出始めていた。真っ暗なうちに町の外に行くのは危ないんだけど、群れに囲まれる前に王都に逃げないと危険だ。僕らもその列に参加する。
「お母さん、眠いよ~」
「我慢しなさい。みんなからはぐれたらおしまいよ」
街を出て街道を歩いているとそこかしこからそんな声が聞こえる。子供には厳しい時間だ。普通の赤ん坊ならギャン泣きしてしまうだろうな。
「遅れるなよ! 遅れても誰も助けてくれないぞ」
列を守るように歩く馬。馬の上から兵士が叫んでる。遅れた人は誰も守ってくれないみたいだ。
「エネ、大丈夫か?」
「はい、何とか……」
兵士の格好をしたお父さんが声をかけてきた。お父さんは兵士としてみんなを守るために街道の横をあるいて守ってくれている。
みんなにはエランさんって言われていて結構人望があるみたい。イケメンだし、流石僕のお父さんだ。
「バブ」
「あ、アーリー!」
きつそうにしていたので僕はお母さんから降りる。
赤ん坊とは言え重いと思うんだ。
「はは、お母さんを思って降りたのか! 偉いなアーリーは」
「バブ!」
自分で歩くとアピールするとお父さんが褒めてくれた。両親からしたら複雑だろうけど、お母さんの為にもハイハイでいくぞ。
お父さんは頭を撫でてくれた。頭って撫でられると気持ちいいんだな~、思わず目を細めちゃったよ。
街道は整備されていないからハイハイだと結構汚れる。だけど、そこは赤ん坊。裸になってしまえばいい。
「お母さん、裸ん坊!」
「あら、本当。元気ね~」
暗くてみんなテンションがおかしいのか気にしないで話している。子供達も全然気にせずに僕へと駆け寄ってきた。本気でハイハイすれば一気に王都まで行けると思うんだけどお母さんを置いていくわけにもいかないので歩調を合わせる。ステータスがバカ高くなっているので膝が痛いとかそう言った事は一切ないから遅くても大丈夫。
「私が弱いばっかりに。ごめんねアーリー」
「ダブダブ」
お母さんは自分が情けないといった様子で謝ってきた。僕は首を振ってこたえる。
「ありがとうアーリー」
涙目でお礼を言うお母さん。お父さんは兵士としてみんなを守らないといけない。家族とは言え、僕らを助けることはできないみたいなんだ。一人を助けるとみんなも助けてほしくなってしまうから、唇を噛んで我慢しているお父さんはカッコいい。
そんな二人に苦労させないためにも僕は早く成長しないとね。
◇
「隊長そろそろ休憩にしましょう」
「遅れてきたか?」
「はい」
私の名前はシデン。
カランゾの街から避難民を引き連れて、私のクランは王都ウラスへと向かっている。
避難民たちは夜ということもあってかなり歩が遅い。子供もいるので当たり前の事なんだがこのままでは魔物の斥候に捕まるかもしれん。
部下の報告を聞いて野営の準備に移る。避難民たちは開けた草原へ移動させる。今野営をしないと森で休むことになる。
森で休むのは危険だ。群れほどではないが野良の魔物が多くいる。それにあの森にはBランクパーティーが全滅したという話も聞いたことがある。
特別な魔物が住み着いている可能性が見られる。あまり通りたくないんだが、日の出ている時ならば何とか守り通せるだろう。
避難民たちを中央において。円を描くように私たちが覆う。カランゾの兵士たちを先に休ませて私のクランが見張りを受け持つ。いざという時に強いのは私達、日の出ている時は兵士たちに任せるとしよう。
深い夜がやってくる。全員無事が一番いいのだが、どうだろうか。
そんな平和な日々は長く続かないらしい。
「どうやら、魔物の群れがこちらに来ているようなんだ」
夜遅くに帰ってきたお父さんがそんな話をした。
「群れってどのくらいの?」
「王都の騎士が全軍で勝てるかといった量だ」
「そんなに!?」
王都がどのくらいの街なのかとかこの町がどのくらいなのかわからないけど、お母さんの様子からは絶望が見える。
「少なく見ても1万程の魔物が群れを成しているようなんだ。精霊使いの斥候が偵察してくれたんだが、明後日までにはこの街にやってくる」
