2 / 23
第1章
第2話 シデン隊長
しおりを挟む
優しい両親と平和な日々を過ごしていた。
そんな平和な日々は長く続かないらしい。
「どうやら、魔物の群れがこちらに来ているようなんだ」
夜遅くに帰ってきたお父さんがそんな話をした。
「群れってどのくらいの?」
「王都の騎士が全軍で勝てるかといった量だ」
「そんなに!?」
王都がどのくらいの街なのかとかこの町がどのくらいなのかわからないけど、お母さんの様子からは絶望が見える。
「少なく見ても1万程の魔物が群れを成しているようなんだ。精霊使いの斥候が偵察してくれたんだが、明後日までにはこの街にやってくる」
「そんな! 明後日」
絶望した様子のお母さん。ストンと床に座ってしまって顔を両手で覆ってる。
「今すぐにでも町を出る準備をしよう」
「そ、そうね……。とにかく準備をするわ」
お父さんは僕を見つめて気持ちを切り替えた様子。お母さんもそんなお父さんを見て立ち上がった。
「みんな出てるわね」
家から出るとみんなそれぞれの荷物を持って家を出始めていた。真っ暗なうちに町の外に行くのは危ないんだけど、群れに囲まれる前に王都に逃げないと危険だ。僕らもその列に参加する。
「お母さん、眠いよ~」
「我慢しなさい。みんなからはぐれたらおしまいよ」
街を出て街道を歩いているとそこかしこからそんな声が聞こえる。子供には厳しい時間だ。普通の赤ん坊ならギャン泣きしてしまうだろうな。
「遅れるなよ! 遅れても誰も助けてくれないぞ」
列を守るように歩く馬。馬の上から兵士が叫んでる。遅れた人は誰も守ってくれないみたいだ。
「エネ、大丈夫か?」
「はい、何とか……」
兵士の格好をしたお父さんが声をかけてきた。お父さんは兵士としてみんなを守るために街道の横をあるいて守ってくれている。
みんなにはエランさんって言われていて結構人望があるみたい。イケメンだし、流石僕のお父さんだ。
「バブ」
「あ、アーリー!」
きつそうにしていたので僕はお母さんから降りる。
赤ん坊とは言え重いと思うんだ。
「はは、お母さんを思って降りたのか! 偉いなアーリーは」
「バブ!」
自分で歩くとアピールするとお父さんが褒めてくれた。両親からしたら複雑だろうけど、お母さんの為にもハイハイでいくぞ。
お父さんは頭を撫でてくれた。頭って撫でられると気持ちいいんだな~、思わず目を細めちゃったよ。
街道は整備されていないからハイハイだと結構汚れる。だけど、そこは赤ん坊。裸になってしまえばいい。
「お母さん、裸ん坊!」
「あら、本当。元気ね~」
暗くてみんなテンションがおかしいのか気にしないで話している。子供達も全然気にせずに僕へと駆け寄ってきた。本気でハイハイすれば一気に王都まで行けると思うんだけどお母さんを置いていくわけにもいかないので歩調を合わせる。ステータスがバカ高くなっているので膝が痛いとかそう言った事は一切ないから遅くても大丈夫。
「私が弱いばっかりに。ごめんねアーリー」
「ダブダブ」
お母さんは自分が情けないといった様子で謝ってきた。僕は首を振ってこたえる。
「ありがとうアーリー」
涙目でお礼を言うお母さん。お父さんは兵士としてみんなを守らないといけない。家族とは言え、僕らを助けることはできないみたいなんだ。一人を助けるとみんなも助けてほしくなってしまうから、唇を噛んで我慢しているお父さんはカッコいい。
そんな二人に苦労させないためにも僕は早く成長しないとね。
◇
「隊長そろそろ休憩にしましょう」
「遅れてきたか?」
「はい」
私の名前はシデン。
カランゾの街から避難民を引き連れて、私のクランは王都ウラスへと向かっている。
避難民たちは夜ということもあってかなり歩が遅い。子供もいるので当たり前の事なんだがこのままでは魔物の斥候に捕まるかもしれん。
部下の報告を聞いて野営の準備に移る。避難民たちは開けた草原へ移動させる。今野営をしないと森で休むことになる。
森で休むのは危険だ。群れほどではないが野良の魔物が多くいる。それにあの森にはBランクパーティーが全滅したという話も聞いたことがある。
特別な魔物が住み着いている可能性が見られる。あまり通りたくないんだが、日の出ている時ならば何とか守り通せるだろう。
