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2章 懺悔と喜悦
6話
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できた服が届いた後、なぜか家族全員の前でお披露目会をすることになり、みんなに見られるのは恥ずかしかったが、お世辞だろうが褒めてくれるのは嬉しかった。
これから行くモアナ島、モアナ王国は領土としては大きくないが豊富な資源があり、またその地に昔から住んでいる種族の温和で厳格な気質から争い事があまりなく世界一平和な国と言われている。戦争も反乱も数100年起こっておらず多種多様な種族が住んでおり人種差別などもないと言えるほどだ。
前の人生でモアナに来たのはフランが18になったばかりの時だ。その時には、アルベルト以外にも悪友がおり、その者に連れられてここに来た。その時に起きたことでモアナ国はベリアル王国と数100年ぶりの戦争をすることになってしまったのだ。
全てがフランのせいといわけではないにしろ、その要因の1つになったことには変わりがない。
だからこそ、そんな戦争が起きないように今からでも芽を摘み取っておくべきなのだ。最初はフラン自身は同じ時系列に沿った方がいいとは思ったが家族関係が変わった以上、同様に進んでいくはずもないのだ。多少早まってもいいだろう。当時の悪友は学問的な頭脳はピカイチだったが、素の頭があまりよろしくもなく、つまりちょろい人間で、自分が行なっている実験についてフランに懇切丁寧に嫌になるほど教えてくれた。フラン自身も良くは聞いていないものの頭に残るくらいには執拗に語られた。そのおかげで「いつから」「どうやって」実験が進められるのかわかっているのだから悪友のお喋りにも多少感謝できるだろう。
前のことを考えると少しボーっとしてしまう。忘れられない魔法がまだかかっているのか物心ついた頃から死ぬまでの記憶がふわふわっと時間はかかるものの思い出せるのだ。
「フラン様、大丈夫ですか?船旅は初めてでしょうし、酔っておられませんか?」
「ん、、、大丈夫」
「ふふ、フラン様は乗り物に強かったのですね」
「あ、アリア?」
「はい、いかがいたしましたかレイドルト王子」
「な、なんでもない、、、ぅぷっ」
それだけ言うとレイドルトはどこかへ走って行った。レイドルトは乗り物全般がダメなのだ。たった数分でも激しく酔ってしまうほどに。
「??」
「気にしなくとも大丈夫ですよ?フレイ様を困らせた罰です」
「??」
何やら怒っている様子に不安になるが今のはないしを聞く限りレイドルトが何かやらかしたのだろう。立場上アリアとレイドルトは比べるまでもなく上下関係ははっきりとしているのになぜアリアの方が強いのだろうか。疑問に思うがまだ本人に聞けるほどまだ勇気はない。
「あ」
「フラン様?あぁ、見えてきましたね」
「うん、、、」
前とは違う、何が起こるかもわからない。不安がないわけではないがなんとかしないといけない。知っているのは自分だけで変えられるのも自分だけ今ならまだ間に合うのだ。
「楽しみですね、フラン様」
「、、、、うん」
目の先にはモアナ王国これから起こることは、未来の通り進むかフランにもわからない。
それでもフランは怖がり震えかけている体を見ないふりをし、毅然とモアナ王国を見つめ続けた。
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「ん、、、大丈夫」
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「あ、アリア?」
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「な、なんでもない、、、ぅぷっ」
それだけ言うとレイドルトはどこかへ走って行った。レイドルトは乗り物全般がダメなのだ。たった数分でも激しく酔ってしまうほどに。
「??」
「気にしなくとも大丈夫ですよ?フレイ様を困らせた罰です」
「??」
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「あ」
「フラン様?あぁ、見えてきましたね」
「うん、、、」
前とは違う、何が起こるかもわからない。不安がないわけではないがなんとかしないといけない。知っているのは自分だけで変えられるのも自分だけ今ならまだ間に合うのだ。
「楽しみですね、フラン様」
「、、、、うん」
目の先にはモアナ王国これから起こることは、未来の通り進むかフランにもわからない。
それでもフランは怖がり震えかけている体を見ないふりをし、毅然とモアナ王国を見つめ続けた。
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