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「あの呪い…僕達が五歳の時、一ヶ月ほど父上と逢えなくて、国も少し傾いたらしくて、我慢出来ずに久しぶりに会いに行った時の父上の事…覚えてる?」
「えぇ…、忘れもしないわ…。私達、逢いたくて行ったのに、体調の急変が怖くて一言も喋れずにすぐにお医者様を呼んだもの」
「…父上にかかった呪い、もう少しで闇魔力が父上の身体を蝕む呪いで、何十年もその魔力を父上は貯め続けたらしくて、それが耐えきれなくなってるんだって。だから、詳しくは教えてくれなかったけど、闇の魔力を浄化する為の儀式をまたやるらしいんだ。俺達があの時見たのはその儀式の成功したあとだったんだよ…」
レイディオは目を逸らし、下を向いた。私は考えられなかった。あの時が成功?お父様は痩せてはいるけれど、あんな死ぬ間際みたいな冷たい表情なんか見たのはあの時だけだ。しんどくても、笑ってくれたし、手を握れば暖かい。
みんなからは美しく格好良いと言われ、それがオディルお兄様やレイディオに似て、さんざんお父様を好きに思う人ができる。耳元でキャーキャー煩いのだ。そんなお父様が、あんな姿になるまで呪いに耐えなくちゃいけないってこと…?それに、成功したというのがあるってことは…
「それ…って、お父様…大丈夫…よね?」
「…オディル兄さんは大丈夫だと励ましてくれたよ。そして、王族として不安を顔に出すなってね」
「…でも私、今からお父様の所に─」
「ディーレ、今いけば余計に迷惑かけてしまうよ。父上のことだから、僕達にも重大な時になったら言ってくれるよ。オディル兄さんもそれで大変になるらしいから、しばらくは会えないって事かな」
「そう…ね。分かったわ」
「うん。後、それがあるからあまり外に出ないでね。オディル兄さんも言ってたよ?」
「…分かってるわよ」
私はレイディオがさり気なく気を使っているのにすぐに気づいた。けど少し嫌になって返事を曖昧にしてしまったが、本当に私は父が心配で堪らなかった。本人の前で言うのには気が引けるが、私も好きに違いなかったから…。
その点で言うとやはりオディルお兄様やレイディオだってなんかすごいなと思ってしまう。心配なことに違いないのに私を気を使ってまで話しているから…悪い気になってしまう。
「あ~もう!お父様なんてすぐ倒れるんだから!最近元気だと思ってたのにもう!」
「……ハハッ!いつものディーレらしいよ」
「何よ、それ!」
「いい意味で、だよ?じゃ、話はそのくらいかな。しばらく、オディル兄さんが行うらしいから、僕も少し手伝ってくるよ」
「分かったわ。無理はしないでね」
「分かってるよ、じゃ」
「うん、またね」
そういうとレイディオはサッと立ち上がり、その場をさっていった。私も手を振ってかえす。去っていく姿を見送った後、私は戻って同じ場所に座った。ああ言ったはいいけど、内心は少し不安だった…。
「ディーレお嬢様…?大丈夫ですか?」
「えっ?あ、大丈夫よ」
「紅茶傾けていると零れますよ」
「あら、いけない!ありがとう、ネルシャ」
慌てて紅茶を一口飲んだ。暗い心とは裏腹にほんのり甘い香りが口の中で広がった。
「えぇ…、忘れもしないわ…。私達、逢いたくて行ったのに、体調の急変が怖くて一言も喋れずにすぐにお医者様を呼んだもの」
「…父上にかかった呪い、もう少しで闇魔力が父上の身体を蝕む呪いで、何十年もその魔力を父上は貯め続けたらしくて、それが耐えきれなくなってるんだって。だから、詳しくは教えてくれなかったけど、闇の魔力を浄化する為の儀式をまたやるらしいんだ。俺達があの時見たのはその儀式の成功したあとだったんだよ…」
レイディオは目を逸らし、下を向いた。私は考えられなかった。あの時が成功?お父様は痩せてはいるけれど、あんな死ぬ間際みたいな冷たい表情なんか見たのはあの時だけだ。しんどくても、笑ってくれたし、手を握れば暖かい。
みんなからは美しく格好良いと言われ、それがオディルお兄様やレイディオに似て、さんざんお父様を好きに思う人ができる。耳元でキャーキャー煩いのだ。そんなお父様が、あんな姿になるまで呪いに耐えなくちゃいけないってこと…?それに、成功したというのがあるってことは…
「それ…って、お父様…大丈夫…よね?」
「…オディル兄さんは大丈夫だと励ましてくれたよ。そして、王族として不安を顔に出すなってね」
「…でも私、今からお父様の所に─」
「ディーレ、今いけば余計に迷惑かけてしまうよ。父上のことだから、僕達にも重大な時になったら言ってくれるよ。オディル兄さんもそれで大変になるらしいから、しばらくは会えないって事かな」
「そう…ね。分かったわ」
「うん。後、それがあるからあまり外に出ないでね。オディル兄さんも言ってたよ?」
「…分かってるわよ」
私はレイディオがさり気なく気を使っているのにすぐに気づいた。けど少し嫌になって返事を曖昧にしてしまったが、本当に私は父が心配で堪らなかった。本人の前で言うのには気が引けるが、私も好きに違いなかったから…。
その点で言うとやはりオディルお兄様やレイディオだってなんかすごいなと思ってしまう。心配なことに違いないのに私を気を使ってまで話しているから…悪い気になってしまう。
「あ~もう!お父様なんてすぐ倒れるんだから!最近元気だと思ってたのにもう!」
「……ハハッ!いつものディーレらしいよ」
「何よ、それ!」
「いい意味で、だよ?じゃ、話はそのくらいかな。しばらく、オディル兄さんが行うらしいから、僕も少し手伝ってくるよ」
「分かったわ。無理はしないでね」
「分かってるよ、じゃ」
「うん、またね」
そういうとレイディオはサッと立ち上がり、その場をさっていった。私も手を振ってかえす。去っていく姿を見送った後、私は戻って同じ場所に座った。ああ言ったはいいけど、内心は少し不安だった…。
「ディーレお嬢様…?大丈夫ですか?」
「えっ?あ、大丈夫よ」
「紅茶傾けていると零れますよ」
「あら、いけない!ありがとう、ネルシャ」
慌てて紅茶を一口飲んだ。暗い心とは裏腹にほんのり甘い香りが口の中で広がった。
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