避難民たちを中央において。円を描くように私たちが覆う。カランゾの兵士たちを先に休ませて私のクランが見張りを受け持つ。いざという時に強いのは私達、日の出ている時は兵士たちに任せるとしよう。
深い夜がやってくる。全員無事が一番いいのだが、どうだろうか。
そんな平和な日々は長く続かないらしい。
「どうやら、魔物の群れがこちらに来ているようなんだ」
夜遅くに帰ってきたお父さんがそんな話をした。
「群れってどのくらいの?」
「王都の騎士が全軍で勝てるかといった量だ」
「そんなに!?」
王都がどのくらいの街なのかとかこの町がどのくらいなのかわからないけど、お母さんの様子からは絶望が見える。
「少なく見ても1万程の魔物が群れを成しているようなんだ。精霊使いの斥候が偵察してくれたんだが、明後日までにはこの街にやってくる」
「そんな! 明後日」
絶望した様子のお母さん。ストンと床に座ってしまって顔を両手で覆ってる。
「今すぐにでも町を出る準備をしよう」
「そ、そうね……。とにかく準備をするわ」
お父さんは僕を見つめて気持ちを切り替えた様子。お母さんもそんなお父さんを見て立ち上がった。
「みんな出てるわね」
家から出るとみんなそれぞれの荷物を持って家を出始めていた。真っ暗なうちに町の外に行くのは危ないんだけど、群れに囲まれる前に王都に逃げないと危険だ。僕らもその列に参加する。
「お母さん、眠いよ~」
「我慢しなさい。みんなからはぐれたらおしまいよ」
街を出て街道を歩いているとそこかしこからそんな声が聞こえる。子供には厳しい時間だ。普通の赤ん坊ならギャン泣きしてしまうだろうな。
「遅れるなよ! 遅れても誰も助けてくれないぞ」
列を守るように歩く馬。馬の上から兵士が叫んでる。遅れた人は誰も守ってくれないみたいだ。
「エネ、大丈夫か?」
「はい、何とか……」
兵士の格好をしたお父さんが声をかけてきた。お父さんは兵士としてみんなを守るために街道の横をあるいて守ってくれている。
みんなにはエランさんって言われていて結構人望があるみたい。イケメンだし、流石僕のお父さんだ。
「バブ」
「あ、アーリー!」
きつそうにしていたので僕はお母さんから降りる。
赤ん坊とは言え重いと思うんだ。
「はは、お母さんを思って降りたのか! 偉いなアーリーは」
「バブ!」
自分で歩くとアピールするとお父さんが褒めてくれた。両親からしたら複雑だろうけど、お母さんの為にもハイハイでいくぞ。
お父さんは頭を撫でてくれた。頭って撫でられると気持ちいいんだな~、思わず目を細めちゃったよ。
街道は整備されていないからハイハイだと結構汚れる。だけど、そこは赤ん坊。裸になってしまえばいい。
「お母さん、裸ん坊!」
「あら、本当。元気ね~」
暗くてみんなテンションがおかしいのか気にしないで話している。子供達も全然気にせずに僕へと駆け寄ってきた。本気でハイハイすれば一気に王都まで行けると思うんだけどお母さんを置いていくわけにもいかないので歩調を合わせる。ステータスがバカ高くなっているので膝が痛いとかそう言った事は一切ないから遅くても大丈夫。
「私が弱いばっかりに。ごめんねアーリー」
「ダブダブ」
お母さんは自分が情けないといった様子で謝ってきた。僕は首を振ってこたえる。
「ありがとうアーリー」
涙目でお礼を言うお母さん。お父さんは兵士としてみんなを守らないといけない。家族とは言え、僕らを助けることはできないみたいなんだ。一人を助けるとみんなも助けてほしくなってしまうから、唇を噛んで我慢しているお父さんはカッコいい。
そんな二人に苦労させないためにも僕は早く成長しないとね。
◇
「隊長そろそろ休憩にしましょう」
「遅れてきたか?」
「はい」
私の名前はシデン。
カランゾの街から避難民を引き連れて、私のクランは王都ウラスへと向かっている。
避難民たちは夜ということもあってかなり歩が遅い。子供もいるので当たり前の事なんだがこのままでは魔物の斥候に捕まるかもしれん。
部下の報告を聞いて野営の準備に移る。避難民たちは開けた草原へ移動させる。今野営をしないと森で休むことになる。
森で休むのは危険だ。群れほどではないが野良の魔物が多くいる。それにあの森にはBランクパーティーが全滅したという話も聞いたことがある。
