83 / 165
第六章 over the clouds
1(挿絵)
しおりを挟む
「なあ……勝行は俺となら、キスもセックスもしていいってことか?」
「いいよ、光がそれを望むのなら」
――嘘つき。
「いやだ……いやなんだ! お前を抱きたくなんかなかった……!」
――それが勝行の本音なんだろ。
ならどうして、期待させるような嘘をついたんだ。可哀そうだと思って同情したのか。ただの慰めか。
「好き」って、「愛してる」って何度も言ったくせに。
せっかく俺も同じだよって言いたかったのに。
言いたかったのに……。
保や晴樹とは違う。親父とも違う。勝行はノーマルで――凄い家系の御曹司で――そもそも俺たちは住む世界が違いすぎた。恋人になんてなれるわけ、なかったんだ。
「だから言っただろう。相羽のガキなんざ選んで信用するからだ」
あの時父さんの手を取って、一緒に逃げたらよかったのかな。首を絞められた時、一緒に死ねば……こんな悲しい思いをしなくても済んだのか。
愛する父を捨てて選んだ道の代償がこれなのか。
光は声を殺して、一人ベッドに顔を埋めていた。
心臓が痛い。気管が苦しい。息が詰まる。涙が止まらない。それでもまだ――まだ、這いつくばってでも生きていかなければならない。
クローバーを手に入れようと必死だったあの時。どんなに嫌われても、隣にいることしかできなくても。
あの男の幸せを護ると決めたのだから。
「いいよ、光がそれを望むのなら」
――嘘つき。
「いやだ……いやなんだ! お前を抱きたくなんかなかった……!」
――それが勝行の本音なんだろ。
ならどうして、期待させるような嘘をついたんだ。可哀そうだと思って同情したのか。ただの慰めか。
「好き」って、「愛してる」って何度も言ったくせに。
せっかく俺も同じだよって言いたかったのに。
言いたかったのに……。
保や晴樹とは違う。親父とも違う。勝行はノーマルで――凄い家系の御曹司で――そもそも俺たちは住む世界が違いすぎた。恋人になんてなれるわけ、なかったんだ。
「だから言っただろう。相羽のガキなんざ選んで信用するからだ」
あの時父さんの手を取って、一緒に逃げたらよかったのかな。首を絞められた時、一緒に死ねば……こんな悲しい思いをしなくても済んだのか。
愛する父を捨てて選んだ道の代償がこれなのか。
光は声を殺して、一人ベッドに顔を埋めていた。
心臓が痛い。気管が苦しい。息が詰まる。涙が止まらない。それでもまだ――まだ、這いつくばってでも生きていかなければならない。
クローバーを手に入れようと必死だったあの時。どんなに嫌われても、隣にいることしかできなくても。
あの男の幸せを護ると決めたのだから。
0
あなたにおすすめの小説
【完結済】あの日、王子の隣を去った俺は、いまもあなたを想っている
キノア9g
BL
かつて、誰よりも大切だった人と別れた――それが、すべての始まりだった。
今はただ、冒険者として任務をこなす日々。けれどある日、思いがけず「彼」と再び顔を合わせることになる。
魔法と剣が支配するリオセルト大陸。
平和を取り戻しつつあるこの世界で、心に火種を抱えたふたりが、交差する。
過去を捨てたはずの男と、捨てきれなかった男。
すれ違った時間の中に、まだ消えていない想いがある。
――これは、「終わったはずの恋」に、もう一度立ち向かう物語。
切なくも温かい、“再会”から始まるファンタジーBL。
お題『復縁/元恋人と3年後に再会/主人公は冒険者/身を引いた形』設定担当AI /チャッピー
AI比較企画作品
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
あなたと過ごせた日々は幸せでした
蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。
消えない思い
樹木緑
BL
オメガバース:僕には忘れられない夏がある。彼が好きだった。ただ、ただ、彼が好きだった。
高校3年生 矢野浩二 α
高校3年生 佐々木裕也 α
高校1年生 赤城要 Ω
赤城要は運命の番である両親に憧れ、両親が出会った高校に入学します。
自分も両親の様に運命の番が欲しいと思っています。
そして高校の入学式で出会った矢野浩二に、淡い感情を抱き始めるようになります。
でもあるきっかけを基に、佐々木裕也と出会います。
彼こそが要の探し続けた運命の番だったのです。
そして3人の運命が絡み合って、それぞれが、それぞれの選択をしていくと言うお話です。
【bl】砕かれた誇り
perari
BL
アルファの幼馴染と淫らに絡んだあと、彼は医者を呼んで、私の印を消させた。
「来月結婚するんだ。君に誤解はさせたくない。」
「あいつは嫉妬深い。泣かせるわけにはいかない。」
「君ももう年頃の残り物のオメガだろ? 俺の印をつけたまま、他のアルファとお見合いするなんてありえない。」
彼は冷たく、けれどどこか薄情な笑みを浮かべながら、一枚の小切手を私に投げ渡す。
「長い間、俺に従ってきたんだから、君を傷つけたりはしない。」
「結婚の日には招待状を送る。必ず来て、席につけよ。」
---
いくつかのコメントを拝見し、大変申し訳なく思っております。
私は現在日本語を勉強しており、この文章はAI作品ではありませんが、
一部に翻訳ソフトを使用しています。
もし読んでくださる中で日本語のおかしな点をご指摘いただけましたら、
本当にありがたく思います。
【完】君に届かない声
未希かずは(Miki)
BL
内気で友達の少ない高校生・花森眞琴は、優しくて完璧な幼なじみの長谷川匠海に密かな恋心を抱いていた。
ある日、匠海が誰かを「そばで守りたい」と話すのを耳にした眞琴。匠海の幸せのために身を引こうと、クラスの人気者・和馬に偽の恋人役を頼むが…。
すれ違う高校生二人の不器用な恋のお話です。
執着囲い込み☓健気。ハピエンです。
《完結》僕が天使になるまで
MITARASI_
BL
命が尽きると知った遥は、恋人・翔太には秘密を抱えたまま「別れ」を選ぶ。
それは翔太の未来を守るため――。
料理のレシピ、小さなメモ、親友に託した願い。
遥が残した“天使の贈り物”の数々は、翔太の心を深く揺さぶり、やがて彼を未来へと導いていく。
涙と希望が交差する、切なくも温かい愛の物語。
六年目の恋、もう一度手をつなぐ
高穂もか
BL
幼なじみで恋人のつむぎと渉は互いにオメガ・アルファの親公認のカップルだ。
順調な交際も六年目――最近の渉はデートもしないし、手もつながなくなった。
「もう、おればっかりが好きなんやろか?」
馴ればっかりの関係に、寂しさを覚えるつむぎ。
そのうえ、渉は二人の通う高校にやってきた美貌の転校生・沙也にかまってばかりで。他のオメガには、優しく甘く接する恋人にもやもやしてしまう。
嫉妬をしても、「友達なんやから面倒なこというなって」と笑われ、遂にはお泊りまでしたと聞き……
「そっちがその気なら、もういい!」
堪忍袋の緒が切れたつむぎは、別れを切り出す。すると、渉は意外な反応を……?
倦怠期を乗り越えて、もう一度恋をする。幼なじみオメガバースBLです♡
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