「そんな! 明後日」
絶望した様子のお母さん。ストンと床に座ってしまって顔を両手で覆ってる。
「今すぐにでも町を出る準備をしよう」
「そ、そうね……。とにかく準備をするわ」
お父さんは僕を見つめて気持ちを切り替えた様子。お母さんもそんなお父さんを見て立ち上がった。
「みんな出てるわね」
家から出るとみんなそれぞれの荷物を持って家を出始めていた。真っ暗なうちに町の外に行くのは危ないんだけど、群れに囲まれる前に王都に逃げないと危険だ。僕らもその列に参加する。
「お母さん、眠いよ~」
「我慢しなさい。みんなからはぐれたらおしまいよ」
街を出て街道を歩いているとそこかしこからそんな声が聞こえる。子供には厳しい時間だ。普通の赤ん坊ならギャン泣きしてしまうだろうな。
「遅れるなよ! 遅れても誰も助けてくれないぞ」
列を守るように歩く馬。馬の上から兵士が叫んでる。遅れた人は誰も守ってくれないみたいだ。
「エネ、大丈夫か?」
「はい、何とか……」
兵士の格好をしたお父さんが声をかけてきた。お父さんは兵士としてみんなを守るために街道の横をあるいて守ってくれている。
みんなにはエランさんって言われていて結構人望があるみたい。イケメンだし、流石僕のお父さんだ。
「バブ」
「あ、アーリー!」
きつそうにしていたので僕はお母さんから降りる。
赤ん坊とは言え重いと思うんだ。
「はは、お母さんを思って降りたのか! 偉いなアーリーは」
「バブ!」
自分で歩くとアピールするとお父さんが褒めてくれた。両親からしたら複雑だろうけど、お母さんの為にもハイハイでいくぞ。
お父さんは頭を撫でてくれた。頭って撫でられると気持ちいいんだな~、思わず目を細めちゃったよ。
街道は整備されていないからハイハイだと結構汚れる。だけど、そこは赤ん坊。裸になってしまえばいい。
「お母さん、裸ん坊!」
「あら、本当。元気ね~」
暗くてみんなテンションがおかしいのか気にしないで話している。子供達も全然気にせずに僕へと駆け寄ってきた。本気でハイハイすれば一気に王都まで行けると思うんだけどお母さんを置いていくわけにもいかないので歩調を合わせる。ステータスがバカ高くなっているので膝が痛いとかそう言った事は一切ないから遅くても大丈夫。
「私が弱いばっかりに。ごめんねアーリー」
「ダブダブ」
お母さんは自分が情けないといった様子で謝ってきた。僕は首を振ってこたえる。
「ありがとうアーリー」
涙目でお礼を言うお母さん。お父さんは兵士としてみんなを守らないといけない。家族とは言え、僕らを助けることはできないみたいなんだ。一人を助けるとみんなも助けてほしくなってしまうから、唇を噛んで我慢しているお父さんはカッコいい。
そんな二人に苦労させないためにも僕は早く成長しないとね。
◇
「隊長そろそろ休憩にしましょう」
「遅れてきたか?」
「はい」
私の名前はシデン。
カランゾの街から避難民を引き連れて、私のクランは王都ウラスへと向かっている。
避難民たちは夜ということもあってかなり歩が遅い。子供もいるので当たり前の事なんだがこのままでは魔物の斥候に捕まるかもしれん。
部下の報告を聞いて野営の準備に移る。避難民たちは開けた草原へ移動させる。今野営をしないと森で休むことになる。
森で休むのは危険だ。群れほどではないが野良の魔物が多くいる。それにあの森にはBランクパーティーが全滅したという話も聞いたことがある。
特別な魔物が住み着いている可能性が見られる。あまり通りたくないんだが、日の出ている時ならば何とか守り通せるだろう。
避難民たちを中央において。円を描くように私たちが覆う。カランゾの兵士たちを先に休ませて私のクランが見張りを受け持つ。いざという時に強いのは私達、日の出ている時は兵士たちに任せるとしよう。
深い夜がやってくる。全員無事が一番いいのだが、どうだろうか。
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