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「ごめん、待たせちゃった」
「それは良いけど、中で誰かと話してた?」
「いやいや、そんな訳無いじゃない!それより、何かあったの?」
「え、あ、小鳥はもう逃げたの?ネルシャが言ってたけど」
「に、逃げたよ!ありがとう」
「それは良かった…って、まだ着替えてないじゃないか!少し長い話になりそうだから、リビングで持ってて良い?あ、時間空いてる?」
「うん、すぐ戻るわ」

   レイディオの長い話とはどういうことだろうか。長い話になりそうなのは、また動物の話とかなのか、それとも最も聞くのが怖いお父様か政治のことなのか…。

   少し怖くなったが、私は自分がまだ着替えてないことに気付き、メイドのネルシャを呼び、正しい服装に着替えた。


「お待たせ」
「あぁ、朝早くごめんね」
「で、話って何?」

   レイディオは私の客間のソファーに座って、飲んでいた紅茶を目の前の置き、真剣な眼差しで言った。レイディオのここまで真剣な目ははじめてに近かった。双子で同い年なのに、オディルお兄様のように随分大きくなった感じがする。それにだんだんとお父様に似てきているよう…。
   でも、何故かとてつもない不安と緊張が襲う。

「ディーレの二人で話がしたいんだ。他の人は席を外してくれないか?」
「ネルシャ」
「はい、かしこまりました」

   私は代表のネルシャに声をかけると、それに続いてメイド達がこの客間から出ていく。レイディオは深いため息を付いて、静かに語った。

「ディーレ、僕もオディル兄さんから聞いたんだけど…」
「何……?」
「父上…の、体調が悪いそうだ。その…呪いが…」

   それを聞いた瞬間、身体が震えた。お父様には昔にかけられた深い呪いがあって、時々呪いのせいで、長期間寝込む事が度々ある。毎日薬を飲んでいるのは知っているが、どうしてその呪いがかかったのかは教えてくれない。ただ、古代の禁忌の呪縛で解くことはほぼ無理。死に至るもの。
   それを何とか抑えるために薬を飲んで、レイディオも度々外に行っている時に隠れて効く薬草を探して研究して、薬を作っているそう。

「…だ、大丈夫なの?今はもう寝て…」
「深くは寝込んでないみたい。でも……」
「でも……?」

   後味の悪いレイディオの言葉。でも迂闊には聞けなかった。何が悪い事が他にもあるのは確信していた。何が最も…最も危険なこと。お父様がいなくなるなんて絶対、嫌!
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