巻き戻った王子は幸せを掴む【三章完結】

そろふぃ

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2章 懺悔と喜悦

5話

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服を選んだ後、ゆっくりと城下を見て回った。ミーシャと見て回った時は、色々あったしちょっと緊張していたので周りをゆっくり見ることができなかったが、2度目であり、アリアもいることで改めてゆっくり見ることができた。前の時は、目的の場所以外は全く興味がなかったからゆっくり見るとこんなにキラキラしているのだと、気づかなかった自分がとても情けなく思ってしまう。周りの視線は、変わらず突き刺さるが隣にいるレイドルトを見ると皆、なんとも言えない顔をして道を譲っていく。

「!」

何かいい匂い、嗅いだことがある匂いがしてそちらの方を向くと、ミーシャ達ときた時に食べたクレープ屋さんだった。

「ん?フラン?どうした、何か欲しいものでもあったか?」

「あ、、、えっと」

「大丈夫、なんでも言って」

「、、、あの、、、クレープ食べたい」

強請ることをできなくなって長く、ここにきてもそれは変わらない。彼らが自分に多少優しくしてくれているのはわかるのだがそれでも若干身をひいてしまう。レイドルトの様子を上目遣いでじっと見つめていると何故か震えながら肩をある程度の力で掴まれる。

「??、、、だめ?」

「だ、ダメじゃない!!で、できればーーーって言ってくれないか!」

「?クレープ買って欲しい、お兄ちゃん」

「喜んで!!」

「??」

すごい勢いで買いに行くレイドルトに訳がわからなく目を白黒させていると、アリアに気にしなくても大丈夫ですとやんわりと言われた。

「お待たせ、フラン。甘いのでよかったか?」

「うん」

前回はチョコとバナナだったが今回はイチオシのいちごとバナナのクレープだった。いちごの酸味とバナナやクリームの甘さがマッチしてとても美味しい。ほくほくとした顔で食べていると、じっと優しい瞳で見られていることに気づき、気はづかしさが増してくる。

「ありがと、、、兄上」

「できればお兄ちゃんのままがいいな」

「?でもそれだとベイル王子と被ってしまうから、、、」

「、、、、あの色黒男め!!」

「??」

何やら怒っている様子のレイドルトになんと声を掛ければいいのかわからず困っていると、またもガシッと肩を掴まれた。

「なら俺といる時は俺をお兄ちゃんとよんでくれ!」

「?、、、わかった?」

「レイドルト王子、お話が済んだのでしたらその手を一度フラン様からお離しくださいますか?」

「ん?あぁ、少し力を入れすぎて「お離しくださいますか?」あ、はい」

にっこりととてもいい笑顔で言うアリアにレイドルトは正直に離すしかできない。そんな二人の様子にやっぱりアリアはすごいんだなと再認識したフランだった。

「フラン様、お口を拭きますので、じっとしててくださいませ」

「ん」

「いくか、何か行きたいところはあるか?」

「、、、あにう、えっとお兄ちゃんの、好きなところ?」

「まじ天使かよ、、、」

その日は夕刻まで3人で城下を散策し色々と知ることができた。知らない、いや知ろうとしなかったことを知ることができる幸せに不謹慎かもしれない、罰当たりかもしれなくとも神様に感謝してもしきれない。美味しいものをたくさん食べて、ふかふかなベアのぬいぐるみを買ってくれて、わからないことはなんでも答えてくれる、まるで小さい頃に夢みた家族のようでとても、心が温かく、嬉しくなった。

城に戻れば、陛下たちが出迎えてくれ、城下であったことをゆっくり聞いてくれた。夢かと思うくらい幸せで、不安で、でもそれでもいいと思えるほどにこの場所は温かくなっていく。

神様から課せられた使命は忘れてはいない。モアナにいくのであれば、未来で自分が殺してしまったあのこを助けられる。いや助けなければいけない。同じことを繰り返さないためにも、、、。

   * * *

衣装は四日程で出来上がり城に届いた。なるべく肌を出したくないフランの気持ちを汲んで、あまり露出のない服に仕上がっている。それでいても、誰の目から見ても高価なものだとわかるほどには服の素材が目をひいている。

「フラン様!とってもお似合いです」

「、、、ありがと」

「はぁ、、、弟が天使すぎて辛い、、、」

「?」

今から船が出る港へ行く。陛下達は仕事で見送ることはできなかったがその分、前の日に済ませていた。馬車にレイドルトと一緒に乗りこれから行く場所へと覚悟を決め身を引き締める。側から見れば、ただ緊張しているようにしか見えないが、、、。

これから行くモアナは記憶だけで行くとこれで2度目になる。まだ数年先になるがレイドルトの結婚は婚約者が妊娠したこともあり彼女の国で行われることになるのだ。
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