特別な魔物が住み着いている可能性が見られる。あまり通りたくないんだが、日の出ている時ならば何とか守り通せるだろう。
避難民たちを中央において。円を描くように私たちが覆う。カランゾの兵士たちを先に休ませて私のクランが見張りを受け持つ。いざという時に強いのは私達、日の出ている時は兵士たちに任せるとしよう。
深い夜がやってくる。全員無事が一番いいのだが、どうだろうか。
935
あなたにおすすめの小説
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
【完結】ポーションが不味すぎるので、美味しいポーションを作ったら
七鳳
ファンタジー
※毎日8時と18時に更新中!
※いいねやお気に入り登録して頂けると励みになります!
気付いたら異世界に転生していた主人公。
赤ん坊から15歳まで成長する中で、異世界の常識を学んでいくが、その中で気付いたことがひとつ。
「ポーションが不味すぎる」
必需品だが、みんなが嫌な顔をして買っていく姿を見て、「美味しいポーションを作ったらバカ売れするのでは?」
と考え、試行錯誤をしていく…
【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~
きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。
前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。
1つだけ何でも望んで良いと言われたので、即答で答えました
竹桜
ファンタジー
誰にでもある憧れを抱いていた男は最後にただ見捨てられないというだけで人助けをした。
その結果、男は神らしき存在に何でも1つだけ望んでから異世界に転生することになったのだ。
男は即答で答え、異世界で竜騎兵となる。
自らの憧れを叶える為に。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。
黒ハット
ファンタジー
前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。
空手馬鹿の俺が転生したら規格外の治癒士になっていた 〜筋力Eのひ弱少年治癒士が高みを目指す!?〜
くまみ
ファンタジー
前世は空手部主将の「ゴリラ」男。転生先は……筋力Eのひ弱な少年治癒士!?
「資質がなんだ!俺の拳は魔法を超える!……と、思うけど……汗」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
俺は五里羅門(ごり・らもん) 35歳独身男だ。硬派すぎて女が寄り付かず。強すぎる空手愛と鍛え抜かれた肉体のせいで不本意ながら通称「ゴリラ」と呼ばれていた。
仕事帰りにダンプに跳ねられた俺が目覚めると、そこは異世界だった。だが転生した姿は前世とは真逆。
病弱で華奢。戦闘力最低と言われる職業の「治癒士」(ヒーラー)適正の10歳の少年・ノエル。
「俺は戦闘狂だぞ!このひ弱な体じゃ、戦えねぇ!
「華奢でひ弱な体では、空手技を繰り出すのは夢のまた夢……」
魔力と資質が全てのこの世界。努力では超えられない「資質の壁」が立ちふさがる。
だが、空手馬鹿の俺の魂は諦めることを知らなかった。
「魔法が使えなきゃ、技で制す!治癒士が最強になっちゃいけないなんて誰が決めた?」
これは魔法の常識を「空手の技」で叩き壊す、一人の少年の異世界武勇伝。
伝説の騎士、美少女魔術師、そして謎の切り株(?)を巻き込み、ノエルの規格外の挑戦が今始まる!
最強の赤ん坊! 異世界に来てしまったので帰ります!
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
病弱な僕は病院で息を引き取った
お母さんに親孝行もできずに死んでしまった僕はそれが無念でたまらなかった
そんな僕は運がよかったのか、異世界に転生した
魔法の世界なら元の世界に戻ることが出来るはず、僕は絶対に地球に帰る
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる